1第1回 評価分科会 議事概要
1 日 時 平成30年11月28日(水)13:00〜14:10
2 場 所 総務省第2庁舎7階中会議室
3 出席者
【委 員】
西郷 浩(分科会長)、北村 行伸
【臨時委員】
岩下 真理、神林 龍、美添 泰人
【審議協力者】
総務省統計研究研修所統計技術向上支援課長
財務省大臣官房総合政策課経済政策分析官
文部科学省総合教育政策局調査企画課課長補佐
厚生労働省政策統括官付参事官付統計企画調整官
農林水産省大臣官房統計部企画管理官補佐(統計調整班担当)
経済産業省大臣官房調査統計グループ統計企画室室長
国土交通省総合政策局情報政策課室長
日本銀行調査統計局経済統計課統計総務グループ長
東京都総務局統計部調整課課長代理
神奈川県統計センター企画分析課課長
【事務局(総務省)】
横山大臣官房審議官
統計委員会担当室:櫻川室長、阿南次長、上田次長、肥後次長、福田補佐
政策統括官(統計基準担当):北原統計企画管理官
4 議 事
(1)分科会長の互選、分科会長代理の指名について
(2)評価分科会設置の経緯について
(3)今後の検討の進め方について
(4)その他
5 議事概要
(1)分科会長の互選、分科会長代理の指名について
委員の互選により、分科会長に西郷委員が選出された。
次に、部会の運営について、今回の審議案件は公開とすることが決定された。 2さらに、西郷分科会長から北村委員が分科会長代理に指名された。
(2)評価分科会設置の経緯について
事務局(統計委員会担当室)から、資料1に基づき、説明が行われた。
主な発言は以下のとおり。
・資料1に「評価チーム(仮称)」と書いてあるものが「評価分科会」になった
ということがどこかに書いてあるのか。統計改革推進会議で議論していたも
のがこの評価分科会になったということがどこかにきちんと記述されている
のか確認したい。
→「評価チーム(仮称)」が「評価分科会」であると明記したものは無いが、評
価分科会設置のため統計委員会令を改正する際に、内閣法制局等の審査部局
をはじめ、関係各府省にもそのように説明しており、イコールと思っていた
だいて間違いない。
・資料1の1ページ目に、評価チームは「自らの把握した情報等に基づき」議論
をすると書いてあるが、この場合の「自ら」は誰になるのか。評価チーム全
体として把握した情報なのか、それとも委員や臨時委員それぞれが自分で把
握した情報に基づいて検討をお願いするといったことがあってよいのか。
→「自ら」は委員や臨時委員の先生方にあたる。
・資料1の3ページ目、統計委員会令に評価分科会の所掌事務として、「評価を
行い、その結果に基づき意見を述べる」と記されているが、意見を述べたら
言いっ放しということではなくて、評価分科会の議決をもって、統計委員会
の議決と見なされるという解釈でよいのか。
→評価分科会の決定をもって、統計委員会の意見になるということである。
・評価分科会は大きな権限を持つ。今回、技術的なことについて、適切なアドバ
イスをいただけそうな先生方に、委員や臨時委員として御参加いただいてい
るので、そういった技術的なことについて議論できればいいと思っている。
(3)今後の検討の進め方について
1平成28年度統計法施行状況に関する審議結果報告書(統計精度検査関連分)に
ついて
事務局(統計委員会担当室)から、資料2に基づき、説明が行われた。
審議結果報告書のうち、見える化状況検査を除く部分のフォローアップを評価
分科会の議題とすることが決定された。
主な発言は以下のとおり。
・公的統計が統一的な基準で点検されたことは、おそらく今までなかったことだ
と思うので、この報告書自体は貴重なもの。ただ、やりっ放しになってはい 3けない。報告書の指摘を活かして結びつけることを評価分科会のタスクとし
てはどうか。
・報告書で指摘されている事項について対応するには、膨大な作業が必要になる。
評価委員会の中だけで対応するのは無理なので、一つ一つの事項について、
各府省に対応するチームを作ってもらい、委員も人をそろえるといったこと
をしないと対応できないと思われるが、そうしたことが可能なのか心配。報
告書は素晴らしいが、どうやって対応するかといったことを真剣に考える必
