5歳児健康診査(以下,5歳児健診)は,子どもたちの健やかな成長と発達を見守り,集団のなかでの生活や,小学校入学に向けた準備が順調に進んでいるかを確認する大切な機会です.2024年度から公費助成が開始され,多くの自治体で5歳児健診の導入が進むことが期待されています.5歳児健診がより広く実施されるためには,ただ健診を実施するだけでなく,事後相談や健診後のフォローアップ体制を充実させることが重要です.
本特集では,5歳児健診に携わっている多職種の方々からご寄稿いただきました.まず,「5歳児健診 いままで,これから」では5歳児健診の背景とこれからの展望を,「5歳児健診の実際を知りたい!」では5歳児健診について,集団健診(保健センター方式,巡回方式)と個別健診に分けて,それぞれの具体的な方法と特徴を解説していただきました.さらに,「どうする?5歳児健診のフォローアップ体制」では,保育士,心理士,教育専門員,小児科医,保健師の視点から,5歳児健診での子育て支援やフォローアップの取り組み,多職種連携の実際や課題について述べています.特集項目11では「線でつなぐ乳幼児健診」のタイトルで,バイオサイコソーシャルな視点をもって,子どもの育ちを切れ目なく支援することの大切さについて述べていただきました.
5歳児健診では多職種連携がキーワードです.「こどもまんなか社会」を実現するためには多職種の連携がますます重要となります.この特集が,これからいろいろな地域で5歳児健診に携わっていかれる皆さまがそれぞれの役割を考え,地域に適した5歳児健診をすすめていく際の一助となることを願っています.
(国立成育医療研究センター総合診療科/前川貴伸)