PRESTIA Insight
Today's Insight
2025年11月17日 11:50作成
11月南アフリカ中銀プレビュー
■しかく 南ア中銀と財務省は物価目標を従来の4.5%から3.0%へ引き下げ、金利先安感後退へ
■しかく 11月の金融政策会合では、修正された物価目標を踏まえた新たな金融政策姿勢を見極めたい
現地時間で11月20日に、南アフリカ(南ア)中銀(SARB)は金融政策会合(以下、政策会合)の結果を発表する。政策金利を巡る市場予想では、7.00%で据え置き予想と6.75%への引き下げ予想に分かれている状況だ。
前回9月の政策会合では3月以来となる政策金利据え置きを決定したものの、政策委員の利下げ主張が6名中2名と、利下げへ前向きな見解も根強い。SARBは足元の景気の力強さに自信を深めたものの、物価目標(3-6%)に対して消費者物価指数(CPI)上昇率が低迷していることが大きかったとみる。例えば、総合CPIは2024年8月以降、コアCPIは同年7月以降、当時の物価目標だった4.5%を下回る状況が続いてきた。
そうしたなか、今回11月政策会合では物価に対するSARBの評価と新たな金融政策姿勢を見極める必要がある。11月12日に発表した2025年度中間予算のなかで、財務省とSARBは共同で物価目標の変更を示した。今後の物価目標は従来の4.5%から3.0%へ引き下げられ、レンジは「3-6%(4.5%±1.5%ポイント)」から「2-4%(3%±1%ポイント)」となる。前回9月政策会合時点では、物価目標引き下げを志向するSARBに対して、財務省が物価目標修正に反対していた模様。今回の決定を踏まえて、足元のCPI上昇率(特にコア)の動向と照らして、SARBは直近の金融政策姿勢を修正する可能性が高いとみる。前回9月時点でSARBは「インフレ見通しに対するリスクは均衡」としたうえで今後の総合CPIはピーク時で4%程度まで上昇すると見通しており、今回も含めて当面の間は政策金利据え置きを志向するとみておきたい。11月政策会合直前の11月19日に公表される10月CPIの結果も併せての判断となろう。
直近の南アランド相場では、SARBの物価目標引き下げに伴う金利先安感後退から、ランド高が加速。対米ドルは2023年2月以来となる16ランド台後半、対円は2018年2月以来となる9.11円台を付けた。米格付大手の一社の信用格付け引き上げも支えとなる。一方で、対米ドルで2023年1月高値(16.6853ランド)、対円で2018年2月高値(9.2885円)をうかがうには、対米輸出関税率の引き下げがポイントとみる。11月22、23日開催の「20カ国・地域(G20)」首脳会合(サミット)に米大統領は不参加の公算が大きく、ランドの一段高には材料不足か。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登