1第1回評価分科会議事録
1 日 時 平成30年11月28日(水)13:30〜14:30
2 場 所 総務省第2庁舎 7階中会議室
3 出席者
【委 員】
西郷 浩(分科会長)、北村 行伸(分科会長代理)
【臨時委員】
岩下 真理、神林 龍、美添 泰人
【審議協力者】
総務省統計研究研修所統計技術向上支援課長、財務省大臣官房総合政策課経済政策分
析官、文部科学省総合教育政策局調査企画課課長補佐、厚生労働省政策統括官付参事
官付統計企画調整室調整官、農林水産省大臣官房統計部統計企画管理官補佐(統計調
整班担当)、経済産業省大臣官房調査統計グループ統計企画室長、国土交通省総合政
策局情報政策課建設経済統計調査室長、日本銀行調査統計局経済統計課統計総務グ
ループ長、東京都総務局統計部調整課課長代理、神奈川県統計センター企画分析課課長【事務局(総務省)】
横山大臣官房審議官
統計委員会担当室:櫻川室長、阿南次長、上田次長、肥後次長ほか
政策統括官(統計基準担当):北原統計企画管理官
4 議 事
(1)分科会長の互選、分科会長代理の指名について
(2)評価分科会設置の経緯について
(3)今後の検討の進め方について
(4)その他
5 議事録
○しろまる櫻川総務省統計委員会担当室長 それでは定刻より少々早いですが、全員おそろいにな
りましたので始めさせていただきたいと思います。
ただ今から第1回評価分科会を開催いたします。私は本分科会の事務局を務めます総務
省統計委員会担当室長の櫻川でございます。分科会長を御選任いただくまでの間、議事の
進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
評価分科会は統計改革推進会議の最終取りまとめにおいて統計委員会の必置機関として2自律性・中立性を確保した評価チームを設置することとされたことを受けて、本年8月31
日に統計委員会令の改正により設置されました。また、9月28日付で内閣総理大臣から評
価分科会に属すべき委員及び臨時委員の指名が行われ、本日の第1回会議の開催の運びと
なっております。
今回は評価分科会が設置されて最初の部会ですので、各委員より簡単に一言御挨拶をい
ただければと存じます。では、美添臨時委員より順にお願いいたします。
○しろまる美添臨時委員 臨時委員を仰せつかりました美添です。幾つか課題が見えておりますの
で、お手伝いさせていただきます。よろしくお願いします。
○しろまる櫻川総務省統計委員会担当室長 続いて岩下臨時委員、どうぞよろしくお願いいたしま
す。
○しろまる岩下臨時委員 大和証券の岩下と申します。よろしくお願いします。ユーザーの立場と
して精度の高い統計を待ち望んでおりますので、少しでも御協力させていただければと思
います。よろしくお願いします。
○しろまる北村委員 一橋大学経済研究所の北村です。よろしくお願いします。
○しろまる西郷委員 早稲田大学の西郷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○しろまる神林臨時委員 一橋大学経済研究所の神林と申します。専門は労働経済学で、労働関係
の統計を主に使っております。よろしくお願いいたします。
○しろまる櫻川総務省統計委員会担当室長 ありがとうございました。なお、神林委員及び美添委
員におかれましては、本日は御予定が入っておられることから途中退席されますので、皆
様御了解くださいますようお願いいたします。
さらにオブザーバーとして関係府省、日本銀行、地方公共団体から東京都と神奈川県の
方にも御参加いただくこととしております。
では、続きまして分科会の会長を御選任いただきたいと存じます。これについては統計
委員会令第1条第4項により委員の互選によることとされております。どなたか御推薦な
どはございますか。北村委員、どうぞ。
○しろまる北村委員 僭越ですが、西郷委員にお願いしたいと思います。
○しろまる櫻川総務省統計委員会担当室長 ただ今西郷委員を分科会長に推薦する御意見がござい
ましたが、皆様いかがでしょうか。(「異議なし」の声あり)
○しろまる櫻川総務省統計委員会担当室長 では、御異議がないようですので、西郷委員に分科会
の会長をお願いしたいと存じます。
それでは恐縮ではございますが、西郷委員には分科会長席にお移りいただきまして、就
任の御挨拶をいただければと存じます。
(西郷委員、分科会長席へ移動)
○しろまる西郷分科会長 それでは、御指名によりまして分科会長を務めさせていただきます。御
挨拶ということなのですけれども、もう顔見知りの方ばかりですし、課題も事前にチェッ
クして見えているということですので、また今日は途中退席の方もおられるので早速始め
たいと思います。3私自身がこの分科会で考えたいなと思っていることは、統計の集計における統計モデル
の利用です。今まで統計の集計の段階では伝統的な標本調査論に基づいて、モデルという
ものをあまり積極的に使ってこなかった面もあります。ところが無回答とか外れ値の修正
とかを考えるときにはどうしても統計モデルを積極的に使わなければいけない場面が、特
に最近では多くなってきております。ところが伝統的な標本調査論ではそういう理論的な
枠組みがまだ十分には用意されていない面もありますので、省庁で、統計実施部局でモデ
ルをどのように使ったらいいのかについて判断に迷うところが多いと伺っています。その
ようなところを整理できればと思っておりますので、どうぞ御協力よろしくお願いいたし
ます。
○しろまる櫻川総務省統計委員会担当室長 ありがとうございます。それでは以後の進行は西郷分
科会長にお願いいたしたいと思います。西郷分科会長、お願いいたします。
○しろまる西郷分科会長 ありがとうございました。それでは本日用意されている資料につきまし
て、まず事務局から簡単に御説明をよろしくお願いいたします。
○しろまる福田総務省統計委員会担当室長補佐 それでは、お手元の資料について確認させていた
だきます。1枚目に議事次第がございますが、その次に評価分科会の設置についての資料
が資料1、平成28年度統計法施行状況に関する審議結果報告書(統計精度検査関連分)に
ついての資料が資料2でございます。その次、当面の評価分科会の検討の進め方(案)に
ついての資料が資料3です。
そのほか参考1として統計委員会令、参考2として統計委員会運営規則、参考3として
評価分科会構成員名簿、参考4として平成28年度統計法施行状況に関する審議結果報告書
(統計精度検査関連分)の全体版を準備しております。資料の確認は以上です。
○しろまる西郷分科会長 どうもありがとうございます。今日は第1回なので、最終的には意見交
換をすることを中心にしたいと思っておりますけれども、その第1回ということもありま
すので、当分科会の運営のルール等についても御説明をいただきたいと思います。それで
は事務局から御説明をお願いします。
○しろまる阿南総務省統計委員会担当室次長 参考2を御覧ください。2ページの真ん中あたりに
第6条がございますけれども、統計委員会の運営規則でございますが、第6条におきまし
