平成 17年11月11日、茨城県東海村にある日本原子力発電(株)東海発電所において、第78回安全キャラバンを実施しました。
安全講演会
安全講演会には、日本原子力発電(株)東海発電所及び関係会社の社員55名が出席されました。
講演会の冒頭、 東海発電所・所 長 青柳 雅夫様より、ご挨拶があり、「 原子力発電専業の当社では、原子力の安全確保は事業面からも不可欠である。安全文化の向上という面では、東海発電所でも種々の課題が出ており、この安全キャラバンを通じて、安全文化醸成の一助としたい。」 とのご挨拶がありました。
ご挨拶の後、NSネット事業部より日本原子力技術協会設立の基本的考え方や活動方針、 NSネット事業部の活動状況などを紹介し、引き続き、日本システム安全研究所 代表取締役社長の吉岡 律夫様 より、「事故はなぜ起こる?事故に学んだ先進国の取組み」と題して、ご講演いただきました。
講演会では、
○しろまる事故については、ただちに安全に結びつく解決方法は無い。なぜ事故が起きたのか理解しなければならない。根幹原因(Root Cause)を防ぐ最善の方法を見つけ出さねばならない。事故の7〜8割が人的要因で引き起こされている。根幹原因は次の3つの要因からなっている。
・安全文化の欠陥(この大きな要因である自信過剰と自己満足)
・組織構造の欠陥
・技術活動の欠陥
○しろまる基本は、安全性と経済性のバランスを取る事が重要と考える。俗に「トラブルの多い会社は事故が多い」と言われるが、実際これには高い相関関係がある。
○しろまる事故の根幹原因分析においては、事故原因を「直接原因」と「根本原因」に分ける考え方がある。特に日本では、本来直接原因となるべきものが、根本原因とされる傾向がある。また、未来を予測するのは難しいが、日本では特にリスクといった概念を考えることに慣れていない。
○しろまる新しい安全の仕組み「機能安全」は、個人のコンピテンシー(資質、行動、特性)→組織の機能安全能力審査→製品認証、から構成されており、3つがそろって安全になると言う考え方である。
○しろまるコンピテンシー指針では、各分野における指針を定めている。この指針では、業績と行動特性を比較しているもので、高い業績を上げている人に見られる行動特性を明らかにしている。
講演会終了後のアンケートでは、
安全情報交換会
NSネット事業部より「安全文化の構築」と題して、安全文化の原則、美浜事故の教訓、安全風土の構築について、説明が行われました。そして国の検討会等での安全文化評価の動向があることが説明されました。 引き続き、日本原子力発電(株)東海発電所安全管理グループサブマネージャ山口嘉温氏より「東海発電所における安全向上・品質保証活動への取組み」について説明が行われ、マイスター制度、品質目標を設定し、それを達成するための努力が行われていることが紹介されました。また、安全文化醸成については、安全風土を測るために実施したアンケート調査の結果、コミュニケーション等5つの問題点が抽出され、具体的対策が図られていること、また安定安全運転達成のため、運転指標を用いた意識高揚活動が行われていることが紹介されました。
梅田 政幸氏
山口 嘉温氏
○しろまる 品質保証について第三者的にはどのように監査しているのか。
○しろまる安全文化の説明の中で、どのように構成要素が組み立てられているのかわからない。
●くろまる当然ながら、ポリシーレベル、組織的な取組みが行われている。ただし階層別には実施していない。むしろ管理職がやっているつもりであるが、若手がそのように受け止めていないことが問題と考えている。
●くろまる不適合管理票を発電所内で回している。これまでは受注会社の不適合評価が中心であったが、今ではそれを自らの問題として書くようになっている。そのため自らのミスを書くということで、ある種の抵抗感があった。当時の原研殿ではそういった雰囲気はなかったのか。
◎にじゅうまるHTTRにおいては、単体機能試験以降の系統別・総合機能試験、臨界試験及び出力上昇試験を自ら立ち上げることが求められていたため、各人が問題点を出し合っていた。入力に抵抗があると言うことは無かった。実際、原子炉の運転経験の無い人が多かったため、全体的にレベルを引き上げるためにはどうしたらよいかと言うことから始まっている。
●くろまる想像力を働かせ、リスク管理していかねばならない。情報の水平展開により、トラブルの根を掘り起こすことができる。さらに大きなトラブルだけでなく、未然防止につながれば良いと思う。
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