別のところであげた三冊は、
上農正剛
『たったひとりのクレオール――聴覚障害児教育における言語論と障害認識』(ポット出版)、
向井承子『患者追放――行き場を失う老人たち』(筑摩書房)、
『現代思想』十一月号、特集「争点としての生命」(青土社)。今回はこうした?領域に限って――その現代史が大切であることは『現代思想』の拙稿に書いた――あと五冊。?@
天田城介『<老い衰えゆくこと>の社会学』(田賀出版)。とても大きな本で、もとは博士論文だが、退屈な本ではなく、気合が入っていて、私ら(以下)の世代ががんばって書いて、この辺りまで。だがそれは、これ以外の書きようがあるということか、ないということか。多分ある、と言いたいが、それがどういうものかは私にはまだよく見えない。?Aアリス・ウェクスラー
『ウェクスラー家の選択――遺伝子診断と向きあった家族』(新潮社)。同じく翻訳書で、?Bハーブ・カチンス他『精神疾患はつくられる――DSM診断の罠』(日本評論社)。いずれも、この本を読んだらそれでわかってしまうという本ではないが、この本がないと知ることのできないことが書いてある。人が知らない(そして知る価値のある)ことを高密度でたくさん書いた本は、今のところ翻訳に偏っている。後者の主題(の一部)についてのさらに大きな本格的な仕事としては、昨年出た本ではないが、?Cアラン・ヤング
『PTSDの医療人類学』(みすず書房)。おもしろいが、全体をなかなか把握し尽くせない。そして、さらに読みこんで把握できたとしても、ある状態を精神疾患と名指すことをどのように評定したらよいか、答は直接には出てこないと思う。しかしそこから考えることができるだけのものは与えられる。最後に、?D優生手術に対する謝罪を求める会
『優生保護法の犯した罪――子どもをもつことを奪われた人々の証言』(現代書館)。なお、以上の本の多くについてホームページhttp://www.arsvi.comにもっと長い紹介がある。また以上であげられなかった「思想系」の本についてはこの一月に出た拙著
『自由の平等――簡単で別な姿の世界』(岩波書店)の注・文献表を参照のこと。
◆だいやまーくKutchins, Herb ; Kirk, Stuart A. 1997
Making Us Crazy: DSM - The Psychiatric Bible and the Creation of Mental Disorders, The Free Press=20021025 高木 俊介・塚本 千秋 監訳,『精神疾患はつくられる――DSM診断の罠』,日本評論社,345p. ISBN:4-535-98195-7 2800
[kinokuniya]/
[bk1] ※(注記)
◆だいやまーく天田城介 20030228 『<老い衰えゆくこと>の社会学』,多賀出版,595p. ISBN:4-8115-6361-1 8925
[kinokuniya]/
[bk1] ※(注記) **