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  6. 株式交換に反対する個人株主の株式が買取請求に基づき買い取られた場合の課税関係について(別紙)

(別紙)
株式交換に反対する個人株主の株式が買取請求に基づき買い取られた場合の課税関係について

1−1 事前照会の趣旨

当社(以下「甲社」といいます。)は、乙社との間で、甲社を株式交換完全子会社、乙社を株式交換完全親会社とする株式交換(以下「本件株式交換」といいます。)を行う予定です。本件株式交換に伴い、本件株式交換の効力発生前に東京証券取引所及び大阪証券取引所における甲社株式の上場を廃止します。
株式交換をする場合、会社法では、反対株主は、株式交換完全子会社に対し、自己の所有する株式を公正な価格で買い取ることを請求できるとされており、甲社は、本件株式交換の反対株主からの甲社株式の買取請求に応じて、甲社株式の買取り(以下「本件買取り」といいます。)を行います。
この場合、本件買取りにより、金銭の交付を受ける個人(居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者をいいます。)株主の課税関係は下記のとおりと解してよろしいかご照会申し上げます。

  • 1 個人株主が交付を受ける甲社株式の対価については、甲社の連結個別資本金等の額(法人税法第2条第17号の2に規定する連結個別資本金等の額をいいます。)のうちその交付の基因となった甲社株式に対応する部分の金額を超える部分の金額は、配当等とみなされ、その配当等とみなされる部分の金額を除く部分の金額は、株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる。
  • 2 本件買取りにより配当等とみなされる部分の金額(配当所得)に対する税率については、上場株式等に係る配当所得に対する税率の特例措置、また、株式等に係る譲渡所得等に対する税率については、上場株式等に係る譲渡所得等に対する税率の特例措置の適用がある。
  • 3 本件買取りに係る上記1及び2の配当所得及び株式等に係る譲渡所得等の収入すべき時期は、原則として、本件株式交換の効力発生日となりますが、甲社株式の価格が、1反対株主と株式交換完全子会社との間の協議により決定した場合は、当該協議が調った日、2裁判所により決定した場合は、当該決定日を収入すべき時期として差し支えない。

1−2 事前照会に係る取引等の事実関係

本件株式交換に係るスケジュールは以下のとおりです。
平成23年A月22日 甲社と乙社の間で株式交換契約締結
平成23年B月15日 株式交換公告
平成23年C月2日 甲社株主総会(株式交換契約承認)
平成23年C月12日 反対株主の買取請求開始
平成23年C月28日 甲社株式最終売買日
平成23年C月29日 甲社株式上場廃止(東京証券取引所及び大阪証券取引所)
平成23年C月31日 反対株主の買取請求終了
平成23年C+1月1日 株式交換の効力発生日
以後、反対株主と甲社株式の価格について協議

1−3 事前照会者の求める見解となることの理由

1 株式交換に反対する株主の買取請求

株式交換する場合、反対株主は、株式交換完全子会社に対し、自己の有する株式(株式交換完全子会社の株式)を公正な価格で買い取ることを請求することができるとされています(会社法7851)。株式買取請求は、株式交換の効力発生日(以下「効力発生日」といいます。)の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならないとされています(同法7855)。そして、当該買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日にその効力を生ずるとされています(同法7865)。
また、株式の価格は、1反対株主と株式交換完全子会社との間に協議が調ったときは、その価格となり、2効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、反対株主又は株式交換完全子会社は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に価格の決定の申立てをすることができ、裁判所の決定した価格となります(同法78612)。

2 上場の廃止

東京証券取引所の定める有価証券上場規程等では、上場会社が株式交換等により他の会社の完全子会社となる場合には、その上場を廃止するとされており、その株式交換等の効力発生日の3日前(休業日を除外します。)の日に上場が廃止されることとされています。
また、大阪証券取引所も同様の規定となっております。

