[フレーム] [フレーム]
ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織で探す > 産業労働部 > 産業脱炭素化推進室 > 水素関連機器の社会実装拡大事業【燃料電池(FC)フォークリフトの試験運用実証(令和4年度)】

本文

水素関連機器の社会実装拡大事業【燃料電池(FC)フォークリフトの試験運用実証(令和4年度)】

ページ番号:0200872 更新日:2023年3月31日更新

脱炭素社会の対応に向けて、FCフォークリフトの普及拡大を促進するため、水素ステーションに隣接していない事業所等において、圧縮水素カードルと簡易水素充填機の使用によるFCフォークリフトの試験運用実証を通じて、データの収集や導入の障壁となっている課題の抽出と解決策の検討を行いました。

1.試験運用場所等

ア 日本製紙(株)岩国工場敷地内【工場モデル】

・試験運用事業者:村上商事(株)

・試験運用期間:令和4年8月31日(水曜日)〜9月16日(金曜日)

工場モデル写真

イ 山口宇部空港敷地内 日本航空(株)貨物エリア【空港モデル】

・試験運用事業者:日本航空(株)山口宇部空港所

・試験運用期間:令和4年10月6日(木曜日)〜同月28 日(金曜日)

空港モデル写真

2.使用機器

・FCフォークリフト(2.5t)

・圧縮水素カードル(19.6MPa)

・簡易水素充填機

使用機器写真

3.試験運用の内容

【水素の供給方法】

試験運用場所へ圧縮水素カードルを週1回ユニック車により運搬し、計3回供給

【FCフォークリフトの試験運用方法】

くろまる1〜2週目 FCフォークリフトに1日1回水素充填を行い、3〜4時間程度運用

→FCフォークリフトの有用性を確認

くろまる3週目 実際の運用と同様の運用を行い、タンクが空になる度に水素を充填

→実運用時に求められる水素量を把握

事業スキーム

4.試験運用に基づくコスト分析

FCフォークリフトと既存のフォークリフト(エンジン式・電動式)とのコスト比較は以下のとおり。

【フォークリフト車両価格】

FC式:8,000千円(注記)、エンジン式(ガソリン式・ディーゼル式):3,000千円、電動式:5,000千円

→FC式は、エンジン式・電動式より約3,000千円〜5,000千円程度高い。

(注記)FC式の車両価格は、国補助(一般的なエンジン式との価格差の2分の1(上限550万円))適用後の価格

【ランニングコスト(燃料代・電気代】

ア 工場モデル

FC式:2,391千円、エンジン式:262千円〜453千円、電動式:79千円

→FC式は、エンジン式より1,900千円〜2,100千円、電動式より2,300千円程度高い。

イ 空港モデル

FC式:1,644千円、エンジン式:180千円〜310千円、電動式:54千円

→FC式は、エンジン式より1,300千円〜1,500千円、電動式より1,600千円程度高い。

【年間コスト(フォークリフト車両価格(減価償却を考慮)+ランニングコスト)】

ア 工場モデル

FC式:4,391千円、エンジン式:1,012千円〜1,203千円、電動式:1,329千円

→FC式は、エンジン式より3,200千円〜3,400千円、電動式より3,000千円程度高い。

イ 空港モデル

FC式:3,644千円、エンジン式:930千円〜1,060千円、電動式:1,304千円

→FC式は、エンジン式より2,600千円〜2,700千円、電動式より2,300千円程度高い。

以上より、工場モデル・空港モデルいずれにおいても、FCフォークリフトは、既存フォークリフトより、3〜4倍程度コストが高い結果となった。

コスト比較

5.試験運用に基づくCO2排出量分析

FCフォークリフトの燃料としてグリーン水素を用いる場合、CO2排出量なしであるため、エンジン式や電動式と比べ、100%減少する。

一方で、副生水素を用いる場合は、エンジン式より70〜75%程度減少し、電動式より50%程度増加する。

CO2比較

6.水素供給方法別のコスト比較

FCフォークリフトへの水素供給方法を以下の4モデルに類型化し、各モデルにおける台数別(2〜30台)の水素供給コストの比較を行った。

【水素供給モデル】

モデル0:圧縮水素カードルと簡易充填機

モデル1:ベルステーションムーブ(移動式簡易型充填装置)

モデル2:オフサイト方式水素ステーション

モデル3:再エネ由来のオンサイト方式水素ステーション

コスト比較の結果については、以下の図表のとおり。

くろまるFCフォークリフトの導入台数が2〜4台の場合、最もコストが低いモデル0が最適な水素供給方法となる。

くろまるFCフォークリフトの導入台数が5〜20台の場合、モデル0とモデル1のコストが他モデルと比較して低コストであるが、モデル0は水素充填がフル充填できないなど運用面の懸念があることから、モデル1が最適な水素供給方法となる。

くろまるFCフォークリフトの導入台数が30台の場合、最も低コストであるモデル2が最適な水素供給方法となるが、モデル3もモデル2のコストに近づいており、再エネ由来水素を利用できる観点も考慮した上で供給方法を検討することが望ましい。

水素供給方法別コスト比較

7.水素供給方法別のFCフォークリフトと既存のフォークリフト(エンジン式・電動式)とのコスト比較

最適な水素供給方法【モデル0(2台)、モデル1(10台)、モデル3(30台)】におけるFCフォークリフトと既存のフォークリフトとのコスト比較を行った結果、FCフォークリフトのコストは5,140〜5,579千円、既存のフォークリフトのコストは1,143千円〜1,427千円となり、1台あたりの年間コストは3,700千円〜4,400千円程度高い結果となった。

(注記)コストは、フォークリフト車両価格(減価償却)+ランニングコスト

(注記)FC式の車両価格は、国補助(一般的なエンジン式との価格差の2分の1(上限550万円))適用後の価格

供給方法別・既存コスト比較

8.FCフォークリフト普及に向けた主な課題

  • 簡易水素充填機を用いた水素充填は、充填時間自体は3分程度であるが、充填の準備等に20分程度要する。そのため、電動式の充電時間(8時間)と比較するとかなり短時間であるものの、エンジン式の給油時間が3分程度であることから、充填に係る作業時間の短縮に向けた技術改良等が必要。
  • FCフォークリフトと既存のフォークリフト(エンジン式・電動式)とでは、国補助を適用した場合であっても、1台あたりの年間コストは3,700千円〜4,400千円程度高いため、社会実装に向けては、コスト差の補填など財政的支援が必要。

水素関連機器の社会実装拡大事業【FCフォークリフトの試験運用実証】(報告書) (PDF:3.43MB)

Adobe Reader <外部リンク>
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /