拓殖大学研究叢書(社会科学)50
消費税の転嫁と帰着
2014年増税が物価に与えた影響
本書は、消費税のしくみを転嫁と帰着という観点から丁寧に解説したうえで、経済学の視点から消費税転嫁の実態をデータにより解明したエビデンス・ベースの財政研究である。
全体は2部構成であり、第I部「消費税の現状と経済理論」は、日本の消費税の歴史や転嫁メカニズムを解説した部分と、租税の経済学を論じた部分からなる。新たに導入される軽減税率や転嫁対策の問題点について詳しく検討した。また、初級から中級レベルにいたる租税の経済理論を包括的に論じており、格好の入門書となっている。
第II部「2014年の消費増税が物価に与えた影響」には4つの論文を収めた。税率の引き上げ通りに消費税が完全転嫁されることは保証されないが、日本ではこの事実が見落とされている。そこで2014年における消費税率8%への引き上げを研究対象として、CPI、POSといった複数のデータを駆使することにより、商品ごとの価格形成に大きな差が発生したことを、その原因とともに突き止めている。本書の研究貢献は、消費税が引き起こす価格の乱高下のメカニズムを明らかにした点にある。
【著者プロフィール】
白石 浩介(シライシ コウスケ)
1965年生まれ。1988年早稲田大学政治経済学部卒業(経済学士)。1994年London School of Economics修士課程修了(MSc. Economics, MSc.Politics)。2018年名古屋市立大学博士課程修了(博士(経済学))。三菱総合研究所(1988‐2013年),大阪大学経済学研究科客員助教授(2003‐2007年),一橋大学経済研究所特任准教授(2007‐2009年)を経て,2013年より現職。
現在,拓殖大学政経学部教授。
主な著作に,『財政投融資制度の改革と公債市場』(共著,税務経理協会,2003年),「公的年金改革のマイクロシミュレーション」(財政研究,第5巻,2009年),「米国型EITCの日本への導入効果」(共著,経済研究,第61巻第2号,2010年),「年金と高齢者就業:パネルデータ分析」(共著,年金研究,第6巻,2017年)など。
第1章 日本の消費税
第2章 消費税の経済理論
第II部 2014年の消費増税が物価に与えた影響
第3章 消費者物価指数に見る消費税の転嫁
第4章 Point-of-Sale(POS)データに見る消費税の転嫁
第5章 マイクロデータに見る消費税の転嫁
第6章 産業関連分析に見る消費税の転嫁
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