-1-第10回点検検証部会 議事録
1 日 時 令和元年8月28日(水)16:00〜18:05
2 場 所 総務省第2庁舎7階大会議室
3 出席者
【委 員】
河井 啓希(部会長)、西郷 浩(部会長代理)
、川﨑 茂、嶋﨑 尚子
【専門委員】
大西 浩史(株式会社リアライズ代表取締役社長
一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム理事兼事務局長)
川口 大司(東京大学大学院経済学研究科教授)
【審議協力者】
内閣府、総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、
国土交通省、埼玉県、東京都
【説明者】
厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官
厚生労働省大臣官房人事課調整官
厚生労働省労働基準局賃金課長
厚生労働省労働基準局賃金課課長補佐
厚生労働省労働基準局総務課 総務専門官(賃金課併任)
【事務局(総務省)】
小森大臣官房審議官、岩佐大臣官房審議官
統計委員会担当室:櫻川室長、永島次長、柴沼次長
政策統括官(統計基準担当)付統計審査官室:金子統計審査官
4.議 題
(1)重点審議(最低賃金に関する実態調査)について
(2)重点審議(毎月勤労統計調査)について(3)「見える化状況検査」結果について
(4)その他
5.議事録
しろまる河井部会長 それでは、ただ今から第 10 回の点検検証部会を開催いたします。
本日は、最低賃金に関する実態調査及び毎月勤労統計調査について、厚生労働省からの
ヒアリング及び再発防止や統計の品質向上の観点からの審議、次に、
「見える化状況検査」
の結果報告を行いたいと思います。 -2-それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
しろまる永島総務省統計委員会担当室次長 それでは、
資料の確認をさせていただきます。
本日、
主な議題が3つあります。まず1点目の最低賃金に関する実態調査の関係の資料といたし
まして、資料1というホチキス止めの束になっているものがあります。それから、参考資
料の1も最低賃金の関係の資料です。
それから、2つ目の議題、毎月勤労統計調査の重点審議ですが、資料が5点あります。
資料2-1として、前回の部会審議、あるいはその後に委員の方からいただいた御質問と
その回答ということで、クリップでとめてある一連のものです。それから、資料2-2が
A4の横長の1枚紙の資料です。それから、資料2-3が、縦長の資料ですが、A4、1
枚紙の資料があります。それから、資料2-4と2-5が、先月公表されました厚生労働
省統計改革ビジョンの関係で、概要の資料が資料2-4、本体の資料が資料2-5となっ
ています。それから、参考の2という資料がこの関連の参考資料です。
それから、3つ目の議題が「見える化状況検査」の結果ですが、この資料が資料3とし
て、A4の横長のものが添付してあります。もし不足があれば、お知らせいただければと
思いますが、よろしいでしょうか。
事務局から以上です。
しろまる河井部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。まず最低賃金に関する実態調査についてです。
厚生労働省から報告があるということなので、厚生労働省からまず御説明をお願いいたし
ます。
しろまる五百旗頭厚生労働省労働基準局賃金課長 厚生労働省労働基準局賃金課長の五百旗頭で
ございます。どうぞよろしくお願いいたします。
大阪労働局で実施しました最低賃金に関する基礎調査におきまして、職員2名が調査の
必要数を確保するため不適切な処理を行っていたことが判明しまして、8月 26 日付で厳
正な処分を行いましたので、本事案について御報告をいたします。
まず初めに、社会的に関心の高い最低賃金行政におきまして、不適切な事務処理が確認
され、
統計調査への信頼を揺るがすことになってしまいましたことをおわび申し上げます。
説明は、資料1の2ページ以降に沿っていたします。まず本事案の経緯についてです。
本調査は、中小零細企業の労働者について、当年の賃金を把握し、各都道府県内の賃金分
布を調査するもので、最低賃金の改定額を審議する際の参考指標の1つになります。
令和元年調査の集計作業中に数字誤りの可能性に職員が気づいたことが端緒でありまし
て、
今年度の審議スケジュールに合わせて、
調査対象事業所に問い合わせるなどによって、
令和元年調査の是正及び平成 30 年調査の再集計を行いまして、7月3日に大阪労働局よ
り大阪最低賃金審議会へ報告をいたしました。
その際、審議会より、最低賃金は、様々な要素を考慮して、総合的に決定するものであ
り、このたび基礎調査の結果に誤りがあったことが過去の最低賃金の改正額の議論の結果
に影響を与えるものではないとの御見解をいただいております。
その後、平成 26 年から 29 年の調査においても同様の誤りの可能性を把握いたしました -3-ので、
本件の詳細を把握する調査を実施しまして、
その結果を今般取りまとめましたので、
大阪地方最低賃金審議会に報告の上、8月 26 日に公表をいたしたところであります。
次に、調査の方法です。事実関係を把握する調査は、基礎調査を担当する部署とは別の
部署である総務部において実施いたしました。調査は、現存する平成 26 年以降の調査票全
てを1枚ずつ確認するとともに、ヒアリング対象は、後述いたします職員Aが調査担当と
して在籍する前年の平成 23 年度以降に在籍した賃金課の管理職、及び調査の取りまとめ
担当、そして、調査票が現存する平成 26 年度以降に賃金課に在籍した調査関係者の合計
28 名で聞き取り調査を行いました。
また、平成 30 年調査の再集計作業で把握された事実とも照らし合わせて確認を行って
います。
次に調査の結果ですが、調査票から2つのことが確認されました。17 ページに調査票の
様式を付けておりますので、そちらを御覧いただけますでしょうか。調査票の左上の空欄
は事業所名を記載する欄になります。ここには住所と事業所名が印字されていますが、手
書きで記載され、かつ、その横にあります記入担当者名を書く欄が空欄のものがあること
が確認されました。
次いで、労働者数をその下に書く欄がありますが、ここの数値が変更をされ、それに対
応する数の労働者に関する事項、これは下の2のところにありますが、ここの項目が削除
されているものがあることが確認されました。
こうした調査票の中には、当時事業所に問い合わせをした上で、正しく作成、補正され
たものも含まれると考えられますが、それも含め、不適切な処理の可能性がある調査票の
数は、平成 26 年から 30 年について、それぞれ3ページの4のところに一覧で記載をして
いるとおりです。
なお、
各年の回収率はおおむね3割から4割程度で、
集計対象事業所数は、
各年、
約 1,800
事業所分前後となります。
次に、平成 30 年調査に関する事業所への問い合わせの結果です。316 票あります調査票
のうち、おめくりいただきまして次のページですが、調査票の修正が当時の事業所の実態
と合っていることが確認されたものが5つ、本来印字されているはずの住所・事業所名が
手書きされており、かつ、事業所に調査票の提出した事実がない、または、提出した事実
が不明なものが 134、労働者の数の不適切な変更とそれに対応する労働者の個別データ欄
の変更が行われたものが 111、
事業所の確認が取れず修正の経緯が不明なものが 66 という
状況でした。
また、聞き取り調査で分かったことといたしましては、職員A、これは局の専門官に当
たるレベルの者です、
及び、
その指示を受けた職員B、
こちらは局主任クラスの者ですが、
平成 29 年及び平成 30 年について、また職員Aは平成 26 年から平成 28 年までについても
不適切な事務処理を行った事実を認めたところであります。
なお、聞き取り調査からその他の職員の不適切な事務処理はありませんでした。
このようなことが生じた原因ですが、職員Aは調査票を勝手に修正することが不適切で
あるとの認識はあったものの、企業規模を変更する程度は問題ないと考えていたことや、 -4-一部の業種で回収率が悪いことを理由に調査事業所数を確保するため調査票を書き換える
など、統計に対する誤った認識とコンプライアンス意識が欠如していたこと。また、管理
職員が業務のチェックや進捗管理、必要に応じた局内の支援体制の構築をしておらず、職
員Aの不適切な事務処理を把握できていなかったことにあると考えています。
これらを踏まえ、まず大阪局としての再発防止策は、新たに配置された職員に対し、研
修を行うとともに、毎年度、今回の事案も踏まえて不適切な事案の例示を行いながら、適
切な事務処理の実施やコンプライアンス意識の徹底に向けた教育を行うこととしておりま
す。
また、組織的な業務を実施する観点から、調査に当たって管理職によるチェックをマニ
ュアル化し、必要に応じて局内における支援体制を構築する。
また、管理職が進行管理をしながら、1人の担当が長期に業務を抱え込むことがないよ
う、1つの業務を複数職員が担当して、相互に指摘し合える体制を構築し、組織的な業務
の実施を行うようにしてまいります。
また、本省としての再発防止策は、16 ページの方に記載をしておりますので、御覧くだ
さい。
16 ページの(1)、(2)につきましては、大阪労働局の取組同様、関係者への研修の実
施、組織的な業務の実施を掲げておりますが、これに加えまして、
(3)に本省管理の強化
を記載しております。
今後は、
各労働局で進捗管理をしっかり行うことはもちろんですが、
本省でも各労働局の調査票の回収状況をウオッチして、回収状況が悪い労働局などの指導
を行ってまいります。
また、既に6月の点検検証部会で御報告させていただいていますように、記入済みの調
査票や調査票の内容を記録した電磁的記録媒体は本省で一元管理することとしたところで
すが、
本省でも調査票を確認し、
適切な事務処理がなされているかどうかチェックをして、
必要な労働局への指導を行ってまいります。
また、調査の実施状況を本省に報告させ、その内容に応じて調査の改善に向けた調査計
画の見直しや調査の手引きの改定の検討を行うこととします。
さらに本章の担当者が定期的な地方監査を実施し、事務処理のチェック、業務改善の指
導を行うことによって、本省としても調査の適切な実施に努めてまいります。
最後になりましたが、今後とも適正な調査の実施に向けて必要な改善を図ってまいりた
いと考えておりますので、どうぞ御指導いただけますようお願いいたします。
しろまる河井部会長 ありがとうございました。
それでは、ただ今の御説明につきまして、御意見、御質問がありましたら、よろしくお
願いいたします。いかがでしょう。では、大西専門委員。
しろまる大西専門委員 御説明ありがとうございます。4ページ目の「労働者の数の不適切な変
更」といった抽象的な表現が使われていますが、これはどういう状況で発生したのでしょ
うか。例えば、そもそも調査票を集めていなくて、どうせ現地調査しても数値がそんなに
変動がないため、行くのが手間だから過去のものをコピーしていたという話なのか、この
理由、何でこういう行為を行ったのかがもう少し詳しく分からないと対策の打ちようがな -5-いと思うのですが、その辺りの実態は、どうなのでしょうか。
しろまる五百旗頭厚生労働省労働基準局賃金課長 本人にヒアリングをしたところ、回答がなか
なか得られにくい例えば小さい事業所規模ですね、10 人未満のところについては、調査票
の数を集めるために、例えば本来は 10 人ということで回答が得られていたのですが、
それ
を9人ということにして、そして1人分のデータを消してしまったというようなこと。あ
るいは、なかなか回答数が集まりにくい産業については、回答をいただいていないにもか
かわらず、1から調査票を本人が作成をするということをしてしまったということであり
ました。
いずれにしても、調査の数を少しでも確保するべきというようなことで、本人としては
このようなことをしてしまったという状況でした。
しろまる大西専門委員 正しい調査結果に対して変えた、その元があれば変えた前の時点のデー
タと変えた後のデータを比較できるのですが、どうやってそれが分かったのでしょうか。
調査員に元から書かれてしまったら、良いも悪いも分からないし、行っていなくて調査員
が書いてしまった、という話ですよね。どうやってそれを検出できたのですか。
しろまる五百旗頭厚生労働省労働基準局賃金課長 この 30 年については、事業所の方に問い合
わせをしまして、状況が答えた内容と違う、あるいは、答えていないのにそういう調査票
があるということで状況が分かったところであります。
