本キャンペーンを通じ、試験機2号機の応援サポーターとなっていただいた企業・団体をご紹介致します。
2024年2月17日 H3ロケット試験機2号機の打上げ
2024年2月16日 機体移動
2024年2月13日 気象観測用のバルーン放球
2024年2月8日 フェアリングの組立
2024年2月8日 フェアリング移動
2024年2月5日 フェアリング収缶(その2)
2024年2月5日 フェアリング収缶(その1)
2024年2月5日 搭載が完了した小型衛星2基
2024年2月2日 小型衛星TIRSAT(3U POD)とPSS(衛星搭載アダプタ)結合
2024年2月2日 小型衛星CE-SAT-IEとPSS(衛星搭載アダプタ)結合
2024年2月1日 総合機能点検
2024年2月1日 PSS(衛星搭載アダプタ)結合
2024年1月31日 VEP-4(ロケット性能確認用ペイロード)とPAF(衛星分離部)結合
2024年1月31日 小型衛星TIRSATのPOD格納
2024年1月25日 試験機2号機ガスジェットの搭載
2024年1月23日 試験機2号機フェアリング及びペイロードプレス公開
2024年1月16日 試験機2号機用フェアリングの応援メッセージシール貼付け(その2)
2024年1月16日 試験機2号機用フェアリングの応援メッセージシール貼付け(その1)
2023年11月8日 試験機2号機のSRB-3(2本目)の組立
2023年11月7日 試験機2号機のSRB-3(1本目)の組立
2023年10月31日 試験機2号機の2段機体組立
2023年10月30日 試験機2号機の1段機体組立(その2)
2023年10月30日 試験機2号機の1段機体組立
2023年10月18日 島間港に到着し船から降ろされる試験機2号機の1段コンテナ
試験機2号機では早期の飛行実証を図るため、試験機1号機と同じ機体形態とし、ペイロードには「ALOS-3」と同等の質量特性をもつ「ロケット性能確認用ペイロード(VEP-4)」を搭載します。 軌道投入までの飛行経路も試験機1号機と同様です。今回のミッションではH3ロケット開発の妥当性を検証するとともに、小型副衛星2基(CE-SAT-IE/TIRSAT)に対して軌道投入の機会を提供します。
*1:LE-9エンジン2基、固体ロケットブースタ(SRB-3)2本、ショートフェアリングの機体形態
*2:Vehicle Evaluation Payload-4の略
【参考】VEP:H-IIロケット試験機1号機に搭載(1994年2月打上げ)
VEP-2: H-IIAロケット試験機1号機に搭載(2001年8月打上げ)
VEP-3: H-IIAロケット試験機2号機に搭載(2002年2月打上げ)
| 試験機1号機 | 試験機2号機 | |
|---|---|---|
| 機体形態 | H3-22S | H3-22S |
| ペイロード | ALOS-3 |
VEP-4 小型副衛星(CE-SAT-IE) 小型副衛星(TIRSAT) |
| 衛星フェアリング | ショートフェアリング | ショートフェアリング |
| 第1段 (LE-9) |
type1 × 2基 |
type1 × 1基 type1A × 1基 |
| 固体ロケットブースタ (SRB-3) |
2本搭載 | 2本搭載 |
| 第2段 (LE-5B-3) |
1基搭載 | 1基搭載 TF1不具合対応としてエキサイタ改修品搭載 |
| 搭載機器 | H3-22S対応の各機器を搭載 | H3-22S対応の各機器を搭載 TF1不具合対応としてPSC2改修品搭載 |
2023年3月7日10時37分55秒にH3ロケット試験機1号機を打ち上げましたが、第2段エンジン「LE-5B-3」が着火しなかったことにより、 搭載衛星である「だいち3号(ALOS-3)」を所定の軌道に投入できる見込みがないことから10時51分50秒、ロケットに指令破壊信号を送出し、打上げに失敗しました。
H3ロケットは電気信号をロケットの頭脳「VCON2」から流して各バルブを作動させ、エンジンを着火させます。 試験機1号機では第2段エンジンに着火のための電気信号を送った直後に、2段機体の搭載機器の1つである「推進系コントローラ(PSC2)」が異常を検知し、下流機器への電源供給を遮断しました。 PSC2は「PSC2A」(A系)と「PSC2B」(B系)の2つの回路を持っており、一方が故障しても、もう一方で補える冗長設計としておりましたが、A系での電源供給遮断後、切り替えた先のB系においても同じく異常を検知し、 電源供給の遮断という結果となり、第2段エンジンの着火に至りませんでした。
