当事業年度における世界経済は、米国が引き続き堅調に推移したものの、欧州や新興国などでは一部に弱さもみられ、全体として緩やかな回復となりました。わが国経済は、消費税増税に伴い、個人消費など一部に弱さがみられましたが、全体としては底堅く推移しております。
情報通信市場は、ブロードバンド化・グローバル化の進展、固定と移動の融合、クラウドコンピューティング( ※(注記)1)やテレビのスマート化の進展、スマートフォン・タブレット型端末等の高速無線・Wi−Fi( ※(注記)2)対応端末の浸透、無料の通話やメッセージ通信を実現するアプリケーションの普及等により、従来の枠組みを超えた構造変化が進展しております。
地域通信市場においても、光化を中心としたブロードバンドサービスでの設備競争およびサービス競争の激化に加え、多様な無線端末を利用した新たなサービスの拡大、それに伴うお客様の利用用途の多様化、データ通信量の増加によるオフロード( ※(注記)3)ニーズの伸長など、大きく変化しております。
当社は、このような厳しくかつ激変する事業環境の中で、情報通信産業の責任ある担い手として、コンプライアンスを徹底し、公正競争条件の厳格な確保に努めるとともに、経営基盤の安定・強化を図りつつ、良質かつ安定的なユニバーサルサービスの提供・災害に強い通信ネットワークの構築・大規模自然災害等の際の迅速な復旧をはじめとした社会的インフラとしての信頼性の確保に努めてまいりました。
また、次世代ネットワーク(NGN)を活用した新しいサービス・商品の提供ならびにお客様にとって"使いやすい"・"より長くご利用いただける"料金メニューの提供等を通じて、ブロードバンド・ユビキタス環境の充実と光アクセスサービスの更なる利用層拡大に努めてまいりました。
ブロードバンドサービスにおける競争が激化する中、「フレッツ光」( ※(注記)4)の普及拡大や継続利用の促進、また、Wi−Fi対応端末をご利用中のお客様ニーズへの対応に向けて、新たなサービスの提供等を開始しました。
「フレッツ光」の新たなサービスとして、上下(データ送受信)概ね1Gbpsの最大通信速度に加え、最新の高速無線LAN規格に対応することにより、アクセス回線だけでなくご自宅の無線LAN環境においても国内最高レベルの通信速度を実現した「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー・スマートタイプ」および「フレッツ 光ネクスト ギガマンション・スマートタイプ」を2014年7月1日より提供開始しました。更に、同年12月1日からは、同サービスに加えて、Wi−Fiルーター機能を含まない「フレッツ 光ネクスト ファミリー・ギガラインタイプ」および「フレッツ 光ネクスト マンション・ギガラインタイプ」を提供開始しました。
また、「フレッツ光」をより多くのお客様にご利用いただけるよう、新たにご契約いただくお客様を対象とした「ギガ推し!キャンペーン」、「フレッツ 光ライト もっとライトに!割引」などの割引キャンペーンを実施しました。
「フレッツ光」ご契約者様向け会員制プログラム「フレッツ光メンバーズクラブ」については、2014年4月11日に500万会員( ※(注記)5)を突破しました。500万会員突破を記念して、会員のお客様にポイントや商品等を抽選でプレゼントするキャンペーンを2014年5月より実施しました。
スマートフォン・タブレット型端末等の高速無線・Wi−Fi対応端末の浸透を受け、「光ステーション」( ※(注記)6)のWi−Fiインターネット接続において、Android/iOSアプリケーション「Japan Connected−free Wi−Fi」( ※(注記)7)を2014年8月26日よりご利用いただけるようになりました。これにより、訪日外国人観光客をはじめとしたスマートフォン等をお使いの方が、観光地や街でより一層便利にWi−Fiインターネット接続をご利用いただけるようになりました。また、訪日外国人観光客の需要創出および利便性向上に向けて、日本航空株式会社様と当社が提携し、JAL海外地区ホームページ( ※(注記)8)において、「光ステーション」で利用できる無料Wi−FiサービスのIDとパスワードも提供開始しました。
更には、O2Oサービス( ※(注記)9)市場の拡大を受け、飲食業・小売業等を営む事業者様向けのサービスとして、Wi−Fiを活用したアプリケーションサービスである「O2Oクラウドサービス」を2014年11月4日より提供開始しました。これにより、事業者様は、本サービスをスマートフォン・タブレット型端末向けアプリケーションと連携させて、来店者へのクーポン・レコメンド情報等の表示やWi−Fiアクセスポイントに接続したユーザの事前登録情報の収集等が可能となりました。
ICT( ※(注記)10)利活用による豊かな社会の実現に向けた取り組みとして、インターネットをまだ利用したことのないシニアの方々に、その楽しさや便利さを体験していただき、興味を持っていただくことを目的とした体験型キャラバンイベント「昭和レトロなふれあい広場」を開催しました。イベントカーで東日本エリア(計17都道県)の各地に伺い、シニアの方々に昔懐かしい「昭和レトロな世界観」を感じていただきながらICTを活用した新しい技術・サービスに触れていただきました。
また、ICT利活用による保育園経営の維持・安定化に貢献するため、株式会社global bridge様が開発した保育園運営管理システム「Child Care System」の提供にあたり、当社が「フレッツ光」および公衆無線LANアクセスポイントサービス、利用サポート、料金回収代行サービス等をワンストップで提供していくこととしました。
