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障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)・2004

Liaison Council for Guaranteed Livelihood of Disabled People
http://www9.plala.or.jp/shogairen/

2003 2004 2005



だいやまーく2004年02月05日 『障害連事務局FAXレター』68号
2回目の勉強会を開く〜介護保険問題で、高橋紘士立教大学教授をゲストに〜
だいやまーく2004年02月19日 『障害連事務局FAXレター』68号
だいやまーく2004年02月27日 『障害連事務局FAXレター』71号
厚労省との第5回勉強会から
だいやまーく2004年03月04日 『障害連事務局FAXレター』72号
厚労生省との勉強会、第6回目を迎える〜北野誠一氏を迎えて〜
だいやまーく2004年03月11日 『障害連事務局FAXレター』73号
7回目の勉強会から
だいやまーく2004年03月18日 『障害連事務局FAXレター』74号
障害保健福祉部との勉強会(第8回)
だいやまーく2004年03月25日 『障害連事務局FAXレター』75号
いろいろな動き
だいやまーく2004年04月01日 『障害連事務局FAXレター』76号
介護保険の勉強会第1ラウンド終了する
だいやまーく2004年04月15日 『障害連事務局FAXレター』77号
3つの作業班からの報告が行なわれる〜地域生活支援検討会(第16回)行われる〜
だいやまーく2004年06月22日 『障害連事務局FAXレター』80号
地域生活支援・国庫補助基準、議論されるが... 〜第18回地域生活支援の在り方に関する検討会開かれる〜
だいやまーく2004年07月06日 『障害連事務局FAXレター』82号
「成果あったの?なかったの...?」〜地域生活支援の在り方に関する検討会終了する〜
だいやまーく2004年10月21日 『障害連事務局FAXレター』84号
厚労省「改革のグランドデザイン案」出す
だいやまーく2004年11月09日 『障害連事務局FAXレター』84号
日本に帰ってみたら
だいやまーく2004年11月16日 『障害連事務局FAXレター』84号
介護保険部会で意見がたたかわされる
だいやまーく2004年11月30日 『障害連事務局FAXレター』86号
介護保険対象拡大2009年度以降に
だいやまーく2004年12月06日 『障害連事務局FAXレター』87号
安心してはいけない
だいやまーく2004年12月13日 『障害連事務局FAXレター』88号
障害連 ホームページ開設/六団体、緊急要望書を出す
だいやまーく2004年12月16日 『障害連事務局FAXレター』89号
応益負担導入へ、厚労省再度明らかにする
だいやまーく2004年12月28日 『障害連事務局FAXレター』91号




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だいやまーく2004年02月05日 『障害連事務局FAXレター』68号
2回目の勉強会を開く
〜介護保険問題で、高橋紘士立教大学教授をゲストに〜

2月5日(木)厚労省障害保健福祉部と、8団体(日身連、JD、DPI、日盲連、ろうあ連盟、脊損連合、育成会、全家連)との介護保険に関する勉強会が行われた。
この日は老健局から2名が同席、また介護保険に詳しく、障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会の委員でもある高橋紘士立教大学教授も説明に加わった。
高橋氏は「介護保険は税とは違い柔軟性がある制度で、ある程度赤字を出しても後で調整できるシステムである」と介護保険を一定評価し、「ただ理念と現実はまだ乖離しており、改善すべき点も多い」とした。
さらに障害者が仮に介護保険制度に入る場合は「総合的に施策を検討していくことが課題で、さらに"特別なニーズ"をどう施策に位置づけていくかも重要である」と述べた。
参加者からは「団体として判断する際、要介護認定がどうなるか、上乗せ横出しが現状はどうなっているか、介護保険に入った場合どういうふうにしていくのか明らかにしてくれないと困る」との意見も出た。
この勉強会は毎週木曜日行われる予定だが、一方団体としても独自に勉強していき対応を急いでいくということで合意している。

cf.高橋紘士



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だいやまーく2004年02月27日 『障害連事務局FAXレター』71号

厚労省との第5回勉強会から

2月27日(金)、厚労省障害保健福祉部と障害者主要8団体(日身連、JD、DPI、日盲連、全日ろう連、脊損連合、育成会、全家連)との介護保険に関する5回目の勉強会が行われた。
この日は、仮に介護保険に移行した場合での、長時間介護を必要とする人たちの仕組みのあり方について活発な議論が展開された。
焦点は介護保険制度においても支援費制度という違う制度を残し、2階建てなり別建てなりが現実に可能であるかということであった。この点をめぐって様々な意見が出し合われた。
また、今後の施策のあり方として「ニーズを把握するためのきちんとした調査が必要」とする意見や、「実定法としての身体障害者福祉法の改正が必要」や、「就労や住宅施策も合わせた検討が必要」などの指摘もあった。
時間がなく次回以降に持ち越されたが、市町村計画の障害者のものと、高齢者のものと比較も少し行われ、「高齢者の計画の方が義務化されている部分が多く、特に数量的なものが義務化されている」と企画課は報告した。
次回は3月4日(木)、障害者施策に精通している立場としての北野誠一桃山学院大学教授を招くこととなった。さらに制度の比較として「計画」について今日の続きを行うことになっている。




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だいやまーく2004年03月04日 『障害連事務局FAXレター』72号

厚労省との勉強会、第6回目を迎える
〜北野誠一氏を迎えて〜

この日は北野誠一氏(定籐記念福祉研究会会長)をゲストに、「支援費制度と介護保険制度の展望」を中心に話し合われた。
北野氏はまず「介護・介助・支援などという用語が違う意味として使われている」ことを問題にし、「共通定義をつくる必要がある」と述べた。
また介護保険で想定されている介護が、「食事・トイレ・入浴などADLの支援が中心なのに対し、1994年の高齢者介護・自立支援システム研の報告では、"地域社会の一員として様々な活動に参加する"ことの支援を含めた画期的な広い概念が提起されていた」とした。
さらに「障害者の地域生活支援保障を考えていくには、現在進行中の様々な福祉施策やその他の施策の見直しについても視野にいれ、根本問題を考えていく必要がある」と述べた。その中で「特に障害者差別禁止法の制定の動きと就労・所得保障を注視していく必要がある」とも述べた。
続いて現行の介護保険の問題点を指摘し、"要介護認定の仕組み"などを挙げ、「一人暮らしの重度障害者を想定しないモデルであった」とした。「ドイツの介護保険がそうであるように、日本も介護保険では基礎的な部分しか保障をできないことを明記し、重度の障害者に対しては自費もしくは社会扶助で対応するということを明確にした方がよい」とした。
カナダのブリティッシュコロンビア州では、「地域介助システムは自己管理モデルから第三者への委任モデルまで5通りあり、その人に合ったシステムとなっている」とし、「日本でも検討課題である」と語った。
北野氏の話の後、障害保健福祉部企画課から前回の継続として、措置制度・精神障害者・支援費制度・介護保険の4つの制度における費用負担の制度比較の説明がされた。最大の違いとして「支援費制度は応能負担、介護保険は応益負担である」とし、「それによって支援費制度には世帯単位として扶養義務の問題がついてまわっている」とした。
次回からは介護保険統合に関して団体として統一した質問や指摘を出し(場合によっては個別のものも含めて)それらをもとに討論をしていこうということとなった。また、多くの障害者関係者が情報を共有しきれていないことも問題とされ、それに対して何らかの対応が必要ということも共通認識となった。




