NEDO水素・燃料電池成果報告会2024
団体名:
発表日:2024年7月 日
発表No.
連絡先:株式会社 デンソー
https://www.denso.com/jp/ja/18燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業/燃料電池の多用途活用実現技術開発/
低コスト高効率化技術を用いた燃料電池システムによる多用途活用技術開発
P1-32
株式会社 デンソー
◼事業概要
1. 期間
2. 最終目標
3.本事業を実施する背景目的
燃料電池システムのコストダウンと更なる高効率化技術開発を実施。
その上で、多用途展開を図るためのシステムやインターフェース等の開発、およびエネマネ等を含めた実証検討を行う。
・コストダウン:ユーザ取得価格50万円/kW以下(水素・燃料電池戦略ロードマップ H31年3月12日、台数前提あり)
・AC発電効率: 65%以上(同上)
・多用途活用の為の実現技術開発: 実証研究により、適用可能性、CO2低減効果等を実証(24年度)
開始 :2020年9月
終了(予定) :2025年3月
【最終目標(24年度末)】
SOFCは高効率な発電システムであることから、一次エネルギー削減やCO2低減機器として期待されている。
更に、PV(太陽光発電)等の再エネの不安定さをカバーする調整力としても活用できることから、再エネ普及を後押し
するポテンシャルも秘めていると考えられる。
しかしながら、まだ思うように業務用市場の拡大が図られていないのが現状であり、これは価格が高く十分な経済性が
確保されていないことが、要因の一つであると考えている。
そこで、SOFCの更なる普及拡大を目的とし、コストダウン&高効率化技術開発を実施することで、更なるCO2削減が
でき、且つ経済性も確保した自立普及可能なSOFCシステムを開発する事を目標とする。
<研究開発の概要>
1コストダウン技術開発
2高効率化技術開発
レイアウト最適化による低コスト化
・モジュールを大幅に小型化し、材料コストの低減を図る→コンポレイアウトと内部熱マネージメント最適化技術開発
工法革新による低コスト化
・溶接速度向上: 欠陥を出さない溶接状態の定量化
・検査レス化: リアルタイムでの溶接健全性把握 →溶接中の視覚検査他によるリークレス保証技術開発
・放熱ロス低減、燃料利用率の高精度化で発電効率向上 →熱マネ最適化、センサ適合技術/制御技術開発
熱マネ最適化、センサ活用による高効率化
3多用途実用技術開発
・調整力電源やバイオ燃料適用等、課題と対応施策を明確化した上で、実現に対する可能性を明確化する
高効率価値提供による新市場創出(多用途活用)
国内発電所最高発電効率63.62%
(東北電力上越火力発電所2023年1月30日時点)
家庭用 業務用 産業用65+20%pt65%出展:JSAE エンジンレビュー(Vol. 9 No.1 2019)に加筆
火力平均
発電効率 44.1%
※(注記)東京電力ホールディングス様HPより
平成28年2月9日 経済産業省 総合資源エネルギー調査会 、託送供給約款より
※(注記)東京電力(低圧) 6.4% 関西電力(低圧) 7.8%
最先端技術でも効率59%が限界 (60%超えは現時点では得られない値)
住宅/集合住宅
商店/小規模工場
柱上変圧器(低圧)
44.1〜63.62%
発電所
使用端効率 ~59% ※(注記)一般的な使用端効率は
36.9% (2013年 経済産業省)
※(注記)
発電所から送電までの効率
低圧受電
使用端
送電ロス6.4%環境性/経済性
➢CO2削減
杉の木 1,300本相当
※(注記)杉の木のCO2吸収量原単位=14kg-CO2/年
(「地球温暖化防止のための緑の吸収源対策」環境省/林野庁)
▲さんかく18t-CO2/年
18kW(4台)
