秋の水 131句
あけてまだ日ささぬうちや秋の水 松瀬青々 妻木
秋の水 秋水
「出航」の水尾あきらかに秋の水尾
能村登四郎
沖
199809
森岡正作さん
行く秋の水の真澄は空ならず
小澤克己
遠嶺
199901
秋の水まっすぐ落ちる素手素足
田中亜美
海程
199902
神饌に禰宜深井戸の秋の水
川崎不坐
火星
199902
てのひらに空のひとかけ秋の水
わたなべじゅんこ
船団
199903
人影の過ぎてまた来て秋の水
長沼三津夫
朝
199911
氷河より輝く秋の水走る
中里信司
酸漿
199911
町中の水秋の水丹波かな
津田このみ
月ひとしずく
199912
音奏で石にもやさし秋の水
宮下本平
澪
200001
母に似ぬ私を写す秋の水
大村美智子
京鹿子
200001
アジト無きもの皆来れ秋の水
星野早苗
空のさえずる
200002
ほどほどの歳の貌なり秋の水
坂井まさき
六花
200003
胃袋にすとんと落ちる秋の水
三宅やよい
玩具帳
200004
堰こゆる海を寸前秋の水
山田六甲
六花
200011
痛みある度に澄みゆく秋の水
能村登四郎
沖
200108
ていれぎの秋の水より出奔す
岡井省二
槐
200110
秋の水波紋正しく広がりぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200110
武家屋敷劃して秋の水走る
能村登四郎
羽化
200110
水秋の水より晴れて丹生の村
今井妙子
雨月
200111
竹柄杓汲む彌勒寺の秋の水
小浦遊月
酸漿
200112
さびしらの捌け口たづね秋の水
奥田節子
火星
200201
つくばひに丸く収めて秋の水
関根洋子
風土
200201
行く秋の水は動かず鳰泳ぐ
天野きく江
槐
200201
嘴でつつかれてをり秋の水
春川暖慕
銀化
200201
金閣をさながら映し秋の水
鈴鹿野風呂
京鹿子
200202
堤防を打つ音低く秋の水
稲畑廣太郎
ホトトギス
200210
立秋の水を双手に掬ひたり
佐藤よしい
風土
200211
手を浸しゐる白秋の水明り
櫛原希伊子
百鳥
200212
秋の水ひとは濁りを飲むことも
坂本京子
沖
200212
缺盈に應へるものに秋の水
中原道夫
銀化
200212
豊秋の水音明るき村に入る
足立典子
雨月
200301
目の玉の映つてをりぬ秋の水
木下野生
槐
200301
秋の水薬草園へと曲りけり
城孝子
火星
200302
さらさらと来て不意に滝秋の水
西山美枝子
酸漿
200305
開明墨汁秋の水もてうすめるも
伊藤白潮
鴫
200310
今朝秋の水をにごさぬ魚の群
高橋あゆみ
沖
200310
のびのびと浮く藻草かな秋の水
入山登志子
帆船
200311
嘘に効く薬あります秋の水
木村みかん
鴫
200311
木賊むら秋の水音抜けてゆく
斉藤小夜
風土
200311
あめんぼうの重さ支へて秋の水
渡辺幹雄
酸漿
200312
御手洗を手押しポンプで秋の水
四葉允子
ぐろっけ
200312
優しさに慣れ秋の水飲み干せり
玉川梨恵
鴫
200312
秋の水ここは若狭のゆづり橋
井須春夜
草の花
200401
締込みの若衆に打つ秋の水
小石秀子
酸漿
200401
秋の水新しき管通りけり
荻野みゆき
対岸
200402
色鯉の交りて触れず秋の水
山下青坡
苑
200402
秋の水何か捨てたく石投ぐる
岡本眸
朝
200410
秋の水人に近きはさは立てる
岡本眸
朝
200410
命みぢかし刹那まできて秋の水
堀内一郎
あを
200410
おとがひを天の岩戸の秋の水
藤田あけ烏
草の花
200411
三重の門人、岩脇五風氏御夫妻より毎事。
くるくると川獺秋の水潜る
朝妻力
雲の峰
200411
澄むほどに恐ろしきもの秋の水
菅原健一
沖
200411
昼の空支へて広き秋の水
宮津昭彦
濱
200411
全身のすらりと映り秋の水
渡辺美代
対岸
200412
棒切れの浸つてをりぬ秋の水
木下野生
槐
200412
金山の中流れをり秋の水
城孝子
火星
200501
秋の水こめかみに指あてて聞く
森賀まり
百鳥
200502
指さしてたとへば白き秋の水
堀内一郎
あを
200508
秋の水つねに金魚の相寄れる
瀧春一
菜園
200509
秋の水ひびきほそぼそと注ぐあり
瀧春一
菜園
200509
秋の水斜めに岨を駈けるあり
瀧春一
菜園
200509
渓声や湛ふればこの秋の水
阿部ひろし
酸漿
200510
昇仙峡
峠より秋の水来る宿格子
渡邉友七
あを
200510
ユリノキを貫くものは秋の水