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だいやまーく2004年03月11日 『障害連事務局FAXレター』73号
7回目の勉強会から

3月11日(木)介護保険に関する厚労省障害保健福祉部と8団体との勉強会の7回目があった。
団体側から文書で、障害者福祉全般にわたる構造的な問題と、介護サービスを中心とする具体的な問題の2点にわたって質問をだした。
しかし、残念ながら具体的な回答はほとんどなく、次回このことについて意見交換を継続して行う予定としている。
最初の質問書については、障害保健福祉部側もある程度共有できるとしたが、目標や方法については明らかにしなかった。
老健局のメンバーからは2番目の質問書に関連し、一人暮らしの高齢者が増えている中、「介護保険サービス自体の内容も見直そうとしている。自立や尊厳にふさわしいサービスを模索している」との発言があった。


平成16年3月11日

厚生労働省 障害保健福祉部長
塩田幸雄 様

今後の障害者施策の基本的な方向性に関する質問事項

平素より障害者福祉の向上にご尽力いただき感謝申し上げます。
ご承知のとおり、2000年にわが国の社会福祉制度は大きな転換点を迎えました。社会福祉基礎構造改革のもと、それまでの措置制度から「契約」による福祉サービスを提供して、提供者と利用者の対等な関係を構築し、利用者主体の制度を作るという、方向性の大きな転換がはかられました。その制度上の仕掛けとして「支援費制度」が今年度より施行され、様々な改善すべき点はあるものの、制度の利用当事者からは高く評価されています。
しかし、昨年末ごろより、制度の基礎的な理念の問題を抜きにした財政的な論議から、障害者施策と介護保険の統合が言われ始め、最近ではマスコミ等でも大きく取り上げられています。
私たちはこの問題に関連して、厚生労働省側と様々な意見交換の場を持ってきましたが、話の中身が介護保険統合問題に終始し、施策を支える基礎的な理念や展望が全く見えてきていません。介護保険制度が障害者の地域生活や社会参加を保障するものとなりうるのかという点に関して大きな疑念を持っており、財政論のみの理念なき統合の議論をみると、政府の障害者施策の方向性について非常に危惧せざるを得ません。
こうした問題意識から、障害者施策の基本的な課題について以下のとおり要望いたしますので、できるかぎり早急にご回答下さいますようお願いいたします。




1. 障害者政策の給付単位について、障害者の自立した地域生活を推進するために、世帯単位から個人単位に変更すること。
2. 障害の定義・認定のあり方については、いわゆる三障害だけではなく、あらゆる障害を包括できるものにし、日常生活や社会生活の支障の度合いをきちんと反映できるものとすること
3. 憲法に保障された基本的人権を実質的に保障するため、障害者の年金政策など、所得保障をきちんと行うこと。特に無年金障害者をなくすための施策を早急に行うこと
4. 脱施設化を進め、地域生活を支援していくため、公営住宅の整備、グループホームなどの整備、家賃補助の制度化、バリアフリー化に向けた改造施策などの多様な住宅政策をとること
5. わが国における障害者の劣悪な就労状況を改善するため、多様な就労の場を用意し、ひとりひとりに合った就労支援システム、社会参加システムを構築すること
6. 国の障害者施策の土台となる包括的な社会サービス法、あるいは総合的な障害者福祉法などの制定に向けた研究に着手すること


要 望 団 体
社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長 兒玉 明
日本障害者協議会 代表 河端 静子
特定非営利活動法人 DPI日本会議 議長 山田 昭義
社会福祉法人 日本盲人会連合 会長 笹川 吉彦
財団法人 全日本聾唖連盟 理事長 安藤 豊喜
社団法人 全国脊髄損傷者連合会 理事長 妻屋 明
社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 理事長 藤原 治
財団法人 全国精神障害者家族会連合会 理事長 小松 正泰



平成16年3月11日

厚生労働省 障害保健福祉部長
塩田幸雄 様


介護保険と障害者施策の統合に関する質問

日頃より障害者福祉の向上にご尽力いただき感謝申し上げます。
さて、介護保険と障害者施策の統合の是非について、1月29日から6回にわたる検討の場を障害者8団体と厚生労働省との間で持ってきました。しかしながら、まだなお多くの課題があり、さらなる検討が必要であると考えおります。また、私たち障害者8団体の会員のみならず、多くの障害者及びその関係者もこの問題について大きな関心を持っています。つきましてはこれまでの検討の内容を踏まえ以下の質問をさせていただきますので、現段階におけるお考えを早急に示していただけますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。



(全体施策との関係)
1. 介護保険を障害者施策に適用する場合、現行の全ての障害施策について、介護保険の対象になるもの、支援費の対象となるもの、措置の対応となるもの、その他の各種施策での対応になるものがあると考えられるが、その全体像についてどう考えられているのか。

一例としてあげれば、
・支援費の居宅サービス・施設サービス
・通所授産施設・小規模通所授産施設・小規模作業所、就労支援施策
・ガイドヘルプ(移動介護)
・手話通訳
・日常生活用具、補装具
・更生医療
・精神障害者の福祉と医療との範囲
など、現行の全ての障害者施策について示していただきたい。

2.介護保険を障害者施策に適用した場合、支援費制度はどうなるのか。

3.障害者の地域生活支援システムという観点から、介護サービスを底上げしていく展望があるのかどうか

4.介護保険(メインシステム)及び介護保険以外の施策(サブシステム)の組み合わせについて、高齢者施策の現状では介護保険以外のサブシステムが十分機能していない。介護保険を障害者に適用した場合、サブシステムは高齢者施策以上に重要になってくるが、これについてどのように考えられているのか。

(理念について)
5.現状の障害者施策と介護保険において、「自立」「社会参加」などの概念が違うと思われるが、これについてどのように考えられているのか。

6.介護保険を障害者施策に適用した場合、今後の施設からの地域生活移行についてどのような方向性・展望をもたれているのか。

(利用者負担について)
7.障害者を統合する場合に保険料や利用者負担の低所得者に対する方策について、現行より新たなものを考えているのか。

(申請・契約などの利用援助について)
8.視覚障害者・聴覚障害者については、支援費においても手続き支援、コミュニケーション支援が不十分であり、申請や事業者との契約ができないためにサービスを利用しづらい状況がある。現行の介護保険には、手続き支援、コミュニケーション支援の点でさらに不安があり、これついてどのような対応を考えられているのか。