全電源代替値
0.429
kg-CO2/kWh0.31※(注記)都市ガス (環境省)
2.23kg-CO2/Nm3
➢省エネ
令和6年 環境省報告
<研究開発の狙い>
<研究開発のスケジュール>
2020年度:コストダウンを目指した基礎技術開発
2021年度:コストダウン実用化開発と発電効率向上目途付け
2022年度:62%超を狙った高効率化技術基礎開発、及び多用途展開構想検討
2023年度:高効率化技術の実用化検証、多用途実証課題明確化
2024年度:発電効率65%システム量産化課題抽出と対応、及び多用途実証研究による適用可能性明確化
◼研究開発の成果
1工法革新による低コスト化技術開発
◼研究開発の成果
2高効率化技術開発
3システム化技術開発
燃料電池モジュールの小型化/熱マネ改良を反映した23年度システム機の設計試作を実施し、課題検証を開始
<23年度システム外観>
23年度末目標AC発電効率63%を確認。改良ポイントを抽出しAC発電効率65%の目途付け完
各評価(連続運転500時間/発停繰り返し)とも顕著な劣化傾向が無い事を確認し、耐久信頼性9万時間見込み
3多用途実用技術開発
➢ガスエンジン発電機を高効率SOFCに置き換えることでバイオ燃料の有効活用
高効率発電でバイオ燃料を有効活用、化石由来燃料使用削減でCO2削減量の増大を狙う
課題:バイオガスでの熱マネ、燃料リサイクル最適化検証、被毒物質(特にリン)対応
◼実用化/事業化の見通し、今後の進め方
<多数台連結時のイメージ>
1コストダウン技術開発:構成部品の削減/安価材料への変更、作り易い構造/構成に向けた改良推進。
へり継手に対する溶接不安定要因の明確化と"重ね"、"へり"以外に実機で 採用する継手形状でのデータ収集と
評価を積上げ、本技術の信頼性検証。
2高効率化技術開発:長期耐久性確認とセンサばらつきを考慮した出力補正を織り込み、モジュール/システム実機での高効率化検証
3システム化技術開発:最新改良モジュールを搭載したシステムにてAC発電効率65%の確認と長期耐久性の検証。
4多用途実用技術開発:被毒物質(主としてP)除去技術開発(実証フィールドでのバイオガス発電評価にて効果確認、運用課題抽出)。
➢今後の進め方1次エネルギー換算値
(MJ/kWh)
燃料電池発電効率
系統電力 1次エネルギー換算
8.64MJ/kWh
※(注記)2023年度版 エネルギーの使用の合理化及び
非化石エネルギーへの転換等に関する法律
(資源エネルギー庁)
SOFC 6.14MJ/kWh65%▲さんかく29%
原油換算削減量▲さんかく2.5kL/年 @SOFC4.5kW
<製品溶接部位> <モニタリング事例>
溶接欠陥部拡大(穴あき)
重ね溶接 ヘリ溶接
・ワーク隙間
・仮止め有無
・アシストガス
・スパッタ
・プルーム(ヒューム)
・ワーク隙間
・仮止め有無
・アシストガス
・スパッタ
・プルーム(ヒューム)
・溶接位置ズレ
・ワーク段差
隙間
段差
隙間
重ね継手と比較して、ヘリ継手は溶接位
置精度、部品段差等の変動要因が多い
ヘリ継手に対する不安定要因の検証(レーザ狙い場所位置精度、部品段差、部品隙間寄与明確化)と
"重ね"、"ヘリ"以外の継手評価
➢"ヘリ"に対しては溶接正常部であっても発光強度面積安定せず(欠陥抽出に至らず)
溶接部位"重ね継手"
➢"重ね"に対しては発光輝度面積により正常部と欠陥部の区別ができそうな感触を得た
溶接部位8 "ヘリ継手"
➢アピールポイント
・高効率発電による省エネルギー、CO2削減
系統電力使用時に対しCO2約▲さんかく27%
高発電効率で排熱(お湯)を利用しなくても経済性確保
・エネルギー供給強靱化、分散電源推進への貢献
停電時運転継続機能でBCPに寄与
・多様なCN燃料の活用によるグリーン電力創出