て運営規則第3条第3項の規定を除いた第3条から第5条までの委員会の運営に関する規
定につきましては評価分科会の運営に準用することとされております。このため、1ペー
ジの一番下に委員会の公開の規定がございますが、
「委員会は公開とする。ただし委員長
は必要があると認めるときは委員会に諮って委員会を非公開とすることができる」とあり
ますが、これを準用いたしまして、評価分科会につきましても原則公開として一般の方の
傍聴を認めることといたします。また、同運営規則第5条を準用して、分科会の議事の経
過につきまして議事録を作成するとともに資料と併せて原則公開することとなります。
なお、一般の方の傍聴を認めず非公開とする場合、それから議事録を非公開とする場合
は分科会長が分科会に諮ること、公開することによって公平かつ中立な審議に著しい支障
を及ぼすおそれがある等、その他相当の理由があると分科会長が認める場合につきまして
は資料を非公開とすることとされております。以上です。4○しろまる西郷分科会長 どうもありがとうございます。ただ今の御紹介にありましたように、公
開とするか非公開とするかは私が最初に宣言することになっているわけですけれども、今
回の議題の中心は意見交換ですので、特に非公開にする必要はないものと私は判断いたし
ます。ですので、原則公開、そして事務局の方は議事録等ができたら速やかにそれを公開
することにしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次に分科会長代理の指名ということで、先ほど私は分科会長として指名して
いただいたわけですけれども、参考1を御覧いただきますと統計委員会令があるわけです
けれども、それの第1条第6項という読み方になるのでしょうか、そちらに、
「分科会長
に事故があるときには分科会に属する委員のうちから分科会長があらかじめ指名する者が
その職務を代理する」となっておりまして、私が何か不測の事態でこちらの分科会長を務
められなくなったときに代理を務めていただく方を私が、分科会長が指名する規則になっ
ております。私といたしましては北村委員に分科会長代理をお願いしたいと思いますけれ
ども、北村委員、よろしいでしょうか。
それでは、北村委員に御快諾いただいたということで、分科会長の代理は北村委員に務
めていただくことにいたします。どうもありがとうございます。
それでは議事に入りたいと思いますけれども、最初に評価分科会設立の経緯について、
事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○しろまる阿南総務省統計委員会担当室次長 資料1を御覧ください。表紙をおめくりいただきま
して、
「分科会設置経緯」とございます。現在政府が取り組んでいる統計改革は統計改革
推進会議で検討されたものですけれども、その最終取りまとめの抜粋を載せております。
3で評価チームによる統計の有用性・信頼性の向上という項目がありまして、そこで、
評価チームと言っていますけれども、設置をすべきということが書かれております。赤い
字のところを中心に御説明しますが、統計委員会の通常の取組とは独立して個別統計の品
質の評価を行う評価チームを統計委員会の必置機関として設置する。それから個別統計の
品質の評価を、諮問を受けることなく、自らの把握した情報等に基づき、自ら課題を設定
して調査審議を行うとされております。それから中ほどでありますが、統計委員会のもと
に設置される分科会ではありますけれども、評価組織にふさわしい自律性・中立性を確保
するとされておりまして、それを受けまして、統計委員会を通じることなく評価結果を述
べることができるようにすることが求められております。
2ページを見ていただきますと、それを実現するために今年の3月に閣議決定をした公
的統計の基本計画にも位置付けをしておりまして、赤字で書いておりますとおり統計の品
質面や統計作成の技術面等を改革する評価チームを設置し、統計棚卸しでは対応困難な先
端的・技術的課題の解決に向けて統計に関連する他の分野の有識者の知見も積極的に取り
入れながら検討を行うことが定められております。
3ページでございますが、それを受けまして、先ほど御説明がありましたように8月31
日に統計委員会令を改正いたしまして、分科会の設置についての規定を追加してございま
す。第1条第1項に、統計委員会に評価分科会を置くと書かれております。
以降権限等が書いてありますけれども、右下の枠のところに統計法に基づきまして親元5となる統計委員会の権限が書いてありまして、まずこれを御説明いたしますが、統計法の
第55条、まず第1項は総務大臣の権限ですが、総務大臣は行政機関等からこの法律の施行
状況について報告を求めることができるとありまして、第2項で、総務大臣はそれを統計
委員会に報告しなければならないとあります。第3項におきまして、統計委員会は前項の
規定による総務大臣からの報告があったときはこの法律の施行に関し内閣総理大臣、総務
大臣または関係行政機関の長に対して意見を述べることができると、統計委員会の権限と
して定められております。
これを受けた形でありますが、先ほどの統計委員会令の第2項、上の方を見ていただき
ますと、分科会は委員会の所掌事務のうち統計法第55条第3項の規定により委員会の権限
に属せられた事項、先ほどの意見を述べるところでありますが、そのうち主として統計技
術の観点から評価を行い、その結果に基づき意見を述べることに対して処理をつかさどる
ということでありまして、先ほど統計委員会が意見を述べることができるというところに
つきまして、分科会は統計技術の観点から評価を行って意見を独自に述べることができる
と定められております。
下の方、第7項ですけれども、先ほど自律性を確保するとありましたとおり、委員会は
その定めるところにより分科会の議決をもって委員会の議決とすることができると定めて
おります。定めるところというのは、左下にありますとおり9月28日に統計委員会で決定
しておりまして、評価分科会の議決をもって委員会の議決とすると定めております。以上
でございます。
○しろまる西郷分科会長 どうもありがとうございます。ただ今の御説明について御質問等ありま
したらよろしくお願いいたします。
○しろまる美添臨時委員 形式的なことで確認させていただきたいのですが、資料1の1ページ、
分科会設置経緯のところに記載されている「評価チーム(仮称)
」が今回の分科会になっ
たということでよろしいのですね。要するに、この評価チームと統計改革推進会議のとき
に議論していたものがこの分科会になったということがどこかできちんと記述されていて、
設立になったと、確認させてください。
それから同じ資料の中に、自らの把握した情報等について議論をするという表現があり
ますが、自らというのは、例えば臨時委員も自らできるのでしょうか。評価チーム全体と
して把握した情報なのか、委員や臨時委員、例えば私がどこかの役所や民間の方から入手
した情報とか、自分でデータを分析して見つけたことで検討をお願いすることがあっても