(要介護認定について)
9.介護保険の79項目のアセスメントでは、全身性障害・知的障害・精神障害・視覚障害者・聴覚障害者・言語障害等、多様な障害のアセスメントを行う際に十分ではないと思われるが、これについてどう考えられているのか。
また、障害者にとって重要な社会参加のニーズのアセスメントについてどう考えられているのか。

(ケアマネジメントについて)
10.現行の障害者ケアマネジメントと介護保険の居宅介護支援では理念・手法・従業者の養成などに多くの違いがあるが、これをどのように考えられているのか。

11.サービスがケアプラン通りに行われる介護保険に比べ、支援費のサービス利用は比較的自由度が高くなっているが、これについてはどう考えられているのか。

(支給限度額について)
12.介護保険の支給限度額ではサービスが不足する障害者がでてくるが、この対応として具体的にどのような方策が講じられるのか。
税による二階建ての仕組みが検討されているという報道もあるが、税による二階建ての仕組みをとる場合、税部分の財政安定化を図るために具体的にどのような方策が講じられるか。

13. 要介護認定が仮に3ないしは4の場合であっても、税による二階建てサービスが展開し得るのかどうか

(ホームヘルプサービスについて)
14.介護保険ホームヘルプは本人への支援のみに限定されるため家事援助の不適正事例が定められているが、障害ホームヘルプでは障害者が自立して生活するための援助が目的のため子育て支援や家族も含めた家事援助も認められている。これについてはどう考えられているのか。

15.視覚障害者の透析利用者の身体介護を伴うガイドヘルプについて、介護保険の中でどう対応するのか。

16.現行では精神障害者のホームヘルプサービスの認定に医者がかかわっているが、介護保険ではどうなるのか。

17.介護保険ではホームヘルパー資格3級以上を必要とするが、支援費では日常生活支援、ガイドヘルパー(視覚障害・全身性障害・知的障害)の障害独自の資格制度があり、これについてはどう考えられているのか。

(グループホームについて)
18.グループホームについて支援費では出身地の市町村が支援費を支給しており、介護保険ではグループホームのある居住地の市町村が被保険者になっていることの違いがあるが、これについてはどう考えられているのか。

19.介護保険のグループホームは他の居宅サービスとの併給ができないが、支援費のグループホームはホームヘルプ、ガイドヘルプの併給ができている。これについてはどう考えられているのか。

(給付方法)
20.給付方法についてダイレクトペイメントの導入の意思があるか回答を要求したい。



要 望 団 体
社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長 兒玉 明
日本障害者協議会 代表 河端 静子
特定非営利活動法人 DPI日本会議 議長 山田 昭義
社会福祉法人 日本盲人会連合 会長 笹川 吉彦
財団法人 全日本聾唖連盟 理事長 安藤 豊喜
社団法人 全国脊髄損傷者連合会 理事長 妻屋 明
社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 理事長 藤原 治
財団法人 全国精神障害者家族会連合会 理事長 小松 正泰


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だいやまーく2004年03月18日 『障害連事務局FAXレター』74号

障害保健福祉部との勉強会(第8回) 先週に引き続き、8団体(日身連、JD、DPI、日盲連、全日ろう連、脊損連合、育成会、全家連)が共同で出した質問書に対する回答と、それに基づく意見交換となった。
第8回目の勉強会は、老健局のメンバー同席のもと、3月18日(木)の夕方行なわれた。
低所得者に対する利用者負担の配慮のあり方について、「障害者が介護保険に入るとしても、一割負担の原則には変わりはない」としながらも、何らかの措置は必要となるだろうと障害保健福祉部と老健局のメンバーは述べた。その内容については「これからの問題」とした。また、「扶養義務の範囲については見直していくことも必要」とした。
団体側は「やはり所得保障が重要である」や、「利用者負担ができないから十分な介護を受けられないことがないように」などと発言をした。
障害保健福祉部は「社会参加のための介護が一定必要である」とした。そのための方法論として、"介護保険で行うのか""別立てで個別給付を行うのか""事業費方式で行うのか"
色々と考え方はあるとした。
「介護保険との統合について、対等合併か吸収合併なのか」という質問が再三だされたが、明確な回答は得られなかった。
障害保健福祉部側は、「今後、障害者部会や介護保険部会でだされた方向性に対し、各団体と協議を重ねていきたい」とした。
4月30日(金)この介護問題の公開ヒアリングを8団体は企画し、厚労省にも参加してもらうことになっている。場所は戸山サンライズ。



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だいやまーく2004年03月25日 『障害連事務局FAXレター』75号
いろいろな動き

昨日3月24日(水)、東京地裁は画期的な判決を出した。学生無年金障害者4人が起こしていた訴訟に対し、「障害を負った学生が保険給付を受けられるよう立法的手当てをしないまま放置したことは法の下の平等を定めた憲法に違反する」と述べて国に計1500万円の賠償を命じたのであった。
ところで、今日は毎週木曜日定例で行われている厚生労働省障害保健福祉部と8団体との介護保険に関する勉強会の日であった。しかし、急遽中止となった。昨日の無年金問題の判決で対応に追われ、職員が出席できないとのことであった。
昨日、もうひとつ動きがあった。厚生労働省障害保健福祉部障害者福祉課は8団体に対し、今年度のホームヘルプの国庫補助について、最終的には96%しか交付できないなどの報告をした。特に東京の市町村は大きな打撃を被ることとなる。
DPI日本会議やJIL(全国自立生活センター協議会)が緊急に呼びかけ、抗議行動を開催、約200名が雨の中集まった。交渉ももったが、平行線であった。
今日(3月25日)、障害者団体はこれに対して早急に対応していく必要があるという認識で一致した。
また、「心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会」の報告書が発表された日でもあった。



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だいやまーく2004年04月01日 『障害連事務局FAXレター』76号
介護保険の勉強会第1ラウンド終了する

