港空研について 所長メッセージ
世界に誇れる港湾・空港技術を目指して
港湾空港技術研究所(港空研)は、1962年に運輸省港湾技術研究所として発足し、2001年にその一部を国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)に分けて独立行政法人港湾空港技術研究所となり、2016年に海上技術安全研究所、電子航法研究所と共に国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所(うみそら研)の一員になりました。その約60年間には、鹿島港、羽田空港、関西空港などの建設プロジェクト、1995年の兵庫県南部地震や2011年の東北地方太平洋沖地震・津波の災害からの復旧を技術的に支援し、波圧、液状化、ブルーカーボンなど基礎研究でも世界的にも評価される成果をあげてきたところです。
港空研の伝統的なモットーは、「研究水準が世界最高レベルであること」、「研究成果が実際のプロジェクトで役立つこと」の二兎を追いかけることです。港空研には今、8つの研究領域(沿岸水工、海洋利用、沿岸環境、地盤、地震防災、構造、インフラDX、海洋環境制御システム)に加え、分野横断的な課題に対応する5つのセンター(国際沿岸防災、ライフサイクルマネジメント支援、海洋インフラ・洋上風力技術、港湾空港生産性向上技術、港湾空港イノベーション推進)があります。様々な課題に応えていくためには、それぞれの研究領域やセンターが単独で活動するだけでなく、「基礎・応用・開発研究の港空研」と「政策支援・技術基準担当の国総研」という両輪を回し、時には港空研・海技研・電子研の技術を組み合わせ、そして産学官のネットワークをもっと密に構築しておく必要があります。
うみそら研は7年毎に中長期計画を定めて業務に取り組むことになっており、その第一期(2016〜2022年度)には当初計画を上回る成果を得ました。2023年度から第二期(2023〜2029年度)が始まり、その中で港空研は4つの課題「沿岸域における災害の軽減と復旧」、「沿岸・海洋環境の形成・保全・活用と脱炭素社会の構築」、「経済と社会を支える港湾・空港の形成」、「情報化による技術革新の推進」に取り組みます。気候変動や南海トラフ地震の危惧もあって国土の強靭化は待ったなし、その気候変動を緩和させるカーボンニュートラルの実現、担い手不足で悩む日本が国際競争力を取り戻すAI技術の開発も不可欠です。中小企業イノベーション創出推進制度SBIRの運営支援法人として、スタートアップによる研究とその成果の社会実装にも貢献することになりました。
港空研はこれからも二兎を追い続けます。皆様には引き続きのご理解とご支援をお願い申し上げます。
経 歴
- 1992年4月
- 運輸省採用
- 2005年4月
- 独立行政法人 港湾空港技術研究所 海洋・水工部 海洋水理・高潮研究室長
- 2008年4月
- 独立行政法人 港湾空港技術研究所 海洋・水工部 海象情報研究領域 海象情報研究チームリーダー
- 2009年4月
- 独立行政法人 港湾空港技術研究所 海洋・水工部 海洋情報研究領域 海象情報研究チームリーダー
- 2011年4月
- 独立行政法人 港湾空港技術研究所 海洋情報研究領域 上席研究官
- 2012年4月
- 独立行政法人 港湾空港技術研究所 海洋情報研究領域長
- 2014年4月
- 国土交通省 九州地方整備局 鹿児島港湾・空港整備事務所長
- 2017年1月
- 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 海洋情報・津波研究領域長
- 2020年9月
- 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 海洋水理研究領域長
- 2021年7月
- 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 沿岸水工研究領域長
- 2021年7月
- 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 特別研究主幹
- 2022年10月
- 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 理事