いいのでしょうか。要するに、自らが誰か分かりません。
もう一つ、3ページの2のところに赤字で書いてある、
「統計技術の観点から評価を行
い、その結果に基づき意見を述べる」の後に「ことに限る」と書いてあることがよく分か
りません。述べるだけではなくて、それが左下の評価分科会の議決をもって委員会の議決
とするのだから、意見を述べることに限るけれども、その意見で議決されたら統計委員会
の議決とみなされるという理解でよろしいのでしょうか。
○しろまる上田総務省統計委員会担当室次長 私からお答えいたします。まず1つ目の評価チーム
が評価分科会であるかという問題なのですが、これはイエスなんですけれども、公にきち6んとした、評価チームが評価分科会であるという文章は表には出ていないんですけれども、
政府内で政令に仕上げる段階で、この評価チームを作るんですということで、全てのいろ
いろな役所、そのほかにも政府省令の審査をいたします、例えば法制局といったところに
はそのように御説明いたしておりますので、イコールと思っていただいて間違いないとい
うことでございます。
○しろまる美添臨時委員 ありがとうございます。
○しろまる上田総務省統計委員会担当室次長 それから、自らというのはもちろん先生方と承知を
してございます。それから最後が......。
○しろまる西郷分科会長 「意見を述べることに限る」だけれども、それがこちらの分科会の決定
となったら、それが......。
○しろまる上田総務省統計委員会担当室次長 そのとおりで、分科会の決定をもって委員会の意見
になると御理解いただきたいと存じます。
○しろまる美添臨時委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○しろまる西郷分科会長 ほかにございますか。もしないようでしたら次に移りたいと思いますけ
れども、今御案内のとおりかなり大きな権限を持った分科会になりますので、私がこちら
に伺うまではもうちょっとライトな感じの分科会を想像していたのですけれども、それよ
りはかなり大きな権限を持つということではあります。ただ、今回先ほどの私の挨拶のと
ころで申しましたとおり、かなり技術的なことに関して的確なアドバイスなどをいただけ
そうな方を委員・臨時委員にお願いしておりますので、むしろそういう技術的な部分で実
質的な議論ができればなと思っております。
それでは、今後の進め方についてですけれども、当委員会が今年3月に公表した平成28
年度統計法施行状況に関する審議結果報告書の統計精度検査関連分において、評価分科会
の検討事項の候補として同報告書のフォローアップ、この報告書はかなり技術的な観点か
ら今行われている、主に基幹統計調査を点検したものとなっているわけですが、まずはこ
の分科会の最初の仕事として、この報告書のフォローアップを行うことが候補として挙
がっております。つきましては事務局からこの報告書について説明を聴取して、本分科会
の検討事項とするか決定したいと思いますので、まずは説明をお願いいたします。
○しろまる阿南総務省統計委員会担当室次長 では、資料2に従いまして御説明いたします。これ
は、報告書本体は参考4として一番後ろに冊子を付けておりますけれども、御説明はその
抜粋的なもので、資料2に従ってやらせていただきます。
資料2の表紙をおめくりいただきまして、この報告書は3つの項目からなっておりまし
て、1つ目が統計の精度に関する情報開示の状況について検査を行っております。通常、
見える化状況検査と呼んでおりますけれども、全ての基幹統計を対象に精度に関する情報
がどれくらい出ているかを検査しました。
2つ目ですけれども、建築着工統計調査の補正調査につきまして標本設計のあり方につ
きまして検査を行っております。
3つ目ですけれども、調査環境の悪化に伴いまして未回答が増大しているという背景が
ありまして、それを踏まえて欠測値とか外れ値が各統計でどのように扱われているかとい7う検査を行っております。
この3点について検討したいということで、以下、順に御説明します。
2ページ、まず最初の見える化状況の検査であります。精度に関する項目ということで、
具体的には標本設計、調査方法、集計・推計方法、標本誤差、非標本誤差、及び他統計と
の比較・分析の6項目の公表状況、ホームページでどのように公表されているか4段階で
点数を付けて、右下にレーダーチャート図がありますけれども、そういう形で調査ごとに
まとめたということでございます。
例えば標本設計でありますと、報告を求めるものについて記載があるか、標本数につい
て書いてあるか、抽出率が記載されているかという項目をどの程度書いているかで0点か
ら3点まで4段階でスコアリングしています。調査方法でいきますと、調査手法です。郵
送調査とかいう手法が書いてあるかとか、調査実施の系統、市町村とか県を通じてとか、
調査の期間とか時期とかが書いてあるかといったもので評価しております。
その結果を全て明らかにして、スコアの低い調査につきましては改善に努めてください
という指摘を行っておりまして、これにつきましては別途置かれている統計業務プロセス
部会において実施している統計棚卸しの中でフォローアップを実施することとしておりま
す。
3ページが2つ目の事項でありまして、建築着工統計調査の補正調査の標本設計のあり
方について検査をした結果でございます。建築着工統計調査の補正調査につきましては、
実際にかかった費用を把握して建築着工統計で把握した工事予定額との乖離を明らかにす
る調査でありまして、右に簡易なグラフを載せていますけれども、工事予定額を100とし
たときに実際にかかった工事費が幾らだったかを明らかにして、指標でずれを明らかにし
ています。例えば平成24年だと非木造建築は予定額だと100だったけれども、実際には107
かかったことが分かる調査でございます。これにつきましては平成25年を見ていただきま
すと、非木造建築は平成25年のところだけ下にへこんでいますけれども、このように
ちょっと不安定ではないかという見方がありまして、検証してみたということでございま
す。
検証の見直し案でございますが、左下に対比表を載せておりますけれども、左側が現行
のやり方で、右側が総務省で提案した見直し案でございます。現在は調査実施市区ごとに
工事実施額に関係なく件数ベースで抽出を行ってきておりましたけれども、補正調査につ
きましては工事予定額と実施額の乖離を求めるのが目的でありますので、寄与度の高い工
事予定額の大きな工事、ここでは20億円以上としましたけれども、これを悉皆にして調査
をしてはどうかと提案しております。20億円未満のところにつきましても工事予定額によ
るネイマン配分によって抽出することによりまして、工事予定額の標準誤差率が4.8%か
ら0.8%に縮小されることを確認しております。
このような案を提案しまして、右側に指摘事項とありますが、統計委員会としては国土
交通省はその改善提案を実現できるように検討を進めることが必要であるという指摘を
行っておりまして、2番目ですが、平成33年1月に完成する建築物から見直し後の標本設
