『老いの復権――老いの姿からみた日本人』
黒岩 卓夫 編/
野田 正彰・山田 太一・
養老 孟司・
鎌田 慧 20011015 三輪書店,266p.
last update: 20131129
■しかく黒岩 卓夫 編/
野田 正彰・山田 太一・
養老 孟司・
鎌田 慧 20011015 『老いの復権――老いの姿からみた日本人』,三輪書店,266p. ISBN-10: 4895901580 ISBN-13: 978-4895901581 2100円
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■しかく内容
「BOOK」データベースより
四人の論客に黒岩卓夫が老いのケアの現場から切り込む。
「MARC」データベースより
長年在宅ケアにかかわってきた医師が、老いや死、家族や新しいコミュニティの可能性について語り合う対談集。野田正彰、山田太一、養老孟司、鎌田慧の4人の論客に、老いのケアの現場から切り込む。
■しかく目次
第一章 失われた感情――「心が傷つく」ことを許さなかった「集団の文化」
- ゲスト 野田正彰(京都女子大学教授・比較文化精神医学)
人間の悩みは文化によってパターン化される
老人に直視してほしいこと
ヨーロッパの精神医学と日本の精神医学と日本の精神医学
戦後の日本文化を理解する鍵
過去を美化する文化
失われた感情
老人から聞きなさい――ヴィクトル・フランクルは話した
罪の意識と聞き取る力
弱者を排除する文化
切り離された老人福祉
「陰湿な文化」どう形成されたか
侵略戦争はコードスイッチを体験させた
感情を豊かにすることを怠ってきた歪み
悲しむ力の喪失
感情を伝えることの大切さ
明るさへの脅迫
人と人との関係を楽しめる文化
世代間の掛け橋を築く
戦後民主主義は日本人の精神構造を変えたか(付・最近の野田正彰氏新聞論壇から)
第二章 老いと家族の宿命――弱さを共有する美しさ
- ゲスト 山田太一(脚本家)
ターミナルケアの奥深さと可能性
「老いと死」を意識すると家族を考える
家事を介したコミニュケーションの方法
個々の老いの現実に近づく
どういう衣の脱ぎ方をするか
いろいろな生きる側の問題
老いのプラスとマイナス
老人が伝えられること
しょうがないとしか言いようがないもの
古い家族関係から新しい家族へ
個人や家族の「宿命性」
「あいまい」な関係の必要性
個々人にある内的理由
家族の核を大切にすること
第三章 唯脳論と「態度的価値」――宗教の役割の必要な時代
- ゲスト 養老孟司(北里大学一般教育総合センター教授・解剖学)
老いの価値を変える
最後の価値としての「態度的価値」
当事者と傍観者
連体ということ
女性の愛は右肩さがり
夫婦関係は社会関係
高齢化問題は一過性の問題
百年単位のスパンで考える
現代こそ本気考えるチャンス
老人と自殺
老人にとっての「うち」のイメージ
行き過ぎた医療
唯脳論からみた痴呆
差別問題と老人問題は同根
痴呆症に対する誤解を正す
器質的だけでない「痴呆」
患者のニードを理解できるかは医者の能力
カネと人間の価値のはきちがえ
老人側の演技も必要
なぜ女性が長生きなのか
女性ははじめからインターナショナル
哺乳類ではメスが本来の姿
男は本当は弱い
アルツハイマーは名誉ある存在
日本には身体論がない
「痛み」に意味のあることもある
宗教の役割が必要な時代
人間的な良寛の最後
自分が生きてきた価値
第四章 ラジカルに生きるということ――個として立つ精神
- ゲスト 鎌田慧(ルポルタージュ作家)
暗い森からの脱出(囲み記事)
大学闘争に問われたもの
三里塚で出会った人々
わが青春の安保闘争――鎌田
確固たる世界観のいかがわしさ
全強闘から地域医療へ――黒岩
地域にいると世界が見える
軍隊と企業の精神構造の共通性
大杉栄の精神――個で立つ
安保世代と全共闘世代のちがい
地域医療のおもしろさ
意識の進化
なにかやり出すと反権力になる
戦後の運動が切り捨てたもの
「国のかたち」という国家論の不思議さ
国なんかなくても生きていける
企業社会が破壊した自由
老いと死について考える
「うち」とはどこか
満州から沖縄を見ると棄民がわかる
二十一世紀は「沖縄」の時代
終章 対談を終えて
- ゲスト 黒岩卓夫(補佐萌気園診療所長、内科医)
曼陀羅華の朝
デイケアの一日
八木さんの絵日記
「子ども戦中派」の戦後史
鎌田さんから見た私
鮹壺だからできたこと
私のしがらみ――満州からの引揚げと信州の農村共同体
国による国民の棄民
『戦争と罪責』から受けたインパクト
山田太一さんから教えられた「老い」や「死」の宿命性
新しい家族の再生
唯脳論が語る老い
効率主義の老人排除の構造
■しかく引用
■しかく書評・紹介
■しかく言及
*作成:
三野 宏治