別紙
健臓発0214第1号
平成23年2月14日
国税庁課税部審理室長
飯島 信幸 殿
厚生労働省健康局疾病対策課
臓器移植対策室長 辺見 聡
非血縁者間骨髄移植のあっせんに係る財団法人骨髄移植推進財団(以下「財団」という。)に支払われる患者負担金については、「非血縁者間骨髄移植のあっせんに係る財団法人骨髄移植推進財団に支払われる患者負担金の医療費控除の取扱いについて(法令解釈通達)」(平成15年12月26日付課個2−28)において、所得税法第73条第2項及び同法施行令第207条に規定する医師による診療又は治療、医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものに該当し、医療費控除の対象となることが明らかにされています。
今般、厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会において、骨髄バンク事業の一環として非血縁者間における末梢血幹細胞移植の導入が了承されたことに伴い、「非血縁者間骨髄移植の実施に関する指針」(平成15年12月19日健発第1219005号、以下「指針」という。)の一部が改正され(平成22年9月7日健発0907第9号(別添1(PDF/551KB)))、平成22年10月から非血縁者間末梢血幹細胞移植のあっせんが開始されたところです。
これにより、末梢血幹細胞移植に関しても、非血縁者間骨髄移植のあっせんに係る財団への患者負担金と同様の枠組みによりそのあっせんに係る患者負担金が財団に支払われることになりましたが、当該患者負担金についても非血縁者間骨髄移植のあっせんに係る患者負担金と同様に医療費控除の対象になると解してよいか伺います。
(1) 骨髄移植の実施について
イ 白血病等の治療のために実施する移植医療として、平成3年より非血縁者間での骨髄移植(注)を実施してきたところです。
(注) 骨髄移植とは、提供者(ドナー)から採取した骨髄液に含まれる造血幹細胞を白血病等の患者(レシピエント)に移植するものです。
ロ 骨髄移植を実施するためには、採取術や移植術のほかに、ドナーとレシピエントのあっせんを行う必要があるため、財団によるあっせんに伴う患者負担金(現在、平均的なケース(ドナー候補者4人の確認検査を実施し、移植を行う場合)で18万9,000円)をお願いしています。
ハ このあっせんに伴う患者負担金については、上記1のとおり、医療費控除の対象とされています。
(2) 末梢血幹細胞移植の開始について
イ 近年、骨髄移植と同様の効果が得られる造血幹細胞の移植方法として、新たに末梢血幹細胞移植を行うことが可能となり、現在、既に血縁者間の移植が行われています(注)。
(注) 末梢血幹細胞移植とは、ドナーの血液(末梢血)中に存在する造血幹細胞を薬剤投与により大幅に増加させた上で採取し、取り出した造血幹細胞をレシピエントに移植するものです。出産時のさい帯血を除き、ドナーの体内から造血幹細胞を採取する方法は、現在の医療技術では骨髄採取と末梢血幹細胞採取の2種類のみです。
ロ 末梢血幹細胞の採取は、通常の献血と同じ方法で行うため、骨髄液の採取に必要なドナーへの全身麻酔が不要となるなど、ドナーへの身体的負担が比較的軽いというメリットを有しています。
ハ そのため、非血縁者間における導入可能性の検討を目的として、治療成績やドナーの安全性に関する追跡調査を平成12年度から平成21年度までの10年間にわたって厚生労働科学研究により実施したところ、末梢血幹細胞移植は骨髄移植と同等の治療成績や安全性を有しているとの結果が得られました。
ニ この結果を踏まえ、厚生労働省としては、非血縁者間での造血幹細胞移植に末梢血幹細胞移植を加えることとし、平成22年10月から実施したところです。
ホ なお、末梢血幹細胞移植のあっせんに係る患者負担金の額は、骨髄移植の場合と同額となっています。また、末梢血幹細胞移植の導入後は、骨髄移植と末梢血幹細胞移植のいずれか一方を選択する結果、骨髄移植が末梢血幹細胞移植に一部移行することになりますので、医療費控除の総額に直接の影響を及ぼすものではないと考えられます。
(1) 骨髄移植と末梢血幹細胞移植は、移植に必要な造血幹細胞を得る手段が異なるだけで、ドナー候補者及び移植を行う基本的な手順(注)は同じです。
(注) ドナー・レシピエントの登録⇒あっせん⇒ドナーの造血幹細胞採取⇒レシピエントへ移植
(2) つまり、末梢血幹細胞移植の導入後においては、主にドナー側が造血幹細胞の採取方法として骨髄と末梢血のいずれかを選択することになりますが、あっせんを実施し、レシピエントに造血幹細胞が移植されることに何ら変わりはないことから、骨髄バンク事業の一環として、財団において末梢血幹細胞移植のあっせんを行うこととしています。
(3) この非血縁者間における末梢血幹細胞移植のあっせんに係る患者負担金については、次のとおり、医療費控除の対象とされている骨髄移植のあっせんに係る患者負担金と同様の性質を有するものであることから、当該患者負担金と同様に、医療費控除の対象になるものと解されます。
1 非血縁者間の移植を実施するためには財団が行うあっせん業務が必要不可欠であること
2 財団への患者登録は、医師が患者の治療に必要不可欠であると認めた上で、医師を通じて行われるものであること
3 患者負担金の額の決定と変更に当たっては、厚生労働省に届け出ることとし、厚生労働省は患者負担額等について確認した上で、問題があると認められる場合には財団に対し必要な指導を行うこととしていること
(4) なお、財団が発行している現行の「非血縁者間骨髄移植患者登録証明書兼患者負担金領収書」についても、別添2(PDF/88KB)のとおり「非血縁者間骨髄移植又は末梢血幹細胞移植患者登録証明書兼患者負担金領収書」とし、医療費控除の適用に関し疑義が生じないよう措置する予定です。
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