3 照会事項1について

個人株主の所有する株式について、発行法人による自己の株式の取得により個人株主が金銭の交付を受けた場合、その交付を受けた金銭の額のうち、その法人の連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となった当該法人の株式に対応する部分の金額を超える部分の金額に係る金銭は配当等とみなされ(所法251四)、配当等とみなされる部分の金額を除く部分の金額は、株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされます(措法37の103四)。

(注) 一定の事由による法人による自己の株式の取得は、配当所得の対象から除かれていますが、株式交換に反対する株主の買取請求に基づく買取りは、この一定の事由には含まれていません(所令61)。

したがって、本件の場合、反対株主が交付を受ける甲社株式の対価については、甲社の連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となった甲社株式に対応する部分の金額を超える部分の金額は、配当等とみなされ、その配当等とみなされる部分の金額を除く部分の金額は、株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされることになります。

4 照会事項2について

法人の自己の株式の取得による配当所得及び株式等に係る譲渡所得等の収入すべき時期は、それぞれ、「その法人の取得の日」とされており(所基通36−4(3)ホ、措通37の10−1(6)ホ)、本件の場合、原則として、本件株式交換の効力発生日である平成23年C+1月1日となります。収入すべき時期は、甲社株式の上場廃止(平成23年C月29日)後となりますが、以下の理由から、本件買取りについて、上場株式等に係る配当所得等に対する税率の特例措置及び上場株式等に係る譲渡所得等に対する税率の特例措置の適用があるものと考えます。

(1) 上場株式等に係る配当所得に対する税率の特例措置

措置法第8条の4《上場株式等に係る配当所得の課税の特例》第1項に規定する上場株式等に係る配当所得に対する所得税の税率は、平成21年1月1日から平成25年12月31日までの間は、7%(ほかに住民税3%)とされています(平成20年改正法附則321、措法8の41)。
本件の場合、以下の理由から本件買取りによる配当所得は、上場株式等に係る配当所得と取り扱うのが相当と考えます。

  • 1 完全子会社化に伴う上場廃止の日がその効力発生日の3日前の日とされているのは、取引所における株式売買では株式の受渡しが約定の日から起算して3営業日目の日とされているため、効力発生日の3日前に上場を廃止し、取引所での取引を停止することで効力発生日において受渡しを完了させ、株主を確定することができるというやむを得ない事情によるものであること。
  • 2 本件株式交換が公表(公告)された時点(平成23年B月15日)、本件株式交換に係る総会の決議が行われる時点(平成23年C月2日)及び反対株主が買取請求権を行使できる時点(平成23年C月12日)では、甲社株式は上場株式であるとともに、効力発生日における個人株主は、効力発生日の3日前の上場最終日時点ではその株主であったこと。

(2) 上場株式等に係る譲渡所得等に対する税率の特例措置

措置法第37条の11の3《特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例》第2項に規定する上場株式等について、措置法第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第2項各号に掲げる上場株式等を譲渡した場合には、その上場株式等の譲渡に係る譲渡所得等に対する所得税の税率は、平成22年1月1日から平成25年12月31日までの間は、7%(ほかに住民税3%)とされています(平成20年改正法附則432、措法37の103)。
そして、上場株式等の発行法人による自己の株式の取得は、上場株式等に係る譲渡所得等に対する税率の特例措置の対象となる上場株式等の譲渡に該当するとされています(措法37の12の22四)。
したがって、本件買取り(譲渡)による譲渡所得等についても、上記(1)と同様、上場株式等に係る譲渡所得等と取り扱うのが相当と考えます。

5 照会事項3について

上記4のとおり、法人の自己の株式の取得による配当所得及び株式等に係る譲渡所得等の収入すべき時期は、それぞれ、「その法人の取得の日」とされており、本件の場合、効力発生日である平成23年C+1月1日となります。
ただし、本件株式交換の反対株主に対する甲社株式の価格の決定は、平成23年C+1月1日後に行われる1反対株主と甲社との間の協議、又は2裁判所の決定によるものであることから、株式の価格が1協議により決定した場合は、当該協議が調った日、2裁判所により決定した場合は、当該決定日を収入すべき時期として差し支えないと考えます。

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