別紙
平成22年3月24日
国税庁課税部審理室長
山川 博樹 殿
日本証券業協会
専務理事 大久保 良夫
従来、東京証券取引所における新株予約権の上場基準は、新株予約権1個の目的である株式が上場株式1株の場合に限られていましたが、今般、当該上場基準(有価証券上場規程施行規則第306条)(PDF/27KB)が改正され、平成21年12月30日以降、新株予約権1個の目的である株式が上場株式1株未満である新株予約権の上場が可能となりました。
このため、上記の新株予約権の行使の個数によっては、取得する上場株式の株数に1株に満たない端数(以下「端数株式」といいます。)が生じることとなり、会社法第236条《新株予約権の内容》第1項第9号の規定によりこの端数株式を切り捨てることを新株予約権の内容としない場合には、この端数株式について、当該新株予約権の目的である上場株式の発行会社は、会社法第283条《一に満たない端数の処理》の規定により、当該新株予約権の行使の日における当該上場株式の市場における最終の価格に端数を乗じて得た金銭(以下「端数金」といいます。)を新株予約権を行使した者に交付しなければならないとされています。
この改正後において、新株予約権が次に掲げるものである場合、これらの新株予約権の行使により居住者若しくは国内に恒久的施設を有する非居住者(以下「居住者等」といいます。)又は内国法人若しくは国内に恒久的施設を有する外国法人(以下「内国法人等」といいます。)に交付される端数金等の所得税法及び法人税法上の取扱いについては、下記のとおり解して差し支えないかご照会申し上げます。
なお、無償上場新株予約権は会社法第109条《株主の平等》の株主平等原則に従い、すべての株主に対し保有する上場株式1株につき1個割り当てられるものであることを申し添えます。
記
居住者等又は内国法人等の有償取得上場新株予約権の取得価額は、当該有償取得上場新株予約権の購入の代価に購入手数料その他当該有償取得上場新株予約権の購入のために要した費用の額を加算した金額となります。
無償上場新株予約権又は有償取得上場新株予約権の行使により取得する上場株式の価額がその行使時の払込金額を上回っても、その上回る部分の金額(権利行使益)について課税関係は生じませんが、端数株式については交付された端数金の額を譲渡に係る対価の額として株式等の譲渡に係る譲渡損益が生じます。
(注) 居住者等が、一般口座に交付上場株式と同一銘柄の上場株式(以下、イにおいて「旧上場株式」といいます。)を有しているときの端数株式の譲渡に係る所得を計算する場合には、端数株式を取得したものとして、所得税法施行令第105条又は第118条の規定により、旧上場株式の取得価額との調整計算が必要となります。また、内国法人等が、端数株式の譲渡に係る譲渡損益を計算する場合には、端数株式を取得したものとして、法人税法施行令第119条の2第1項の規定により、旧上場株式の取得価額との調整計算が必要となります。
(注) 居住者等が、一般口座に交付上場株式と同一銘柄の上場株式(以下、ロにおいて「旧上場株式」といいます。)を有しているときの端数株式の譲渡に係る所得を計算する場合には、端数株式を取得したものとして、所得税法施行令第105条又は第118条の規定により、旧上場株式の取得価額との調整計算が必要となります。また、内国法人等が、旧上場株式を有しているときの端数株式の譲渡に係る譲渡損益を計算する場合には、端数株式を取得したものとして、法人税法施行令第119条の2第1項の規定により、旧上場株式の取得価額との調整計算が必要となります。
有償取得上場新株予約権は、居住者等又は内国法人等が東京証券取引所において取得することになるため、所得税法施行令第109条第1項第4号の「購入した有価証券(第2号に該当するものを除く。)」又は法人税法施行令第119条第1項第1号の「購入した有価証券(法第61条の4第2項(信用取引等による有価証券の取得)又は第61条の5第2項(デリバティブ取引による資産の取得)の規定の適用があるものを除く。)」に該当するものと考えます。
したがって、居住者等又は内国法人等の有償取得上場新株予約権の取得価額は、上記規定により、当該有償取得上場新株予約権の購入の代価に購入手数料その他当該有償取得上場新株予約権の購入のために要した費用の額を加算した金額となります。
内国法人等については、無償上場新株予約権の行使により取得した上場株式にあっては、当該無償上場新株予約権の行使に際して払込みをした金銭の額に当該行使の直前の当該無償上場新株予約権の帳簿価額及び当該行使による取得のために要した費用の額を加算した金額が当該無償上場新株予約権の取得価額となることから(法令1191二)、内国法人等の無償上場新株予約権の行使による権利行使益について課税関係は生じないものと考えます。
また、有償取得上場新株予約権を取得した内国法人等がその有償取得上場新株予約権を行使した場合の権利行使益についても、上記と同様法人税法施行令第119条第1項第2号の規定から、課税関係は生じないものと考えます。
一方、会社法第283条に規定する新株予約権の行使の際に生じる1株に満たない端数に相当する部分の金銭については、上記イ(イ)の場合と同様にいったん1株に満たない端数に相当する部分の株式が新株予約権者である内国法人等に交付されるとともに、直ちに発行法人により当該株式が取得され、当該株式の市場価格等に相当する金額が当該内国法人等に支払われることとなると解されます。