しろまる嶋﨑委員 今お話を伺っていますと、明らかに改竄と捏造、メイキングがされておりま
す。この報告書の中で、3ページでは「不適切処理が疑われる」とあり、4ページの表の
下では
「不適切な事務処理を行った」
とあります。
今大西専門委員もおっしゃったように、
これは、不適切な事務処理というような表現で、すむ事柄ではありません。もう少し実際
になされた改竄、捏造、あるいはメイキングという調査実施上での不適切な行為として、
通常の専門的な表現できちんと報告していただくことが適切だと思います。
しろまる河井部会長 ほかにいかがでしょう。
しろまる川﨑委員 私も今の嶋﨑委員の御意見に全く同感で、
問題のあるレベルをきちんと認識、
評価して記述することは大事だと思います。これも、出された資料をそのまま配られたの
で、これはこれでやむを得ないことだと思いますが、こういう問題を一般的な不適切とい
うだけで済ませるのは少しよくないなという印象を持ちました。
その上で、なのですが、こういうことに至るのには、多分回収が難しいので、つい怠け
てそういうことをしてしまったということが起こったのかなと思うのですが、回収が難し
い場合に、どうやって回収を高めるのかとか、そういうことについては、現場で一緒にな
って考えるとか、指導するとか、例えば督促の仕方とか、そういう研修とか、指導とか、
あるいは仲間内での横での情報交換とか、そういうことはされているのでしょうか。そう
いうことをしていかないと、ただノルマがあるだけで、達成できなかったら後が厄介だか
らこういうことをしてしまうというふうなインセンティブが働きやすいところがあるので、
困ったときにどことどう相談したらいいかという、何かそういうものをもう少し用意され
るのが必要かなと思うのですが、そのあたりはどんなお考えなのでしょうか。
しろまる五百旗頭厚生労働省労働基準局賃金課長 督促につきましては、はがきによる督促など -6-を行ったり、あるいは電話をしたりということを行っています。通常は、賃金課長、ある
いは室長という管理職が回収状況をチェックして、これだと数として足らなさそうだから
督促しようかというようなことでやるわけなのですが、今回の件につきましては、管理職
の方できちんとした進捗管理が行われていなかったということも1つ大きな問題であると
認識をしております。
したがいまして、今後は、各労働局できちんと、当然のことなのですが、管理職が進捗
管理をした上で適切なタイミングで督促をしていくようにするということとともに、本省
の方でも各労働局の回収状況などをきちんとチェックをして、このタイミングで督促をし
た方がいいのではないかというようなことの助言・指導ということをしてまいるつもりで
す。
しろまる河井部会長 いかがですか。
しろまる川口専門委員 メイキングについてなんですけど、
3ページ目の表の 134 件のところは、
調査票を提出した事実がないことが判明したということで、先ほど嶋﨑委員や川﨑委員か
ら、
大西専門委員からもそうですが、
皆さんから指摘があったように、
捏造だと思うので、
やはりこの文章を読むと、そこの部分とほかの部分の記述にかなりギャップがあるなとい
う印象がありまして、その点は、繰り返しになってしまうのですが、私も同じ認識を持ち
ましたということをお伝えしたいと思います。
それと、今回のこういう個人的な問題というよりも、組織としての問題ということもあ
ると思うのですが、今回のこの事案を受けて、例えば賃金課長とか、主任賃金指導官とい
うのが進行管理をするということが書いてあるのですが、実際に統計資料を作成して、誰
が決裁をするのかとか、組織としての対応という部分を一体どういうふうに今後対応され
ていくのかということを、何か御予定があったら教えていただきたいのですが。
しろまる五百旗頭厚生労働省労働基準局賃金課長 業務につきましては、当該業務、特に最低賃
金を決定するという業務を持っている賃金課室において引き続きやってまいるということ
ですが、作成から決裁に至るまでの業務の流れや、どのタイミングでどういうことをしな
ければいけないかといったことについては、業務フローを精査して、本省の方から統一的
に各局に対してこのようにやっていくようにというような指示をしてまいるつもりです。
しろまる川口専門委員 では、最高の決裁権限者を替える予定はないという、そういうことでよ
ろしいですか。
しろまる五百旗頭厚生労働省労働基準局賃金課長 現時点ではその点は考えておりません。
しろまる河井部会長 私からもいいですか。今回、この事案が発見されたというのは、対象企業
に対して調べて、調査されていませんということを回答していただいたということなので
すが、必ず本人ではなくて、調査者以外が調査対象というか、企業に対して確認するとい
う体制にはなっていないのですか。別の方が、きちんと調査に行っていますかというのを
必ず確認すると。問題が起こったから確認するのではなくて、必ず確認するという体制に
はなっていないのですか。
しろまる五百旗頭厚生労働省労働基準局賃金課長 一般的な業務としてという御指摘かと思うの
ですが、それについてはそのような体制にはなっておりません。 -7-しろまる河井部会長 だとしたら、
必ず確認するようにした方がいいのではないかと思いますが、
難しいですか。
しろまる五百旗頭厚生労働省労働基準局賃金課長 全ての回答をいただいたものについて1件1
件お電話をしてということになりますと、調査の回答数というのもかなりの数になります
し、ご回答いただく際の御負担等もあることを考えますと、そこまでを全ての件数につい
てやるということまでは現時点では考えていないところであります。
ただ、他方で、このようなことが起こらないようにという対策はしっかりとっていくべ
きと思っておりますので、まずは、御報告を申し上げましたような再発防止策ということ
で、しっかり対応をしていきたいと思っております。
しろまる菱谷厚生労働省大臣官房人事課調整官 すみません。後の説明になりますが、この後の
ビジョンというのを今度取りまとめまして、その中でも記載しておりますのは、調査員の
業務の履行状況を厚生労働省が直接確保する取組ということで、コンプライアンスチェッ
クをきちんと導入していこうということで、それをどの程度やっていくかということはあ
りますが、そういった取組を進めていくということについては、今後厚生労働省として推
し進めていきたいと考えております。
しろまる永島総務省統計委員会担当室次長 事務局から補足をさせていただきますが、今のお話
は調査員調査についての話ですが、今御説明あった最低賃金に関する調査の方は、郵送調
査ですので、少し調査の手法が異なりますので、多分調査の手法、特性に応じてまた御議
論いただく必要もあろうかと思います。この点、補足させていただきました。
しろまる河井部会長 あと、もう1点ありますが、先ほど、本省でも回収率等を管理されるとい
うことなのですが、数量目標を設定すると、それに合わせて、誤ったことというか、不正
が行われやすいようなインセンティブが生まれるので、そういったことが起きないように
情報を共有する。どうしたら回収率を改善できるかというのを組織として問題点を共有し
て、回収率を高めるためにどのような試みができるのかということをお互いに理解し合う
というか、
どんなふうにしたら改善できるのかということを、
厚生労働省だけではなくて、
ほかの省庁での試みとか、そういうのを参考にしながら改善していくという取組を進めら
れるのがいいのではないかと思います。数字だけを目標設定すると、どうしても不正が行
われるというのがやはりあると思うので、そこの点は気を付けていただきたいなと思いま
す。
ほかに。大西専門委員。
しろまる大西専門委員 回収率を上げるために不正まで行うという状況にならないために、回収
率を上げるための有効な方策として答えやすくするということが重要だと思うのです。こ
の調査の回答フォーマットもやはり複雑ですし、民間企業側は「これ、どう答えればいい
の」って、見ただけで戦意喪失するようなところがありまして、そうした難解で複雑な現
状の調査票をよりシンプルに、どう答えたらよいか分かりやすく、回答しやすいフォーマ
ットに改善するとか、もしくは、ネットで簡単に、基本的にはクリックや選択するだけで
回答を入れられるようにするとか、そうした形で回答者フレンドリーにしていくというこ
とも、回収率を上げるために現場に追い詰めることを減らす1つの大切なアクションにな -8-るのではないかと思いますので、是非御検討いただけると幸いです。
しろまる河井部会長 ありがとうございます。ほかにありませんか。大丈夫ですか。
ただ今御報告していただいた件につきましては、あってはならない事態であって、大変
残念だというふうに思います。ただ、今回の改定の議論の結果につきましては、影響を与
えていないというふうに判断されたということなので、我々の基準であります不適切事象
の影響度区分という観点でいうと、利用上は重大な影響は生じないと。修正はあるが、利
用上の重大な影響は生じないというIIIという分類として考えられると思っております。
今後の再発防止と信頼回復を早急に講じていく必要がありますが、その点を含めて、最
低賃金に関する実態調査について、再発防止や統計の品質向上の観点から審議を進めて行
いたいということです。
ありがとうございました。それでは、本議題の議論は以上とさせていただきたいと思い
ます。本日の議論を踏まえた本部会としての取りまとめは、私の方から事務局と一緒に次
回の部会でお示ししたいと思っております。
それでは、時間の関係上、次の議題に移らせていただきたいと思います。次は、毎月勤
労統計についてです。具体的な審議に入る前に、関連が深いと思われますので、厚生労働
省で策定されました統計改革ビジョン 2019 の内容について、
それから、
報道でも出ており
ましたが、大阪府での調査員の不適切な事務処理の影響で公表が延期されたことにつきま
して、併せて情報提供をいただきたいと思います。
それでは、厚生労働省から説明をお願いいたします。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 厚生労働省で
毎月勤労統計調査を担当しています統計管理官でございます。では、資料の順番と少し違
いますが、今、部会長からのお話がありました順番で御説明させていただきたいと思いま
すので、よろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
まず資料2-3を御覧いただければと思います。ビジョンの前に今回の事案のことを先
に進めさせていただければと思いますので、資料2-3、大阪府における毎月勤労統計調
査の不適切な事務処理への対応についてというものです。
これにつきましては、1の「事案の概要」のところにありますが、毎月勤労統計調査で
は、常用労働者5〜29 人規模の事業所、いわゆる小規模の事業所ですが、これにつきまし
ては統計調査員による調査というものを行っておりますが、毎月勤労統計調査、御承知の
とおり、都道府県において実施していただいているものですが、今般、大阪府において2
名の統計調査員が不適切な事務処理を行っていたというものです。
これにつきましては、
「経緯」のところにありますように、ことしの1月に同じく大阪府
の方で実施しておりました小売物価統計調査において統計調査員の不適切な事案が判明し
たというものがありましたので、大阪府の方で他の調査について確認をしていたところ、
統計調査員を使った調査の中で毎月勤労統計調査において事案が判明したというものです。
具体的なものは、そこの(2)にありますように、統計調査員が事業所に訪問して調査
をするわけですが、当初は事業所の方に調査に行って調査を作成したのですが、途中から
事業所から聞き取りを行うことなく、前月の調査結果を用いるなど、不適切な方法により -9-調査票を作成したというものです。
実際、これらについて確認された期間としましては、平成 26 年1月から 31 年2月分ま
で、事業所数でいきますと、担当していた事業所 177 事業所中の 47 事業所で何らかの不
適切な方法による調査票作成というのが確認されたというものです。
これにつきましては、先週の8月 22 日に大阪府の方からこの事案についての公表があ
りました。毎月勤労統計におきましては、令和元年の6月分の調査の確報公表というのが
翌日の 23 日に予定をしておりましたが、これにつきまして、大変恐縮ですが、延期をさせ
ていただきました。
その間に、延期させていただいている間に、大阪府で発生いたしました件、不適切な調
査票につきまして、それを除いた形で改めて集計をし直したというものでありまして、そ
の結果分かった訂正内容というのが2のところです。実際に計算をし直した結果、期間に