厚生労働省障害保健福祉部と障害8団体(日身連、JD、DPI、日盲連、全日ろう連、育成会、脊損連合、全家連)との介護保険に関する勉強会は、4月1日(木)の第9回でとりあえず終了し、また節目節目で議論を続けることになった。
この2ヶ月半、障害8団体は介護保険に仮に統合された場合の、懸念される問題や障害者施策に関する基本問題について質問書を障害保健福祉部に出し、議論をした。しかし、障害保健福祉部からは、団体としての判断材料となり得るような、明確な回答は示さなかったというのが、多くの団体のメンバーの感想である。
この日は、団体から「3月末ぐらいまでに基本的な方向性を出すということだったはずで、中間的なまとめを考える必要があるのではないか」という意見もあったが、「何が何でも3月末でなければならないということはなく、支援費の一般財源化を念頭に置き.、きちんと手順に従った議論を行なっていることが重要なのではないか」という考え方が障害保健福祉部のメンバーからあった。さらに「地域生活支援に関する問題で、問題認識の意味では一定の共有が勉強会によってはかられたと認識している」とも語った。
今後は社保審などでこの問題が議論されていくことになる。夏から秋にかけて大きな山場を迎えることとなるであろう。
障害8団体は来たる4月30日(金)厚労省をよび、この介護問題のシンポジウムを開催する予定である。当初戸山サンライズの予定だったが、中野サンプラザ鳳凰の間に変更になった。午前午後の一日がかりで行なう予定である。




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だいやまーく2004年04月15日 『障害連事務局FAXレター』77号

3つの作業班からの報告が行なわれる
〜地域生活支援検討会(第16回)行われる〜

4月15日(木)厚生労働省内で、「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第16回)」が行われた。

冒頭、前回の検討委員会において議事運営問題で太田が抗議の意思表明として退席した問題で、JDより江草座長宛に3月3日付で申し入れを出していたが、江草座長、事務局の高原障害福祉課長より「申し入れを真摯に受け止め、反省し、民主的な議事運営に努めていきたい」との表明がなされた。二人の委員から「あの程度で退席するのはおとな気ない」「太田も反省が必要」との発言もあったが、座長からのコメントを軸にし、議事が進められた。

このあと各作業班からの報告がされた。「知的障害者・障害児に関する支援の在り方作業班」では、相談体制の整備の必要性、住まいの確保・居住支援の重要性が提起された。特に知的障害者の公営住宅への単身入居を可能にしていく方向性が出された。

また、知的障害者自身がヘルパー資格を取りやすくする必要性もうたわれた。これについては、「近畿地方や東京でヘルパー資格を取っている実例も増えている」との委員からの発言もあった。

続いて「視覚障害者・聴覚障害者に関する支援の在り方作業班」の報告があった。コミュニケーション保障は現在の支援費だけでは対応しきれないことや、情報通信のバリアフリー化の一層の推進、社会参加支援への対応、などなどが提起された。さらに利用者負担の在り方については、「現行の生計中心者から、利用者本人を中心とする視点」が強調された。

3番目に「全身性障害者等長時間介護が必要な者に関する支援の在り方作業班」からの報告であった。その範囲については「日常生活において、多くの場面で人的支援を必要とするような、障害の重い全身性障害者等」とし、その主なニーズは「『医療的ケア、コミュニケーション支援、見守り等』に関することが大きい」とした。「短時間の議論ではまとめきれず、意見を列挙した」とした上で、「知的障害者の中にも長時間の支援が必要な者もいる」や、「全身性障害者の持つ障害は、言語障害等様々な複合的要素があり、一人暮らしの場合、障害が軽度でも長時間の介助が必要な者もいる」などが提起された。

当事者委員を中心に「障害者は一人ひとり違うので、個別性を重視すべきであり、客観的な認定システムには馴染まない」とする補強意見が出される一方、「行政システムである限り、多くの市民との合意形成が必要であり、客観的基準が求められる」とする意見も相次いだ。

さらに「この問題を議論するにはデータが少なすぎる」「ダイレクトペイメントは現実的か」「高齢者との違いを強調しすぎ」「"本人と市町村との協議"による決定は、力関係で決められてしまい、悪しき措置時代に逆戻りさせてしまう」などの指摘もあった。また、「利用者より事業者が利する状況があり、だから客観システムが必要」とする意見もあった。また、「"ケアマネジメントは大きなおせっかい"とする意見はある意味新鮮だ、その考えを明確にさせ、部分的に残していく工夫も必要ではないか」などの感想も出た。

休憩をはさみ、東京都から「介護保険制度の見直しに向けた東京都からの提案」の説明があった。「一部新聞報道では東京都は支援費の介護保険制度への組み込みには賛成ということで流されているが、支援費制度の理念を発展させる観点から、統合について、広く国民の理解を得る十分な議論が必要である、との立場である」とした。

最後に今後の検討会のスケジュールについて事務局から説明があり「これからは国庫補助基準の見直しについて議論をお願いしたい」と提起された。

次回の検討会の日程は決まらなかった




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だいやまーく2004年06月22日 『障害連事務局FAXレター』80号

地域生活支援・国庫補助基準、議論されるが...
〜第18回地域生活支援の在り方に関する検討会開かれる〜

大型の台風が日本縦断した6月21日(月)「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第18回)」が行われた。新幹線も飛行機も止まり、出席できなかった委員もいた。
障害者の地域生活支援についても、社保審の障害者部会が6月18日(金)に8団体のヒアリングを行なうなど、今月末の中間報告発表に向けて、台風接近の状態である。

まずはじめに事務局から「障害者(身体障害者、知的障害者)支援費サービスの利用状況について(速報)」の説明があった。これは今年1月サービス提供分について、107の市町村からの報告を取りまとめたものであった。この速報によると、在宅身体障害者の支援費の一人当たりの平均は、約106,800円で、在宅知的障害者の場合のそれは、約146,200円となっている。
また、三位一体改革の骨太方針の中に、障害者施策が盛り込まれたことについても説明があった。

東京都の有留委員から「ホームヘルプサービス国庫補助基準等に関する意見」の説明があり、「1億円を超える歳入欠損になった自治体が3か所もある。努力をしている自治体の高い部分を切って、低いところにまわすという考え方には問題がある」と指摘した。

続いて「障害者(児)の地域生活の支援の在り方に関する検討会における議論の整理(案)」と「国庫補助基準及び長時間利用サービスの在り方に関する議論の整理(案)」が読み上げられた。いずれもこれまでの議論をあらためて整理したものである。

国庫補助基準の見直しでは、地域間格差を踏まえると、「サービスの進んでいない自治体に国庫補助金を手厚く配分することが合理的」とし、障害種別等による基準の区分について「よりきめ細やかな区分を設けることも可能」としながら、今後の検討課題としている。
長時間利用のホームヘルプサービス等の在り方では、「公費によるサービスである以上、その費用については一定の制約があるのはやむを得ない」と述べた上で、来年度の対応については、"包括的な報酬体系の導入"や"ヘルパー資格要件の緩和"を提起している。

