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  6. 平成26年度 査察の概要

平成27年7月
東京国税局

平成26年度 査察の概要

適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持を目的として、査察部に配置されている国税査察官は、厳正な査察調査に基づき、悪質な脱税者に対する刑事責任の追及を行っています。

1 着手・処理・告発件数、告発率の状況

  • しろまる 平成26年度において査察に着手した件数は、71件でした。
  • しろまる 平成26年度以前に着手した査察事案について、平成26年度中に処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)した件数は66件、そのうち検察庁に告発した件数は42件であり、告発率は63.6%でした。
年度 平成 23 24 25 26
項目 22
着手件数
62 70 69 70 71
処理件数(A) 70 70 65 68 66
告発件数(B) 50 42 45 43 42
告発率(B/A) % % % % %
71.4 60.0 69.2 63.2 63.6

[画像:平成22年度から平成26年度の査察の着手件数、処理件数、告発件数、告発率を表したグラフ]

2 脱税額の状況

  • しろまる 平成26年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で50億円、そのうち告発分は43億円でした。
  • しろまる 告発した事案1件当たりの脱税額は1億300万円でした。
  • しろまる 告発した事案のうち、脱税額が3億円以上のものは1件でした。
年度 平成 23 24 25 26
項目 22
脱税額 総額 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
10,521 7,809 6,931 5,155 5,002
同上1件当たり 150 112 107 76 76
告発分 9,136 6,379 5,863 3,791 4,331
同上1件当たり 183 152 130 88 103

(注) 脱税額には加算税額を含む。

(参考)大口事案の推移

年度 平成 23 24 25 26
項目 22
告発件数
50 42 45 43 42
うち脱税額が3億円以上 5 6 3 1 1
うち脱税額が5億円以上 3 2 1 0 0

(注) 脱税額には加算税額を含む。

3 税目別告発事案の推移

  • しろまる 平成26年度においても、従来どおり、所得税、法人税事案に取り組むとともに、消費税事案等についても積極的に取り組みました。

(1) 税目別の告発件数

年度 平成22 23 24 25 26
区分 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合
所得税 % % % % %
8 16 12 29 6 13 6 14 9 21
法人税 33 66 29 69 33 73 26 60 28 67
相続税 2 4 - - 2 5 1 2 - -
消費税 内 2 内 0 内 1 内 4 内 1
7 14 1 2 3 7 5 12 3 7
源泉所得税 - - - - 1 2 5 12 2 5
合計 50 100 42 100 45 100 43 100 42 100

(注) 消費税の内書は、消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む。)の告発件数である。

(2) 税目別の脱税額

年度 平成22 23 24 25 26
区分 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合
所得税 百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 %
819 9 2,050 32 836 14 863 23 808 19
法人税 5,107 56 4,230 66 4,454 76 2,431 64 2,860 66
相続税 2,649 29 - - 330 6 130 3 - -
消費税 内 52 内 0 内 36 内 102 内 68
561 6 99 2 195 3 157 4 388 9
源泉所得税 - - - - 48 1 210 6 275 6
合計 9,136 100 6,379 100 5,863 100 3,791 100 4,331 100

(注)

  • 1 脱税額には、加算税額を含む。
  • 2 消費税の内書は、消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む。)の脱税額である。

4 告発事件の概要

  • しろまる 平成26年度に告発した査察事案で多かった業種・取引は、「不動産業」でした。また、インターネットのサイトやブログ等を通じ、鑑定や浄水器などを通信販売で提供する、いわゆる「霊感商法」など、事業活動自体に違法または不当な行為が含まれるとして、社会問題化した事案についても積極的に告発しました。
  • しろまる 脱税の手段・方法としては、売上除外や架空の原価・経費の計上が多くみられたほか、平成23年度に創設された単純無申告ほ脱犯の事例もありました。
  • しろまる 脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金、株式及び不動産として留保されていたほか、高級外車や腕時計の購入、競馬などの遊興費、特殊関係人に対する資金援助や老人ホームの入居権利金などに充てられていた事例も見受けられました。また、不正資金の一部が海外の預金で留保されていた事例や海外のカジノで費消されていた事例もありました。
  • しろまる 脱税によって得た不正資金の隠匿事例としては、自宅洋室の棚の下に置かれた段ボール内に現金を隠していたものなどがありました。

