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特定非営利活動法人 ある

IT事業部 「スイッチ研」活動記録(SKBさん)



last update:20100403

特定非営利活動法人「ある」
IT事業部 「スイッチ研」


だいやまーく2009年12月29日 SKBさん宅訪問

だいやまーく参加者:SKBさん、家族(奥さん)、スイッチ研
だいやまーく訪問の目的:人の手を介さずに携帯電話を操作するための、ヘッドセット提供のため。

・SKBさんは手や腕を自由に動かすことが難しく、携帯電話に電話がかかってきても、自分ででることはできない。SKBさんには仕事の電話が頻繁にかかってくるが、家族が外出中のときには、その電話にでることができない。
・携帯電話は常にSKBさんの側にある。電話がかかってくると、SKBさんが家族を呼ぶ。家族はSKBさんにヘッドセットを装着して、携帯電話の通話ボタンを押す。そうすれば、SKBさんは家族が耳元で携帯電話を持っていなくても、会話可能になる。電話を切るときには、電話をかけてきた側から切ってもらうようにしていた。
・前回訪問時のときに相談を受けて、とりあえずその場で携帯電話の設定について調べて、設定をすれば、以下のことについて可能であることがわかった。

?@ 携帯電話の音声機能を使い音声で通話相手に発信する。
ex)SKBさんが「はせがわ」と言えば、携帯電話のアドレスに登録されている「長谷川(ハセガワ)」の電話番号を呼び出すことができる。また携帯電話のアドレス登録の際のフリガナ登録で、名前が「長谷川」であっても、たとえばフリガナを「カイシャ」と登録すれば、SKBさんが「かいしゃ」と言えば「長谷川」の電話番号を呼び出すことが可能である。
?A かかってきた電話に通話ボタンを押さなくても、自動的に応答することができる。

しかしこれらには、以下のマイナス点があった。
?@ についてのマイナス点。
・音声で通話相手を呼び出すためには、通話ボタンを長押しして「音声を使用して操作するモード」に切り替える必要がある。
・音声で通話相手を呼び出せたとしても、実際に電話をかけるときには、通話ボタンを押さなければならない。
?A についてのマイナス点。
・SKBさんの携帯電話にかかってきた電話のすべてに反応して電話をとってしまうため、取捨選択ができない。

・以上の点から、通話ボタンを押さなければ電話がかけられないこと、取捨選択をして電話を取ることができないことが課題として残った。また自分から電話を切ることができないことも改善すべき点としてあった。これらをクリアしなければ、結局は家族の手を介さなければ携帯電話を操作できない。
そこで、携帯電話ヘッドセットの操作をゲームスイッチで操作可能にしたヘッドセットを提供した。

だいやまーくSKBさんの状態・様子・希望
・首がだるい。→ 車イスに座って首をヘッドレストで固定している状態でもだるい様子で、ときどき、車イスのリクライニングを調整したりしていた。
・右手のマウスが動かしづらい。→ SKBさんはサイドテーブルにマウスを置いて、右手をマウスの上に覆うようにのせて、マウス操作していた。
・左手のクリックも難しい。→ 以前に提供したゲームボタンスイッチを左手で握るような感じでセットして、クリックの際はボタンを親指で押していた。親指が一番スムーズに動かせる。
・今後のことを心配しておられる様子。
・ポインタが「台のせい」(サイドテーブル)で動かしづらい。
・携帯電話を操作したい。
・オペナビを使ってインターネットの検索をしたい。

だいやまーくご家族の様子・希望
・SKBさんと二人で生活しているので、奥さんが主に介護をしている。とくにかわりなし。
・操作方法などをノートに記入してほしい。

だいやまーくスイッチ研の作業
・携帯電話ヘッドセットの提供と携帯電話の設定。
・使用方法の説明。
・オペナビの操作方法の説明。→ スキャン速度の設定・変更の仕方・画面メニュー配置の設定と変更の仕方・インターネットの検索の仕方・文字や文章の削除の仕方。

だいやまーく前回提供したスイッチについて
・スイッチがにぎりにくくなった。→ 押すことはできるが、握る力が弱くて深くにぎらせないとスイッチが手から落ちてしまう。
・病気の進行により押しにくくなっている。→ 実際にスイッチを押すときも親指が震えている。そのせいで誤作動が起こってしまう。

★次回の課題
・スイッチをにぎりやすくすること。→ もう少し持ち手が太いスイッチの方がよいか?
・ゲームボタンスイッチを使用しているが、進行によって押しにくいのであれば、顔や首の動きを使用したスイッチの提案も考える。
・操作方法などを一度説明しただけでは、本人も、セットするご家族も覚えられないので、他の患者さんにもよく説明したりすることなどについては、簡単な操作や使用方法の説明書があれば便利。そうすればご家族もセットときに不安にならない。
→ 今回はご家族の希望により、家で使用しているノートに操作手順や方法を記入した。
★メモ・気になること
・SKBさんの体調が悪く、パソコンやマウスの練習をする根気がない。
・ベッド寝ていても背中が痛いし、車イスに座っていたらおしりが痛いし・・・
・ベッドで寝ながらパソコン操作をするか・・・?
・夜は鼻マスクを着用して寝ている。今はこれがないと眠れない。
・今後のことが心配。→ 本人は病気の進行にともないできなくなることについて不安を抱いている様子。そのため先を見越してオペナビでのコミュニケーションの練習やパソコンの練習をするという気持ちはあるが、体調が悪くて気力が持たない様子。


製作:長谷川 唯+山本 晋輔+堀田 義太郎
* この活動は、調査・研究の部分については、「異なる身体のもとでの交信――本当の実用のための仕組と思想」(科学研究費新学術領域研究・研究課題提案型 2008〜2010年度)の一環としてなされています。
** 2008年度〜 活動の一部について文部科学省科学研究費補助金「患者主導型科学技術研究システム構築のための基盤的研究」(代表:松原 洋子)の支援を得ています。

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