株式等の譲渡益は、原則として確定申告が必要となりますが、金融商品取引業者等のどのような口座で取引したかによって手続が異なります。
「株式等」とは、株式、投資信託、公社債などをいいます。
株式等を売却し、譲渡益が発生した場合は、原則として確定申告が必要となり、上場株式等(上場株式、公募投資信託、国債、地方債、公募公社債など)の譲渡益と一般株式等(上場株式等以外の株式等)の譲渡益をそれぞれ他の所得と区分して税額を計算します。
金融商品取引業者等を通じた上場株式等の取引には、「一般口座」、「特定口座」及び「非課税口座(NISA)」での取引があります。
◎にじゅうまる株式等の譲渡益に係る所得税額(住民税額)の計算方法
譲渡価額−(取得費+委託手数料等)= 譲渡益
譲渡益×所得税15%(ほかに住民税5%)= 所得税額(住民税額)
注1:2回以上にわたって取得した同一銘柄の株式等を売却した場合の「取得費」は、総平均法に準ずる方法によって算出した1単位当たりの金額を基として計算します。
注2:確定申告や源泉徴収の際には、所得税のほかに復興特別所得税(所得税額の2.1%)がかかります。
金融商品取引業者等に「特定口座」を開設している場合は、この特定口座での取引については、「簡易申告口座」か「源泉徴収口座」を選択することができます。
「簡易申告口座」の場合は、金融商品取引業者等から送付される特定口座年間取引報告書により簡易に申告することができます。
「源泉徴収口座」の場合は、さらに、その口座内における譲渡益について、申告不要を選択することができます。
※(注記) 上記の図をクリックすると拡大してご覧になることができます。
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注:「源泉徴収口座」における上場株式等の譲渡所得等について、令和5年度分(令和4年分)までの住民税においては、所得税と異なる課税方式を選択できましたが、令和6年度分(令和5年分)以後の住民税においては、所得税と同一の課税方式が適用されます。
上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売却したことにより生じた損失の金額は、確定申告により、その年分の上場株式等の利子等・配当等と損益通算することができます。
また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により上場株式等の譲渡益及び上場株式等の利子等・配当等から繰越控除することができます。
注:上場株式等の利子等・配当等のうち、上場株式等の配当等(配当所得)については、申告分離課税を選択したものに限ります。なお、大口株主等が支払を受けるものについては、申告分離課税を選択できず、総合課税となります(「利子等・配当等の課税関係」参照)。
損益通算をするためには、その適用をしようとする年分の確定申告書に、損益通算の適用をしようとする旨を記載し、かつ、一定の書類を添付する必要があります。
また、繰越控除をするためには、譲渡損失の金額が生じた年分に一定の書類を添付した確定申告書を提出するとともに、その後の年において、連続して一定の書類を添付した確定申告書を提出する必要があります。
源泉徴収口座に上場株式等の利子等・配当等を受け入れた場合は、確定申告せずに同一口座内の譲渡損失の金額と損益通算することができます。
※(注記) 上記の図をクリックすると拡大してご覧になることができます。
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注1:令和5年以前のNISAにおいて投資した商品は、つみたて投資枠や成長投資枠の外枠で非課税の対象となります。
注2:非課税口座で取得した上場株式等を譲渡したことにより生じた損失は、ないものとみなされます。
預貯金の利子は申告不要です。株式の配当や特定公社債の利子は確定申告することが原則ですが、確定申告不要制度を選択することができます。
預貯金、特定公社債以外の公社債、私募公社債投資信託などの利子等は、その収入に20.315%(所得税等15.315%、住民税5%)の税率を掛けた金額が源泉徴収され、それだけで納税が完結する源泉分離課税の対象となり、確定申告することはできません。
注:「特定公社債」とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成27年12月31日以前に発行された一定の公社債(同族会社が発行した社債を除きます。)などの一定の公社債をいいます。
なお、国外で支払われる預金等の利子など、国内で源泉徴収されないものなどは申告が必要となります。
次の区分に応じ、利子等や配当等の収入に以下の税率を掛けた金額が源泉徴収されます。
1 上場株式等の利子等・配当等(大口株主等が支払を受ける配当等を除きます。)
20.315%(所得税等15.315%、住民税5%)の税率
2 一般株式等の配当等及び大口株主等が支払を受ける上場株式等の配当等
20.42%(所得税等のみ)の税率
注:大口株主等とは、上場株式等の発行済株式等の3%以上を保有する方をいいます。
株式等の利子等・配当等は、原則として確定申告が必要となりますが、一定のものは、確定申告不要制度を選択することができます。
1 確定申告における課税方法
〈総合課税〉
株式等の配当等は、配当所得とその他の所得を合計して総所得金額を求め、確定申告によって源泉徴収されている所得税等を精算します。その際、配当控除を適用することができます。
〈申告分離課税〉
株式等の配当等のうち上場株式等に係るもの(大口株主等が支払を受けるものを除きます。)については、総合課税でなく、申告分離課税を選択することができます。ただし、配当控除の適用はありません。また、特定公社債等の利子等については、申告分離課税のみとなります。申告分離課税の場合、税率は所得税15%(ほかに住民税5%)となります。また、所得税のほかに復興特別所得税(所得税額の2.1%)がかかります。
注1:特定口座(源泉徴収口座)に上場株式等の利子等・配当等を受け入れた場合は、確定申告せずに、同一口座内の譲渡損失の金額と損益通算することができます。
注2:申告する上場株式等の配当等(配当所得)の全てについて、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択する必要があります。
注3:上場株式等の配当等について、その支払を受ける方と同族会社の保有する株式等を合算して、株式等保有割合が3%以上になる場合は、総合課税となります。
2 確定申告不要制度
次の配当等は申告不要とすることができます。
・上場株式等の利子等・配当等で、大口株主等が支払を受ける配当等以外のもの
・少額配当等(1銘柄について1回に支払を受けるべき配当等の金額が、次により計算した金額以下である配当等)
10万円×配当計算期間の月数(最高12か月)÷12
注1:「配当計算期間」とは、その配当等の直前の支払に係る基準日の翌日から、その配当等の支払に係る基準日までの期間をいいます。
注2:住民税は、所得税において確定申告不要制度を選択した少額配当等についても、他の所得と総合して課税されます。また、一定の配当所得について、令和5年度分(令和4年分)までの住民税の申告においては、所得税とは異なる課税方式を選択できましたが、令和6年度分(令和5年分)以後は所得税と同一の課税方式が適用されます。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。