新たなICT利活用促進により新需要を開拓するため、当社が提供している「フレッツ光」等を様々なサービス提供事業者様に卸提供することで、サービス提供事業者様が自社サービスと光アクセスサービス等を組み合わせ、新たなサービスをお客様へ提供できる「光コラボレーションモデル」を2015年2月1日より提供開始しました。
法人等のお客様に対し、業界の特性や動向を踏まえた業界特化型のソリューションを中心に、ICT利活用の推進により地域のお客様に喜んでいただけるよう、営業活動を展開しました。
大規模ネットワークを有するお客様向けには、帯域優先型サービス「フレッツ 光ネクスト プライオ」の新たなIP−VPNサービスとして、「フレッツ・VPN プライオ」を2014年8月20日より提供開始しました。 これにより、従来の「フレッツ・VPN ワイド」に比べ、遅延の発生しにくい安定した通信が可能となるプライベートネットワークを構築できるようになりました。
自治体様向けには、自治体が行う「り災証明書( ※(注記)11)発行」等の被災者生活再建支援業務を総合的に支援するクラウド型サービスとして、被災者生活再建支援サービス「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」を2014年6月20日より提供開始しました。これにより、 災害発生時の被災者への迅速かつ公正な生活再建支援を可能にし、被災者にとっては速やかに支援を受けることができるようになりました。
中堅中小企業のお客様向けには、モバイル端末等の利用による業務効率化等が図られる中、お客様が求めるWi−Fi環境をレディメイドし、Wi−Fiアクセスポイント装置とその導入から運用までのサポートを組み合わせて提供する「ギガらくWi−Fi」を2014年12月1日より提供開始しました。これにより、モバイル端末等のICTをオフィス内で効果的に利用し、業務の生産性向上や新たな事業機会創出を図りたいというお客様のニーズに応えました。
また、オフィスIT機器の故障・不具合等のトラブル発生時における中堅中小企業向けサポートサービス「オフィスまるごとサポート」の新メニューとして、既存メニューのサポート内容を限定することで、低料金でオフィスICT環境のサポートを受けられる「ITサポート プラン・ミニ ライト」を2014年12月10日より提供開始しました。
オンラインストレージサービス「フレッツ・あずけ〜る」の新ラインナップとして、従来のプランよりセキュリティを強化し、スケジューラー等の法人向け機能を加えたサービス「フレッツ・あずけ〜るPROプラン」を2014年6月24日より提供開始しました。これにより、同一契約者のお客様内でスケジュールの共有・管理や外出先のスマートフォン等でスケジュールの登録・確認ができるようになりました。
当社は、変化する市場環境・経営環境に対応し、一層の業務効率化と、更なる地域密着でのサービス提供を推進するため、業務運営体制を2014年7月1日より見直しました。
具体的には、NTT東日本エリアの都道県単位に設置していた17支店を、一層の業務効率化を推進するため、6つの事業部に大括り化し、集約可能な業務を効率的に実施するとともに、更なる地域密着でのサービス提供を推進するため、市場が大きい首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)および北海道を細分化した29支店を、事業部内部組織として設置しました。
これにあわせ、都道県単位に設置していた地域子会社17社および東京エリアの法人営業を担う株式会社NTT東日本ソリューションズを4会社に再編成しました。また、複数社にアウトソーシングしていた116等フロント系業務について、一層の業務効率化とサービスレベルの均一化・向上を推進するため、新たに株式会社NTT東日本サービスを設立し、一元的に業務を実施することとしました。
当社は、情報通信サービスの提供を通じて、地球環境に優しく、社会の健全で持続的な発展に寄与していくことを企業の社会的責任と認識し、CSR活動をNTT東日本グループにおける事業運営の重要な柱の一つと位置づけ、ⅰ国民生活に欠かせない重要なインフラとしての高い安定性と信頼性の確保、ⅱ公正競争の確保、個人情報保護、適正な広告表示、労働者派遣をはじめとした各種法令等の遵守、ⅲ社会全体の環境負荷低減に貢献する情報通信サービスの提供や省エネルギー化・省資源化、節電などの環境負荷軽減に取り組みました。
また、これらにあたっては、「NTT東日本グループがめざしていく姿」を明確にしたうえで、「NTTグループCSR憲章」(平成18年6月制定)の更なる浸透、CSR活動における重要テーマ毎に設定した「KPI」( ※(注記)12)に基づくPDCAサイクルの実践など、情報通信のリーディングカンパニーに相応しいCSR活動を牽引するための取り組みを展開してまいりました。
なお、「NTT東日本グループCSR報告書2014」を発行することにより、ステークホルダーへの情報開示にも積極的に取り組みました。
以上の取り組み、およびコスト削減を行い、営業収益は1兆7,654億円(前年同期比0.5%減)、営業利益は1,098億円(前年同期比64.6%増)、経常利益は1,220億円(前年同期比33.0%増)、当期純利益は695億円(前年同期比28.9%増)となりました。