(1) 告発の多かった業種(3者以上)

平成24 25 26
業種 者数 業種 者数 業種 者数
情報提供サービス 9 クラブ・バー 5 不動産業 8
クラブ・バー 4 情報提供サービス 5 クラブ・バー 3
畜産農業 3 不動産業 4 調剤薬局 3
- - 広告代理業 3 建設業 3
- - - - 広告代理業 3
- - - - 性風俗業 3

(注) 同一の納税者が複数の税目で告発されている場合は、1 者としてカウントしている。

(2) 脱税の手段・方法

告発の多かった業種における脱税の手段・方法として、不動産業では売上除外や架空の経費を計上していたもの、クラブ・バーではホステス報酬に係る源泉所得税を徴収していたにもかかわらず納めていなかったもの、建設業では架空の原価を計上していたものが多く見られました。

そのほか、
  • しろまる 消費税事案では、輸出免税売上に対応する課税仕入の消費税が還付になることを奇貨として、架空の課税仕入とこれに見合う架空輸出免税売上を計上する方法で不正に還付を受けていたもの
  • しろまる 多額の利益がありながら、故意に税を免れようとして、法定申告期限までに申告書を提出しなかったことから、単純無申告ほ脱犯を適用したもの(平成23年度創設)
などがありました。

(3) 不正資金の留保状況及び隠匿場所

脱税によって得た不正資金の多くは、現金、預貯金、株式及び不動産として留保されていたほか、高級外車や腕時計の購入、競馬などの遊興費、特殊関係人に対する資金援助や老人ホームの入居権利金に充当していた事例も見受けられました。

また、不正資金の一部が海外の預金で留保されていた事例や海外のカジノで費消されていた事例もありました。

脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、
  • しろまる 自宅洋室の棚の下に置かれた段ボール箱
に現金を隠していた事例などがありました。

5 査察調査の状況

(1) 動員人数及び調査期間

平成26年度に着手した査察事案では1事件当たり、着手日に65箇所を調査し、延173名を動員しました。
 平成26年度に告発した査察事案では1事件当たり、着手から告発まで5か月の調査期間を要しました。

(2) 検察庁との連携

検察庁との間で、早期かつ綿密な連携を図り、悪質な脱税者に対して厳正に対応しました。また、検察官が強制捜査を行った上で、合同で捜査・調査を実施し真相の解明に至った事案もありました。

(3) 国際化への対応

近年、経済・金融取引のグローバル化が進展している中、国際取引を利用した事案に的確に対応するため、査察国際課による調査支援及び租税条約等の規定に基づく外国税務当局との情報交換制度の活用を積極的に行っています。

平成26年度に処理した事例では、査察官を外国税務当局へ派遣して事案の説明をした上で情報提供を要請したものや、海外からの水増し現金仕入が想定されたことから、情報提供を要請した結果、外国税務当局の調査により相手国に持ち込んだ現金の金額が明らかとなり、真実の現金仕入の金額が判明したものなどがありました。

(4) ICT化への対応

経済取引等のICT化に的確に対応するため、査察開発課による調査支援及びデジタルフォレンジック用機材を活用した電子機器等の電磁的記録の証拠保全、解析を行っています。

6 査察事件の一審判決の状況

  • しろまる 平成26年度中に一審判決が言い渡された件数は42件であり、うち41件について有罪判決が出され、実刑判決が4人に出されました。
     出された実刑判決のうち最も重いものは、懲役1年8月でした。
項目 1 2 3 4 5
年度 判決件数 有罪件数 有罪率
(2/1)
実刑判決人数 1件当たり犯則税額 1人当たり懲役月数 1人(社)当たり罰金額
平成 % 百万円 百万円
内1 内1 内-
24 45 44 97.8 1 97 12.8 21
内8 内8 内5
25 41 41 100.0 5 46 12.4 11
内4 内4 内1
26 42 41 97.6 4 49 14.8 12

(注)

  • 1 表中の内書は他の犯罪との併合事件を示している。
  • 2 3〜5は他の犯罪との併合事件を除いてカウントしている。

7 脱税犯の金銭的負担

[画像:脱税犯の金銭的負担のグラフ]

平成26年度中に判決が確定した不動産業を営む法人が63,603千円を脱税したケースでは、脱税額、加算税額及び罰金など合計100,795千円を追徴しました。

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