計に基づき抽出された対象に切り替えて調査を実施することが必要であると指摘しており8ます。
3番目ですけれども、総務省は移行時期の結果推定の方法、これは標本抽出の方法を変
えますので一時期両方の方法による抽出が混在することになりますので、その期間の推計
方法の開発につきまして総務省は国土交通省に協力して円滑な移行を支援することが必要
だと指摘されております。以上が建築着工統計調査の補正調査の話でございます。
4ページ、欠測値、外れ値の検査でありますが、事業所及び企業を対象とする33の基幹
統計調査を対象に、欠測値、外れ値に関する状況を総務省の担当者がヒアリングを行って
確認をいたしました。その結果、下線を引いてある12の調査につきまして見直しを指摘し
ております。
個別に見ますと5ページ以下でありますが、まず1つ目の類型が、一番上に青で書いて
ありますけれども、回収率が8割程度以下で、単一補完またはウェイト調整による欠測値
補完が行われていない統計調査ということで5ページ、6ページに4つ掲げております。
1つ目は社会教育調査でありますが、全部非回答のものに対して欠測値補完が行われず
単純合算集計により結果を算出しているため調査結果が過小になっていると見込まれると
いう指摘でございます。右側の賃金構造基本統計調査につきましても、全部非回答に対し
て欠測値補完が行われず線形推定により結果を算出しているということでありまして、次
の6ページの左側、造船造機統計調査につきましても同じで、全部非回答に対して欠測値
補完が行われず単純合算集計が行われており、調査結果が過小となっている懸念がある。
一方、届出名簿に基づく統計調査であることから調査対象に廃業事業所等が含まれる可能
性がありまして、これによって回収率を下げている可能性もあるという指摘を行っており
ます。
それから右側ですけれども、建設工事統計調査(施工調査)でございますが、回収率が
60%でありますけれども、全部非解答を「生産なし」とみなして線形推定が行われており、
調査結果が過小になっていると見込まれております。これにつきましては指摘事項を見て
いただきますと、未回答事業者には事業実績のない事業者が多大に含まれている可能性が
あるため、回収率の逆数を乗じた場合には過大推計になってしまうおそれがあるため、ま
ず未回答事業者の実態について検証を行うことが必要であると指摘しております。そのた
め、平成29年度に経済センサス等との比較検証を行った上で、当該比較検証に基づき平成
30年度に調査方法及び推計方法の見直しに関する結論を得ることが必要だという指摘を
行っております。
7ページは次の類型で、回収率が管理できていない統計調査とございますが、これは生
産がない場合に調査票を出さなくてもいいよとしているため、非回答と生産がないものが
判別できずに一律に生産なしとみなして単純合算集計を行っているものでございます。こ
れにつきましては既に見直しにつきまして統計委員会に諮問・答申が行われておりまして、
一番下の3にありますとおり、最終製品の生産がなかった場合の取り扱いで、厚生労働省
は今回の変更に合わせて、最終製品の生産の有無にかかわらず全ての報告者から報告を求
めることを徹底するとしておりまして、これは見直しを決定しているということでござい
ます。98ページでございますが、これは3つ目の類型です。一部非回答に対して一律で0値補
完を行っている統計調査でありまして、これが2つあります。法人企業統計調査につきま
しては売上等の主要項目の記載があることが前提でありますけれども、最終的に一部未回
答状態となっている事項が発生する数十社程度に対して当該一部非回答の項目に0値補完
を行っております。この結果、過小推計につながる懸念があるという指摘を行っておりま
す。
経済産業省企業活動基本調査でございますけれども、これにつきましても全体合計に対
する影響度が1%未満の小さい企業における一部非回答に限った話でありますが、0値補
完が行われておりまして、過小推計につながる懸念があると指摘しております。
9ページですが、過去の回答結果をいわゆる横置きでそのまま使っている場合で使用期
限が定まっていないものでありまして、同じデータを使い続けた結果、統計精度の悪化に
つながる懸念があるという指摘を行っておりまして、左側にありますとおり商業動態統計
調査、経済産業省生産動態統計調査、それから特定業種石油等消費統計調査の3つが該当
しておりまして、これにつきましては回収率が90%以上を保持していることから致命的な
対応とは判断されないながらも、平成30年度から総務省の支援を得て計画的にシミュレー
ションを行って、データの使用期限も含めた補完方法の検証を行うことが必要という指摘
を行っております。
右側の自動車輸送統計調査のバス関連調査につきましても同様の事項が見られたという
ことでございます。
10ページですが、左側が5つ目の類型でありますけれども、調査そのものの見直しが必
要ということで、欠測値、補完値、異常値の調査をしたわけですけれども、一部の調査票
様式についてそもそも回収率が50%を下回るなど欠測値に対する統計技術的な対応では補
正し切れない状態に置かれているということで、調査そのものの見直しが必要だというの
がこの類型でございます。
右側、6番目ですけれども、その他ということで民間給与実態統計調査を挙げておりま
すが、一部非回答が発生した場合に当該源泉徴収義務者から得られた情報全体、一部だけ
が得られなかったにもかかわらず全体を集計対象外としているのでウェイト調整を実施し
ているということで、指摘事項としては、単一補完を行うことで集計対象外とした情報も
利用できる余地があるのではないかという指摘を行っております。
こういう指摘を行って、11ページでありますが、様々指摘を行っておりまして、赤字で
書いていますけれども、このようなものについて設置が予定されている評価チームに1つ
の検討事項として提示したいと。その結果、評価チームで検討することとされた場合は同
チームにフォローアップを任せるとこの報告書にみずから書かれております。これはこの
時点で評価チームがまだ設置されていなかったのと、先ほど申しましたように独立性、自
ら審議事項を決定するということがありましたので、評価チームにやらせるではなくて、
評価チームの検討事項として提示するという書き方になっております。以上でございます。
○しろまる西郷分科会長 どうもありがとうございます。この報告書は大部のものなのですけれど
も、それを要約版という形で御説明いただきました。公的統計がこういう統一的な基準で10全部点検されたことは恐らく今までなかったと思いますので、この報告書自体は非常に貴
重なものだと思います。それがやりっぱなしになってはいけないので、何とかそれを生か
してその次のステップに結び付ける、そのことをフォローアップと言っているわけですけ
れども、それをこの評価分科会の1つの議案というか議題というか、タスクとしてはどう
かというのが御提案の内容なのですけれども、まず、ただ今の御説明につきまして何か御