これらの提起に対して、中西委員は「包括払いは基本的には切捨てにつながる。医療支援を必要としている障害の重い人たちにとっては、生命の問題に直結する。事業者がきちんと責任を持って、展開できるだけの報酬は絶対に必要」などと論じた。
大濱委員は、「包括払いを単純に導入することは難しい」とした。
太田は「現状においては包括払いも一つの考え方であるが、重度障害者にとって地域生活を可能とさせる内容のものかどうか、きちんと検討していく必要がある」と述べた。

この他、「入所施設が地域サービスの核となる必要があるというニュアンスのところがあるが、現状の施設を見る限り賛成できない」「ボランティア等の非公的サービスを車の両輪としているのは言いすぎではないか」「ヘルパー資格要件の緩和は安易に行ったら危険」「国連でも同年齢の人と同じ生活水準を享受する権利があると言っているのだから、障害の重い人が社会参加のために介助を必要としているのは決してわがままなことではない」「サービスの適正化のために、ものさしづくりは必要」等々の指摘があった。
さらに、森祐司委員から「地域生活支援に必要な所得保障や、扶養義務の見直し問題など、基本的な問題が全く触れられていない」とする発言があった。

検討会もいよいよ最終段階にさしかかろうとしている。しかし、この日の議論も消化不良で終わった感がある。介護をめぐる状況は日に日に緊迫の度合いを増している。

次回検討会、7月6日(火)午後3時から

DPI東京のシンポジウムと総会、成功に終わる

6月20日(日)日本青年館でDPI東京行動委員会主催のシンポジウム「私たちの目指す10年後の東京と自立生活」、そしてグループディスカッション、第2回総会を行った。
シンポジウムでは、CIL立川の岸野さんが「重度障害者が少しずつ就労できる環境ができてきた。多くの重度障害者が仕事につけるような未来となってほしい」と自分の体験をおりまぜて語った。総会では、新しい代表に吉澤さん(CIL昭島)、副代表に安藤さん、殿岡さん、石田さん、金さん、持ち帰り検討として原田さん、会計に太田、会計監査に持ち帰り検討として小林さんを選出し、新しい体制で運動がスタートすることとなった。




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だいやまーく2004年07月06日 『障害連事務局FAXレター』82号

「成果あったの?なかったの...?」
〜地域生活支援の在り方に関する検討会終了する〜

「これはまさに検討会のテーマ、振り出しに戻った感があり、昨年1月の行動に参加した一員としてはこの案には同意できない」と、太田は述べた。7月6日(火)障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第19回)が行われた。

それというのは、「国庫補助基準及び長時間利用サービスの在り方に関する議論の整理(案)」の中で「国庫補助基準については、今後の実績から、市町村ごとのサービス利用量の変化や、市町村への国庫補助金の配分の具体的状況を把握し、サービス水準の低い地域の底上げという役割が適切に果たされているかを検証するとともに、より細やかな障害種別等の区分の必要性等を含め、その見直しを検討すべきである」等の表現がされていたからだ。

これに対し、高原障害福祉課長は「色々な議論もあったことは事実で、誰の目にも内容が分かるような方向で文章を工夫し修正をしたい」と答えた。

さらに中西委員と大濱委員は、事務局が提起している包括報酬システムに反対の立場をとった。包括報酬システムとは全身性障害者等で長時間の介護サービスが必要な人については「サービス利用時間の公平を図る観点等から、一月当たり相当量を超えるサービス提供については、包括的な報酬体系を導入する」といったもの。中西、大濱両委員は「現状では学生を集めて介助体制を組むことは困難で、これを導入すると地域で暮らす障害者の死活問題となる」とした。事務局案によれば、来年度からの導入予定としている。

この包括報酬システムについては、「財源に限りがあるのでひとつのものさしとして必要」や「自立をめざす全身性障害者に24時間介助保障しているのは欧米では趨勢」、「介護保険への統合を視野に入れれば当然のこと」等々の意見が出された。

また、事務局案では、「現に長時間サービスを利用している障害者を大別すると、次の類型がある。1、生命・身体の維持等に重大な支障が生じるため、長時間の継続したサービスを利用している者 2、1以外の者で、社会参加活動等のために長時間のサービスを利用しているもの」と述べられている部分があり、それについては、中西委員、大熊委員、そして太田が「2類型にきれいに区別できるものではない。この考え方でいくとしたら、自治体のサービスは硬直したものになる可能性がある」と指摘した。

これに対して高原課長は、「特に医療サービス等が必要な人がいるという意味で、その人たちが社会参加をしてはいけないということではない。うまく伝わらないとしたら、表現を工夫したい」と答えた。

この日の最終回、事務局から「国庫補助基準及び長時間利用サービスの在り方に関する議論の整理(案)」とともに、「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する議論の整理(案)」が出され、各委員がこれらについての意見を出した。

「非常に抽象的なまとめ。財源問題を踏まえながら長時間サービスのあり方についてより深く研究すべき」(森祐司委員)「いわゆる社会通念といったものを変えていく作業も重要な課題であるはず」(大熊委員)「財政状況が極めて厳しい。この検討会で何が得られたのかという疑問が残る」(安藤委員)「抽象的な議論よりもっと具体性を持った議論が必要である」(笹川委員)「障害者にもっと積極的に社会を支えていこうとする姿勢が求められる」(竹中委員)「介護保険を活用することも関心事だが、支援費制度を改革していく視点も重要」(京極委員)「厚労省は介護保険統合を正面から論議すべきで、今回の案には何も言及していない」(佐藤委員)「東京都が出している地域生活支援三カ年計画のようなものを国としてもつくるべき」(板山座長代理)等々の発言があった。

とうとう19回にわたった検討会は終了した。安藤委員が指摘したように「この検討会で何を得たのだろう」という脱力感が残ったことは否めない。しかし、昨年のホームヘルプサービス上限設定問題から端を発しつくられたこの検討会、当事者たちが"地域の中で当たり前に生きたい、そういうサポート体制を築いてほしい"というメッセージを発し続けた。たしかに他の委員や事務局とかみ合っていたとは言い難く、平行線が多かったが、そういう議論の場が設定されたことは意義あるものだったと言える。当事者の傍聴も多かったことも特徴的である。後半の流れは一般財源化・介護保険統合の議論の中で、見えにくくなった感はあるが、今日の状況の中で、もしこの検討会がなかったらと考えると、一定の役割を果たしたと言え、今後これをどう活かすかがそれぞれの立場で問われる。

上記二つの事務局案は、修正後、委員に配布し、場合によれば再修正し、"検討会の報告"としていくことで確認された。




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だいやまーく2004年10月21日 『障害連事務局FAXレター』83号

