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別紙
厚生年金基金制度から確定給付企業年金制度への移行に伴いプラスアルファ部分相当額を会社が一時金として支給した場合の取扱いについて
- 1 事前照会の趣旨
- 当社では、平成17年1月1日に厚生年金基金の代行給付部分を国に返上し、厚生年金基金の権利義務を確定給付企業年金法に定める企業年金基金に承継しました。この企業年金基金への移行により、基本年金のうちのプラスアルファ部分と加算年金部分は、企業年金基金に承継することになりますが、プラスアルファ部分の給付については、規約により一時金として給付することが認められています(確定給付企業年金法38)。
企業年金基金への移行に際し、既退職者である年金受給権者(年金受給者及び受給待期者、以下同じ。)及び非加算適用加入員(加算年金部分を有しない社員)に対し、それぞれ企業年金基金からプラスアルファ部分の一時金(以下「基金一時金」といいます。)が支給されます。加算適用加入員(加算年金部分を有する社員)に対しては、当社から基金一時金に相当する額の金銭を一時金(以下「当社一時金」といいます。)で支給します。
この場合の基金一時金及び当社一時金に係る課税関係について、次のとおりの取扱いでよろしいか伺います。
- (1) 年金受給権者に支給される基金一時金
年金受給権者のうち、受給待期者の場合は退職所得、年金受給者の場合は、将来の年金給付の総額に代えて支給を受ける場合には退職所得となるが、そうでない場合は原則として一時所得となる。
- (2) 非加算適用加入員に支給される基金一時金
一時所得となる。
- (3) 加算適用加入員に支給される当社一時金
給与所得となる。
- 2 事前照会に係る取引等の事実関係
- 基金一時金及び当社一時金の支給の概要は、おおむね次のとおりです(別添参考図参照 (PDF/154KB))。
- (1) 年金受給権者
年金受給権者への基金一時金は、年金受給権者の選択により支給するものであり、一時金選択がない場合には、プラスアルファ部分に係る給付義務は企業年金基金に承継されます。
- (2) 非加算適用加入員
確定給付企業年金制度の加入者は、実施事業所に雇用される被用者年金被保険者等とされていますが、規約で一定の資格を定め、加入者としないことができます(確定給付企業年金法25)。
当社の企業年金基金では、厚生年金基金の加算年金部分を有していない者(非加算適用加入員)については、企業年金基金への移行と同時に加入者としての資格を喪失し、企業年金基金へ移行後のプラスアルファ部分を脱退一時金として精算する給付設計としています。
- (3) 加算適用加入員
当社の企業年金基金では、プラスアルファ部分の給付について、今後、将来にわたり本制度を維持していくには、事務負荷が重く非常に困難と考え、給付減額(廃止)し精算することとしましたが、加算適用加入員に対するプラスアルファ部分(過去分)の給付は資格喪失時(退職時)となります。一方、非加算適用加入員については、企業年金基金への移行時に支給されます。
加算適用加入員は、加算年金部分を有していますが、プラスアルファ部分は、代行給付部分の年金を更に手厚く給付できるように設計された制度(基本年金=代行給付部分+プラスアルファ部分)であり、非加算適用加入員と同様に取り扱う必要があります。また、同じ厚生年金基金に加入していた加入員でありながら、企業年金基金への移行時における給付に不平等が生じることを回避するために、加算適用加入員に対し当社一時金を支給するものです。
- 3 事前照会者の求める見解となることの理由
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- (1) 年金受給権者
所得税基本通達31−1《厚生年金基金等から支払われる一時金》(1)において、確定給付企業年金規約に基づいて支給される年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち、退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの(年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものを含む。)は、退職所得とされています。
したがって、年金受給権者への基金一時金については、当該通達により所得区分を判断し、基金一時金が退職所得に当たる場合には、当該通達の注書きにより同通達30−4《過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金に代えて支払われる一時金》の取扱いに準じ、退職した日の属する年分又は基金一時金の支給期の属する年分の退職所得として取り扱うことになります。
なお、年金受給者への基金一時金が、将来の年金給付の総額に当たるかどうかは、プラスアルファ部分とそれ以外の確定給付企業年金(通常は加算年金部分)の総額が一時金で支払われるかどうかにより判断し、当該プラスアルファ部分のみが一時金で支払われ、加算年金部分が引き続き支給される場合には、原則として一時所得になると考えます。
- (2) 非加算適用加入員
非加算適用加入員に支給される基金一時金は、加入者の退職に基因するものではないので、退職所得ではなく、一時所得になると考えます。
- (3) 加算適用加入員
加算適用加入員への当社一時金は、雇用者である当社が当社又は当社の子会社に出向中の従業員に対して支給するものですので、当社一時金は給与所得に該当すると考えます。
(以上)
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