つきましては、
そこにありますように、
平成 26 年1月以降の分の調査票で正しくないもの
を抜いたという結果、数字が動いた部分が出たというものですが、訂正の程度につきまし
て、これは代表的な例でありますが、調査産業計、事業所規模5人以上、就業形態計で見
直したところ、実数で、現金給与総額でいいますと、各月でマイナスの最大が 27 円、プラ
スの最大が 31 円の訂正があった。きまって支給する給与につきましては、マイナス 17 円
〜10 円の訂正があったというものです。
指数につきましては、現金給与総額、名目・実質賃金指数及び前年同月比ですが、これ
につきましては、金額が 20 円とか 30 円ということもあり、訂正はありませんでした。
きまって支給する給与につきましては、
平成 31 年の3月のところで、指数及び前年同月
比に 0.1%ポイントの訂正というのが発生いたしましたが、それ以外の部分には訂正はな
かったという状況でした。これにつきまして、今週の月曜日に訂正した形で6月分の確報
を公表させていただいた、過去の分も含めて訂正したもので公表させていただいたという
ものです。
今後の対応ですが、まずはこういう形で今回の大阪府の事案の部分の訂正というのをさ
せていただいたところではありますが、大阪府以外でこのようなことがないかどうかとい
うのを点検することといたしました。
毎月勤労統計調査におきましては、
御承知のとおり、
大きな問題を発生させてしまいまして、国民の皆様に大変御迷惑をかけ、また信頼を失っ
たという状況ですので、今、信頼回復に努めている中で、このような事案が判明したとい
うことですので、ほかの都道府県においてもこういうことがないのかどうかというのをし
っかり把握して、その上で信頼をきちんと確保するために努力するということが必要かと
思いますので、これも月曜日付けで大阪府を除く全都道府県に対して点検の依頼をさせて
いただきました。
締切りにつきましては、9月末を予定しておりまして、その結果を踏まえて最終的な対
応というのを決めていきたいと考えております。
この事案についての概要は以上です。
しろまる菱谷厚生労働省大臣官房人事課調整官 続きまして、資料2-4と資料2-5に基づき
まして、厚生労働省統計改革ビジョン 2019 について御説明させていただきます。
-10-
まず資料2-4を御覧ください。厚生労働省統計改革ビジョン 2019 につきまして御説
明させていただきます。
厚生労働省では、一連の統計問題を踏まえまして、厚生労働省が真に統計ユーザーや国
民の視点に立った公的統計を作成できる組織へと生まれ変わり、政府全体の公的統計を牽
引できるような統計行政のフロントランナーに将来的になれるようなことを目指すために、
有識者による懇談会を7月に設置いたしまして、これまで3回にわたる議論をいただきま
した。川口専門委員にも入っていただいていたところです。
こうした議論の結果を踏まえまして、
本年8月 20 日に厚生労働省統計改革ビジョン 2019
の策定に向けた提言を取りまとめていただきました。また、その内容を踏まえまして、8
月 27 日に厚生労働省として統計改革を進めていく上での羅針盤となる厚生労働省統計改
革ビジョン 2019 を策定したところです。
まず第1章です。こちらは厚生労働省が統計改革を行っていく上で意識しなければなら
ない統計の重要性、哲学などについて記載しているところです。統計情報は、国民から負
託された財産であるといったこと、あるいは、統計の利活用を通じて統計の質を向上させ
ていくといった意見をいただいていたところです。
第2章が今回の統計問題の整理を踏まえた再発防止策です。こちらにつきましては、厚
生労働省、あるいは厚生労働省所管統計が失った信頼を回復するために必要不可欠な取組
でありまして、総務省統計委員会や統計改革推進会議などの政府全体の見直しの方向性と
整合性をとっていくということを非常に意識しております。
その中身につきましては、3本柱です。まず、1点目が問題を引き起した組織のあり方
などの見直しに関する組織の改革とガバナンスの強化。2点目が、統計業務のあり方やそ
の進め方など、統計業務の改善。3点目が、職員の資質・能力、それから法令遵守意識な
ど、職員一人一人に求められる統計に関する認識・リテラシーの向上の3本柱から再発防
止策を整理しているところです。
さらに、単なる再発防止策にとどまらない、厚生労働省が政府全体の公的統計を牽引で
きるような、生まれ変わっていくための更に一歩踏み込んだ独自の取組を第3章というふ
うに整理しております。
最後に、再発防止策等の取組が着実に実施できるよう、統計改革の工程表の作成である
とか、その進捗状況の管理、フォローアップを担ってもらう常設の検討会の設置などにつ
いて取りまとめているところです。
また、今回の大阪で起こりました毎月勤労統計の事案などにつきましては、まず、2ペ
ージ目ですが、第2章「今回の統計問題の整理を踏まえた再発防止策の詳細」のところで
す。
まず1点は、2ポツ、
「統計業務の改善」の中の(4)のところです。調査員の業務の履
行状況を厚生労働省が直接確保する取組、
コンプライアンスチェックを導入していくこと。
それから、
(3)のところですが、ICTを活用した業務プロセスの見直し、こういう中で
はオンライン調査の推進であるとか、そういったことも推進していくことによって都道府
県への事務負担なども軽減していきたいと考えております。
-11-
こうしたことを通じまして再発防止に取り組んでいきたいと考えております。
また、それから、第3章のところ、「『統計行政のフロントランナー』を目指した取組の
詳細」というところの中ですが、1ポツ、
「速やかな実施が求められる取組」の中の(5)
のところですが、統計委員会との連携強化及び政府方針に対する迅速な対応というところ
です。現在も進んでおります点検検証部会における重点審議の結果、あるいは、統計改革
推進会議における統計行政新生部会における検討なども踏まえまして、そうした検討状況
にも今後とも迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
そうした状況につきましては、第4章のところで記載しております工程表の作成、ある
いはその常設の検討会を通じて、適宜、このビジョンの方も見直しして、あるいは必要な
フォローアップをしてまいりたいと考えております。
私からの説明は以上です。
しろまる河井部会長 ありがとうございました。まず、調査員の不適切な事務処理につきまして
は、あってはならない事態であって、大変残念であるということを重ねて申し上げたいと
思います。
あと、影響度につきましては、全都道府県に対して同様の事案がないかということを今
点検されているということなので、現時点では確定的なことは申し上げられないという状
況です。
ただ、賃金指数の指数の修正はほとんどないと。訂正幅も小さいということなので、今
の段階、暫定的ですが、影響度の分類としてはIII、先ほどのIIIですね、同じIIIで、数字の
変更はありますが、重大な影響がないに該当するのではないかと考えることができると思
います。
それでは、ただ今の御説明につきまして、何か御意見とか、あるいは御質問がありまし
たら、お願いいたします。いかがでしょう。川﨑委員。
しろまる川﨑委員 ありがとうございました。最初の2-3の方について少し質問させてくださ
い。大勢の調査員がいると、中にはこういう不届きな人がいるというのは大変な残念なこ
とですが、それでも正確性や信頼性を確保しなくてはならないから、大変難しい仕事だと
は思います。その上で、そうすると、ここで発見された方法、端緒というのはどういうこ
とだったのでしょうかというのがお尋ねしたいのが1点。
それから、もう1点は、そういう調査員を、これは大阪府下でのことでしょうから、大
阪府の中でどういう指導体制をとっておられたのだろうかというのが気になります。その
あたりが今後の再発防止に役立つのではないか、あるいは、ほかの統計でもこういう事案
か起こりかねない要素は常にあるわけで、そこへの教訓というのは何か引き出せないだろ
うかと思うのですが、そういう2つの観点、発見の方法とその指導の体制について、何か
その後検討されている、あるいは今後検討されていることがあるかどうか、教えていただ
きたいと思います。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 まず発見の端
緒ですが、この経緯のところにまず書いてあるのが、小売物価統計でこういう問題が発生
したということがありまして、これを受けて、統計調査員で行っている調査について、大
-12-
阪府が調査員全てに対してアンケート調査をとるということをまずされました。それで、
やりましたという人が出てくれば、もちろん発見という形になったわけですが、実は、そ
の段階では統計調査員の方は全員適正にやっていますという答えしか返ってこなかったと
いうのがあります。
ただ、今回、このような事案があったということで、大阪府の方が事業所に対して、直
接、きちんとこういう調査員来ていますかということを、電話ではあるのですが、確認作
業をしていた中で、
いや、
そういう人は来ていませんということが分かったということで、
この端緒となったということであります。
そういう意味では、来ていないという疑いが見つかった調査員に対して、今度はそこを
集中的に、その方が担当している事業所を丹念にチェックしていって、全部が分かるよう
にしたというところです。
あと、実際こういうことが起きてしまった背景に、これは大阪府の調査がまとまった時
点で、我々と大阪府の方で話し合いというか、情報交換をさせていただいた中でお聞きし
た話でありますが、なぜこういうことをやってしまったかということに関して、悪意は当
初もちろんなかった。何か偽造してやろうとか、あるいは仕事をサボろうとしたというこ
とではなく、調査はきちんとやろうとしていたのですが、事業所の方で拒否をされた。も
うこんな調査、面倒くさいからやっていられないみたいなことがあって、その中で、決し
てノルマがあったというわけではないのですが、やはり調査員としては、例えばこれまで
の実績も考えると、ある程度はきちんと集めないといけないというところで、こういうこ
とに至ってしまったということで、中には、全部の項目を聞いているわけではないのです
が、例えば先月まではきちんと回答を行っていたところに対しては、例えば電話で、常用
労働者数の変化だけを聞いて、それで賃金額とかは聞かずに、前月の賃金額を想定して、
毎月勤労統計調査は、賃金総額を出す必要がありますので、労働者の変化だけを使って勝
手に計算して、それを調査票に書いたという形で、まさに、先ほど御指摘のあった捏造に
当たるとは思いますが、
何とか作ろうしてやってしまったというものです。
そこを受けて、
大阪府としては、事業主が例えば拒絶したときに、どうしたらいいだろうか、どうやって
説得したらいいだろうかということに関して、やはり1人で悩んでしまったところが問題
だと考えておられまして、調査員に対して、府の職員に気軽に相談できるとか、困ったこ
とがあったときには何でも言ってくださいというような体制が十分できていなかったので
はないかと。いろいろな調査員の方が、実際現場で事業所に行って御苦労されていること
に対して、きちんとそれに対して府としても責任を持って対応することが十分できていな
かったことがこういうことに対しての1つの反省だろうという話を聞いておりまして、
我々としてもそういう体制をしっかりとっていただきたいということでお話はさせていた
だいております。
しろまる河井部会長 ほかにいかがですか。では、大西専門委員。
しろまる大西専門委員 この9月末締切りの点検については、全国に対してどのような問いかけ
をしたのでしょうか。先ほどのように、きちんとしていますかと言われたら、きちんとし
ていますと皆が答えると思うので、そうすると、先ほどのように、大阪府がしたようなや
-13-
り方をしないとあぶり出せないのではないかと。本当に大阪府だけなのかというと、非常
に怖いなと思っていまして、その辺をどう問い合わせたのか、具体的な確認作業を各県に
どのように依頼したのかということを教えていただけますか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 おっしゃると
おり、今回、大阪府のような事案がないかということを確認していただくというのが依頼
の主たる柱でありますが、その方法としましては、まずは調査員に対しての調査を聞き取
りといいますか、アンケート調査をしっかり実施してくださいというのは、まず1つ挙げ
ております。
