令和元年度まで国立感染症研究所感染症疫学センターが担っていた業務には、疫学調査研究、ワクチンの効果及び副反応に関する調査研究、検査技術研修、並びに感染症サーベイランスなどがあるが、東京オリンピック・パラリンピックや大阪・関西万博などによる感染症発生の危機の可能性を控え、感染症疫学センターの業務が多岐に亘っており、一つのセンターでは十分な役割を果たすことが困難となってきていた。
このような状況の中、感染症疫学センターの危機対応関連部門、病原診断部門、講習部門を分離し、新たに感染症の危機管理部門を担う組織として令和2年4月に感染症危機管理研究センターが設置された。また新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延を踏まえ、令和3年4月に大幅に機能と人員を拡大し、危機対応演習・訓練の実施支援・プログラム開発、緊急時検査体制の構築・対応支援等の機能強化が行われた。
感染症危機管理研究センターは、次に掲げる業務を行っている。
一 感染症その他の特定疾病の危機管理に関し、情報の収集及び分析、訓練並びに広報並びにこれらに必要な科学的調査及び研究並びにこれらに関する講習の実施。
二 感染症の判別のための検査並びにこれらに必要な科学的調査及び研究(これらに関するレファレンス業務を含む。)並びにこれらに関する講習の実施。
感染症危機管理研究センターは八室からなり、各室の所管は以下の通りである。
第一室(企画管理室)
研究、研修の企画及び調整並びにセンター長を補佐し、センターの事務処理に関すること。
第二室(緊急時対応室)
感染症その他の特定疾病の危機管理に関する調査及び研究並びに関係行政機関への連絡調整に関すること。
第三室(クライシスコミュニケーション室)
感染症その他の特定疾病の危機管理に関する情報の提供に関すること。
第四室(病原体診断室)
未同定の病原体材料の検査、他部の所管に属さない病原体のレファレンス業務及び病原体検出技術の開発研究に関すること。
第五室(演習・訓練企画支援室)
危機対応演習・訓練の実地支援、プログラムの開発に関すること。
第六室(細菌研修室)
細菌性疾患に関する検査情報の収集、解析及び提供並びに検査技術の開発研究並びに地方感染症情報センター及び地方衛生研究所における検査技術の向上及び標準化の支援に関すること。
第七室(ウイルス研修室)
ウイルス性疾患に関する検査情報の収集、解析及び提供並びに検査技術の開発研究並びに地方感染症情報センター及び地方衛生研究所における検査技術の向上及び標準化の支援に関すること。
第八室(危機対応検査準備室)
緊急時における検査体制の向上及び地方衛生研究所等への支援に関すること。
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