厚労省「改革のグランドデザイン案」出す

久しぶりにFAXレターを出します。皆さんお元気でしょうか。
さて、この間支援費と介護保険統合問題で揺れ動いていましたが、去る10月12日社会保障審議会障害者部会に対し、厚労省は「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」を出しました。
目玉は"総合的な障害者福祉法"をつくることを提案していることです。多くの障害者団体がこれまで要求してきたことです。今の法律体系だと、障害者と認められなくて困ってしまう人がいるなどの問題があり、重要なこととして運動してきた経過があります。だから成果といってもいいかもしれません。だけど障害者とはどういう人という定義については明らかにされていなく、それがあやふやだとやっぱり同じ問題が起きてしまいます。
また、介護保険の活用が前提になっています。この問題は決して見逃すことはできません。障害者と高齢者のライフスタイルの違いもさることながら、障害者サービスを介護保険にあわせてしまうことは、社会福祉水準の伸びを今後全く期待できなくなってしまうという大きな問題があります。介護保険だって今のままでいいとは思えません。高齢で障害が重い人でも地域生活で自立した生活が送れるようになるべきです。今は一番重い要介護5の人は大半が特養で暮らしています。
さらに、応益負担ということも言っています。基礎年金だけの障害者がどうやって応益負担できるのでしょうか。足りない分は扶養義務の考えで、ということもちらつかせており、時代の流れから後戻りしています。
今月末か来月早々に介護保険との統合についての具体的な方針が審議会で説明される予定です。それを見て基本的には全体的な評価をしていく必要があります。しかし、全般的に社会福祉給付を抑え、国の責任を自治体や私たち自身に転嫁させようとする政府の政策には大きな問題があるという視点が重要に思われます。
20日(水)はDPI日本会議が中心となり、嵐の中全国から2000名の参加のもと「介護保険統合反対、一般財源化反対」をスローガンに、集会、国会要請行動、厚労省交渉が行なわれました。地域で自立生活している人たちにとっては、介護サービスの水準や内容が死活問題となってきます。
障害連としては、今の段階で「介護保険統合反対」とする立場ではありませんが、現行の水準が大きく下がってしまう内容の改革であるとしたら、それは絶対に賛成することはできません。
今後、この問題は社会保障審議会の障害者部会や介護保険部会で議論され、介護保険法の改正や、障害者福祉法の改正へとつながっていく予定となっています。
今後の進み具合をきちんと監視し、連携した運動が求められています。




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だいやまーく2004年11月09日 『障害連事務局FAXレター』84号

日本に帰ってみたら

内閣府で行っている「社会活動青年コアリーダー育成事業」ということで、ワシントンを中心にアメリカ研修に行って来た。ADA施行から10数年がたつが、障害児と障害のない子が共に学ぶというインクルーシブ教育が進み、交通機関のエレベーター設置などバリアフリー化は相当進められていることが見てうかがえた。
また、NPOも相当強く企業と接触を求め、多くの寄付を受けながら活発な活動をしている。大企業のNPOに対する意識は日本とは大分違う。企業経営者たちは言っていた。「誰もが障害になる可能性がある。だから自分たちは障害分野のNPOに寄付していくのだ」。
しかし、脳性マヒなどの全身性障害者といわれる障害の重い人たちの生活は、日本と共通している部分が多く、日本よりも深刻な事態になっている側面もうかがえる。デラウエア州の重度障害者のデイケアセンターに行ったが、そこの目的のひとつとして、日中の家族介護の軽減があるそうである。そこに入るには州の障害部門の登録が必要ということで、待機者が200名ぐらいいるだろうということであった。障害のある子を親が面倒見られなくなったあとのことが厳しい問題となっているということである。
今回、アメリカの進んでいる部分と遅れている部分、両方をある程度見ることができたことは成果だった。

ところで、8日(月)厚労省が出した障害保健福祉施策のグランドデザイン(案)をめぐり、8団体は、障害保健福祉部のメンバーと学習会という形で話し合いを持った。新しく制定しようとしている障害者福祉サービス法は、3障害をつなぐだけの共通のサービス法であり、障害の谷間がなくならない可能性が極めて高いことが明らかになった。また、応益負担の問題については、ユニバーサルな理念としての妥当性を強調するのみで、現実的解決法になると、「減免措置」「世帯分離」をいうだけで、納得できる回答は全く得られなかった。このまま進むと、扶養義務が強化される恐れが極めて強い。
この日は「まだそこまでは詰めていない。今後の検討課題だ」という回答ばかり。これでは障害者団体の不安を助長させていくばかりである。改革とは良い方向にもっていくことだ。きちんとした考えを厚労省は示してもらいたい。




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だいやまーく2004年11月16日 『障害連事務局FAXレター』85号

介護保険部会で意見がたたかわされる

11月15日(月)社会保障審議会介護保険部会が行なわれた。マスコミ各社の情報を総合すると、被保険者・受給者の範囲の拡大については、基本的には賛成の方向で議論が進んだ様子である。ただ、保険料負担の年齢については様々な意見が出され、「拙速して結論を出すのではなく、慎重な議論が必要である」という意見も多く出された。

厚労省は保険料を徴収する被保険者の年齢を現在の40歳以上から20歳以上に広げ、若年の障害者などもサービスの対象とした場合、都道府県や市町村の負担は2012年度で約2500億円削減できるなどの試みの計算を示している、

議論では、「障害者福祉は税で行なうべきか、保険で行なわれるべきかという根本議論が不十分だ」「障害者の考えをみまもりたい」などとする意見もあったが、介護保険の普遍化を支持する意見が多くを占めた模様。

いずれにしても、具体的な考えが、まとまった状態にはいたっていない。

この問題、来年正月以降にずれ込む可能性もあり、障害者団体のきちんとした取組みがますます求められる状況である。





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だいやまーく2004年11月30日 『障害連事務局FAXレター』86号

介護保険対象拡大2009年度以降に

11月29日、社保審介護保険部会が開かれたが、マスコミ各紙の報道を総合すると、その席で厚生労働省は、保険料負担者と介護サービス受給者の対象年齢拡大を当初予定していた2006年度から2009年度にずらす考えを明らかにした。
2006年度の実施について政府・与党内・経済界からも慎重論が強く、方針の転換を求められていた。
また厚生労働省は対象拡大されたとき、サービスを受けることになる若年障害者の要介護認定等のシステムづくりなどに3年は必要であるという認識を示したとのこと。


連合のシンポジウムから

11月30日(火)午前10時から連合シンポジウム「こう変えよう!介護保険制度」が行なわれた。午前中障害当事者の立場からDPI日本会議事務局長の尾上浩二さんが発言に立ち「現在の介護保険は社会参加、コミュニケーション支援という部分が欠落している」と指摘した。
午後からのパネル討論は、支援費と介護保険統合について、濃淡の違いはあったが、多くのパネラーが賛成、やむなしとの立場に立っていた。
会場から太田が「基礎年金だけしか受けていない障害者に、1割の応益負担を強いるのは大きな問題である」と指摘した。
それに対し、上智大学の栃本教授は、「障害者の場合減免措置が必要。ドイツでも障害者については税による別立ての制度がしっかりとしており、日本でもそういう方向が望まれる」と答えた。