ただ、おっしゃるとおり、今回、大阪府ではそれでは出なかったという事実があります
ので、
大阪府と同じように、
その調査員が担当している5〜29 人規模の事業所でも一部は、
実際、オンラインで回答していただいたところありますので、それは調査員を経由してお
りませんので、そこは除いて、調査員経由で調査票が提出されているところについては、
全ての事業所に対して電話をして、この調査員から、調査票が出ていますが、これは御回
答いただいているものですかという確認をするように依頼をしたところです。
しろまる大西専門委員 そのやり方であれば、
「実際に現地に行っていないが、なぜか回答データ
がある」という問題事象を見抜けますので、胸をなで下ろしました。本当に膿を早く出し
切って欲しいと思います。
しろまる河井部会長 ほかにいかがですか。先ほどの話にも非常によく似たようなことが行われ
ているなと。調査される方の状況とかというのは、問題を共有するというのが大事なので
はないかと思いますね。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 よろしいです
か。その点で、先ほどのこの前の議題のときのお話を聞いていて、我々も1つ思ったこと
がありまして、実は、調査員の方からではなく、我々の場合は基本的にブロック会議等で
都道府県の方とお話しする機会があるわけですが、そのときに、調査拒否をしている事業
所に対してどう対処したらいいだろうかという質問が都道府県の方からあって、そのあた
りにつきまして、各都道府県がどういう対応をしているかについて、できるだけブロック
会議等で共有しようという努力はしております。
その中で、我々も、そういう情報が何か貢献できることはないかということで、実は、
少し前ですが、私は、その直前まで知らなかったのですが、過去にある都道府県の担当者
の方が拒否している事業所に対してどういう対応をして、どう言ったらうまく出していた
だけるようになったかという成功事例をまとめていただいたのが、大分前なのですが、あ
りまして、それを改めて共有させていただくということをさせていただきました。これは
もちろん1つの事業所でうまくいった事例がほかでうまくいくということではないのです
が、
やはりそういう事例を積み重ねていって、
少しでもそういうことに対して、
都道府県、
そして、それが統計調査員に共有できるような努力はさせていただきたいと思っておりま
す。
しろまる河井部会長 ありがとうございます。大西専門委員。
しろまる大西専門委員 それこそ、そういうファクトもデータで共有すべきだと思うのです。こ
-14-
うこう会社が答えてくれないという個社の名前を出すような形はまずいと思うのですが、
こんなに行政機関の調査員も頑張っているけど、こんなに訪問しても回答を拒否されてい
る率がこんなにあるとか、例えばそれを数字で公表していくべきでないかと。それによっ
て国民側も統計に協力してきちんと回答しない行為がこうした問題の一因につながってい
ることを正しく認識すること、回答拒否もこんなに発生しているという窮状をデータで定
量的に示して、調査依頼者も回答者もみなで改善していこうという雰囲気、土壌をつくっ
ていくことが重要なアクションだと思います。あくまで、ジャストアイデアですが。
しろまる河井部会長 ありがとうございます。回答率については、公表するということが及ぼす
プラスの影響とマイナスの影響、両方あるので、その点は注意した方がいいかなとは思い
ます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
しろまる永島総務省統計委員会担当室次長 すみません。事務局から1点確認をさせていただき
たいのですが、資料2-4のビジョンの方ですが、2ページ目のところに、先ほどお話が
ありました、4章のところで工程表の作成ということを書いていただいておりますが、こ
の工程表については、非常に有益な情報だと思っておりまして、いつぐらいまでに作成の
御予定なのかということを教えていただければと思うのですが。
しろまる菱谷厚生労働省大臣官房人事課調整官 まずビジョンを策定いたしまして、それを踏ま
えて、まず概算要求と組織・定員要求を何とかこぎ着けたところですが、工程表につきま
しては、大体9月中めどで作成しようと考えております。
しろまる河井部会長 ありがとうございました。ほかに御意見がなければ、次の案件に移らせて
いただきたいと思います。
それでは、前回の審議及びその後に各委員の方々からいただいた御意見を踏まえて、厚
生労働省の方に追加の質問をお願いいたしましたので、厚生労働省から回答をお願いいた
します。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 では、引き続
き、今度は資料2-1以下、別紙等に基づきまして説明させていただきたいと思います。
資料2-1です。御質問いただいた部分についての回答という形で記載させていただい
ておりますが、まず雇用保険データ、母集団労働者数の補正に使っております雇用保険デ
ータの関連です。
まず、データの中に、新設事業所、編入事業所等々の言葉があったわけですが、これは
いかなる定義かということです。
言葉上、
誤解されやすい向きもあったかと思いますので、
そこの四角、回答の下のところの四角のところで具体的に書いております。
新設は、これは5人以上の事業所、毎月勤労統計調査としては5人以上が対象となりま
すので、5人以上の事業所で新しく成立されたもの。これは言葉どおりです。
次の編入ですが、これは編入という言葉で、他地域から移転してきたような誤解が起こ
り得るということで、ここに定義を書いておりますが、これはあくまでも4人以下であっ
た事業所が5人以上になった場合を編入という形にさせていただいております。地域の移
転等というのは全く関係ないものです。
-15-
同じように、廃止につきましては、これは廃業された事業所。
転出というのは、5人以上から4人以下になったというものです。
ですので、あくまでも毎月勤労統計の5人以上の枠内に入る、あるいはそこから出てい
くというところの観点からの補正を雇用保険データでは行っているということでありまし
て、産業間の移動でありますとか、規模間の移動でありますとか、あるいは、もちろん地
域というのもあるかもしれませんが、それらについては全て毎月勤労統計調査のデータで
やっているということで、雇用保険データによる補正はないということで、そこは重複な
く、それぞれでの補正をしているというものです。
これが最初のところの回答です。
この後、
このページの下の方で、
産業分類、
事業所規模別の労働者区分・定義について、
雇用保険データと一致しているものかどうかということですが、その下の回答にあるとお
り、産業分類については、雇用保険データも日本標準産業分類に基づいております。
それから、労働者につきましては、雇用保険データはあくまでも被保険者になる、なら
ないという形になりますので、被保険者というのを労働者とみなしてという整理にしてい
るというものであるのと、事業所につきましては、書き方自身は、毎月勤労統計調査の定
義の書き方と雇用保険データの形態と若干違っておりますが、基本的には同じ概念だとい
うことで、補正を使うものとしては同一視できるものであると考えております。
なお、そこにありますが、補正に当たっては、一番下の2行ですが、実際の数を使うと
いうよりは、補正率という割合でもって補正をしているということを補足させていただき
たいと思います。これが最初のページです。
続いてのところですが、補正率、最初の3行のところは先ほどの続きで、産業変更等に
ついては、これは毎月勤労統計調査のデータを使って、雇用保険の中での変更というのは
補正には使っていないというものです。
次が業務のプロセスのものですが、これにつきましては、資料2-1の横の方ですね、
別紙2の1というものです。先ほど紹介し忘れましたが、その前に資料2-1の別紙1と
いうのは、雇用保険データのレイアウトはこういうものをデータとして担当局からいただ
いているというものです。これは資料2-1の別紙でありました。
次に説明させていただくのは、資料2-1の別紙2の1というものでありまして、これ
は先般説明させていただいた資料なのですが、これの5ページ、6ページを御覧いただけ
ればと思います。ここにつきまして、前回御説明させていただいた資料のうち一部をブラ
ッシュアップということで、まず1つが年次フレーム、事業所の母集団データベースとな
っております年次フレームをどういう形で使っているかというところですが、それにつき
ましては、5ページの上の方、点線で四角に囲っているのが3つ並んでおります。これの
左側のところの母集団労働者数ですが、これにつきまして、サーバー内に蓄えている前月
のデータを使うというのが基本ですが、その下の括弧で書いておりますが、
「ただし」のと
ころですね、経済センサスなどの全数調査により真の労働者数が得られた際には、それを
踏まえて再度作成するというところで、我々、ベンチマーク更新と言っておりますが、ベ
ンチマークとしての経済センサスが変わったときには、それによる補正がかかるというも
-16-
のがあるということと、あと、一番右側ですが、年次フレームから母集団をとるというこ
とで、抽出率逆数も、年次フレームをとるときに変わる、新たなものにするということで
すので、今の時点では1年に1回、1月時点になりますが、そこで、ここのd、抽出率逆
数というのを、年次フレームを活用して変えるというものです。
それがここの部分の回答です。
それから、続きまして、ローテーションサンプリングをする中で、組を変わるというこ
とを説明させていただきましたが、組とはいかなるものかというもので、それを整理させ
ていただきましたのが、次の2-1の別紙2の2の方は、これは前回の流れ図ですので、
これは省略させていただきますが、その次に資料2-1の別紙3というのがあります。こ
れがローテーションサンプリングの現状でありまして、第一種事業所と第二種事業所では
ローテーションサンプリングのサイクルが違っておりますが、上の方でいきますと、ロー
テーションサンプリング、基本は1事業所、3年間を調査期間として、1年に3分の1ず
つ入れ替わるというローテーションサンプリングで、それにつきまして、令和2年のとこ
ろからがきっちりと始まるということで、そこから 001 組、002 組、003 組という形で順次
入れ替えを行っていきます。
ただ、その前の平成 30 年、あるいは 31 年あたりにつきましては、今まで総入れ替えで
行っていたものを順次部分的に2分の1入れ替えを通じて3分の1に入れ替えるというこ
とになっておりますので、過渡的に 027 組とか 038 組とかというものを作っているという
のをここで見ていただければと思います。
第二種の方は、これは以前からずっと、調査期間は1年半で、半年ごとに3分の1を入
れ替えるというパターンをとっておりますので、4、5、6組、7、8、9組という形で
組を付けて管理をしているものです。
これごとに抽出、あるいは調査票上の管理、集計上の管理をさせていただいているとい
うものです。
続きまして、もとの資料の方に戻って御説明させていただきますが、経済センサスに基
づく5年に一度の母集団数の見直しにつきましては、そこは経済センサスなどで真の値が
得られた、真の常用労働者数が得られた際に母集団労働者数の見直しを行って、それに伴
ってベンチマークの更新をさせていただいているというもので、直近で言いますと、平成
30 年1月に 26 年経済センサスを使った見直しを行っているというものです。
あと、詳細は省略しますが、次のところは、数式の添え字等に一部分かりにくい、ある
いは文字のダブりとかがありましたので、その部分を修正させていただいています。これ
は先ほど見ていただきました別紙2の1の5ページ、6ページのところですが、詳細は省
略させていただきます。
続きまして、調査設計、精度に係る一層の透明性確保というものですが、これにつきま
しては、標本設計や結果精度に関する情報というものの提供状況ですが、毎月勤労統計調
査におきましては、毎年7月分調査のものに対して結果精度を公表しているということで
行っておりまして、これについても引き続きやっていきたいということと、それに付随す
る形で調査対象事業所数や回収率の公表というのもさせていただきたいと思っております。
-17-
なお、調査全体の回収率は毎月の公表時に既に公表させていただいているところではあ
ります。
続きまして、今度は、毎月勤労統計の地方調査の集計です。これにつきましては、どの
ような形で集計しているかということで、厚生労働省が提供しているシステムによるもの
かということで、これはそのとおりです。毎月勤労統計調査オンラインシステムと呼んで