この場合、この交付された端数金については、株式等の譲渡に係る譲渡損益が生じるとともに、法人の自己の株式の取得に該当することとなるため、みなし配当課税(法人税法第24条第1項に該当する場合をいいます。以下ロにおいて同じ。)の対象となるかの問題が生じます。
この点、みなし配当課税においては、「会社法第283条に規定する1株に満たない端数に相当する部分」の対価としての金銭の交付を対象としない旨が規定されており(法法241四、法令233十一、119の8の2)、結果として、みなし配当課税の適用除外となるものと考えます。
したがって、無償上場新株予約権又は有償取得上場新株予約権を行使した内国法人等については、交付された端数金の額を譲渡に係る対価の額として株式等の譲渡に係る譲渡損益が生じるものと考えます。
居住者等に係る無償上場新株予約権は、上記(1)イ(イ)のとおり、所得税法施行令第84条各号に掲げる権利に該当しません。
したがって、居住者等が無償上場新株予約権の行使により取得した上場株式は、所得税法施行令第109条第1項第2号の有価証券に該当せず、当該無償上場新株予約権の行使の際には、当該行使する無償上場新株予約権の個数に応じた金銭の払込みが必要となることから、同項第1号の「金銭の払込みにより取得した有価証券(第2号に該当するものを除く。)」に該当するものと考えます。
このため、その取得価額は、所得税法施行令第109条第1項第1号により、当該行使に際して払込みをした金銭の額に当該行使した無償上場新株予約権の取得価額(上記1(2)のとおり、取得価額は零円となります。)及び当該行使による取得のために要した費用の額を加算した金額(以下、イにおいて「上場株式の取得価額」といいます。)となります。
したがって、端数株式及び無償上場新株予約権の行使により交付される上場株式(以下、イにおいて「交付上場株式」といいます。)の取得価額は、次のとおりとなります。
(注) 居住者等が、一般口座に交付上場株式と同一銘柄の上場株式(以下、イにおいて「旧上場株式」といいます。)を有しているときの端数株式の譲渡に係る所得を計算する場合には、端数株式を取得したものとして、所得税法施行令第105条又は第118条の規定により、旧上場株式の取得価額との調整計算が必要となります。
2 交付上場株式の取得価額
内国法人等が無償上場新株予約権の行使により取得した上場株式は、上記(1)ロのとおり、法人税法施行令第119条第1項第2号の「金銭の払込み又は金銭以外の資産の給付により取得をした有価証券(第4号又は第19号に掲げる有価証券に該当するもの及び適格現物出資により取得したものを除く。)」に該当するものと考えます。
したがって、端数株式及び交付上場株式の取得価額はそれぞれ次のとおりとなります。
(注) 内国法人等が、端数株式の譲渡に係る譲渡損益を計算する場合には、端数株式を取得したものとして、法人税法施行令第119条の2第1項の規定により、旧上場株式の取得価額との調整計算が必要となります。
2 交付上場株式の取得価額
居住者等が東京証券取引所において取得した有償取得上場新株予約権は、上記(1)イ(イ)のとおり、所得税法施行令第84条各号に掲げる権利に該当しません。
したがって、居住者等が有償上場新株予約権の行使により取得した上場株式は、所得税法施行令第109条第1項第2号の有価証券に該当せず、当該有償取得上場新株予約権の行使の際には、当該行使する有償取得上場新株予約権の個数に応じた金銭の払込みが必要となることから、同項第1号の「金銭の払込みにより取得した有価証券(第2号に該当するものを除く。)」に該当するものと考えます。
このため、その取得価額は、所得税法施行令第109条第1項第1号により、当該行使に際して払込みをした金銭の額に当該行使した有償取得上場新株予約権の取得価額(上記2のとおり、取得価額は当該有償取得上場新株予約権の購入の代価に購入手数料その他当該有償取得上場新株予約権の購入のために要した費用の額を加算した金額となります。)及び当該行使による取得のために要した費用の額を加算した金額(以下、ロにおいて「上場株式の取得価額」といいます。)となります。
したがって、端数株式及び有償取得上場新株予約権の行使により交付される上場株式(以下、ロにおいて「交付上場株式」といいます。)の取得価額はそれぞれ次のとおりとなります。
(注) 居住者等が、一般口座に交付上場株式と同一銘柄の上場株式(以下、ロにおいて「旧上場株式」といいます。)を有しているときの端数株式の譲渡に係る所得を計算する場合には、端数株式を取得したものとして、所得税法施行令第105条又は第118条の規定により、旧上場株式の取得価額との調整計算が必要となります。
2 交付上場株式の取得価額
内国法人等が有償取得上場新株予約権の行使により取得した上場株式は、上記(1)ロのとおり、法人税法施行令第119条第1項第2号の「金銭の払込み又は金銭以外の資産の給付により取得をした有価証券(第4号又は第19号に掲げる有価証券に該当するもの及び適格現物出資により取得したものを除く。)」に該当するものと考えます。
したがって、端数株式及び交付上場株式の取得価額はそれぞれ次のとおりとなります。
(注) 内国法人等が、旧上場株式を有しているときの端数株式の譲渡に係る譲渡損益を計算する場合には、端数株式を取得したものとして、法人税法施行令第119条の2第1項の規定により、旧上場株式の取得価額との調整計算が必要となります。
2 交付上場株式の取得価額