雄大な自然と、渓谷沿いを彩る春の梅の花の美しさで知られる月ヶ瀬。梅のシーズンには多くの観光客が訪れ、大変な賑わいを見せます。そんな観光客の皆さんを温かくお迎えし、観光拠点として活用していただこうと、月ヶ瀬の住民たちが協力し合って生まれたのが「ロマントピア月ヶ瀬」です。運営に携わるのはお茶作りを主体とする専業農家が中心で、観光とは無縁の人たちばかりでしたが、月ヶ瀬を訪れる方々のために、そして、地域の活性化への想いを込めて、さまざまな取り組みを行っています。なかでも、近年人気が高まっているのが多彩な体験教室。講師やサポートを全て地元の人たちが担当するなど、そのアットホームな雰囲気が喜ばれ、リピーターもどんどん増えています。
近くには「梅の郷月ヶ瀬温泉」があり、京都や三重からも近いことから、この辺りはアウトドアスポットとしても賑わっています。そこで、ロマントピアでは平成28年春、RVパークをオープン。大自然の中に車を止めて、車中泊ができる施設も設けました。トイレ、水道があり、電気も使え、安心して過ごすことができることから人気が高まっています。
ロマントピア月ヶ瀬の設立当初から行われている茶摘み体験。シーズンは、5月の初茶から始まり、二番茶、秋茶と年に3回あります。取材に訪れたこの日は、今年最後の秋茶のシーズン。体験にやって来たのは、奈良の友人宅を訪れた兵庫と愛知の女性お2人。奈良に来ると月ヶ瀬の自然を満喫しに訪れるそうで、ロマントピアでは過去に梅シロップ作りも体験されたとか。
今回お2人をご案内するのは、ロマントピアで企画運営を担当する遠嶽(とおたけ)さん。歩いて15分ほどの場所にある緑まぶしい茶畑に到着すると、まずは茶摘みのコツをお勉強。上の方にある新芽を軽くつまんで引くと自然にプチっと摘みとれるポイントがあります。ここがおいしいお茶になる部分で、この新芽だけを集めたお茶が高級品となります。
茶摘みが終わると、ロマントピアの館長を務める巽(たつみ)さんが運営する製茶工場で、摘んだ茶葉を製茶してもらいます。実は、摘みたての茶葉はまだお茶の香りがしません。蒸したり、揉んだりしているうちに徐々に、おいしそうなお茶の香りがしてきました。指導にあたった巽さんも、体験に参加されたお2人も終始笑顔で、とても楽しい茶摘み体験になったようです。
そして、最後は「紅茶づくり体験」にも挑戦!元は同じ茶葉なのに、製茶の方法によって紅茶の香りがしてくることが、とても不思議そうなお2人でした。