おりますが、国が提供しているこのシステムを使って都道府県の職員の方が集計をしてい
るというものです。
それから、続きまして、毎月勤労統計の公表につきまして、もちろん1回公表したもの
が変わらないというのが、本来目指す、そうあるべきものではあるとは認識しております
が、やはり何らかの事情で修正する場合があります。それはホームページで公表させてい
ただいているところですが、具体的に最近あったものについて、どのような理由によるも
のかというものに対してですが、直近、6月にありましたが、その前の部分で、30 年の 12
月、あるいは 30 年の 11 月、同じく 30 年の6月というものに関しましては、これは都道府
県から事業所から連絡によって調査票が少し間違っていたという話で再集計をしたことが
ありましたので、それについて修正という形で公表させていただいたものです。なお、地
方調査については、都道府県の責任で行っているというものであります。
なお、今年の6月 28 日の地方調査の結果の集計は、これはそういう地方の調査での問題
ではなく、大変恐縮ではありますが、国が提供している先ほどのオンラインシステムの中
で抽出率逆数が間違ったものが入っていました。
これは厚生労働省がこのシステムの運用・
保守を委託している民間業者に対して修正の指示をしていたものなのですが、その修正が
適切に行われていなかったためにこのようなことが起きてしまったということで、これは
事業者に対して、なぜこういうことが起きたのかというのをきちんと検証させて、今後起
きないような形で指示をしているところではありますが、今後もこういうことが起きない
ように委託管理の業務の徹底は、きちんとやっていきたいと考えております。
それから、
続きまして、
地方調査における統計の信頼に影響する様々なリスクについて、
本省と都道府県の責任分担をどのように考えて対応しているかというものでありまして、
これはまた別な案件ですが、地方調査で、基本的に地方調査自身は都道府県の責任の下で
やっていただいているということですが、
その次の問いになりますが、7月 31 日に千葉県
で実は公表されたのですが、集計の手順が誤って、結果公表の数値が誤ることになってし
まったということがありました。これはやはり毎月勤労統計調査、毎月同じような手続で
やっているわけですが、いろいろベンチマーク更新等、そのときに対応する業務というの
は出てまいります。それに対して、今回の千葉県でいきますと、千葉県の担当者が十分に
理解できずに間違った作業をしたということでありまして、そのあたりにつきましては、
国としても正しくしていただけるよう、適切にできるように、そこの回答にありますよう
に、ブロック会議でありますとか、あるいは専門研修というのを開催して、担当者に講義
等を行っているところです。この辺の理解をしっかり行っていくことが大事だと思います
が、あわせて、ここには書いておりませんが、実際、講義なり通知なりをした後に、やは
り十分理解できない、あるいは間違った認識があったりするといけませんので、千葉県の
-18-
ときも、国に問い合わせさえしていただければ実はすぐ正しくしていただけたと思います
が、そこができなかった、していただけなかった、ということがありますので、やはりそ
のあたりもコミュニケーションを密にしていくということが、国と地方との間で風通しを
よくといいますか、できるようにしていくことがやはり不可欠だと思っております。我々
もできるだけそのように心がけてはいるつもりですが、やはり今後、さらにその辺は改善
していく必要があるものと思っております。
あと、
続きまして、
5番のところは時系列比較が容易にできるデータ提供ということで、
今、毎月勤労統計で提供しているものにつきまして、非常に使いにくいものがあるという
御指摘をここでいただいているところでありまして、具体的に時系列の長期データにつき
ましては、CSVという形でe-Statに公表しているわけですが、非常に大きいもの
になってしまっています。過去まで戻りやすい、このCSVで全てのデータが入っている
ということで、なれた方には使いやすい面もあろうかと思いますが、やはり少し大き過ぎ
て使いにくいというのも事実かと思いますので、
これにつきましては、
まずは実数、
指数、
賞与という部分についてファイルを分けるなど、ユーザーの方が使いやすいような見直し
というのは、今、検討を進めているところで、それはきちんとそういう対応にさせていた
だきたいと思っております。
あと、データベース形式で提供するのも必要ではないかということはありますので、こ
れについても、あわせてデータベースで出せるような形ですね。これはe-Statの管
理するところとの調整になろうかと思いますが、そういうふうな部分もきちんと検討して
まいりたいと思っております。
それから、続きまして、6番のところは、先般の議論での具体的な課題ということで、
まず、都道府県で入力した後の調査票の保存ということですが、毎月勤労統計調査の規則
ですね、省令ですが、これにおきましては、調査票または調査票に収録した磁気媒体を保
存するようにというもので定めておりますので、調査票が一旦都道府県において入力いた
だきました際には、磁気媒体、電子化されたデータ自身を永遠に保存していくというふう
な形で我々としては対応しているものだと考えているところです。
続きまして、雇用保険データ、これにつきましては、今保存期間が1年未満になってい
るということで、これにつきましては、現在保存しているもの、それから、今後提供を受
けて保存対象となるものにつきましては、1年ということにこだわらず、永年保存という
ことで対応しているところでありまして、規則上も見直しをして、まだ今できておりませ
んが、永年保存とするような形で改正をさせていただきたいと思っております。
あと、提供された雇用保険データがきちんとした正確なものかどうかというところを
我々統計部署としてどういう関与ができるかという御指摘もあったかと思いますが、
実際、
データの中身自身は、提供を受けているデータの数等のチェックというのはできるわけで
すが、中身の数字まではなかなか我々ではできない。これが、業務のデータということも
ありますので、
業務担当部局で責任を持ってやっていただくものだとは思っておりますが、
ただ一方で、その数字が間違っていると我々にも影響か出てしまうということで、そこの
部分は提供元の部局とこの辺もいろいろ相談しながらというか、向こうのチェック体制も
-19-
含めてそういう話もできる環境を作っていきながら対応してまいりたいと思っております。
あと、母集団労働者数の推計値の妥当性検証の評価ということにつきましては、実際母
集団労働者数の推計について、雇用保険データや毎月勤労統計のデータで補正を行ってい
るわけですが、それでずっと時系列で修正されていったものを、最終的には5年に一度実
施されています経済センサスの数字が出た場合に、そこと突合させて、そのぶれ分につい
ては、ギャップということで補正していくと、労働者数については補正していくというも
のをしているところですが、これについての検証といいますか、雇用保険と毎月勤労統計
調査を使った補正というところと経済センサスがなぜずれが出るのかと。一定程度のずれ
はいたし方ないと思いますが、大きなずれが出ると、そこの入れ替えのときに数値自身と
してのギャップというのがどうしても発生してしまいますので、やはりギャップをできる
だけ小さくしていくということの努力というのは今後もしっかりやっていかないといけな
いと思いますので、そういう意味では、ここの補正の検証というのは今十分にはできてい
ないという認識があります。ここには書いておりませんが、ギャップ修正をやる段階での
検証というのも今後は考えていきたいと思っております。
それから、本府省におけるマニュアルの整備につきましては、整備を進めるべきという
お話については、まさにそのとおりでありまして、その点につきましては、今後、作業リ
ストでありますとか業務フロー図というところの作成作業をよりしっかりやっていくとい
うふうな形で、今はどうしても見直しの際のみという時点になっておりますが、それを組
織的にやっていくということです。そういう意味では、回答のところの「今後は」という
ところに書いておりますが、統計企画から公表・データ保管までの一連の処理プロセスに
ついて検証して、標準化を行って、統計が適切に、かつ持続的に作成されることを目的と
した調査研究というのを実施するということで考えております。これを踏まえて、実際の
ドキュメント作成をしっかりしていきたいと思っております。
それから、実際集計時のチェック体制につきましては、これは先日も少しお話ししまし
たが、目視が中心ではありますが、今もエクセル等の自動処理の中で異常値に対してセル
に色を塗るなり四角囲いするという処理を行っておりますので、できるだけ目視を補完す
るような、あるいは、見逃しをなくすような作業をしているわけですが、これについては
今後も改善はしていきたいと思っております。
それから、担当職員のノウハウにつきましてですが、これにつきましては、今もできる
だけ人事ローテーションという中で、経験のある方にまた同じ調査を担当するというもの
は留意しているところではありますが、ただ、いろいろな調査があり、組織全体の回しと
いうこともありますので、仮に初めての方が来た場合においても適切に対応できるような
マニュアル作成というものは行っていく必要があるかと思います。
あと、うちの場合、毎月勤労統計調査でCOBOLというソフトを使っているというと
ころがありますので、今はまだCOBOLを使える方が数名いますので、そういう方々の
ローテーションがあり得るのですが、今後の中では、この言語についても見直していくと
いうところは取り組んでまいりたいと思います。
あと、データ分析や調査設計の改善に係る体制整備というところですが、最後のページ
-20-
になりますが、現在、実際の毎月勤労統計の実査、集計、公表に当たるという中での人員
体制は、それでかなりいっぱいいっぱいになっているところもありますが、ただ一方で、
制度を見直していくでありますとか、あるいは、きちんと分析をしていくということも必
要ですので、その点については十分強い認識を持って必要な人員の確保ということをした
上での取組というのは進めてまいりたいと思っております。
あと、再発防止につきましては、先ほどありました改革ビジョンに基づいてしっかり取
り組んでまいりたいと考えております。
あと、すみません、
最後、資料2-2が残っておりました。これも先日の御指摘の中で、
毎月勤労統計調査も含めですが、厚生労働省の統計部局の組織が少し分かりにくくなって
いるのではないか、きちんと機能しているのかという御指摘がありましたが、この2-2
の表を御覧いただきますと、左側に書いておりますのが、これが以前の大臣官房統計情報
部と言っていたときのものです。この際には、統計情報部長のもとで、3課、これは 28 年
4月現在のときのものですが、課が3つあって、その下に室というふうなものを置いて、
それぞれで統計を担当していたものですが、これにつきまして、現在は政策統括官付とい
うものになっております。形としては、真ん中にありますとおりでありまして、名称は変
わっておりますが、統計情報部長に相当する立場として政策統括官、一応部長級から局長
級に、より高い格の人間が責任を持って見るという形にはなっておりますが、その上で、
そのもとに、企画調整の参事官と各室という体制にはなっております。このうち、書いて
はありませんが、真ん中にあります人口動態・保健社会統計室と、それから私のおります
雇用・賃金福祉統計室につきましては、室長は統計管理官というのを充てているというこ
とで、そういう意味では、実は左側の統計情報部時代と体制的には遜色ないというか、同
じ形でしているということです。
御参考までに、各室の職員数というのは、そこにあるとおりですが、これは下の(注記)の注
で書いておりまが、統計業務に従事する職員数ということで書いておりますので、統括官
部局の総括しております統計情報総務室については人数が少なくなっているというもので
す。かつ、そのあたりにつきましては、具体的な所管統計調査というのは持っていないと
いうことで、右側は空欄になっております。所管統計調査につきましては、そこの下の方
に書いてありますが、数と具体的な調査名を記載させていただいております。
なお、ここに書いてある調査自身は、業務統計を含んでおりませんので、これにプラス
業務統計も持っている室もあるというものです。
資料2-2は以上でありまして、私の方からの説明は以上です。
しろまる河井部会長 丁寧な御回答ありがとうございました。何かこの御説明につきまして、御