要がある。
→御指摘はもっとも。改善には多大なリソースが必要とは承知している。各府省
には、指摘に対応して直す意向があることを確認している。総務省でも、統
計研究研修所の協力も得て、事務局も汗をかくつもり。与えられたリソース
の中で最大限努力していくのが我々の使命だと思っている。
・資料2の3ページ目の建築着工統計についての指摘は実現可能だし、実施すれ
ば確実に良くなるだろうと思う。他には対応が難しいと思われるものがたく
さんあるが。「指摘事項」3.の「総務省は・・・協力する」と書いてある
のは統計局と統計研究研修所のことか。
→その通り。
・建築着工統計以外の統計調査については指摘しても対応は難しいだろうという
ものが沢山ある。欠測値への対応が大事であるということはその通りで、そ
の実態はかなり明らかになった。どうやって対応するのかということだが、
精神論を言ってもだめ。未回答な企業はそれなりの事情がある、調査実施者
の努力にも限界がある。行政資料の活用と書いてあるが、実際に活用するた
めには、データベース化されていない・電子化されていない情報を、政府全
体として電子化し、統計情報として使える様に制度を作らないといけない。
また、協力している世帯や事業者がいる中で、協力しない世帯や事業者が
いるのは明らかに不公平。罰則の適応があるほど大事なものなので協力して
欲しい、とお願いをするということを政府の方針にしないといけない。諸外
国では、協力しない法人や人を告発するといったことをやっている。調査員
に負担がかからないような手続が準備されている。我が国もそこまでやって
見せないと非協力が広がってしまう。
欠測値の補完は、色々なモデルがあるが、モデルからやっても限界がある
ということもわかっている。モデルは最後の手段。未回答をなくすというこ
とにつきるということを忘れてはいけない。そのための行政資料の活用と罰
則規定による調査実施者への支援について、法的に整備していくことを、統
計委員会担当室にお願いしたい。
→次のステップを実施するために、「ヒト」・「カネ」・「実行力」が必要との
コメントをいただいた。実行性について厳しめのコメントをいただいたが、
美添先生の御指摘を含めて、「こうやったらよくなるのではないか」、「欠 4測値・外れ値について我々が何をできるか」、実行力のある対処方法を評価
分科会でも検討していきたい。
2当面の分科会の検討の進め方について
事務局(統計委員会担当室)から、資料3に基づき、当面の評価分科会の検討
の進め方(案)について説明が行われた。
今年度中は、資料3に基づき進めていくことが了承された。
主な発言は以下のとおり。
・フォローアップについて報告書をとりまとめるということは、この報告書(審
議結果報告書)の平成 30 年度版を統計委員会ではなく評価分科会から出すと
いうことか。
→資料3に記載している「報告書」は評価分科会の報告書のこと。評価分科会の
平成 30 年度の報告書の中で、統計委員会が行った精度検査報告書のフォロー
アップの結果を記載するということ。
・審議結果報告書において平成 30 年度までに実施することとなっている調査の
うち、資料3に出ている経済産業省の調査等以外については、今年度分科会
開催時までに結論が得られているか分からないので、その時次第ということ
か。
→いったん状況を聞いて、必要があれば、年度を明けてからお話を聞くというこ
とである。
・重要な課題だと思っているのは、精度の改善や回収率の向上といったこととは
別に、現状の回収率を所与とした上で、回収率と精度の関係を考えていくこ
と。現状の回収率と精度が、回収率がどのくらい上がるとどのくらい精度が
上がるのかを考えていくのも一つの最終的手段になる。利用者・研究者は回
収率を所与として、そこからどのような情報をくくりだして検討に生かすか
といったことを行っている。
・統計精度で3つ大事なポイントがある。一つ目は審議結果報告書に書いてある
欠測値の対応。二つ目は、ローテーション・サンプリング。導入すれば良く
なるのかといったこと。ローテーション・サンプリングで解決できない問題
も多い。三つ目は指数の算式と接続に関わること。たとえば毎月勤労統計も