質問等ございますか。
○しろまる美添臨時委員 資料2と資料4は、事務局である統計委員会担当室が丁寧に調査したも
ので、大変な手間暇をかけたと思います。担当の各省も、個別の役所の名前を挙げたら失
礼なのですが、経済産業省も少ない人数でよくやったと思います。この見直しは本当に貴
重な資料なのですが、課題が見えているところは対応できるかというと、人が足りない。
私もお付き合いをした統計が幾つかあって、ここに書いている以上の情報を持っているも
のもあれば勉強になることもあるのだけれども、例を挙げると、商業動態統計調査は20年
以上前に、西郷委員も含めて、当時の通商産業省の方と一緒に分析をしたことがあるので
す。以前の商業統計調査は、2年おき、その後は3年おきに実施されていましたが、その
結果を毎月やっている商業動態と比較すると、1年間に1%ぐらいの誤差があるから信用
できないというコメントがありました。ところが、誤差の計算をやってみたら、それほど
大きくはない。
この結果から、商業センサスの方に問題があって、ある年の調査では事業所数が20万ほ
ど過小だったことが事後的に明らかになった。そういうことを明らかにするために膨大な
作業を通商産業省の方たちがチームを作ってやっていたのです。学会からも西郷委員と私
と、当時東大にいた竹村委員が協力しました。そういう作業を1つずつやっていけば対応
できるのですね。今指摘されている問題は、もっともなものもあれば、私の納得できない
指摘もあるのですが、それに対して評価チームの中でそのすべてを検討することは無理な
ので、若手でこういうことができる研究者を少し巻き込んで、各省でお手伝いするグルー
プを作って1つずつ解決する必要がある、評価チームはそんな体力があるのかなというの
が一番心配なところです。
次の議題に今後の検討の進め方について出るのであれば、そこで指摘しますけれども、
包括的に検討すべきポイントが幾つかあり、それぞれの統計に共通する話題があるので、
それは後で触れさせてください。とりあえずこの報告書はすばらしいので、これに対応し
てどうするかを真剣に考えなければ、指摘しただけで終わりです。委員会担当室でとんで
もなく大勢のチームを1つずつ作っていかなければ対応できないのではないかというのが
私のざっと見たときの感想なのですが、これに対してどうされますか。
○しろまる西郷分科会長 お答えいただいてよろしいですか。
○しろまる上田総務省統計委員会担当室次長 私からお答えいたしますと、美添先生の御指摘は本
当にごもっともでございまして、これを直していくためには多大なリソースが必要だとい
うことも重々承知しています。ただ、私もチェックをさせていただいた一人のメンバーな
のですけれど、各省もヒアリングに行ったら正直にお話しいただきまして、指摘をするに
当たっても御相談させていただきましたら、直す意思は非常にあったということですので11御指摘をさせていただきまして、各省に直すことをお願いしております。
一部の事項に関しましては本当に真摯にきちんと取り組んでいただけていることが確認
できておりますので、全て一度に精緻に直っていくものではない、非常に厳しい道だとは
思っていますが、指摘をして明らかにすることで、きちんと各省を促していく。それから
総務省の事務局も、先ほどのチェックの中では統計研究研修所の協力も一部得たりしなが
ら対応しています。それから、事務局でも汗をかくつもりでおりますので、もちろんどこ
まで行けるかは事務局の体制作りということになりますけれども、与えられたリソースの
中で最大限努力をしていくのが我々の使命と申しますか、ミッションだと思っていますの
で、できる限り、頑張れるだけ頑張ると。最後は精神論になってしまいますけれども、そ
のように事務局は決意表明をさせていただいてお答えとさせていただきたいと思います。
○しろまる美添臨時委員 資料2の3ページはすばらしい成果です。建築着工統計については実現
可能な指摘をしていると思います。しかも指摘事項の3番目に総務省は協力すると書いて
ありますね。これは多分統計局と統計研究研修所だろうと思うのだけれども、そうですね。
○しろまる上田総務省統計委員会担当室次長 これは統計研究研修所と一緒に見ながらやっており
ます。
○しろまる美添臨時委員 この指摘が解決できれば、確実によくなると予測できる。この統計はそ
れほどの手間がかからない解決方法が提案されているわけです。ところがほかの統計は指
摘しても解決が困難という問題がたくさんあるのですね。
欠測値が大事だというのはそのとおりで、その実態はかなり明らかになった。ではど
うやって対応するのかというと、これは精神論をいくら言ってもだめですね。未回答の企
業はそれなりの事情があって出せない企業があるわけです。アメリカ本社の指示により出
しませんというすごいところもあるけれども、そうでないところもたくさんあるわけです
ね。それに対して、調査実施者に一生懸命やれといったって限りがあるわけですよ。また
行政資料の活用と書いてありますが、実際に活用するためにどうしたらいいのか。データ
ベース化されていない、電子化されていない情報だってあるわけで、政府全体としてまず
電子化して、統計情報として使えるような制度を作らなければだめです。これを是非提案
していただきたい。
それからもう一つ、統計調査に協力している人がいる中で、拒否する非協力的な世帯や
事業所があるというのはどう考えても不公平です。私は長い間罰則規定には賛成ではな
かったのだけれども、諸外国の例を見て、やはり日本でも本腰を入れて、統計に協力しな
い場合には罰則を適用する必要があります。罰則があるほど大事なものなので協力して欲
しいと明示する。これは政府全体の対策が必要だし、本気でやるのなら、海外の事例をよ
く御存じだと思うけれども、十数年前に聞いた話では、イギリスは毎年調査に協力しない
法人を20から30告発しているということでした。人口センサスでも200人から300人を本当
に告発するのですね。その手続きは、調査員に負担がかからないような仕組みが準備され
ている。我が国もそこまでやってみせないと、お隣の人や企業が非協力だったといううわ
さが広がって、じゃあうちもやりませんと調査員に言うわけですよ。いくら精神論で言っ
てもだめです。12もう一つ、欠測値の補完はいろいろなモデルがあると西郷分科会長がおっしゃいまして、
そのとおりですが、モデルをいくら操作しても限界があることも分かっていて、やはり回
答を集めるのが原則です。この原則を忘れてはいけないというのは、1980年代にアメリカ
で実施された不完全データの研究でも指摘されていました。あの文献は西郷先生などと一
緒に勉強しました。究極的な対策は未回答をなくすることに尽きるということなので、こ
れは忘れてほしくないです。報告者負担を軽減するための行政資料の活用と罰則規定によ
る調査実施者への支援、これを法的にきちんと整備していただくのが統計委員会担当室に
お願いしたいことだと思います。
○しろまる西郷分科会長 はい、ありがとうございます。次のステップが実質化するように人と金