意見並びに御質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょう。
しろまる川﨑委員 たくさんの質問をしましたし、たくさん答えていただいたので、どこからど
う議論しようかなというのは少し自分でも戸惑うところですが、とにかく詳しいお答えあ
りがとうございました。
私自身の問題意識としては、割と、こういう統計の課題というのは結構細かい部分に問
題が潜んでいるところが多いと思うので、お尋ねすることも結構細かいところもあるかも
-21-
しれませんが、その点、御容赦いただけたらと思います。
資料の順番に沿って、幾つか気づいたり、確認したりしたいことを申し上げてみたいと
思いますが、まず資料2-1の方で、雇用保険データと調査の方のデータの概念定義の整
合性といったことをお尋ねしておりまして、お答えいただいて、大体状況は分かったつも
りですが、おおむね近い概念だとは思うのですが、やはり差はあるわけですよね。例えば
雇用者数というものと被保険者数というのはやはり差があるわけです。そうすると、それ
はある意味近似的に雇用保険のデータを使いながらデータ更新していくようなことをして
いるわけですが、そうすると、そのギャップがどれぐらいあるのかとか、その影響という
のは分析された結果というのはあるのでしょうか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 恐縮ですけど、
このあたりの分析は今のところはできていないという状況です。
しろまる川﨑委員 もう少し先の方で補正率が 0.5 とかいうのが出てきますが、そのあたりも、
0.5 というのは、ある時期これで決めて、その後これが妥当かどうかというのも特に検証
はされていないという感じでしょうか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そこの部分は、
御指摘いただいたとおり、過去、0.5 をずっといじっていないものです。この 0.5 をいじ
っていないのが、
適切だからいじっていないのであればもちろん問題ないかと思いますが、
やはりここの判断というのは、1つ、ギャップ修正のときがタイミングだと思っておりま
す。ギャップ修正が起きたときに、なぜそのギャップが発生したかというところは、端的
に言いますと、今おっしゃっている補正率 0.5 というのを一体幾つだったらほぼ一致する
のだろうかと。補正率ずっと毎月使っていますから、もちろん現実からいうと、補正率も
実は動くのかもしれませんが、それを一定としたときに、今 0.5 を例えば 0.6 にすればギ
ャップはこうなっていたのではないかという、そういう判断はひとつできると思っており
ます。
問題は、それが安定しているかどうかということだと思います。例えば前回行ったとき
のギャップ修正はこれだけ出たが、補正率をこうすることによってかなり下げることがで
きた。だけど、それが次回使えるかどうかというのは実は確定するものではないので、そ
うすると、過去数回にわたって補正率が一体どういう動きをしているか。仮にそれが安定
していて、例えば 0.4 ぐらいでいくとうまくいくといふうになればいいのかもしれません
が、ただ、いずれにしてもその分析ができていないと思っておりまして、まだ今そこにと
りかかれるという余裕がないのが正直なところですが、やはり補正率をどうなったのかと
検証するという作業は今後必要かと思っております。
しろまる川﨑委員 そうすると、補正率自体が、固定した数字で本当にいいのかどうかとか、そ
れから一律でいいのかどうかという問題はもちろんあるのですが、だから、結構ミクロで
データ見ていくところもおそらく必要なのでしょうね。そして、今おっしゃったギャップ
修正のときにまとめてそのギャップをはかるというのはもちろん必要ですが、もう少しミ
クロレベルでの対応みたいなものも分析しておくことで、補正率の適否がより判断しやす
いのではないかと思うので、できればそういうことも今後研究テーマの中に入れていただ
-22-
いたらいい。今、それでなくてもいろいろな課題がいっぱいある中なので、全部は取り組
めないかと思いますが、是非、今の推計方法、その前提がいいのかというのを研究してい
く取組を今後強化していっていただけたらと思います。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 ありがとうご
ざいます。
しろまる河井部会長 そこだけでよろしいですか。
しろまる川﨑委員 とりあえずは。皆さんに順番に。
しろまる河井部会長 ほかに何ありますか。では、西郷部会長代理。
しろまる西郷部会長代理 私の質問もかなり細かいものになってしまうのですが、まずは丁寧に
御回答いただいてありがとうございました。私も川﨑委員の質問と少しダブる部分がある
のですが、資料2-1の別紙2の1の6ページのところで、今、0.5 というマジックナン
バーについての言及があったところですが、この6ページの資料を、前回御説明いただい
たときに多分こういうことなのではないかと私が理解したのは、図をちょうど真ん中から
半分にしていただいて、左側の部分と右側の部分というのが実は同じものを別の統計から
推定しているものだというふうに見えるのですね。つまり、両方とも、労働者の月々の変
化というのを推計しようとしているものであると。
左側は、雇用保険データから労働者の数がどれぐらい、ijというセルの労働者の変化
というのがどれぐらいなのかというのを雇用保険データの方から推計しているというもの
で、右半分は、毎月勤労統計調査のデータを使ってijセルの労働者の数というのがどう
いうふうに変化するかというのを推計しているように見えるのです。
そうすると、0.5 というのは、一種の加重平均に当たるものになっていて、要するに、
雇用保険データから推計できるijセルの労働者の変化率と言うべきか、変化数ですね、
左側が実は率で、右側は変化数になっているので、一番最後のところで帳尻が合うように
調整がされているという格好なのですが、
多分そういうことなのではないか。
そうすると、
0.5 を両方とも 0.4 にしたり 0.6 にしたりすると、少しつじつまが合わない部分が出てき
て、加重平均だとすると、足して1であるということに意味があるのではないのか。何で
0.5 というのがいいのかというのが少し私も分からないのですが、多分そんなふうに私に
は解釈できるのですね。
その解釈が正しいかどうかはまだ少しペンディングの部分があるのですが、その解釈が
正しいとして、両者を左側と右側と見てみると、似ている面もある代わりに違っている面
もある。もちろん使っているデータが違っているという面もあるのですが、例えば、左側
は新設の事業所というのは把握できていますよね。左半分の方は。右の方は、毎月勤労統
計調査のデータだけから新設の事業所というのは把握できている? いない? どちらで
すか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 まず、加重平
均に当たるかどうかというところが、実は私も、今にわかにお答えできないのですが、考
え方としましては、
西郷委員がおっしゃるように、
左側の部分と右側、
似ているのですが、
左側の部分は率で計算して掛け算になっていると。一方で右側の部分は、それを足し算で
-23-
最後加えているというところで、少し加重平均のイメージとは違っているように私は認識
していたのですが。
しろまる西郷部会長代理 途中ですみませんが、その下に書いてある式のところで、黒板のない
ところで式の説明をするというのはすごく難しいのですが、等式が書いてあって、右辺の
第1項と言うべきですか、大文字のEに括弧がかかっている部分ですが、その括弧をばら
していただくと、前月というか、t期のセルi×ばつΔXij、
これが本当は 0.5 が掛かっているのですが、それが今おっしゃった、ΔXI自体は率なの
ですが、それに大文字のEが掛かれば頭数になるわけですよね。それと頭数の、実は ×ばつΔXIとデルタYというのがま
さに変化数の加重平均というふうに読めるのではないかなと。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そうですね。
西郷部会長代理がおっしゃることは、おっしゃるとおりだと思いますが、要は、右と左、
今でいいますと、まさに括弧の中の1の部分、これはもとの前月ですので、ここはおいと
いて、それに加えて、2つのものを加えているというふうになります。その際の最初に加
える、いわゆるEとXの方ですが、Xを掛けたものに関しては、これは雇用保険データで
日本の全体の中での事業所の、これは保険者数ですが、労働者数に相当するものの、どれ
ぐらい大きくなっているか、小さくなっているかというのを見ているということで、それ
を各セルごとにしているということで、そういう意味では、セルの日本の中での動き、サ
イズがどう動いているかというのを補正しているというのが真ん中です。
後半は、その中で、今月、毎月勤労統計の中で見るときに、規模間なり産業間でどれだ
け人が動いているかというところを加算していますので、要は毎月勤労統計の中で見られ
る労働者の規模事業所での各個別のセルの中での移動を補正しているというイメージで持
っております。
ですので、それを、ラージLという形で、まさに補正の 0.5 というのが出てくるのです
が、このLは何を意味しているのかというところが実は非常に分かりにくいというか、少
し理解が悩ましいところでありまして、そういう意味では、Lと、あと、実際のXを補正
していますKで、K自身は実際に我々の説明の中で、雇用保険データの動きというのがど
れぐらい毎月勤労統計調査の統計の中に出てくるかという補正だという言い方をしたりは
するのですが、ただ、それも実は意味があまり明確ではないところがありますので、そう
いう意味では、KとL自身が本当にどういう意味を持ってそれぞれ 0.5 なのかというとこ
ろが少しうまく説明できていない状況です。
しろまる西郷部会長代理 はい、分かりました。それはまた後で考えていただいて、もう少し6
ページに関して質問があるので、細かい質問に戻らせていただくと、左側は新設の事業所
が捉えられていますが、右側は新設の事業所は捉えられていないという理解でよろしいで
すか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そうですね。
あくまでも中での規模間の移動ところのみを捉えているということです。
-24-
しろまる西郷部会長代理 分かりました。あともう一つ同じようなところで、左側と右側の違い
になるのですが、左側の方は事業所が調査区をまたがって移動した場合にも変化はしない
わけですよね。別に調査区に付随して考えられている概念ではないので、事業所が調査区
をまたがって移動しようと、移動しまいと、左側の数字というのは変わらない。それに対
して、右側の方は、当該の事業所があるときに調査区からいなくなってしまって、もうこ
れ以上調査ができなくなったという場合にはどういうふうに処理されているのですか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 今のは二種事
業所が調査区を移動した場合ということでよろしいですか。二種事業所が調査区から出た
場合には、その事業所自身はもうほかのところには入りませんで、かつ、調査区で新たに
選び直しというふうになりますので、ここの右側の調査の中の数字には入ってこないとい
うことになります。
しろまる西郷部会長代理 調査区から退出した事業所があった場合には、新たにまた1つ付け加
えるようなイメージになるわけですか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そういう形に
なります。
しろまる西郷部会長代理 それはほかの産業統計とは大分違っていますよね。私の理解するとこ
ろでは、ほかの産業統計では、事業所が調査区をまたがって移動した場合には廃業という
ふうに、一応廃業したと。事業所概念というのは、地点とくっついている概念なので、地
点を移動した事業所というのは、一応廃業したというふうに見なして、新たにその調査区
の中で補塡するということはあえてしていなかったように記憶している。これは少し私の
記憶が違っているかもしれないですが。それと少し違うやり方をとっているという理解で
よろしいでしょうか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 調査区の中で
の事業所数を確保しているところを優先しているということであります。
しろまる西郷部会長代理 分かりました。
しろまる河井部会長 では、川﨑委員。