改正によって部分的に良くなったところがあるが、まだ解決に至っていない。
指数の算式という視点が明確にないから。これらを横並びでもう一度見直し
ていただくと、検討すべき内容が明確になって、来年度以降の課題の整理に
なるのではないか。
→指数については、同意見。指数のことを技術的な観点から議論する場が、現在
の統計委員会にはない。指数のあり方も考えていかないと、ユーザーの側で
それをどう使っていったら良いのかということがあいまいになってしまうの 5で、そうしたことも評価分科会の課題とすることが考えられる。接続に関し
ては既に一度検討されている部分もあると思うので真正面から議題にできる
かどうか検討したい。
(4)その他
来年度以降のテーマについて、意見交換が行われた。
次回以降、さらに検討を進めていくこととなった。
主な発言は以下のとおり。
・ユーザーの立場で言うと、直近だと基準改定が生産統計などにいろいろあった
が、基準改定があるたびに、接続しながら、ウェイトが変わることによって
変わっているところを見つけにいくのに苦労しているので、そういう意味で
は、指数のあり方について議論する機会を作っていただくとありがたい。
・毎月勤労統計のローテーション・サンプリングの話は、それで全てが解決でき
るというつもりはなかったが、既存の統計、特に月次調査はどういう形でサ
ンプルの入れ替えなどの対応をしているのかということを部会で比較・検討
した時に、毎月勤労統計だけ一度に変えるという形であるのに対して、他の
月次の統計はローテーション・サンプリングをとっているということだった
ので、それに平仄を合わせた。とりあえず今はそれで動いている。指数も確
かにきちんと議論する必要がある。何を毎月勤労統計で測っているか考える
と、指数を作るのは本当に難しい。どこまでできるかということは、確かに
十分議論した方がいい。特に、毎月勤労統計について、民間のエコノミスト
の理解が得られていないので、きちんと説明する責任がある。同じ労働者の
賃金の月々の変化がどういう統計を見るとある程度見られるのか示せればよ
いと思う。
・毎月勤労統計について、作成者側と利用者側の意識に違いがあって、誤解した
コメントもあると思う。だが、分かりやすく説明する責任は作成者にある。
個別の統計作成者の責任でもあるが、政府統計横並びできちんと広報を行う
べき。広報をきちんとして統計調査が役に立っていることが周知されると、
統計調査に対する協力も高まるだろう。そういう利用者の理解が深まる効果
も含めて、批判があれば誠実に答えるという仕組みを統計全体で作っていた
だきたい。
個別統計を挙げると整理しきれない基本的な問題としては、行政資料の活
用とも結びつくのだが、母集団情報の整備がある。これは個別統計で検討し
てもだめなので包括的な検討課題として、統計調査の精度を高めるための前
提条件である母集団情報の整備をどうしていくのか、精度を高めるための工
夫についても評価分科会でも御紹介いただき、必要であれば有識者の御意見
を伺うということをやっていただきたい。 6→母集団情報の整備については、統計委員会全体での検討課題だと考えている。
然るべき部会があると思うが、もし評価分科会でも検討課題とすべきという
ことであれば検討させていただきたい。
・私からも一つ御提案させていただく。欠測値については、何らかの方法で対応
する必要があり、集計する部局で経験なり知識なりに基づいて対応している
のが現状だが、どういう方法で対応すれば標準的あるいは安心して使えるの
かについて指針が無い。無回答への対応を考える時のモデルの選択について
実施部局に責任を負ってもらうのは集計する側の負担が大きすぎるのではな
いか。こういう風に考えてこういうふうに集計すればだいたいこういう結果
になるというスタンダードのようなものを示すことをこの分科会でできれば
と思っている。
次回の評価分科会は、1月17日(木)14時から総務省第2庁舎7階中会議室におい
て、また第3回の評価分科会は3月12日(火)13時30分より開催する予定である旨、
事務局から案内された。
以上

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