令和3年6月
大阪国税局
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化の進展を受けた脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、査察を取り巻く環境が変化する中にあっても、社会的に非難されるべき悪質な脱税者を立件・告発するため厳正な調査を実施しています。
(注)
消費税に対する国民の関心が極めて高いことを踏まえ、消費税事案について積極的に取り組み、消費税の輸出免税制度を悪用した、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い消費税受還付事案2件を含む、計3件を告発しました。
年度 | 平成 | 令和 | |||
---|---|---|---|---|---|
28 | 29 | 30 | 元 | 2 | |
告発件数 | 内6 | 内5 | 内1 | 内6 | 内2 |
件 | 件 | 件 | 件 | 件 | |
7 | 6 | 11 | 8 | 3 |
(注)
輸出免税制度を悪用した消費税の不正受還付事案を告発図
納税者の自発的な申告・納税を前提とする申告納税制度の根幹を揺るがす無申告事案について積極的に取り組み、単純無申告ほ脱事案2件を含め、計3件を告発しました。
年度 | 平成 | 令和 | |||
---|---|---|---|---|---|
28 | 29 | 30 | 元 | 2 | |
内1 | 内1 | 内4 | 内− | 内2 | |
告発件数 | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 |
3 | 1 | 5 | 5 | 3 |
(注) 告発件数欄の内書は、単純無申告ほ脱事案の件数である。
ホステスの単純無申告ほ脱事案を告発図
メンタルトレーナーの単純無申告ほ脱事案を告発図
(参考) 単純無申告ほ脱犯(故意の申告書不提出によるほ脱犯)の規定は、悪質性の高い無申告に厳正に対処するため、平成23年に創設されました。
経済社会のグローバル化の進展に伴い、個人・企業による国境を超えた経済活動が複雑・多様化する中、海外に不正資金を隠匿等していた国際事案に取り組み、計9件を告発しました。
年度 | 平成 | 令和 | |||
---|---|---|---|---|---|
28 | 29 | 30 | 元 | 2 | |
告発件数 | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 |
9 | 5 | 2 | 2 | 9 |
不正資金を国外で留保していた法人を告発図
時流に即した事案などの社会的波及効果が高いと見込まれる事案に対しても積極的に取り組みました。
不動産取引で得た多額の利益を圧縮していた法人を告発図
東日本大震災関連業者(法人)を告発図
脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保されていましたが、その他に、高級外車の取得、有価証券の購入などに充てられていた事例も見られました。
なお、不正資金の一部が、海外の預金口座で留保されていた事例もありました。
また、脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、
令和2年度中に一審判決が言い渡された件数は25件であり、全てに有罪判決が出され、そのうち実刑判決が1件(1人)に出されました。なお、当該実刑判決は、他犯罪との併合に係るもので懲役1年2月でした。
悪質な脱税者に実刑判決
令和2年度は、悪質な脱税者に厳正に対処しつつ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いの徹底などの感染防止策を講じた上で、効果的かつ効率的な査察調査の実施に努めました。
査察を取り巻く環境の変化に的確に対応するため、各種資料情報に係るデータを活用した事案の発掘に積極的に取り組んでいます。
特に、平成29年6月の組織的犯罪処罰法等の改正で租税犯がマネー・ローンダリングの前提犯罪となったことに伴い、国税庁は国家公安委員会・警察庁から「疑わしい取引に関する情報」の提供を受けていますので、金融機関等からの届出情報の充実に向けて金融庁等とも協議しており、当該届出情報を含めたデータ活用を推進しています。
年度 | 平成 | 令和 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
項目 | 28 | 29 | 30 | 元 | 2 | |||
着手件数 | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 | |||
41 | 40 | 40 | 35 | 31 | ||||
処理件数 | (A) | |||||||
41 | 40 | 40 | 40 | 27 | ||||
告発件数 | (B) | |||||||
30 | 29 | 29 | 30 | 20 | ||||
告発率 | (B/A) | % | % | % | % | % | ||
73.2 | 72.5 | 72.5 | 75.0 | 74.1 |
年度 | 平成 | 令和 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
項目 | 28 | 29 | 30 | 元 | 2 | |
脱 税 額 |
総額 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 |
4,991 | 2,818 | 2,246 | 2,647 | 1,453 | ||
同上1件 | 122 | 70 | 56 | 66 | 54 | |
当たり | ||||||
告発分 | 4,776 | 2,542 | 1,355 | 2,298 | 1,173 | |
同上1件 | 159 | 88 | 47 | 77 | 59 | |
当たり |
(注)
年度 | 平成 | 令和 | |||
---|---|---|---|---|---|
28 | 29 | 30 | 元 | 2 | |
区分 | |||||
所得税 | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 |
10 | 4 | 2 | 7 | 3 | |
法人税 | 12 | 19 | 15 | 12 | 13 |
相続税 | 1 | - | - | - | - |
消費税 | 内6 | 内5 | 内1 | 内6 | 内2 |
7 | 6 | 11 | 8 | 3 | |
源泉所得税 | - | - | 1 | 3 | 1 |
合計 | 30 | 29 | 29 | 30 | 20 |
(注)
年度 | 平成 | 令和 | |||
---|---|---|---|---|---|
区分 | 28 | 29 | 30 | 元 | 2 |
所得税 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 |
800 | 442 | 102 | 648 | 329 | |
法人税 | 1,113 | 1,687 | 747 | 1,097 | 714 |
相続税 | 244 | - | - | - | - |
消費税 | 内2,583 | 内379 | 内54 | 内414 | 内49 |
2,619 | 413 | 430 | 496 | 81 | |
源泉所得税 | - | - | 76 | 57 | 49 |
合計 | 4,776 | 2,542 | 1,355 | 2,298 | 1,173 |
(注)
平成30 | 令和元 | 2 | |||
---|---|---|---|---|---|
業種 | 者数 | 業種 | 者数 | 業種 | 者数 |
不動産業 | 8 | 不動産業 | 9 | 不動産業 | 7 |
建設業 | 6 | 建設業 | 4 | 建設業 | 5 |
ビルメンテナンス | 3 | 人材派遣 | 2 | サービス業 (他に分類されないもの) |
2 |
人材派遣 | 2 | 飲食業 | 2 | - | - |
(注)
項目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
判決 | 有罪 | 有罪率 | 実刑判決 | 1件当たり | 1人当たり | 1人(社)当 | |
年度 | 件数 | 件数 | (2/1) | 人数 | 犯則税額 | 懲役月数 | たり罰金額 |
平成 | 件 | 件 | % | 人 | 百万円 | 月 | 百万円 |
内- | 内- | 内- | |||||
30 | 31 | 31 | 100.0 | 2 | 50 | 14.7 | 9 |
令和 | |||||||
内4 | 内4 | 内2 | |||||
元 | 30 | 30 | 100.0 | 2 | 30 | 13.4 | 5 |
2 | |||||||
内1 | 内1 | 内1 | |||||
25 | 25 | 100.0 | 1 | 55 | 17.1 | 14 |
(注)