ないにこしたことはない、か・1・文献表
立岩 真也 2001
■しかく■しかく分量の関係で
「1」で略さざるをえないだろう部分
障害児の親として(だけではないが)障害者運動にかかわってきた人の一九七八年、一九八〇年。障害をもつこどもがいる古川清治に次のような文章がある。
「水俣病に、四日市ぜんそくに、排気ガスに、注射の打ちすぎに、やられた子どもたちにとって、「(この子は)知恵は遅れているけれど、目は見えないけれど、ふつうの子どもです」というコトバはいかなる意味をもつか、ということです。また、別の問題として、「この子は、知恵は遅れているけれど、耳は聞こえないけれど、健康です」ということがあります。」(古川清治 19780320→1983]に引用)
あるいはまた、先にも引用した最首悟の文章。かれにもまたダウン症の娘さんがいて、そしてずっと水俣病のことにもかかわっている人だ。(最首[ ][ ]、立岩[1997]第9章注20(p.438)に引用)
「公害反対運動と、障害者運動はどこで共通の根をもちうるか...。誤解をおそれずにいえば、公害反対運動は、心身共に健康な人間像を前提にしています。五体満足でありたい、いやあったはずだという思いが、公害反対闘争を根底で支えています。これにたいして、障害者運動は、障害者は人間であることを主張する運動です。」(最首悟[1980→1984:75])
「「『障害』は病気ではない。だから直す対象として『障害』をとらえることが誤っている」という障害者からの指摘は正しいと思う。しかし、病気と「障害」との差異を強調することだけで(p.35)は不十分である。それは、たちまち「障害」だけを孤立させることになる」(石川[1988])
■しかく文献表(五〇音順)
安積 純子・尾中 文哉・岡原 正幸・立岩 真也 1990 『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』,藤原書店
――――― 1995
『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 増補・改訂版』,藤原書店
飯田 亘之 編 1994 『プラクティカルエシックス研究』,千葉大学教養部倫理学教室,292p.
石井 政之 1999 『顔面漂流記――アザをもつジャーナリスト』,かもがわ出版
石川 准 1992 『アイデンティティ・ゲーム』,新評論
――――― 1999 「障害、テクノロジー、アイデンティティ」、石川・長瀬編[1999:41-77]
――――― 2000 「平等派でもなく差異派でもなく」,倉本・長瀬編[]
石川 准・長瀬 修 編 1999 『障害学への招待――社会、文化、ディスアビリティ』、明石書店
石川 憲彦 1988 『治療という幻想――障害の治療からみえること』,現代書館
岡原 正幸・立岩 真也
小沢 牧子 1987 「産む性の問題としての早期発見・早期治療」,日本臨床心理学会編[1987:325-367]
木村 晴美+市田 泰弘 1995 「ろう文化宣言――言語的少数者としてのろう者」, 『現代思想』23-5→1996 『現代思想』24-5:8-17(新たに註が加えられている)
倉本 智明 1997 「未完の〈障害者文化〉――横塚晃一の思想と身体」,『社会問題研究』第47巻第1号
――――― 1999 「異形のパラドックス――青い芝・ドッグレッグス・劇団態変」,,石川・長瀬編[1999:219-255]
倉本 智明・長瀬 修 編 2000 『障害学を語る』,エンパワメント研究所,発売:筒井書房
最首 悟 1984 『生あるものは皆この海に染まり』,新曜社
――――― 1998 『星子が居る――言葉なく語りかける重複障害者の娘との20年』,世織書房
千田 1989
先天性四肢障害児父母の会 編 1982 『シンポジウム先天異常I――人類への警告』,批評社,278p. 1700円
先天性四肢障害児父母の会 編 1982 『シンポジウム先天異常II――いのちを問う』,批評社
Singer, Peter 1993 Practical Ethics, 2nd Edition, Cambridge Univ. Press(飯田編[1994:69-75],飯田編[1994:127-134]に伊勢田哲治・江口聡の第1章・2章の紹介)
立岩 真也 1990 「はやく・ゆっくり――自立生活運動の生成と展開」,安積他[1990→1995]
――――― 1998 「都合のよい死・屈辱による死――「安楽死」について」,『仏教』
42→立岩[2000]
――――― 1998 「一九七〇年」,『現代思想』→立岩[2000]
――――― 1999 「自己決定する自立――なにより,でないが,とても,大切なもの」,石川准・長瀬修編『障害学への招待』,明石書店,pp.79-107
――――― 2000
『弱くある自由へ』,青土社
――――― 2001 「なおすことについて」,野口裕二・大村英昭編『臨床社会学の実践』(仮),有斐閣
豊田 正弘 1996 「「障害個性」論批判」,『わだち』37:14-37
土屋 貴志 1994a 「"シンガー事件"後のシンガー――『実践的倫理学』第2版における障害者問題の扱い」,飯田編[1994:135-146]
――――― 1994b 「障害が個性であるような社会」,森岡編[1994:244-261]
堤 愛子 1988 「ミュータントの危惧」,『クリティーク』1988-7→1989『女たちの反原発』,労働教育センター
――――― 1989 「「あたり前」はあたり前か?――「障害者」が生まれるから「原発に反対」は悪質なスリカエ論法だ!!」,『地域闘争』1989-12:32-35
長瀬 修 「 」,『現代思想』
――――― 1997 「 」,『生命倫理』
――――― 1999 「障害学に向けて」,石川・長瀬編[1999:11-39]
日本臨床心理学会 編 1987 『「早期発見・治療」はなぜ問題か』,現代書館
野辺 明子
――――― 2000 「障害をもついのちのムーブメント」 栗原・小森・佐藤・吉見編[2000:105-129]
野辺 明子
――――― 2000 「障害をもついのちのムーブメント」 栗原・小森・佐藤・吉見編[2000:105-129]
古川 清治 1983 『オヤジの「障害児」教育論』,柘植書房,245p. 1700
――――― 1988 「<共生>と<人権>をめぐって――管理と操作の時代に」,古川他編[1988:167-207]
古川 清治・山田 真・福本 英子 編 1988 『バイオ時代に共生を問う――反優生の論理』,柘植書房
森 正司 1999 「障害個性論―知的障害者の人間としての尊厳を考える」
森岡 正博 編 1994 『「ささえあい」の人間学』,法藏舘,359p.
栗原 彬・小森 陽一・佐藤 学・吉見 俊哉 編 2000 『語り:つむぎだす』(越境する知・2) 東京大学出版会,317p. 2600
吉本 隆明 「障害者問題と心的現象論」,『福祉労働』