建築環境研究室トップページ > 既存住宅の省エネルギー改修に関する研究

既存住宅の省エネルギー改修に関する研究

最終更新日:2011年10月31日

住宅内のエネルギー消費量を削減することは、社会的にも喫緊の課題となっています。
これを受けて、「住宅事業建築主の判断の基準」などの新築住宅の省エネルギーを評価する施策がスタートしております。一方で、既に建設された住宅の戸数は新築に比べてかなりあるため、国全体を挙げて住宅の省エネルギーを推進するためには、ストックとしての既存住宅の省エネルギーを目的とした改修を推進していくことが不可欠であると言えます。
このような背景を受けて、国土技術政策総合研究所では、既存住宅の省エネルギー改修を推進するための研究プロジェクト(住宅種別に応じたエネルギー消費性能評価法の開発)を平成22年度に立ち上げました。

研究フロー
研究フロー

年代区分別の躯体および設備の性能に関する調査

省エネルギー改修の効果を定量的に評価する方法として、改修前後のエネルギー消費量を計算し比較することが考えられます。ただし、改修前のエネルギー消費量を計算するにあたり、建物や設備・機器の図面やカタログ等の紛失などにより、改修前の既存住宅にどのような性能・仕様の機器が設置されているかが判別しにくい場合が多いことが予想されます。そこで、建設時期や設備・機器の設置時期と性能・仕様との関係を整理し、建設時期や設備・機器の設置時期を手がかりにおおよその省エネ性能を予測することができるように検討します。
本プロジェクトでは、既往文献を中心に建設時期別の既存住宅に関する躯体性能および設備性能を把握し、躯体については、断熱・日射遮蔽を対象として構法や部材等の仕様を整理し、設備については、暖房および給湯設備・機器を中心に、システム構成や機器の種別、性能値の変遷を調査整理しました。

省エネルギー改修の技術と事例の調査

省エネルギーを目的とした改修は、窓サッシの交換や小屋裏の断熱改修などのいくつかの省エネルギー改修技術で構成されるといえます。そこで、これらの省エネルギー改修技術の既存住宅への適用上の留意点や課題、省エネルギー性能の向上のレベルなどについて、特徴を整理しました。
調査するにあたり、既往文献、工務店や設計事務所がインターネットのホームページ上で公開している省エネ改修事例、関連団体や建材メーカーへのヒアリング調査等により情報を収集しました。調査で得られた技術情報を、躯体については、部位毎に断熱・気密・遮熱改修技術の特徴、適用条件、改修効果等に分類し整理し、設備については、工種毎に各種改修技術の特徴を整理しました。

省エネルギー改修の想定(改修前の性能と改修メニューの検討)

査結果を踏まえて、省エネルギー改修技術を組み合わせた改修のモデルケースを設定しました。モデルケースを設定する際には、ある程度の家族およびそのライフステージの変化を想定し、省エネルギー改修のシナリオとして、改修規模や改修手法、改修コストに関する概要を整理しました。
一般的に、省エネルギーだけを目的とした改修は実施されず、バリアフリーや耐震改修などのその他の工事を機会に省エネルギー改修項目を付加して実施されることが想定されます。そこで、契機となる改修動機・改修工事の傾向を把握し、それらに対し付加する省エネルギー改修メニューを整理しました。

建設年代区分別の住宅について、その仕様(改修前の仕様)を「改修前モデル仕様」として設定しました。躯体の断熱性能は建設当時の性能とし、建設年代区分とその躯体・設備の仕様を以下のように設定しました。

記号 想定する年代 躯体の省エネ性能 設備の省エネ性能
A 〜1979年 S55年基準未満 低
B 1980〜1991年 S55年基準相当 中
C 1992〜1998年 H04年基準レベル 中

これらの年代ごとに改修メニューを想定しました。その際、省エネルギー以外の改修を契機として省エネルギー改修がなされることを想定し、省エネルギー以外の改修項目ごとに想定される省エネルギー改修メニュー(「道連れ工事」)を整理しました。

評価ツールと事前診断手法の開発

省エネルギー改修の省エネルギー効果を評価する方法、および改修前の既存住宅のエネルギー性能を目視や簡単な計測機器を用いて評価する方法について、検討しています。

省エネルギー改修の要素技術の整理

窓改修や断熱改修などの個々の省エネルギー改修の要素技術について、その省エネルギー効果や実施する上での留意点や技術的問題点、コストなどについて、整理しています。

検討内容の概要

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /