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「0.86人です」ノーベル賞受賞者も知っている韓国の少子化問題

登録:2023年10月10日 19:50 修正:2023年10月11日 06:46
2023年ノーベル経済学賞受賞者に選ばれた米ハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授が9日(現地時間)、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学で記者会見を行っている/AFP・聯合ニュース

「韓国の出生率はわずか0.86人です。経済があまりに急速に発展すれば、伝統と衝突するのは避けられません」

2023年ノーベル経済学賞受賞者に選ばれた米ハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授は9日(現地時間)、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学で開かれた記者会見で、「女性の仕事と家庭のバランスが韓国で少子化問題を引き起こしていると思うか」という現地韓国人記者たちの質問にこのように答えた。

ゴールディン教授がわずか0.86人だった昨年第1四半期の韓国の合計特殊出生率(統計庁が昨年5月に発表した昨年3月の人口動向暫定値)を知っているほど、韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で出生率が1人以下である唯一の国だ。合計特殊出生率は、妊娠可能な年齢の女性1人が一生の間に産むと予想される平均の子どもの数だ。増減していた合計特殊出生率は、今年第2四半期に0.7人で過去最低水準を記録した。

ゴールディン教授は「20世紀後半、韓国ほど急速な経済変化を経た国も珍しく、一つの都市に集中した国に変貌した国も珍しい」とし、韓国の急速な経済成長に注目した。彼女は「米国ははるかに長い時間をかけてこのような変化を経て、以前の世代が新しい世代のもたらした変化に適応できた」として「韓国や日本の場合、このように適応できる余力が少なかった」と述べた。急速な経済成長で女性の教育水準が高まり、社会進出が増加したが、社会制度や文化が追いつけずに少子化問題が深刻化したということだ。

ゴールディン教授は、韓国の企業文化を挙げた。教授は「(少子化問題は)単純に家族と家庭の問題ではない」とし「これは職場の問題であり、職場は社会の変化に追いつけずにいる」と述べた。

また、少子化問題を解決するために既成世代(現在社会の中核を担っている古い世代)と男性の認識の変化が必要だと提言した。教授は「(少子化問題は)様々なことが絡まっていて答えを出すのが非常に難しく、短時間で変化をなすのも難しい」とし「私たちは既成世代、特にその娘よりは息子に影響を及ぼしうる人々を教育しなければならない」と説いた。持続的な教育などを通じて社会・文化的認識を変えなければならないということだ。

9日(現地時間)、スウェーデン・ストックホルムのスウェーデン王立科学院で開かれた受賞者発表で、2023年ノーベル経済学賞受賞者のクラウディア・ゴールディン米ハーバード大学教授の写真が画面に映っている/新華社・聯合ニュース

ゴールディン教授は1946年に米ニューヨークで生まれ、コーネル大学で微生物学を専攻し、シカゴ大学で経済学の修士・博士号を取得した。1990年、ハーバード大学経済学科初の女性終身教授になった。現在、大学で「経済史と仕事と課程」に関する科目を教えている。

ゴールディン教授は、女性のキャリアと家庭の歴史、経口避妊薬が女性のキャリアと結婚に及ぼした影響、女性の大学進学率が男性より高くなった理由などを研究した。

ゴールディン教授が2021年10月に出版した書籍『Career and Family: Women's Century-Long Journey Toward Equity』(日本語題:『なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学』)が韓国国内に紹介された。約100年間の米国の大卒女性を5世代に分けて性別賃金格差の原因を追跡した本だ。教授は同水準の教育を受けた男女間に賃金格差が広がる原因を、「欲深い仕事」(greedy work)にあると指摘した。夫婦が子どもを産むと、「容赦のない密度で不規則な日程に対応しながら長時間働くことを要求し、その見返りとして高い報酬を支払う」仕事には主に男性が残り、女性は子どもに急用が生じた時にいつでも職場を離れられる柔軟な仕事(スケジュール調整が自由で報酬は少ない)に留まる「分業」をすることで、賃金格差が広がるという説明だ。

チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1111487.html 韓国語原文入力:2023年10月10日 17:06
訳J.S

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