◆だいやまーく宣言(2019年11月22日版)
私たち「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」は、全国各地にある旧国立療養所に入院している人たちの地域移行支援から始まりました。
金沢の医王病院では同じ病室に斎藤実さんと古込和宏さんがいました。斎藤さんは30年、古込さんは35年入院していました。斎藤さんは年に数回、家族と外出する程度。古込さんは10年以上、病院の外に出ていませんでした。
一方、外の世界では、2003年に支援費制度が導入され、どんな重度な障害をもっていても地域で暮らすことが可能になりました。2014年に障害者施策の総決算である障害者権利条約を批准。これを受けて国内では、2016年に差別解 消法が施行されました。この変化から取り残されたまま、旧国立療養所には、静まりかえった病院のベッドの上で過ごし、十分な日中活動や外出もままならないままに、何十年も暮らす人たちがいます。このコントラストはあまりにも強烈です。
2019年2月3日、私たちは「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」を開始しました。このプロジェクトの目標は「旧国立療養所筋ジス病棟を成り立たせている体制自体を変えること」です。そのためには、地域移行をうけとめる社会資源、病院や地域医療との連携を、より大きな規模で生み出さなければなりません。これまで全国各地の団体や個人が地域移行支援に奮闘してきました。しかし、津久井やまゆり園事件(相模原事件)も契機となり、障害者運 動がどれだけ施設にとりのこされた人たちと向き合ってきたのか、と自ら問い直さざるをえなくなりました。私たちがプロジェクトを立ち上げたのは、旧国立療養所を維持する社会と対峙し、障害者権利条約にある「基本的に障害者も地域で暮らすべき」という合意を制度化し、実現したいと考えたからです。
本日2019年11月24日のDPI政策討論会において、私たちの運動に賛同してくれる団体あるいは個人を求めます。DPI日本会議には、現在95団体が加入しており、その声を政策に反映させることをミッションとしています。「Nothing about us without us 私たち抜きに私たちのことを決めるな」というスローガンはどれだけ旧国立療養所に届いてきたでしょうか。声をあげることのできない人、声をあげても病院や施設の中に隔離されていて、その声がかき消されてしまうたくさんの人たちがいます。
私たちの願いは、この国で本当の意味での「脱施設」を実現させることです。脱施設を制度化する運動に賛同を募ります。DPIには、大きな規模の地域移行をうけとめる社会資源の拡充、病院の必要な機能の強化、地域医療の高度化、病院と地域医療との連携、自由な入退院の条件整備など、脱施設の制度化に向けた行動を求めます。
「Nothing about us without us 私たち抜きに私たちのことを決めるな」