しろまる川﨑委員 ということで、今のお話は、大変難しい、ややこしいところではあるのです
が、是非このKとLというマジックナンバーが 0.5 というのを、理屈として、理論的にこ
れが 0.5 でいいのか、それとも経験的にセットしたのか。経験的なら、これでいいのかと
いうのを是非検証して、分かるようにしていただけたらと思いますので、よろしくお願い
します。
それで、次のところに行かせていただきたいのですが、資料2-1の2ページ目の2ポ
ツというところに、組ごとの抽出率の話が星印のところに出ているので、このことについ
て教えていただきたいのですが、問題意識としては、抽出率が違ったり変えたりすると、
プログラムに反映しなくてはならないというのが過去の毎月勤労統計調査の 2004 年の当
時ですか、その頃の問題にあったので、やはり抽出率とか乗率の問題というのは非常に大
きいということで、このあたりのことをお尋ねしたかったというのが私の意図です。
ローテーションの組ごとに抽出率が違うというのが前見せていただいた表の中にたしか
-25-
あったと思うのですが、私の通常のこういう標本の理屈だと、サブサンプルというのは普
通同じサイズで全部作るだろうというのが一般的なやり方だと思うのですね。ところが、
今回、資料2-1の別紙3という1枚紙の横長ですね、これを見ると、今の時期、ちょう
ど令和元年ですが、3分の1の標本が2組あって、6分の1の標本がこれまた2組あると
いうことなので、そうすると、これでは確かに同じ抽出率使えないなという気がしてくる
わけです。
だから、抽出率が2種類あったような気がするのですが、それは私の理解だと、今の令
和元年のところの3分の1のところは一番上と一番下が同じ抽出率、あるいは乗率で、真
ん中の2組がそれぞれ大体その半分ぐらいの乗率になっている、そういう理解でよろしい
ですか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 現状でいきま
すと、同じときに抽出したものが分かれてしまいますので、そういう形になろうかと思い
ますが、一般的に今後の部分の中で抽出率が組ごとに変わるのかということに関しまして
は、基本的には同じでいくというのがベースだと思っております。ただ、今までですと、
総入れ替えでしたので、総入れ替えしたタイミングで、事業所数全体が日本の中でどう増
えているか。あるいは、これまでの調査結果の中で、変動係数を含めた誤差が大きくなっ
ているか、小さくなっているかというところを判断した上で、新たに産業規模での抽出率
を決める形になるのですが、
その作業は今後も当然やっていく形になるかと思うのですが、
その際に、これは我々が少し勉強しないといけないのですが、ローテーションサンプリン
グをやっていくときには、その変更をどのように実施するかということかと思っておりま
す。
それで、ある産業については非常に事業所数の変動が大きいので、抽出率を変えた方が
いいのではないかという判断をするときに、それでは来年の1月から始まる部分について
は、その抽出率で新たにしようとした場合に、既に調査として始まっているところについ
てはもう抜いていますので、それと新たにというところで差が出得るかなということであ
りまして、毎回変えようということではないのですが、変えざるを得ないときに変えるこ
とによって混ざってくるというところが発生するのではないかと思っております。
しろまる川﨑委員 今のお話を私なりに正しく理解しているか確認で言いますと、今、年次フレ
ームで毎年更新になってきているということになると、1つの副標本は、3年間調べると
いうのだったら、
さすがにそこで途中で乗率変えるとか、
抽出率変えるのはおかしいので、
そこは続けるが、新たに抽出を行うところでは、母集団も変わっているので、そこで乗率
も当然変わってくることがあり得ますか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 あり得ます。
しろまる川﨑委員 それから、もちろん抽出率もよりバランスいい方に見直すことがあるという
ことで、結構そこで乗率を変えるというのは、結構頻繁に毎年必ずどこかの副標本で起こ
るということが今後続いてくるということなのですね。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そういうふう
になるのではないかと考えているところです。
-26-
しろまる川﨑委員 今度は、それは実務の話に返ってくるのですが、過去に標本の抽出率を変更
したときに推計式の方が変わらなかったという問題があったわけですが、そうすると、こ
れ、かなり頻繁に乗率を変えていくのが常態化してくるので、そこの作業ミスがないよう
にする、
そのチェック体制というのがかなり大事になってくるということでもありますね。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そうですね。
特に我々の比推定を使った形になっておりますので、その中での料率の反映というのを的
確に行って、まさに組ごとできちんと抽出率逆数を管理して、それが集計に反映されるよ
うな形を、今のプログラムは、そういう形にはしておりますが、そういうところでミスが
起きないようにということはやらないといけないと思います。
しろまる川﨑委員 分かりました。さらにもう少しテクニカルな点を確認させてもらうと、そう
すると、資料2-1の別紙21という全体的な集計のスキームを書かれた資料があります
が、ここで書かれている集計の方法というのは、1つの副標本に対して母集団推計してい
るというところを説明されているということだと私は理解しているのです。これを3つあ
る副標本それぞれごとにやって、それの3つを全部まとめて加重平均をして全体の結果を
出す。
そういうことなのかなと思うのですが、
そのような理解で合っていますでしょうか。
要するに、3つ別々ですものね、これ、サブサンプルごとに。この式の中に全然サブサン
プルのこと書いていないです、今の別紙の方は。だから、そこはどういうふうにされてい
るのかなというのが実は私には十分理解できていないので、私の理解が間違っていれば教
えていただきたいのですが。
しろまる永島総務省統計委員会担当室次長 今のは、6ページのお話でしょうか。
しろまる川﨑委員 6ページといいますか、資料2-1、別紙2の6ページから、ずっと式を、
5ページ、6ページですかね、このあたりで推計の流れが出てくるのですが、この中にサ
ブサンプルという概念は全く出てきてないと見えるのです。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 横の5ページ
のものでいいますと、まさに効いてくるのが、抽出率逆数が変わる可能性があるというこ
とですので、5ページの一番上のところの一番右側のところの抽出逆数にdがあるのです
が、ここに添え字でlというのが実はついておりまして、このlが今のローテーションの
組に相当するものでして、このlでそこを判断して、そのものの数字をきちんと読み込む
ようにしているということです。
しろまる川﨑委員 なるほど。そうすると、副標本の間の加重平均のウエイトというのは、ここ
のdのところだということになるわけですかね。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そうですね。
比推定する前は単位集計区分になりますので、その単位集計区分の中での内訳は、全部の
抽出率逆数が同じだったら均等になるわけですが、そこで、母集団の違いで選び方に差が
出るとdで反映されるということかと思います。
しろまる川﨑委員 分かりました。ということは、実は私、うっかりそこを誤解していたのかも
しれないのですが、今回のローテーションサンプリングを入れる前のプログラムとローテ
ーションサンプリングを入れた後のプログラムは全然違うことになりますね。ここのlと
-27-
いうものは従来なかったですものね。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そうですね。
しろまる川﨑委員 2017 年以前は。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 はい、そうな
ります。
しろまる川﨑委員 そうすると、そこのところは十分テストがされているのでしょうか。そこは
17 年頃にきっとしっかりテストされたのだろうと思うのですが、
こういう推計式の変更が
あった、設計の変更があったというところは、当時私もあまり議論をしたことがなかった
ので、あまり私自身も頭の中に入っていなかったのですが、今回この議論をしていくうち
に、やっと副標本間の加重平均をして最終結果が出るというのがだんだん頭の中に出てき
て、そこが正確にできるようにということ、そしてまた作業ミスが起こりにくいようにと
いうのをどうされているのかなというのが気になったのですが、そのあたりの点検は大丈
夫でしょうか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そうですね。
今までですと、単位集計区分の中では全て抽出率は同じでやっておりましたので、そこを
考慮する必要がなかったわけですが、それを入れるためには、dを入れるというのが、平
成 30 年1月の時点でのローテーションサンプリング導入のときの非常に大きなポイント
ではありましたので、そこについては検証というのは十分行って今の導入になっていると
いうことです。
しろまる川﨑委員 分かりました。
しろまる河井部会長 5ページ目のフローチャートのdijklというのは、
所与というか、
与えら
れたものになっていますが、この上にdを算出するスキームというのが入ってくるわけで
すか。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 そうですね。
実際にその標本を選ぶときに、その前に、事業所数なり変動係数を含めて抽出率を決める
わけですが、
その作業がまずあって、
それに基づいて事業所を抜いてきます。
そうすると、
抽出した事業所に対してdをきちんと付けていくという形になろうかと思います。
あと、少し補足的に言いますと、今、川﨑委員のおっしゃっていた部分で、同じ資料の
9ページのところでのプログラム改修でどういうことをやったかというところの例示とし
て書かせていただいている、これがまさに今申し上げたところでありまして、30 年1月に
ローテーションサンプリングを入れたというところで、これは字だけで書いてあるので、
少し分かりにくかったかもしれませんが、ここがまさにdを導入するに当たっての、ここ
にありますように、都道府県や組が異なれば、異なる抽出率逆数を反映して集計できるよ
うプログラム改修を行うようにしたというのが真ん中あたりに書いてありますが、この作
業が 30 年1月の改修の非常に大きな注意を要したところであるというものであります。
しろまる川﨑委員 これは感想ですけど、かなり複雑な集計、もともと複雑だったのが更に複雑
化しているので、
相当このプログラムの今後のメンテナンスは大変だろうなと思いますし、
それから、修正を加えたときの修正後の確認はかなり慎重にやる必要が出てくるだろうと
-28-
思うので、その点のドキュメントの残し方は十分気を付けられないと、再びブラックボッ
クス化するおそれはあるということがありますので、是非その点、御留意いただけたらと
思います。
しろまる河井部会長 ほかにというか、あまり時間がないのですが、よろしいですか。どうぞ。
しろまる川口専門委員 ギャップの補正ですが、被保険者数と労働者数だと概念的にずれるとい
うところで、おそらく短時間労働者が増加したりとか、減少したりとか、そういうことも
関係すると思うので、やはり景気の状況などによってギャップの発生の仕方というのがシ
ステマティックに変わってくるのではないかという気もするのです。これから研究をなさ
れるということだったので、経済学の知見というのも使っていただきながら研究を進めて
いただけるとありがたいと思いました。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 まさにそのあ
たりは、我々だけでは知識が足りないと思いますので、御専門の川口専門委員も是非また
御意見等いただければと思いますので、しっかり研究はしたいと思っております。
しろまる河井部会長 どうぞ。
しろまる川﨑委員 時間も限られていますので、あと3点だけ、質問というか、質問と感想を混
ぜて申し上げますが、ざっと羅列で申し上げますが、1点は、地方調査の関係ですが、地
方の調査は地方の責任でしているというのは、これはこれで責任の切り分けとしてよく分
