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令和4年6月
大阪国税局

令和3年度 査察の概要

査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。

国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

1 査察調査の概要

【令和3年度の取組】

  • しろまる 検察庁に告発した件数は21件、脱税総額(告発分)は13億円
     悪質な脱税者に対して厳正な査察調査を実施し、21件を検察庁に告発、告発した査察事案に係る脱税総額は13億円でした。1件当たりの脱税額は、総額分60百万円、告発分62百万円であり、昨年度に引き続き、告発率は72.4%と高水準となりました。
  • しろまる 重点事案(注)を積極的に告発
     消費税事案では、給料手当を外注費であるかのように仮装した消費税不正受還付事案など7件を告発しました。また、申告納税制度の根幹を揺るがす無申告事案は、インターネットショッピングサイトを利用した輸入雑貨通販業者の事案など4件を告発しました。国際事案では、国外法人を利用した国際的な不正スキーム事案を含め4件を告発しました。
  • (注)

    1. 重点事案とは、消費税事案、無申告事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいいます。

    【令和3年度中の判決状況】

  • しろまる 27件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、1人に実刑判決
     実刑判決は、他犯罪との併合に係るもので懲役2年2月でした。

2 重点事案への取組

令和3年度においては、査察制度の目的に鑑み、特に、消費税事案、無申告事案、国際事案、時流に即した事案などの社会的波及効果が高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。

(1) 消費税事案

消費税に対する国民の関心が極めて高いことを踏まえ、消費税事案について積極的に取り組み、令和3年度は7件を告発しました。また、消費税の仕入税額控除制度などを悪用した消費税不正受還付事案は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い事案であることから、引き続き積極的に取り組み、令和3年度は4件を告発しました。

年度 平成 令和
29 30 2 3
告発件数
6 11 8 3 7

(注)

  1. 告発件数は、消費税不正受還付事案を含む。

(参考)消費税不正受還付事案の件数及び不正受還付額

年度 平成 令和
29 30 2 3
告発件数
5 1 6 2 4
不正受還付額 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
45 40 212 35 62

(注)

  1. 1 告発件数は、ほ脱犯との併合事案を含む。
  2. 2 不正受還付額は、未遂の還付額を含む(加算税を除く)。
トピック1 運送業者の消費税不正受還付事案を告発

従業員に対する給料手当を外注費に科目を仮装して、不正に消費税の還付を受けていた法人を告発しました。

【事例】
 A社は、一般貨物運送を行う法人ですが、消費税の課税仕入れの対象とならない従業員給与の一部を、消費税の課税仕入れの対象となる外注費に仮装し、実在する複数の運送業者の名称を一方的に使用した架空の請求書を作成するなどの方法により、課税仕入れに係る消費税額を過大に計上し、不正に消費税の還付を受けていました。

(2) 無申告事案

納税者の自発的な申告・納税を前提とする申告納税制度の根幹を揺るがす無申告によるほ脱犯について積極的に取り組み、令和3年度は4件を告発しました。

年度 平成 令和
29 30 2 3
内1 内4 内- 内2 内-
告発件数
1 5 5 3 4

(注) 告発件数欄の内書は、単純無申告ほ脱事案の件数である。

(参考) 単純無申告ほ脱犯(故意の申告書不提出によるほ脱犯)の規定は、悪質性の高い無申告に厳正に対処するため、平成23年に創設されました。

トピック2 輸入雑貨等の通販を行う法人の無申告ほ脱事案を告発

インターネットのショッピングサイトを利用して、輸入雑貨等を販売していた法人に係る法人税及び消費税の無申告ほ脱事案を告発しました。

【事例】
 B社は、中国などから輸入した雑貨等をインターネットのショッピングサイトを通じて販売している法人ですが、事業実態のない場所を本店所在地とするほか、代表者の知人名義の預金口座等で売上げを回収するなどの方法で所得を秘匿し、確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、法人税及び消費税を免れていました。

トピック3 不動産業者の無申告ほ脱事案を告発

多額の収入を得ていた不動産業者が、申告を行わず、所得税を免れていたことから、無申告ほ脱事案として告発しました。

【事例】
 Cは、建築業者等に対して土地を販売している者ですが、用地買収を行い転売することにより、多額の収入があったにもかかわらず、収支等を明らかにする会計帳簿を作成せず、実際の所得金額とは異なる、内容虚偽の市民税等の申告書を提出するなどの方法により、所得を隠匿した上、不動産売買で得た資金を用いて、事業実態のない法人名義の不動産を取得するなど、事業実態の把握を困難にさせて申告を行わず、所得税を免れていました。

(3) 国際事案

経済社会のグローバル化の進展に伴い、個人・企業による国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中、国際的な脱税への対応が求められています。
 このような状況の中、国外法人を利用した不正スキーム事案などの国際事案に積極的に取り組み、令和3年度は4件を告発しました。

