はじめに
iAIRは私たちの身近にある製品、例えば家電や家具などから放散する化学物質の室内濃度、あるいはその化学物質への暴露濃度を、モンテカルロ法によって推定するソフトウェアです。ユーザーは、対象化学物質、評価地域、評価年、対象製品の選択などの簡単な設定を行うことでiAIRのデータベースから計算に必要な入力データを作成することができ、日本全体や関東などの指定する地域にある一般家庭の室内濃度・個人暴露濃度の分布や平均値などの統計的指標、および指針値・基準値を超える世帯数を容易に計算することができます。またヒストグラムなどの図示も可能です。このツールは一般的なパーソナルコンピュータ(Windows-PC)のMicrosoft Office Excel(2002以上)のマクロとして機能し、Excel以外のソフトウェアを必要としません。
このiAIRは暴露評価に必要な様々なパラメータのデフォルト値のデータベース(※(注記))を搭載しており、シミュレーションモデルの専門家だけでなく、リスク評価に携わる研究者や評価者、さらに国や自治体などの行政担当者や企業の担当者において化学物質の室内空気中濃度の推定が可能となり、室内寄与を考慮した暴露評価の進展が期待されます.
※(注記)(独)産業技術総合研究所(AIST)と(独)製品評価技術基盤機構(NITE)によって行われたアンケートの結果が含まれます。詳細につきましてはこちら(NITEのHP)をご覧下さい。
iAIRの開発は独立行政法人 新エネルギー・産業技術総開発機構(NEDO)および経済産業省からの受託研究「化学物質の最適管理をめざすリスクトレードオフ解析手法の開発」(プロジェクトリーダー (独)産業技術総合研究所 吉田 喜久雄)、経済産業省からの受託研究「室内環境における消費者製品に含まれる化学物質の管理手法の開発」(プロジェクトリーダー (独)産業技術総合研究所 東野 晴行)の一環として実施しました。