かるのですが、私はもっと積極的に厚生労働省自身が関与された方がいいのではないかと
思います。
というのは、地方で何か問題が起こっても、毎月勤労統計は毎月勤労統計というふうに
見られてくるので、そこで何か問題が起こったら、いわばブランドイメージが傷つくよう
なところもあるので、是非そこら辺は、都道府県の責任ということではありながらも、積
極的に関与を、今までもそうされているとは思うのですが、お願いしたいというのが1点
です。
それから、もう1点は、データベース、データ提供の関係ですが、ひとまずはCSVを
少し使いやすくしていただくというのもいいと思うのですが、究極は、是非データベース
機能での提供をお願いしたいと思います。
それから、3点目ですが、一番最後のページに、人員の関係で、COBOLが使える人
がこういう体制になっているということで、十分かどうかは別として、そこそこはいると
いうのを見て多少は胸をなで下ろすところではあるのですが、今後中長期的にCOBOL
を使い続けていくのかどうかということ、それから、仮にそうであるならば、人材をどう
するのかというのはしっかり考えていただいた方がいいと思います。
COBOLを私はできれば脱却していく方向で考えた方がいいのではないかという仮説
を持っています。私は個人的にはそう思っていますが、ただ、その場合、いろいろな周辺
の要素があって、どうも資料2-2を見ますと、毎月勤労統計だけではないほかのところ
でも全部COBOLなのですかね、この感じだと。特に労働系のプログラムはですね。も
しそうだとすると、1つのシステムで終わらないので、事は大きいので、相当システムを
移行していくのも大変なのだろうなと思うので、そういう意味での人材の確保・育成と、
-29-
それから、システムを中長期的にどう変えていくかというプランをしっかり作っていただ
くのが大事なことかなと思いますが、そのあたり、もしお考えがあれば聞かせていただき
たいと思います。
しろまる瀧原厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室統計管理官 ありがとうご
ざいます。簡単にですが、3点についてお答えします。
まず都道府県の関係ですが、もちろん都道府県の方でやっていただいておりますので、
一定程度の実質的な取組というか、責任持った取組というのは必要とは思いますが、我々
としてはきちんと関与していくことは大事だと思っております。そういう意味では、今回
の大阪府の事案も含めて見ますと、先ほどビジョンの中にありましたが、やはり大阪府に
一義的にはしっかり管理していただいて指導していただくというのはありますが、本省か
らもコンプライアンスチェックはかけるというところで、決して都道府県にまかせっ切り
にしない、あるいは、より積極的によくしていく、あるいはブランドを維持していくため
の努力というのは、おっしゃるとおり、しっかり頑張っていきたいと思っております。
あと、データ提供につきましても、これもできるだけデータベース方式も含めてしっか
り対応させていただきたいと思っております。
あと、人材についてですが、COBOLにつきましては、これからの検討ではあります
が、川﨑委員がおっしゃったように、脱却という方向で考えるべきだと思っております。
実際、労働統計の中でも、毎月勤労統計調査が基本的にCOBOLを使っているメインの
ところでありまして、この部署で幾つか配置しておりますが、やはり関係しているのは毎
月勤労統計調査のところが中心だということと、あと、もう一つ、今のところ、人数は一
定程度確保できておりますが、
決して若い人はそんなに多くないという事実がありまして、
将来的に考えると、COBOLから脱却しないと人材というのは維持困難になってくる。
あるいは、新しくこれから入ってくる人のことも考えると、脱却すべきではないかとは思
っていますので、そこはしっかり検討していきたいと思います。
しろまる川﨑委員 分かりました。
しろまる河井部会長 どうもありがとうございました。ふだんはできないような毎月勤労統計調
査の詳しい話をお伺いできて、すごく勉強になったと思います。
それでは、本日の毎月勤労統計調査の質疑につきましては以上で終了とさせていただき
たいと思います。
あとは、最終的には取りまとめという形に持っていきたいと思っているのですが、本日
は時間がありませんが、次回、取りまとめた案につきまして、皆様に議論をしていただこ
うと考えておりますが、それまでに何かこの点だけは追加してほしいとかということがも
しありましたら、事務局の方に改めて御連絡をいただければと思います。次回に具体案を
示したいということです。
それでは、あともう一つ残っている案件、
「見える化状況検査」についてです。6月の第
一次再発防止策を踏まえて、総務省の方で基幹統計のフォローアップ及び一般統計の検査
ですね。一般統計につきましては初めてで、基幹統計につきましては3回目ということな
ので、
フォローアップになるわけですが、
その結果の報告をしていただきたいと思います。
-30-
それでは、事務局の方から説明をお願いいたします。
しろまる柴沼総務省統計委員会担当室次長 事務局でございます。資料3を御覧いただきたいと
思います。1枚おめくりいただきまして、
「見える化状況検査」というのは何かということ
ですが、6月 27 日に統計委員会として建議いただいた中に、
統計作成プロセスの透明化と
いうことで、各省のホームページにおける情報提供を充実させるために基幹統計について
行った「見える化状況検査」の継続的なフォローアップを行うということとあわせて、一
般統計についても「見える化状況検査」を実施するということがありました。
これにつきまして、建議を受けて早速という形でありますが、基幹統計のフォローアッ
プと一般統計調査の検査について、実はこれ、前から作業をしていた下地がありましたの
で、このタイミングで報告できる内容が整いましたので、御披露するというものです。
基幹統計と一般統計調査それぞれ検査項目については末尾に示しておりますが、基幹統
計は、0から3の4段階、一般統計は、基幹統計ほど詳細な情報はなかなか出せないだろ
うということで、検査項目を絞り込んでおりますので、0から2の3段階ということでス
コアリングをしております。
2ページ以降、まず基幹統計のフォローアップの結果です。
「検査結果(基幹統計)
」と
いうことですが、この場合は、
調査しているものを数えて 54 ということになっているので
すが、
そのうちの 11 調査で改善が見られたということです。
改善したものについては色を
塗っているところです。
それから、1ページおめくりいただきまして、別の角度から全体としての改善状況とい
うことで御覧いただきますと、赤字箇所の先ほど改善したものの、それぞれどこら辺が改
善したのかということが分かるということであります。
平成 30 年3月の時点では、
例えば
非標本誤差が 23 調査だったのが 30 になったとか、そのあたり、今回大きく改善が見られ
たというようなことがこれを見ればお分かりいただけるかと思います。
それから、一般統計調査の結果が4ページに1枚でまとめてあります。これにつきまし
て、数だけでありますが、こちらにまとめております。標本設計ですとか、調査方法です
ね、このような基本的な情報、それから調査を行っていく上で公表していくような調査の
やり方にかかわるようなもの、そういったものについてはわりと成績がよかったと。例え
ば調査方法でいうと、150 の調査がスコア2であった。標本調査につきましても、180 のう
ち 139 がスコア2であったということで、一般統計でもかなりの情報がホームページに公
表されているという一方で、標本誤差とか、それから、5の基本的事項とあるのですが、
これは最後のページを見ていただきますと、一般統計調査のところで基本的事項という形
でまとめたものは、調査の概要とか、調査事項とか、調査結果とか、そういう文字どおり
の基本的事項は皆公表しているのですが、後ろの目標母集団とか、回答数・回答率とか、
そういったところは非常に成績が悪くて、その結果、全体の成績もかなり低いものになっ
ておりまして、基本的事項でいうと 85 調査、標本誤差でいうとスコア2は 24 調査という
ような結果でした。
また、このような手法をどうするか、またいろいろと考えていきたいと思いますが、一
般統計調査、基幹統計通じまして、情報提供が進むように工夫をしていきたいと考えてお
-31-
ります。
以上です。
しろまる河井部会長 取りまとめ、どうもありがとうございました。それでは、今の御説明につ
きまして、何か御質問、あるいは御意見がありましたらよろしくお願いいたします。
しろまる川﨑委員 ありがとうございました。
感想だけですが、
こういう取組はいいことなので、
是非情報の提供の改善のために継続的な取組をやっていただいたらいいなと思うのが1点
です。
それから、もう一つ言えば、特に一般統計調査の方が必ずしもよくない状況が見られる
のですが、もしやこれはそもそも、5ページ目にあるような一般統計調査のこういう検査
項目について、統計専門部局でないところの人から見れば、これってここに書いてある用
語の概念は何なのかというようなものがあるのかもしれないと思うのですね。そういう意
味では、今後、職員向けの研修といいますか、そういうものの中で、こういう項目がなぜ
大事か、実際にこれはどういう意味なのかとか、例えば目標母集団とか母集団フレームと
いってもピンとこない人も多分中にいるのではないかと思うのですが、そういう用語概念
といったことを少し解説するか、あるいはそれが調べればわりと簡単に分かるようなサポ
ートをしていくことが大事ではないかなと思いますので、またどういう取組をしていけば
いいのかは今後の課題かとは思いますが、それも今後の視野に入れていただけたらと思い
ます。
しろまる河井部会長 ありがとうございます。どうぞ。
しろまる永島総務省統計委員会担当室次長 御指摘ありがとうございました。基幹統計の場合で
も、何回かフォローアップをして、だんだんよくなってきているということがあったと思
いますので、まずはこのようなものを世に出して、このような状況にあるよということを
知らしめると、あっ、直さなきゃいけないという意識が各府省にも伝わっていくのだと思
っていますので、おっしゃった点も留意しながら今後の改善につなげていきたいと思いま
す。ありがとうございました。
しろまる河井部会長 ほかに。大西専門委員。
しろまる大西専門委員 「見える化状況調査」
という、
この一連の資料をぱっと手に取った時に、
行政機関の方々にはこれでよくわかるのかもしれませんが、民間の企業人や生活者の目線
で眺めるとこれがいいのか悪いのか分からないというのが率直な感覚です。
「だから何?
どうしたいの?」というふうに少し思ってしまうところがあります。やはり大切なのは、
民間側の視点でこれらの結果を見たときに、ああ、ここがよくなっているんだねとか、こ
れで何が改善されてきているのかといったところが分かりやすいように、説明の仕方や表
現方法をきめ細かくしていただくと、政府統計への関心をさらに民間でも広げることがで
きるのではないかと思いますので、御留意いただけると幸いです。
しろまる河井部会長 ありがとうございます。ほかいかがですか。よろしいですか。
私から、是非基幹統計だけではなくて、一般統計調査につきましても、これだと、多分
見た方は、統計の部局の方は自分の統計について危機感を感じないと思うので、もう少し
危機感を感じるような、逆に言うと厳しく、どの統計が問題なのかというのが浮き出るよ
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うな表現方法を、とりづらいかもしれませんが、とっていただけるといいのではないかと
思いました。
よろしいですか。
しろまる永島総務省統計委員会担当室次長 今、いろいろとまたいただきましたので、初発の取
組ということもありましたので、今後そういった点も留意して改善していきたいと思いま
す。ありがとうございます。
しろまる河井部会長 ありがとうございました。それでは、時間が来ておりますので、本日の審
議は以上とさせていただきたいと思います。事務局の方から次回の日程について御連絡を
お願いいたします。
しろまる永島総務省統計委員会担当室次長 次回ですが、
もう9月に入りますが、
9月 13 日の金
曜日に開催いたします。
場所とか時間、
その他の詳細については改めて御連絡いたします。
しろまる河井部会長 ありがとうございました。どうも御苦労さまでした。本日はこれまでとい
たします。

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