東亜未
あを
200511
何処をどう流れ来て澄む秋の水
村越化石
濱
200511
櫛の歯のやうに人減る秋の水
田中藤穂
あを
200511
言の葉をちりぢりにする秋の水
森理和
あを
200511
秋の水その生き生きともくもくと
赤座典子
あを
200511
五十鈴川鯉のひしめく秋の水
小山漂葉
酸漿
200512
秋の水蹴りぬ足裏かたくして
杉浦典子
火星
200512
「飛水峡」甌穴に溜む秋の水
山田をがたま
京鹿子
200601
距離置けば見えてくるもの秋の水
竹内文子
遠嶺
200601
賓銭を投げ入れて汲む秋の水
大海いつ子
百鳥
200601
本殿へ荒き石段秋の水
三輪慶子
ぐろっけ
200602
秋の水心の襞の映りをる
高橋将夫
槐
200612
秋の水碌山素描の深さかな
安永圭子
風土
200612
信濃
秋の水一木造りの観世音
玉川悠
遠嶺
200701
倒れ木を架けたる岩や秋の水
瀧春一
萱
200706
今朝秋の水たつぷりと顔洗ふ
林八重子
馬醉木
200711
今朝秋の水に笑まへる父母のあり
小宮山勇
遠嶺
200711
秋の水収まってゆくヒステリー
篠田純子
あを
200711
木の陰を流れてゆける秋の水
山田六甲
六花
200711
どの音も空へ抜けゆく秋の水
内野俊子
春燈
200712
掬ひたる指よりこぼれ秋の水
前田美恵子
槐
200712
琴をひくごとく堰落つ秋の水
三井孝子
六花
200712
秋の水母似となりし顔映す
柴野静
苑
200712
名水と知りし筧の秋の水
井上幸子
酸漿
200712
あなたはあちらわたしはこちら秋の水
阿部知代
面
200801
瀬をなすもの淵なすものも秋の水
青木康明
狩
200801
フェルメールの少女の耳輪秋の水
玉川悠
遠嶺
200802
方円に従ふ齢秋の水
岩淵彰
遠嶺
200802
手の窪に掬へばこぼれ秋の水
稲畑汀子
ホトトギス
200809
秋の水飲む寝たきりにならぬため
伊藤白潮
鴫
200809
思ひ出はたぐるものなり秋の水
飯田ひでを
峰
200811
ポリバケツ持てばたゆたふ秋の水
森戸柚斎
炎環
200812
秋の水フランスパンは木のかたさ
中村恭子
鴫
200812
秋の水飲みて透かさず回答す
有馬克代
鴫
200812
端渓に注ぐ一滴秋の水
岸本久栄
雨月
200812
宝玉も化石も洗ふ秋の水
高橋将夫
槐
200812
黄色の葉秋の水へと落ちにけり
藤原春子
六花
200901
金魚池真澄の秋の水を足す
鈴木朗月
万象
200901
四ツ手網しづみて秋の水のいろ
大崎紀夫
やぶれ傘
200901
洗濯や秋の水踏む白き素足
瀧春一
深林
200901
秋の水業を解かして流れけり
高橋将夫
槐
200902
知らぬ鳥きて秋の水くぼませり
城孝子
火星
200902
秋の水こころの芯を通りけり
石寒太
炎環
200911
寄す波にそれぞれ秋の水の翳
藤岡紫水
京鹿子
200912
秋の水魚よりも濃き魚の影
藤岡紫水
京鹿子
200912
石畳ふむも供養や秋の水
堀内一郎
あを
200912
南大門礎石にたまる秋の水
福島せいぎ
万象
201001
名にし負ふ通船堀の秋の水
田中きよ子
酸漿
201001
水色とは透明である秋の水
阿部知代
面
201007
こつぽりの二人の過ぎし秋の水
山尾玉藻
火星
201010
橋脚のあたり乱るる秋の水
藤井美晴
やぶれ傘
201101
喉ごしに切れ味のあり秋の水
松本圭司
沖
201101
秋の水汲まむ商家の家内井戸
鈴木浩子
ぐろっけ
201101
妣の面影石臼に秋の水
本木下清美
ぐろっけ
201101
手を入れて硬さ確かむ秋の水
和田紀夫
鴫
201111
秋の水万事遅れて居りしかど
井上信子
鴫
201111
笈摺のふたり熊野へ秋の水
上野進
春燈
201112
漉舟を濯ぐや秋の水ひびき
島田尚子
馬醉木
201112
川底の砂きらめきて秋の水
羽賀恭子
峰
201112
亀の貌縁取りゐたる秋の水
山田六甲
六花
201210
やはらかく穴を消しゆく秋の水
近藤喜子
槐
201211
手浸せば眼澄みゆく秋の水
安立公彦
春燈
201211
浮かぶもの浮かぶがままに秋の水
海村禮子
春燈
201212
うかと座すベンチに秋の水たまり
石脇みはる
槐
201301
つなぐ手の欲しき初秋の水ほとり
井尻妙子
京鹿子
201301
谷川は秋の水音旅籠かな
南奉栄蓮
風土
201301
比良渓の起伏に沿へる秋の水
板倉安正
璦
201301
罪深きわが手の中の秋の水
近藤喜子
ミネルヴァの梟
201303