できるだけ返済期間を短くし、老後資金も確保しておく
50代で住宅ローンを組むとなれば、どうしても返済期間を長くは取れませんが、これだけ超低金利になると、それをカバーできるケースも確かにあるでしょう。しかし、安易な購入プランは禁物と言わざるを得ません。
考えられるリスクは2つあります。ひとつは、思いのほか老後の生活費がかかり、ローンの支払いが大きな負担となる場合。結果、手持ち資金を大きく目減りさせてしまうからです。
もうひとつは、頭金や繰り上げ返済の資金を捻出するために貯蓄や退職金を充てることで、老後資金そのものが不足してしまうリスクです。住宅購入から老後まで間がないため、再度資金を準備する時間はほとんどありません。
対処法としては、できるだけ返済期間を短くして、かつ返済可能額で借入額を決定すること。さらに、住宅資金は必要な老後資金を確保した上で捻出することです。具体的にどう考えていくべきか、ご相談者の例を参考に考えてみましょう。
老後にかかる生活費を優先して考えよう
2500万円を20年返済、金利0.6%で借り入れると、5年後に700万円繰り上げ返済(期間短縮型)をすれば、試算されているとおり、完済時期は69歳まで短縮されます。ただし、返済額は毎月11万円ほど(ボーナス払いなし)。仮に予定額を繰り上げ返済できたとしても、一般に定年となる60歳から9年間も支払い続けなくてはなりません。
とくに定年後、公的年金が支給されるまでの5年間は大きな家計負担となることが予想されます。その間、再雇用や再就職等でまとまった収入が得られるのか。あるいは定年までに十分な老後資金が準備でき、ローンの支払いも含めた生活費が十分カバーできるのかどうか......。
老後にかかる生活費も把握しておく必要があります。もちろん不確定な部分もありますが、現在55歳であれば、現在の生活費からおよその額が類推できるはずです。また、たとえ新築を購入しても、10年後、20年後に住宅の補修が必要となります。一戸建てであれば、その費用は自身で計画的に準備しなくてはいけません。ポイントは、それらを考慮した上で、公的年金の不足分を補うだけの老後資金が準備できているかということです。
まずはそれらをしっかりと試算して、もしもプランに無理があるようなら物件価格を下げるべき。仮に借入額を1500万円に下げれば、毎月の返済額は約6万6000円。60歳とき700万円繰り上げ返済をすれば、その時点でローンはほぼ完済となります。あるいは、当初の返済期間そのものを短くすることも可能でしょう。ともあれ、より返済確実なプランを目指してください。