年度 平成 令和
29 30 2 3
告発件数
5 2 2 9 4
トピック4 国外法人を利用した国際的な不正スキーム事案を告発

不動産等販売会社による国外法人を利用した不正スキーム事案について、法人税ほ脱を告発しました。

【事例】
 D社は、富裕層に対して投資用マンション等を販売している法人ですが、国外法人に対して架空の経費を計上するとともに、同経費の支払額(送金額)について、関係者が主宰する国外法人名義の預金口座を経由して、D社の代表者が管理する国外法人名義の預金口座に還流させる国際的な不正スキームを利用し法人税を免れていました。
 なお、査察調査においては、租税条約に基づく情報交換制度(要請に基づく情報交換)を活用し、国外における不正スキームを解明しました。

(4) その他の社会的波及効果が高いと見込まれる事案

時流に即した事案などの社会的波及効果が高いと見込まれる事案に対しても積極的に取り組みました。

トピック5 グループ法人を利用した法人税ほ脱事案を告発

グループ法人に対し、架空の修繕費を計上するなどして、不正に所得を圧縮していた法人7社を告発しました。

【事例】
 E社ほか6社は、不動産業を営む法人であり、不動産取引で多額の利益を得ていましたが、E社を基幹法人として55社で構成されグループ間の取引を利用し、架空の修繕費を計上するなどし、不正に所得を圧縮して法人税を免れていました。

3 不正資金の留保・費消状況及び隠匿場所

脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保されていましたが、高級腕時計や宝飾品、金地金を購入するなど、脱税者が費消していた事例などもみられました。
また、脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、銀行の貸金庫の中に多額の現金を隠していた事例などがありました。

4 査察事件の一審判決の状況

令和3年度中に一審判決が言い渡された件数は27件であり、全てに有罪判決が出され、そのうち実刑判決が1件(1人)に出されました。なお、当該実刑判決は、他犯罪との併合に係るもので懲役2年2月でした。

トピック6 悪質な脱税者に実刑判決

令和3年度においても特に悪質な脱税者に対しては実刑判決が出されています。

【事例】
 F社は、貴金属・宝石の卸売を事業目的とする法人ですが、実際には安価で仕入れた宝石を繰り返し利用して売買を仮装するとともに、あたかも国内で高額で仕入れたかのように偽装(課税取引)した上で、当該商品を国外に輸出売上げ(免税取引)したかのように装う方法により、不正に消費税の還付を受け、又は受けようとしていました。
 同社の代表者は、消費税法及び地方税法違反と他犯罪の併合で、懲役2年2月の実刑判決を受けました。

5 参考計表

(1) 着手・処理・告発件数、告発率の状況

年度 平成 令和
項目 29 30 2 3
着手件数
40 40 35 31 28
処理件数 (A)
40 40 40 27 29
告発件数 (B)
29 29 30 20 21
告発率 (B/A) % % % % %
72.5 72.5 75.0 74.1 72.4

(2) 脱税額の状況

年度 平成 令和
項目 29 30 2 3


総額 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
2,818 2,246 2,647 1,453 1,745
同上1件
当たり
70 56 66 54 60
告発分 2,542 1,355 2,298 1,173 1,307
同上1件
当たり
88 47 77 59 62

(注)

  1. 脱税額には加算税額を含む。

(3) 税目別告発事案の推移

イ 税目別の告発件数

年度 平成 令和
項目 29 30 2 3
所得税
4 2 7 3 2
法人税 19 15 12 13 11
相続税 - - - - -
消費税 内5 内1 内6 内2 内4
6 11 8 3 7
源泉所得税 - 1 3 1 1
合計 29 29 30 20 21

(注)

  1. 消費税の内書は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む。)の告発件数である。

ロ 税目別の脱税額

年度 平成 令和
項目 29 30 2 3
所得税 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
442 102 648 329 144
法人税 1,687 747 1,097 714 707
相続税 - - - - -
消費税 413 430 496 81 361
源泉所得税 - 76 57 49 95
合計 2,542 1,355 2,298 1,173 1,307

(注)

  1. 脱税額には加算税額を含む。

(4) 告発の多かった業種

令和元 2 3
業種 者数 業種 者数 業種 者数
不動産業 9 不動産業 7 不動産業 11
建設業 4 建設業 5 建設業 3
人材派遣 2 サービス業
(他に分類されないもの)
2 その他の小売業 2
飲食業 2 - - - -

(注)

  1. 同一の納税者が複数の税目で告発されている場合は1者としてカウントしている。

(5) 査察事件の一審判決の状況

項目 1 2 3 4 5
判決 有罪 有罪率 実刑判決 1件当たり 1人当たり 1人(社)当
年度 件数 件数 (2/1) 人数 犯則税額 懲役月数 たり罰金額
令和 % 百万円 百万円
内4 内4 内2
30 30 100.0 2 30 13.4 5
令和
内1 内1 内1
2 25 25 100.0 1 55 17.1 14
3
内2 内2 内1
27 27 100.0 1 35 17.2 10

(注)

  1. 1 表中の内書は他の犯罪との併合事件を示している。
  2. 2 3〜5は他の犯罪との併合事件を除いてカウントしている。

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