と実効力を持ってくださいというお話だと思いますけれども。どこまでやれますかねとい
う話なのですが、今回答が必要ですか。
○しろまる美添臨時委員 いえいえ。統計委員会で頑張ってください。
○しろまる西郷分科会長 ほかに何かございますか。それではその実効性という面についてかなり
厳し目のコメントをいただきましたけれども、私としては内容的にはこれは是非推し進め
るべきと。統計委員会からこれをやりなさい、あれをやりなさいというものではなくて、
こうやったらよくなるのではないかという実のあるような結論が出せればなと思っていま
すので、今美添先生から御指摘いただいた点も含めて、何をすれば実際に欠測値や外れ値
について我々が何ができるか、実効力のある対処方法を是非この評価分科会でも検討して
いきたいと思います。
ですので、今挙げていただいた参考4、あるいは資料2で御説明いただいた、せっかく
やっていただいた報告書、点検の内容をフォローアップすることをまずはこの評価分科会
の議題に据えたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。(「異議なし」の声あり)
○しろまる西郷分科会長 それでは評価分科会、それだけが議案ではございませんので、次に当面
の分科会の進め方について事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○しろまる阿南総務省統計委員会担当室次長 資料3を御覧ください。A4の1枚紙であります。
これは今決めていただきました精度検査の報告書のフォローアップを行う前提で今後どう
やっていくかを案として書いた紙でございますが、1で当面の検討課題、
(1)がその報
告書のフォローアップをやっていくということでございまして、もう一つが来年度何をす
るかを今年度中に決めなければいけないということでございます。
2で進め方ですが、本日第1回をやりまして、第2回で早速精度検査報告書のフォロー
アップの1つとして、先ほどの資料2の6ページの右側でありました建設工事統計調査
(施工調査)の欠測値対応の見直しにつきまして国土交通省と総務省で今相談しておりま
すので、これの状況につきまして御報告させていただきたいと考えております。加えて第
2回で来年度のテーマを決めたいと思っております。
第3回、3月でございますが、フォローアップの第2回ということで、資料2の3ペー
ジにあります、先ほどの建築着工統計調査の補正調査の標本設計の見直しをやりたいと考
えております。これも国土交通省と相談をしております。13その次、経済産業省の生産動態統計調査の欠測値対応の見直しということで、資料2の
9ページの左側ですけれども、3つ書いてあるうちの生産動態統計調査の欠測値対応、横
置きをずっとしているものですが、これの対応について議題にしたいと思っております。
そのほかも平成30年度中にやることになっているものがありますので、それにつきまして
は状況を確認して報告させていただきたいと思っております。
4月以降にとりあえず今年度、ちょっと活動期間が短いのですが、平成30年度の報告書
を一旦取りまとめることを考えております。以上でございます。
○しろまる西郷分科会長 ありがとうございます。当面平成30年度中にどのようなことをするのか
について御説明をいただきましたけれども、ただ今の御説明につきまして御質問等がござ
いましたらいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。もしこれに加えて何か
やりたい、これじゃなくて先にこれをやるべきだというのがあればおっしゃっていただい
て、あるいはこれに加えてこういうこともやってはどうか。あまり多くなり過ぎると今日
を除いてあと2回しかないわけですけれども、2回の会議の中でこなせなくなってしまう
ので、それに関しては来年度に回す感じになると思いますけれども。どうぞ。
○しろまる神林臨時委員 申しわけございません。そろそろ中座しなければいけない時間になって
きましたので一言だけ言い残していきたいと思います。1つは、このフォローアップに関
して確認なのですけれども、報告書を取りまとめるということは、この報告書が統計委員
会ではなくて、ここから出ることになるわけですか。参考4というものの平成31年3月30
日付の報告書が。
○しろまる阿南総務省統計委員会担当室次長 それは統計委員会でまとめたものなのですけれども、
ここで言っている報告書というのは評価分科会の今年度の報告書で、分科会としてこれの
フォローアップをやって、こういう結果だったというものをまとめたいと思います。
○しろまる神林臨時委員 分かりました。その中に入るであろう詳しいものはここに既に1、2で
出ている経済産業省の生産動態統計調査の欠測値対応の見直しまでで、そのほかの平成30
年度中に実施されることになっているテーマについてはそれまでに何か結論が得られてい
るかどうか分からないので、そのとき次第という格好なのですね。
○しろまる阿南総務省統計委員会担当室次長 一旦状況を聞いて、必要があれば年度が明けてから
お話を聞くようなことかなと思っております。
○しろまる神林臨時委員 分かりました。あと私からの1つの感想といたしましては、私は個人的
にこの評価分科会のあり方は非常にいいアイデアだと思っているのですが、何分、多分初
めての試みなので、どのくらい独立性を保つのかとか何をすればいいのかというのはこれ
から手探りなんじゃないかと思います。ですので、あまり強い意見を持っているわけでは
ありません。この中でできることをやっていくのがいいのかなと思っております。
その点で1つ重要な課題だと思っているのは、やはり回収率と精度の関係なのですけれ
ども、どうやって回収率を上げるかとか精度を改善するかという方法論を考えていくのも
1つの有力な手段だと思います。もう一つ、これは少しネガティブかもしれないのですけ
れども、現状の回収率がこれ以上上がらないことを所与とした上で、その回収率と精度と
の関係がどうなっているのかを考えるのも良いだろうと思います。14現在回収率がこれぐらいなのでこれぐらいの精度しか出ないというのはわかっていま
す。けれども、この先これぐらい回収率が上がってくれば精度はこのぐらいになるでしょ
うということを考えていくこともあるのかなと思います。
というのは、利用者として回収率が低い調査を分析に使うときには分析者がそれをやる
わけですね。その研究者とか利用者は回収率を上げる手段はありませんので、回収率はも
う決まったものとして、所与として、そこからどういう情報をくくり出して結果に生かす
かを考えていきます。回収率を上げる余地があるのであれば上げた方がいいと思うのです
けれども、そういう考え方もあるのかなというのをちょっと書きとめておいていただけれ
ばと思います。以上です。
○しろまる西郷分科会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。どうぞ。
○しろまる美添臨時委員 資料2と参考4でまとめたうち、今回平成30年度には資料3に書いてあ
