空の戦いを大きく変える新たな兵器として注目を集める無人戦闘機を巡り、米国と中国が激しい開発競争を繰り広げている。米軍が8月末に無人戦闘機YFQ42Aの飛行試験を初めて実施すると、中国は9月に行った抗日戦勝80年記念行事の軍事パレードでYFQ42Aに外形が似た無人機を登場させた。無人戦闘機は制空権の確保で重要な役割を果たすとされ、台湾有事に備え米中がしのぎを削る。(ワシントン 坂本一之)
米国が開発を進めるYFQ42Aは、パイロットが操縦する戦闘機に随伴して飛行し、攻撃や電子戦などの任務を連携して遂行する無人戦闘機。有人戦闘機のパイロットの指示に従い、人工知能(AI)が自律的に判断して任務を遂行する。米軍はこの種の無人戦闘機を「協調戦闘機(CCA)」と呼ぶ。
無人戦闘機の強みの一つは、パイロットがいないため人的被害が出ない点にある。敵の防空網を突破する必要がある偵察や攻撃などリスクの高い役割を担うことが見込まれる。逆に、大量投入できる無人航空機に現在の有人戦闘機だけで対抗するのは難しく、空の戦い方が大きく変わるとされる。
米空軍は今年3月、開発を進めるCCAとして2機種を選定した。8月27日にはそのうちの1機種であるYFQ42Aの飛行試験を初めて実施したと発表した。
メインク空軍長官は「CCAは(開発)構想から飛行まで記録的な速さで達成した」と述べ、迅速な実戦配備に向けて開発を進める考えを強調した。YFQ42Aは既存のF22やF35といった第5世代戦闘機や、CCAとのチームプレーを重視して設計される第6世代戦闘機に随伴して任務を担う見込みだ。
第6世代戦闘機に関してはトランプ米大統領が3月、自身が第47代大統領であることにちなんで命名したF47の導入計画を発表した。トランプ氏は「戦闘機で最強のパワーを持ち、機動性も類を見ない」と強調。CCAと連動して作戦を遂行できることもアピールした。