<産経抄>唐突な「連立」破綻、手腕問われる高市氏
最近の事情は知らないが、ひところの結婚式では吉野弘の『祝婚歌』がよく朗読された。<二人が睦(むつ)まじくいるためには/愚かでいるほうがいい/立派すぎないほうがいい>。一度は口ずさんだことがある、という人も多かろう。
▼この詩が愛される理由の一つは、結婚生活を長持ちさせるこつを飾らぬ言葉で説いていることにある。もう一つは、幸か不幸か2度目あるいは何度目かの結婚を考えている人に、立ち止まらせる効果があることだろう。むろん、詩人が一編に込めたのは「長持ち」の願いである。
▼詩の一言一句は確かに胸を刺す。<完璧をめざさないほうがいい/完璧なんて不自然なことだと/うそぶいているほうがいい>。腕組みして考え込むか、くすっと笑うかはご自由に。現実はしかし、詩人の教えを守っても避けられない破局がある。