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だいやまーく2004年12月06日 『障害連事務局FAXレター』87号

安心してはいけない

12月3日、朝日新聞の朝刊一面の「介護保険対象拡大見送り 政府・与党、05年改正で方針」という見出しに目を奪われた。それによると「新たに負担を求められる若年層の理解を得るのが難しいほか、保険料を半分負担する企業の反発が強く、来年2月の介護保険改正案提出前に政府・与党で合意を得る見通しが立たない、と判断した」とある。また、「与党幹部が2日、厚生労働省幹部に05年の改正案の本則に拡大を盛り込むのは困難との考えを伝え、厚労省幹部も「客観的に難しい」と基本的に受け入れた」ともある。
しかし、この報道をもって安心してはいけない。すでに厚労省は「グランドデザイン案」を発表しており、それには1割の応益負担、審査会の設置等々、見逃してはならない点が含まれており、通常国会にこれらの改正案が出される予定となっている。また、社会保障審議会もまだ続いており、最終決着したと考えるべきではないし、企業などの反対理由と、私たちが問題視している理由とは質的に全く異なるものであり、ある意味、対極にあるものともいえる。今年度のホームヘルプ財源の大幅な不足をどうしていくか、来年度以降どうしていくかという厳しい課題も待ち受けている。
グランドデザインをよりよいものにしていく視点と、厳しい状況認識をもって今後も取り組んでいく必要がある。

新聞記事でまたまた恐縮です

12月6日、朝日新聞の朝刊に「障害者差別を条例で排除へ 宮城で全国初、救済機関も設置 本人望まぬ施設入所、不動産の賃貸を拒否」とあった。JDFなど中央の障害者団体の共通する大きな課題として障害者差別禁止法の制定があるが、この宮城県の条例は来年の10月の施行を目指しているという。差別救済委員会が設置され、差別が認められた場合には是正勧告できるようにするとのこと。今後の運動と施策に大きな影響を与えそうだ。


無年金障害者「救済法」参院で可決成立

12月3日、「特定障害者に対する特定給付金の支給に関する法律」が参議院本会議で可決成立した。
この問題は、障害連としても古くから取り組んできた課題でもあり、格別な思いがある。また最近では、JDやJDFなどの中央団体も意見書を出していた。
しかし、年金制度内での全面解決とは言い難く、しかも在日外国人障害者については需給対象からはずされている。手当ての額は障害等級の1級に該当する障害者について5万円、その他の人については4万円と、障害基礎年金額の3分の2程度となっている。
なお、この法律の成立に際して、この問題に関わってきた10団体が「抜本的な法の改善」を求める内容の共同声明を出した。
さらに、在日外国人無年金障害者問題に取り組んできた5団体は、その共同声明とあわせ、「国際人権規約、内外人平等を定めた難民条約等の精神を尊重し、できうる限り早く根本的な対策の実施」を求める抗議声明を出した。

下記の本が発売されています。
支援費風雲録 ストップ・ザ・介護保険統合 花田 春兆 編
定価2100円 現代書館

財源不足から介護保険と障害者の支援費制度とを統合して20歳以上から保険料徴収し、20歳以上の介護の必要な人すべてに保険給付するという案が進行している。理念も制度も違う制度を統合して安心して暮らせる介護保障制度はつくれるのか。様々な立場から検証する。(現代書館のホームページから)
障害者施策が混迷する現在、是非お目通し下さい。




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だいやまーく2004年12月13日 『障害連事務局FAXレター』88号

障害連 ホームページ開設

障害連のホームページができました。最新情報、FAXレターなど随時アップしていきます。どうぞご活用下さい。
ホームページURL http://shogairen1976.hp.infoseek.co.jp
*リンク先として、障害連ホームページをはっていただけると幸いです。どうぞよろしくお願い致しします。


六団体、緊急要望書を出す

日本障害者協議会、DPIなど六団体は、以下の緊急要望書を12月10日(金)、厚労省に出した。受け取った村木障害保健福祉部企画課長は要望に対し、厳しい見解を示した上、「応益負担については、他制度との整合性が問題であり、厚労省としては難しい」などと語った。

2004年12月10日
厚生労働大臣 尾辻秀久殿

「グランドデザイン」についての緊急要望

平素は、障害保健福祉施策の推進にご尽力を賜り深く感謝申し上げます。
さて、この10月に、「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」(以下、『グランドデザイン』と略)を発表されました。この「グランドデザイン」では、「障害保健福祉の総合化」「自立支援型システムへの転換」「制度の持続可能性の確保」が掲げられ、障害種別共通にサービスを利用できる枠組みとして「障害福祉サービス法(仮称)」等も提案されています。
障害者施策全般にわたる見直しとなっており、障害者をはじめ支援団体、地方自治体等、関係者に与える影響は極めて大きく、十分な議論と検討が必要であると考えます。
これまでの障害者施策の歴史の中で、1981年の国際障害者年以降、ノーマライゼーションの理念に基づいた施策が展開されてきました。1993年障害者基本法、1995年障害者プラン、そして2000年社会福祉法等では、「障害者の自己決定」「施設から地域へ」という基本方向が示されてきました。そして、障害者サービスは、「自立と社会参加」を基本に掲げ、障害者の所得保障や就労機会、そして、生活実態をふまえたきめ細かな施策が進められてきました。特に、1986年の障害基礎年金に伴う障害者施設の費用徴収では、扶養義務者の範囲に親兄弟までが含まれており、大問題となりました。問われたのは、障害者の自立を阻害する家族、特に親への依存の問題でした。その点については、障害者団体のみならず厚生労働省も共通の方向性として確認し、支援費制度(居宅生活支援)でも扶養義務者の範囲から親兄弟が外れたのではなかったでしょうか。安易に、高齢者施策等との「整合性」だけでは解決し得ない、重い課題が障害者施策には課せられてきたことを確認してきたはずです。
そうした実態やこれまでの施策展開との整合性の検証を図っていく、丁寧な検討が必要であると考えます。以上の点をふまえて、以下、緊急要望させて頂きます。