「故障の木解析(FTA、Fault Tree Analysis)」と呼ばれる分析する手法を用い「2段エンジン不着火」という発生事象から、それに繋がる因果関係を洗い出し原因を特定する解析を実施しました。 その結果、推進系コントローラ(PSC2)又はその下流機器で想定以上の大きな電流(過電流)が発生し、PSC2もしくはエキサイタが損傷したため電気系統の遮断が発生したと特定しました。ではなぜその過電流が発生したのか。 さまざまな過電流の発生シナリオを想定し検証や再現試験を行った結果、最終的に3つのシナリオに絞り込みました。
【原因と考えられるシナリオとその対策】
①エキサイター内部で軽微な短絡、SEIG後に完全に短絡 ⇒ 絶縁強化および検査強化を実施する
②エキサイターへの通電で過電流状態が発生 ⇒ 部品選別により電圧を定格内とする
③PSC2A系内部での過電流、その後B系への伝搬 ⇒ 定電圧ダイオードを取り除きB系への伝搬を防止する
早期に2号機を打ち上げるため、この3つのシナリオから1つに絞りこむことには固執せず3つ全てに対策を打つこととしました。またなぜこうした事象が起こるに至ったのか背後要因の分析も併せて行いました。
打上げ失敗の原因究明活動を通じてH3ロケットの信頼性向上に繋がる改善点を抽出することができました。 具体的には「H3ロケットの計測データ充実化」と「H3ロケットの冗長切り替えロジック改善」を行います。 また開発体制の強化を目的として「ロケット電気系開発の強化」についても取り組む予定です。
2023年3月7日のH3ロケット試験機1号機の打上げ失敗を受け、JAXAでは対策本部を設置し原因究明等の調査を行いました。 その後約半年に渡り、限られたテレメトリデータを慎重に分析するとともにあらゆる可能性について再現試験などで確認することで原因究明とその対策方法を確定しました。 同年10月26日に原因究明結果に係る報告書をとりまとめ、同日に開催された文部科学省 宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会に報告を行いました。 現在、原因と考えられる3つのシナリオへの対策を実施すると共に、背後要因分析に基づく対策、加えて信頼性向上策を進めています。 試験機2号機の早期の打上げを目指し作業に取り組んでいます。
H3ロケットは、次世代の大型ロケットです。日本が宇宙への輸送手段を持ち続けられるように、現在運用中のH-IIAロケットの後継機として開発されています。 今後20年間を見据え、毎年6機程度を安定して打ち上げることで産業基盤を維持するという運用の世界を目指しています。 そのためには、政府の衛星だけでなく打ち上げサービス市場から民間の商業衛星の受注が不可欠です。 世界中で新しいロケットが開発される中、商業衛星に利用してもらうためには、日本国内だけでなく世界中の利用者から使いやすいロケットとして注目されるような新しいロケットを作る必要があります。 H3ロケットは今後の世界でどのようなロケットが必要になるかを調査・予測し、それに応えるロケットとして、柔軟性・高信頼性・低価格の3つの要素を実現します。 JAXAは日本の企業と総力を結集して、この新しいロケットの開発に取り組んでいます。
H3ロケットは今後の世界でどのようなロケットが必要になるかを調査・予測し、それに応えるロケットとして、柔軟性・高信頼性・低価格の3つの要素(3つのH)の実現を目指します。
柔軟性(High flexibility)
複数の機体形態を準備し、利用用途にあった価格・能力のロケットを提供します。 また、受注から打ち上げまでの期間短縮によるサービスの迅速化や、年間の打ち上げ可能機数を増やすことで、「迅速に打ち上げたい」という利用者の声に応えます。 そのために、ロケット組み立て工程や、衛星のロケット搭載などの射場整備期間をH-IIAロケットから半分以下に短縮します。
高信頼性(High reliability)
H-IIAロケットの高い打ち上げ成功率とオンタイム打ち上げ率(予定した日時に打ち上げられる率)を継承し、確実に打ち上がるロケットにします。
低価格(High cost performance)
宇宙専用の部品ではなく自動車など国内の他産業の優れた民生品を活用するとともに、生産の仕方についても受注生産から一般工業製品のようなライン生産に近づけることで、打ち上げ価格を低減させます。 固体ロケットブースタを装着しない軽量形態(主に低軌道の打ち上げに用いる想定)で約半額を目指しています。