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『トンデモ科学の見破りかた――もしかしたら本当かもしれない9つの奇説』

Ehrlich, Robert 2001 Nine Crazy Ideas in Science: A Few Might Even Be True, Princeton University Press
= 20040220 垂水 雄二・阪本 芳久 訳, 草思社, 274p.


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しかくEhrlich, Robert 2001 Nine Crazy Ideas in Science: A Few Might Even Be True, Princeton University Press =20040220 垂水 雄二・阪本 芳久 訳 『トンデモ科学の見破り方――もしかしたら本当かもしれない9つの奇説』,草思社,274p. ISBN-10: 4794212828 ISBN-13: 978-4794212825 1785円 [amazon]

しかく内容(「BOOK」データベースより)
毎日、トンデモない理論が山ほど生み出され、普通の人々をダマしている。嘆かわしい現実である。 しかし一方で、そのトンデモない理論のいくつかがある日突然、学界で支持され、それまでの定説をくつがえすこともある。 となると、いったい私たちは何を信じればいいのか?しかし、トンデモ科学を見分ける方法はあるのだ。 本書は、9つのトンデモ学説の実例を使い、実践的に「科学者にダマされない方法」を説く、真の意味での科学啓蒙書である。 科学者にダマされない方法教えます! 「微量の放射線は体にいい」など、新説奇説9つの真贋を鑑定。

しかく目次
第1章 トンデモ科学の見破りかた
第2章 銃を普及させれば犯罪率は低下する
第3章 エイズの原因がHIVというのは嘘
第4章 紫外線は体にいいことの方が多い
第5章 放射線も微量なら浴びた方がいい
第6章 太陽系には遠くにもう一つ太陽がある
第7章 石油、石炭、天然ガスは生物起源ではない
第8章 未来へも過去へも時間旅行は可能である
第9章 光より速い粒子「タキオン」は存在する
第10章 「宇宙の始まりはビッグバン」は間違い
第11章 まとめ

しかく書評・言及
元祖『トンデモ本の世界』シリーズは、確固たる常識の立場から明らかにヘンな本や議論を物笑いのタネにするという、 ある種悪趣味な、だが(だから?)むちゃくちゃにおもしろいシリーズだ。ただ一方で世の中には、そうしたイカレポンチの妄想以外に、 まだ主流派ではないが筋の通った異説もある。まちがってるけど重要な洞察を含んだ議論だってある。 相対性理論だって大陸移動説だって地動説だって、当時の常識からすれば超トンデモだったけど、それを真面目に拾った人がいたからやがて主流になった。 ぼくたちもアインシュタインやガリレオを嘲笑して捨て去らないためにどうすべきか?
そこで出てくるのが本書だ。世の中では珍説・奇説・異端説とされているものを取りあげて、それが本当にお話にならないのか、 それとも十分に根拠はあるのかを、かなり中立に近い立場で検討している本だ。
具体的に言おう。「石油や天然ガスは生物起源ではない」「エイズはHIVウイルスが起こすものじゃない」 「フロン廃止によるオゾン層保護は実は有害だった」。いずれも本書で検討されている。この中に一つ、文句なしにトンデモなものがある。
たった一つ? そう。他はまともな検討に堪える正当性のある議論なのだ。意外でしょ。ぼくも驚いた。 でも、本書はそれをきちんと公平に十分な知識をもって説明してくれるのだ。
本書の議論は、当然ながら常識的な科学知識には立脚できない。このため記述はちょっと専門的な部分もある。 統計的な検定とかサンプリングって何、といった科学の基本的な検証手続きの概略を知っているほうが効用は大きい。 でも著者は、そうした手法まで手をぬかずに解説し、しかも楽しく笑える読み物に仕立てるという驚異的な手腕を発揮している。 科学のプロセスの何たるかをいま一度教えてくれるよい本。訳者の細やかな配慮も吉。そして自分は科学に詳しいと思ってる人こそ、是非読んでほしい。 たぶんあなたの科学常識は、二回くらいはひっくりかえるはず。 続編も邦訳希望。(朝日新聞書評、評者:山形 浩生)

迷信やオカルトを叩く本ではない。「本当かもしれない」九つの学説を素材にした批判思考の指南書だ。 トンデモ度5段階判定のための10箇条は日常生活にも役立つ。
「ビッグバンは無かった」(トンデモ度3)「超光速粒子は存在する」(同ゼロ)といった純粋理論と、 「銃普及は犯罪率を下げる」(3)「HIVはエイズの原因ではない」(3)といった、政治経済に関わる問題を混在させているのが面白い。
統計の読み方、証拠の解釈法など、論述は慎重にして詳細。それだけに、わずかな疵が目立つ結果にもなった。 「紫外線は人体に害より益が大きい」という説について、波長の分類に言及しないまま「トンデモ度ゼロ」と判定し、 フロン禁止条約をナイーブに疑問視しているところなど、本書自体が「トンデモ度1〜2」に値するか。 むろん本書を批判的に読むための方法も、本書そのものから大いに学べるのだが。(読売新聞書評、評者:三浦 俊彦)


*作成:坂本 徳仁
UP: 20080721
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