ここ20年ほど、発達障害だと、とくに自閉症であると自らを認識した人が、自らについて書いた書籍が日本でたくさん現れている(文献表にあげたのはADD・ADHDの人たちのものも含め約100冊)。そこに何が書かれているかを辿りながら、この現象について、そしてそれらの書籍やウェブ上の文章に書かれていることをどう理解するかを考えるのが本書で行ったことである。
http://www.arsvi.com/ts/2014b1.htm
医療社会学(sociology of medicine)はこれまで病気とみられていなかったものを病気とすることを批判的に捉えてきた。また障害学は障害を社会の水準で捉えるべきことを言った。その社会モデルに対置されるのは通常医療モデルだが、この対比を単純に解するなら、障害学・障害者運動は治療に対して肯定的でないことになる。だが、自閉症等の本人たちには医師の診断を肯定的に受け入れ、それが「脳の機能障害」であることを積極的に主張したのである。このことをどう理解すればよいのか。それは今年の「障害学国際フォーラム」
http://www.arsvi.com/a/20141120.htm
のテーマ「障害と治療」に関わってもいる。
私なりの答が本書に書かれているのだが、その本は日本語で書かれていてみなさんに読んでいただけずもうしわけない。もし質問があれば、あるいは私の方に余力があれば、352頁あるそう短くはない本に私が何を書いたのかを紹介することができるかもしれない。
立岩真也
http://www.arsvi.com/ts/0.htm
◆だいやまーく立岩 真也 2014年08月26日
『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3996
[amazon]/
[kinokuniya] ※(注記)