るところまでにするのはやむを得ない、これ以上やっても無理だという気がします。ここ
に挙げているのは、やれば確実に成果が上がりそうな統計を選んでいると思います。商業
動態はちょっと手間がかかると思いますけれども、建築着工は確実に改善できる課題をよ
く見つけました、すばらしいと思います。
参考の4と資料2でもうちょっと言ってほしいことがあるのです。多分お調べになった
と思うのですけれども、統計精度で3つ大事なポイントがあるとしたら、1つは欠測値に
対する対応で、それはきちんと書いてあります。あと2つあって、ローテーション・サン
プリングが幾つかの統計調査で採用されています。最近の統計委員会の発言を聞くとロー
テーション・サンプリングを導入すればよくなると考えているようです。この点は正しい
か、真剣に考えてください。ローテーション・サンプリングで解決できない問題は山ほど
あると私は考えています。
もう一つは、広い意味で指数の算式と接続に関わる。例えば、毎月勤労統計調査、これ
は経済指数として見たら、指数論で言う指数としては利用しにくいことは昔から指摘され
ています。私が大学院生のころから既にそう言われていたし、エコノミストは使い方が分
かっていた。でも最近は混乱があるのではないか。この間の改正でもローテーション・サ
ンプリングで部分的に良くなった、透明になったところがあるのだけれども、まだ解決に
は至っていない。それは指数の算式という視点が明確にないからです。あれは単価指数な
のでね。家計調査から直接計算すると単価指数ができる。高級品でも廉価品でも割り算を
するのでは価格指数とは言えないという視点が導入されていないのです。
昔から、労働省ではこの指数はこれ以上改善する必要性はないという姿勢だったように
思います。当時の担当課長で熱心な方がいたにもかかわらず、そういう意見が採用されて
こなかった。これは残念なことで、毎月勤労統計を従来どおり作成することには反対しな
いけれども、指数という視点から見たら、労働の品質を調整する指数もあってしかるべき
だろう。少なくとも経済学者だったら当然考えるべきだ。さらに接続の問題も含めて、こ
れは別に毎月勤労統計に限らず、指数そのものという統計もあるわけなので、そこも含め
てこの視点は大事だと思うのです。
指数論の他には、標本調査論があります。西郷先生は専門家ですが、有限母集団からの15サンプリングを日本で勉強した人はごく少ない。西郷先生に倒れられたら困るのですけれ
ども、欠測値のほか2番目がローテーション・サンプリング、3番目が指数とその接続の
問題、これを横並びでもう一度見直すと検討すべき内容が明確になって、来年度以降の課
題の整理になるのではないかと思いました。以上です。
○しろまる西郷分科会長 ありがとうございます。私がしゃべってしまっていいのかどうか分かり
ませんけれども、指数に関しては私も同じ意見を持っていまして、昔、経済指数部会でし
たっけ、あったのですけれども、それがなくなってしまって、指数のことを技術的な観点
から議論する場が統計委員会の内部に今ないのですね。ですので、もしそれもこちらの評
価分科会の課題にできるのであれば取り込みたいと思います。毎月勤労統計調査に関して
は前に西村委員長から、指数という名称がかえって誤解を生むから、指数という名称をや
めろと、品質がコントロールされているものであるかのような印象を受けてしまうので、
今の単純指数のもので指数と呼ぶのをもうちょっと検討した方がいいのではないのかとい
うお題を私自身が部会でいただいたことがあったのですけれども、結果的に今までずっと
それが使われてきたこともあって、名称を変更するというところまではいっていないので
すね。
ただ、確かに今の毎月勤労統計の指数のあり方というのは、本格的にはコントロールが
されていないのだけれども、部分的にはふわっとした形でコントロールがされていて、そ
れがベンチマークというもので呼ばれているものなのですね。前回の統計委員会だったと
思いますけれども、今賃金のばらつきが比較的大きくなっていて、それは働き方がいろい
ろ増えてきて、正規雇用と非正規雇用、その非正規雇用の割合がだんだん高まってきてい
ることもあって、普通の、コンディショナルじゃない方のアンコンディショナルなばらつ
きが増えている。それがそのまま指数の中に入り込むような形になっている。でもそれは
普通の指数論として正しい姿かというと、必ずしもそうではないので、もしかしたら毎月
勤労統計調査で使われている括弧付き指数の問題に関しては、この際本格的に指数論に基
づいた指数を導入することを考えてもいいのかなと個人的には思っております。
ただこれは統計委員会の総意ではないと思いますので、私の発言はかなり慎重にしなけ
ればいけない面があるのだと思いますけれども、前の統計委員会の場で私が考えたことは、
ばらつきが大きくなった賃金を正確に推定するためにサンプリングのやり方を変えること
とともに、そのときには発言はしなかったのですけれども、指数のあり方も同時に考えて
いかないと、ユーザーの側でそれをどうやって使っていったらいいのかが曖昧になってし
まう面もあると思いますので、そういうこともこちらの分科会で検討ができるようだった
ら是非検討したいなと思います。ありがとうございます。ほかに何かございますか。
それでは、今何を話していたのかというと、資料3に基づいて今年度中、当面何をやる
のかということだったのですけれども、資料3の形で進めていくこと自体には特に反論は
なかったと理解いたしますので、今年度中はこれで進めさせていただきたいと思います。
御案内した時間は15時までで、あと60分も引っ張るつもりはないのですけれども、今美
添先生から、この際経済指数についても評価分科会の検討課題としてはと、ローテーショ
ン・サンプリングと指数とその接続ですね。ただ、接続に関してはもう既に一度検討され16ている部分もございますので、真正面から評価分科会の議題にできるかどうかは事務局と
も相談してみないと分からないことなのですけれども、少なくとも指数のあり方について
は議題に乗せられるのではないかと思います。それ以外にもし、あとは本当に自由な意見
交換ということで、こういうことを検討したらいいのではないかということがございまし
たら是非伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。岩下委員と北村委員、何か、
今でなくても結構ですし、後で事務局に知らせていただくのでも結構ですけれども。
○しろまる岩下臨時委員 私はユーザーという立場でちょっと言わせていただくと、こればかりに
執着するつもりはないのですが、やはり今年は毎月勤労統計が非常に話題になってしまっ
たこともあって、また直近ですと、実際に制度を確認していけていないのですけれども、
基準改定とか生産統計とかいろいろあると、そのために結構私も接続しながら、ウェイト
が変わるとこんなに変わっているところもあるのかを見つけにいくのは結構苦労している
身なので、そういう意味では指数のあり方というお話を今いただいたときに、その辺を是
