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令和元事務年度における法人税等の調査事績について

法人税等の調査事績の概要

1 法人税等の実地調査の状況

非違があった法人1,376件、申告漏れ所得金額112億22百万円

令和元事務年度においては、大口・悪質な不正計算が想定される法人など、調査必要度が高い法人1,865件(対前年比85.0%)について実地調査を実施した。
このうち、法人税の非違があった法人は1,376件(同82.8%)で、その申告漏れ所得金額は112億22百万円(同78.7%)となっている。

不正計算があった法人411件、不正所得金額38億96百万円

非違があった法人のうち、仮装又は隠蔽により所得を脱漏していた、いわゆる不正計算があった法人は411件(対前年比90.1%)で、その不正所得金額は38億96百万円(同73.0%)となっている。

表1 法人税等の実地調査の状況
30事務年度 元事務年度
対前年比
実地調査件数1 2,193 1,865 85.0%
非違があった件数 1,661 1,376 82.8%
同上のうち不正計算があった件数2 456 411 90.1%
申告漏れ所得金額3 14,250 百万円 11,222 百万円 78.7%
同上のうち不正所得金額4 5,337 百万円 3,896 百万円 73.0%
調査1件当たりの申告漏れ所得金額(3/1) 6,498 千円 6,017 千円 92.6%
不正1件当たりの不正所得金額(4/2) 11,704 千円 9,478 千円 81.0%
追徴税額 本税額 2,837 百万円 2,038 百万円 71.8%
加算税額 555 百万円 401 百万円 72.2%
追徴税額合計 3,392 百万円 2,439 百万円 71.9%

(注)追徴税額には地方法人税を含む。

2 不正発見割合及び不正計算の手口の状況

しろまる 不正発見割合の状況

不正発見割合の高い業種、料理・旅館・飲食業がトップ

令和元事務年度において法人税等の実地調査を実施した法人のうち、不正計算により所得を脱漏していた法人の割合は22.0%で、これを業種別でみると、料理・旅館・飲食業が54.8%と最も高く、次いで建設業26.3%、運送業21.6%の順となっている。
また、不正計算があった法人のうち1件当たりの不正所得金額をみると、最も多いものは小売業の1,699万円となっている。

表2 業種別の不正発見の状況
不正発見割合 1件当たり不正所得金額
順位 前年順位 順位 前年順位
% 千円
料理・旅館・飲食業 54.8 1 1 7,250 6 6
建設業 26.3 2 2 9,090 4 1
運送業 21.6 3 7 5,940 8 5
サービス業 19.8 4 4 8,502 5 4
小売業 18.5 5 3 16,993 1 7
卸売業 18.3 6 6 11,209 2 2
製造業 18.1 7 8 10,422 3 8
その他の業 17.4 8 5 6,108 7 3
全業種計 22.0 9,478

しろまる 不正計算の手口の状況

架空外注費を計上した不正計算がトップ

令和元事務年度において法人税等の実地調査を実施した法人のうち、不正所得金額が1千万円以上あった92法人について、不正所得金額を不正計算の形態別で見ると、架空外注費を計上していたものが8億72百万円(構成割合26.6%)と最も多く、次いで売上げ(収入金額)を除外していたものが8億円(同24.4%)、架空仕入れを計上していたものが5億1百万円(同15.3%)の順となっている。
件数別に見ると、雑収入を除外していたものが52件(同26.0%)と最も多く、次いで架空経費を計上していたものが49件(同24.5%)、売上げ(収入金額)を除外していたものが39件(同19.5%)の順となっている。

表3 不正計算の形態
不正所得金額 延べ法人数
構成割合 構成割合
百万円 % %
架空外注費 872 26.6 21 10.5
売上(収入金額)除外 800 24.4 39 19.5
架空仕入れ 501 15.3 15 7.5
架空経費 389 11.9 49 24.5
雑収入除外 288 8.8 52 26.0
棚卸除外 191 5.8 5 2.5
架空人件費 169 5.1 11 5.5
その他 70 2.1 8 4.0
3,280 100.0 200 100.0
(実法人数は92法人)