1.利用者負担の見直しについて
・ 「応能負担」から「応益負担」への転換は、利用者にきわめて大きな影響を与えるものです。その前提となる所得の保障が未確立であり、負担の見直しに当たっては、少なくとも、障害者の所得保障確立のための方策と一体的な検討を進めてください。
・ 現在の案では、「扶養義務を廃止する」としながら、低所得者の負担上限額の設定は世帯収入に基づいたものとなり、さらに、減額措置も世帯収入に基づく方式となっているのは大きな問題です。これは、多くの障害者にとっては実質的には家族の負担増となります。医療公費助成の見直しも世帯収入に基づいたものとなっており、これでは低所得の状態にある多くの障害者がサービスを希望しても利用できなくなります。「自立の第一歩は家族への依存からの脱却」であることをふまえ、世帯単位の収入ではなく、障害者本人の所得に基づく上限設定・減額措置の仕組みとして下さい。
負担の範囲は、本人に限定すべきです。世帯単位とすることは、現行の非課税世帯にまで対象を拡大することとなり、障害当事者にとってその精神的負担は日常生活の中で耐えがたい苦痛です。高齢者の介護保険の場合、高齢にいたるまで世帯を支えてきた本来の世帯主に対して、過去に扶養されていた世帯が、高齢者本人に代わり応益的に負担することは理にかなっています。
・ 就労移行支援事業、要支援障害者雇用事業、生活福祉事業における利用者負担案は撤回して下さい。

2.移動介護について
・ 移動介護サービスは、「障害者固有のニード」に対応する社会参加サービスの根幹をなすものであり、特に、支援費制度によって、知的障害者の移動介護は全国に広がり高く評価されてきました。
現在の案では、原則的に移動介護は地域生活支援事業に整理されることになっています。しかし、移動介護には、コミュニケーション支援や見守り支援など極めて個別性の強いものも含まれています。地域生活支援事業のみでは、個別のニードに対応することが困難です。個別性が強い全身性障害者や知的障害者の移動介護は基本的に個別給付とし、介護給付や自立支援給付サービスにも位置づけて下さい。精神障害者の移動介護も創設して下さい。
なお、サービス水準の後退や市町村格差が拡大することの無いように、法的な位置づけを明確にするとともに、充分な財源確保を行って下さい。
三位一体改革で厚労省のいう「同化・定着した部分についての地方へ移譲」という基本理念からすると、知的障害等の移動介護は支援費制度によって全国的に始まったばかりであり、地方への委譲枠に整理するのは無理がありすぎます。その点からも、これらの移動介護は個別給付とすべきです。

3.評価尺度・認定審査会等の支給決定の変更について
・ サービス共通の評価尺度(基準)・認定審査会は、これまでの支援費制度のあり方を根本から変更する内容を伴うものとなっています。そうした大きな変更に当たっては、障害者団体との合意形成が不可欠であると考えます。尺度づくりや認定審査会のあり方については、障害者の多様な特性とニードをふまえたものとする必要があります。特に、医者や専門家のみが判定するとすれば、障害者の地域生活の実態とはかけ離れた医療モデルになりがちで、生活に大きな影響を及ぼすものとなりかねません。
・ 評価尺度や認定審査会等の支給決定のあり方に関する事項について、新たに障害者団体が参加した検討会を立ち上げ、ホームヘルプサービス等の利用当事者の参画の上で検討して下さい。そして、社会生活モデルに基づき障害者の地域生活の現実にそった支給決定方法を検討して下さい。

要 望 団 体
社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長 兒玉 明
日本障害者協議会 代表 河端 静子
特定非営利活動法人 DPI日本会議 議長 三澤 了
社団法人 全国脊髄損傷者連合会 理事長 妻屋 明
社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 理事長 藤原 治
財団法人 全国精神障害者家族会連合会 理事長 小松 正泰




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だいやまーく2004年12月16日 『障害連事務局FAXレター』89号

応益負担導入へ、厚労省再度明らかにする

12月14日(火)、社保審障害者部会が開かれた。
この日もグランドデザインに関して、厚労省より資料が出され、サービスの1割の応益負担導入などを中心にした考え方が明らかにされた。
これによると、負担上限は4万200円(市町村民税世帯非課税については、低所得1、低所得2と区分され、低所得1の場合は負担上限1万5000円、低所得2については同じく2万4600円)という方向を明らかにした。
さらにグループホームで生活し、通所施設に通う「知的障害者」については、定率負担とともに、通所施設における食費も負担する必要が出てくる。また、入所施設にいる「身体障害者」については、食費も含めて、約6万1000円ほどの負担が必要となる。
大幅な負担増となり、施設で生活している場合、満足に介助者と外出や旅行に行けなくなることは明らかで、地域生活をめざすにしてもそのための資金の貯蓄さえできなくなる。
この障害者部会では、福島智(東大助教授)委員から「「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」に関する意見書 生存と魂の自由を――障害者福祉への応益負担導入は、「保釈金」の徴収だ」が提出された。しかし、十分な論議の時間が与えられなかったと聞く。
また、この障害者部会の照準にあて、DPI日本会議は13〜15日、全国行動を展開し、グランドデザインの根本的な見直しを訴えた。

公明党、厚労省に要望書を出す

公明党はJDやDPIなど障害者団体とグランドデザインに関するヒアリングを行なったが、このほど党として、厚労省に要望書を出した。
低所得者への配慮、扶養義務者の負担制度の撤廃などを提起している。




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だいやまーく2004年12月28日 『障害連事務局FAXレター』91号

2004年を終えるにあたって

今年2004年は色々なことがありすぎた。まず、災害が多い年でこんなに多かった年もないだろう。障害者施策については支援費と介護保険の統合の話に明け暮れた。結局財界などの反対もあり、それは見送られることになったが、グランドデザインというものが出され、来年には障害者自立支援給付法(案)の制定が現実に議論されている。1割の応益(定率)負担、認定制度の問題など、財政的な側面から引き締めようとする色合いを否定できない。運動は来年に引き継がれていく。

さて障害連であるが、12月21日(火)役員会を行い、来年5月16日(月)に総会を開くことを決めた。それとともに、障害の重い脳性マヒ者問題に関するシンポジウムを行なっていこうということになり、「家族と自立」をテーマに据えていくことで今後議論していくこととなった。昨年、全身性障害者問題の自立問題でシンポジウムを行なっており、その第2弾である。

役員会の出席率も、正直言ってイマイチである。来年からは、東京多摩地区や施設自治会など、加盟団体に2ヶ月に1回ぐらいは出向いて役員会を行なおうということになった。早速来年の1月27日には、どろんこ作業所の地元である田無で役員会を開き、またどろんこ作業所のメンバーとも交流をはかる予定である。

来年は、原点に戻り、脳性マヒなど全身性障害者の問題や、施設における問題を取り上げ、障害連としての存在価値を発揮できたらと考えている。施設の居住者自治会が元気でないことは、気がかりである。

JDやDPIとの共同運動に積極的に参加していくとともに、2005年は障害連独自の取組みを着実に進めていきたい。



UP:20040216,29 ..0313,27,0404 0805 1208,15,30
障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)
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