非詰めていく機会を作っていただけるとありがたいかなと思っておりました。以上です。
○しろまる西郷分科会長 ありがとうございます。
○しろまる北村委員 毎月勤労統計は、私は改革しろと言われてからずっと関わっているのですけ
れども、ローテーションの話もそれで全てが解決できるというつもりはなかったのです。
既存の統計の中で、特に毎月調査しているものはどういう形でサンプルの入れ替えとかを
対応しているかというところで比較検討した部会があって、その時に、毎月勤労統計だけ
一気に変えるという形で、ほかの月次の統計はローテーション・サンプルをとっていると
いう形なので、それに平仄を合わせたというか、その合わせ方が3分の1とか2分の1と
かいろいろな形があったと思うのですけれども、とりあえず今それでやってみようという
形で動いているのですけれども、指数も確かにちゃんと議論をする必要があると思うので
すけれども、毎月勤労統計について何を毎月勤労統計調査ではかっているのかを考えると、
ほんとうの意味で指数を作るのは難しいなと思うのですけれども、どこまでできるかとい
うことは確かに議論した方がよくて、特に、この間もそうでしたけれども、民間のエコノ
ミストの方が毎月勤労統計についての理解がなかなか、こちらの説明が悪いということは
あると思うのですけれども、そこが得られていないので、ちゃんと説明する責任はあるな
と思っています。
どのような統計を見ていただくと月々の変化が、同じ労働者に対して賃金がどのように
変わったかをある程度見られるということが示せればいいと思うのですけれども、残った
企業、要するにサバイブした企業だけの平均値をとればといっても、その中の企業の構成
とか技術革新もあったりするので、その中でどういう労働者の比率が変わったりしている
のかということもあるので、必ずしも継続サンプルだけとればパネルのように使える話で
もないというのも見えているので、確かに十分議論する必要があるかなと思っています。
○しろまる西郷分科会長 ありがとうございます。何かほかにございますか。
○しろまる美添臨時委員 毎月勤労統計を作っている方の意識と利用者の意識、確かに両方に違い
があって、誤解したコメントもあると思いまが、それは作成者の責任だと思うのですよ。
説明をきちんとして、分かりやすくするというのはほかの統計でも同様です。例えば十数17年前の話ですが、消費者物価指数が某新聞で延々と批判されたときも、批判は間違ってい
ると言う担当者がいたのだけれども、そういう発言はやめてほしいとお願いしました。間
違って解釈されるような情報の出し方をしている方にも責任があると主張して、実際に対
話の場を作りました。そこで相互理解が進み、今は、消費者物価指数に関してはエコノミ
ストが正確に理解している。エコノミストのレベルも非常に高いと思います。それと同じ
ようなことがほかの統計でも起こる必要があります。個別の統計作成者の責任でもあるけ
れども、政府統計横並びでこのような広報活動をやる。広報によって統計が役に立ってい
るということが周知されると、統計調査に対する協力も高まると思います。利用者の理解
が深まる効果も含めて、情報の共有、批判があれば誠実に応える仕組みは統計全体で是非
作っていただきたいと思います。
行政資料の活用と結び付くのですけれども、個別統計を考えていくとまだ整理し切れて
いない基本的な問題として母集団情報の整備があります。これは個別統計をいくら検討し
てもだめなので、包括的な検討課題として統計調査の精度を高めるための前提条件である
母集団整備をどうしていくのか。これから始まる大事な母集団整備に係る統計調査に関し
て精度を高めるための工夫についてもこの場で御紹介いただいて、必要であれば有識者の
皆さんの御意見を伺って欲しいと思います。
○しろまる西郷分科会長 ありがとうございます。母集団情報の整備に関しましては統計委員会全
体の課題だと受けとめておりますので、多分しかるべき部会なり何なりがあるとは思いま
すけれども、もしこの評価分科会でも検討課題とすべしということであれば、それも検討
させていただきたいと思います。ほかに何かございますか。
もしないようでしたら私から1つございまして、先ほど欠測に対応するには欠測をなく
すのが原則なのであって、安易にモデルに頼るべきではないという御意見をいただきまし
たけれども、現状として集計の段階で欠測値が全然ないことはあり得ないので、何らかの
形で対応せざるを得ないと私自身は思っております。
そうすると、統計を集計する部局としてはどんな形で欠測値に対応したらいいのかとい
うことをその部局部局の経験なり知識なりに基づいて現状のところ対応している格好にな
るわけですけれども、その際どういう方法をやれば標準的あるいは安心して使えるのかと
いうことについて今のところ指針がないような状況になっております。これは言ってみれ
ば無回答とかいうものを考えるときのモデルの選択に対応するものになるので、モデルの
選択というところまで実施部局に責任を負ってもらうのは、集計する側の負担が大き過ぎ
るのではないかと前々から私自身は感じております。
ですので、モデルですから、場合場合で使うべきモデル、ないしは対応の仕方は変わる
べきではあるとは思うのですけれども、このように考えてこのように集計すれば大体こう
いう結果になるのだというスタンダードを示せるような検討もこの分科会でしていただけ
ればなと前々から思っています。今のところ無回答の補完が統計委員会の部会等で真正面
から取り上げられることはないのですけれども、そういうふだんの委員会なり部会なりで
真正面から取り上げられることがないような課題についてもこちらの分科会で話し合って
いただければなと思っていますので、それもできれば議題の1つに含めていただければと18思います。
いかがでしょうか。もしほかにございませんでしたら、今日提示しなかったからといっ
て今後一切分科会のテーマとはしないというわけではございませんので、気がついた折に
事務局に御提案いただければと思います。
それでは、予定していた時間よりは随分早いのですけれども、こちらで用意いたしまし
た議事は終了しておりますので、本日の分科会はここまでとさせていただきます。次回は
本日御検討いただきました進め方に沿って、精度検査報告書の対応状況について御審議を
いただきたいと思っております。
最後に事務局から次回の日程について御連絡をよろしくお願いいたします。
○しろまる福田総務省統計委員会担当室長補佐 次回は1月17日の午後2時に開催する予定です。
場所は今回と同じ若松庁舎7階のこの会議室で開催いたしますので、よろしくお願いいた
します。詳細につきましては別途御連絡いたします。
第3回につきましては3月12日の午後1時半から開催する予定です。場所は若松庁舎の
6階特別会議室で開催いたします。
○しろまる西郷分科会長 どうもありがとうございました。それでは本日はこれまでといたします。
大変お忙しいところ審議に御協力いただきましてありがとうございます。本日の分科会は
これで終了いたします。