法人消費税の調査事績の概要

調査による追徴税額は9億89百万円

令和元事務年度においては、法人消費税について、1,844件(対前年比86.5%)の実地調査を実施した。
このうち、消費税の非違があった法人は1,049件(同84.3%)で、その追徴税額は、9億89百万円(同64.4%)、調査を実施した法人1件当たりの追徴税額は536千円(同74.5%)となっている。

表4 法人事業者に対する消費税の調査状況
30事務年度 元事務年度
対前年比
実地調査件数1 2,133 1,844 86.5%
非違があった件数 1,244 1,049 84.3%
同上のうち不正計算があった件数2 363 331 91.2%
調査による追徴税額3 1,535 百万円 989 百万円 64.4%
同上のうち不正計算に係る追徴税額4 478 百万円 412 百万円 86.3%
調査1件当たりの追徴税額(3/1) 720 千円 536 千円 74.5%
不正1件当たりの追徴税額(4/2) 1,317 千円 1,246 千円 94.6%

(注)調査による追徴税額には地方消費税額(譲渡割額)及び加算税額を含む。

源泉所得税等の調査事績の概要

調査による追徴税額は3億90百万円

令和元事務年度においては、2,459件(対前年比84.8%)の源泉徴収義務者について実地調査を実施した。
このうち、源泉所得税等の非違があった源泉徴収義務者は635件(同80.9%)で、その追徴税額は3億90百万円(同89.8%)となっている。

表5 源泉所得税の実地調査の状況
30事務年度 元事務年度
対前年比
実地調査件数 2,900 2,459 84.8%
非違があった件数 785 635 80.9%
調査による追徴税額 435 百万円 390 百万円 89.8%

(注)

  1. 1 平成25年1月1日以後に生じる所得に係る追徴税額から、復興特別所得税が含まれている。
  2. 2 調査による追徴税額には加算税額を含む。

主要な取組

消費税還付申告法人に対する取組
〜還付申告を行っていた法人から62百万円を追徴〜

消費税は、国民の関心が極めて高く、また、令和元年10月1日より消費税率が引き上げられたことにより、適正な税務執行が一層求められている。
こうした中、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースも見受けられることから、還付申告を行う法人に対する指導や調査に重点的に取り組んでいる。
令和元事務年度は、消費税還付申告法人110社(対前年比86.6%)に対して実地調査を実施した結果、62社(同79.5%)から62百万円(同9.1%)の消費税額を追徴し、そのうち15社は不正に還付金額の水増しなどを行っており、17百万円を追徴した。

しろまる 消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況

平成29事務年度から令和元事務年度の消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況の推移のグラフ

29事務年度 30事務年度 元事務年度
実地調査件数 169 127 110
消費税 非違があった件数 77 78 62
同上のうち不正計算があった件数 12 15 15
追徴税額 百万円 91 678 62
同上のうち不正計算に係る追徴本税額 百万円 5 51 17
海外取引法人に対する取組
〜海外取引調査で17億40百万円の申告漏れを把握〜

企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人に対しては、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用し、深度ある調査に取り組んでいる。
令和元事務年度は、海外取引法人224社に対して実地調査を実施した結果、83社(対前年比62.4%)から海外取引に係る申告漏れ所得金額17億40百万円(同135.8%)、うち不正所得金額1億42百万円を把握した。

しろまる 海外取引法人に対する実地調査の状況

平成29事務年度から令和元事務年度の海外取引法人に対する実地調査の状況の推移のグラフ

29事務年度 30事務年度 元事務年度
実地調査件数 350 281 224
法人税 海外取引に係る非違があった件数 161 133 83
同上のうち不正計算があった件数 20 19 9
海外取引に係る申告漏れ所得金額 百万円 2,127 1,281 1,740
同上のうち不正所得金額 百万円 529 202 142

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