(水素混合/バイオ燃料等の有効活用によるCO2削減)
開発目標
発電出力 4.5kW
発電効率 65%
熱出力 モノジェネ(電気のみ出力)
電源出力 単相二線式 200V
ユニット体格 H1,800 / W1,050 / D800mm
ガス種
都市ガス
将来構想:CN燃料(水素、バイオ等)
耐久信頼性 10年(9万時間)
出展:バイオガス事業推進協議会 「バイオガス事業の栞 2019」に加筆
<構想>
<期待できる効果>
同量バイオガスで、約1.9倍のグリーン電力の生成が可能
売電収入UPで経済性(投資回収)良化により、普及加速が期待できる
発電効率32%25kW※(注記) 低位発熱量23.0MJ/Nm3
(5.5Mcal/Nm3)換算47kW発電効率60%78kWバイオガス 12.2m3/h
※(注記) SOFC多数台想定時
出展:SOFCの化学的耐久性に関する
研究:現状と将来展望
(九州大学 佐々木氏)
NEDO 報告書 20140000000777
バイオガス中に含まれるSOFCに対する被毒物質の除去
物質S ClSi P
H2S COS CH3SH SO2 Cl2 HCI
許容値
(ppb)
<30 <200 <1000 <2
・ガスエンジン向けバイオガスの分析(豚糞尿による発酵ガス)
・被毒物質と許容値(文献調査)
<既設脱硫設備>生物脱硫乾式脱硫
発酵ガス 精製ガス
H2S: 1200ppm
HCl: 0.78ppm
Si: 測定限界以下
H2S: 10ppm(許容値外れ)
HCl: 0.20ppm
P: 0.341ppm P: 0.018ppm(許容値外れ)
Si: 測定限界以下
硫黄酸化
細菌 酸化鉄+水流
<適用のための課題>
>P(リン)除去については汚泥、排水処理にたいして既存技術があるが
ガス中のP除去およびppbを保証する技術はない
>H2Sは水添脱硫器で数ppbまで除去可能(技術あり)
(課題)安価なバイオガス中の脱リン技術の開発
<性能評価結果>
23年度
(目標)
AC発電効率 63%
AC出力 4.5kW級
指標
23年度
(実績)
63.0%
4.4kW
24年度末目標
(最終目標)
4.5kW級
65%以上
<連続運転、異常停止繰返し評価結果>
(システム耐久評価結果) (異常停止繰返し評価結果)
(注)22年度試作機 劣化傾向なし
指標 23年度(実績) 24年度末目標(最終目標)
耐久信頼性 10年9万時間目途付け
・22年度旧システムで500hr 運転し
顕著な劣化傾向なし100CS
電圧変化率CS温度
劣化傾向なし
(2) モジュール熱マネ最適化による『CS均温化』
➢CS放射状配置による
『輻射熱マネ活用』
空気流路(内側)
空気流路(外側)発熱発熱吸熱CS吸熱断熱材吸熱CS起動バーナ オフガスバーナ
➢発熱部(オフガスバーナ)中央配置による
『外部放熱抑制』
CS CS
発熱コンポ(バーナ)を吸熱コンポで囲う構成
CS輻射にて、少量空気でCS冷却
(補機損低減+CS均温化)
<発電効率評価結果>
19年度
燃料利用率向上
輻射熱マネ
23年度
DC効率
71.2%
AC効率※(注記)
(65%)
最終目標
※(注記)×ばつ0.913
(BOP、PCS効率)
外部放熱抑制
(CS本体の改善)
(AC65.4%)
DC71.6%
(AC60%)
DC65.7%
実測
DC+5.9pt
➢燃料電池モジュールDC初期評価
結果
モジュール単体最終目標DC71.2%(AC換算効率65%
相当)を超えるDC発電効率71.6%を確認
<主な取り組み内容>
駆動流アシストライン
H2 燃料リサイクル
駆動流
吸引流
調整弁 改質器 CSD還流率演算
エジェクタ
都市ガス燃料濃度センサ
開度指令リサイクル率を高精度で制御
※(注記)自動車用センサを転用
脱硫器
(1) 燃料濃度センサ活用による『燃料利用率向上』