NEDO水素・燃料電池成果報告会2024
団体名:
発表日:2024年7月 日
発表No.
■しかくボタンセルを対象としたPCFCを用いたr-SOCセル健全性評価技術の確立
1-1.パナソニック製PCFC
NEDO水素・燃料電池成果報告会20218燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業/水素利用等高度化先端技術開発/
可逆動作型プロトン伝導セラミック燃料電池の新規な健全性評価・解析技術の開発
P1-17
連絡先:日本大学 理工学部 電気工学科 吉川将洋
TEL:03-3259-0775, E-mail:yoshikawa.masahiro@nihon-u.ac.jp
学校法人 日本大学 (共同実施先) パナソニックホールディングス株式会社
【2023年度の研究開発の概要】
■しかくボタンセルを対象としたPCFCを用いたr-SOCセル健全性評価技術の確立
1-1.パナソニック製PCFC
外部プロジェクトで開発中のセル(改良セル)を対象に燃料極、空気極および
オーミック損の各抵抗成分のガス組成、運転温度に対する依存性を明らかにし、
抵抗分離式の導出を行うと共に、改良効果の検証を行う。
1-2.東京ガス製PCFC
温度をパラメータとした健全性試験をPCFC/PCECモードのそれぞれにおいて最
大1,000時間程度の耐久試験を実施し、劣化の発生する部位の温度の影響
を明らかにする。
■しかくPXRを用いたボタンセル非破壊検査による内部欠陥の検出技術の開発
2-1.電解質層及び空気極層の特徴的な元素のK殻吸収端近傍での撮像
X線のエネルギーに関して、空気極層および電解質層それぞれ固有の元素が存
在する。PXR線源からその元素のK吸収端にマッチングさせた単色X線を発生させ、
X線を照射することで、X線元素イメージングを試みる。
2-2.人為的に損傷を与えた試料に対するDEI測定の有用性の検証
既知の損傷に対するX線像の応答を検証することを目的に、人為的に赤外線
レーザーを集光して照射し、損傷を加えた燃料電池セル試料(切削試料)を対
象としたDEI測定を行いその有用性を明らかにする。
Table 研究開発のスケジュールと進捗状況
従来仕様
(Φ20mm)
改良仕様
(Φ20mm)
燃料極 BZYb-NiO BZYb-NiO
電解質 BZYb BCZYYb(緻密)/BZYb空気極 LSCF LSC
電流密度 200mA/cm2 280mA/cm2
・改良セルは高い発電性能(J=562mA/cm2@0.85V)
・100時間後には大きな電圧低下
・オーミック損の増大が電圧低下の主要因
●くろまるFCmode:発電初期〜100hの特性(600°C)
●くろまるFCmode:100〜200hの特性解析
・温度の低下と共に空気
極過電圧が増大
・燃料極過電圧、オーミッ
ク損が性能決定要因
●くろまるFCmode:2000h耐久試験(600°C)
電流密度変更 不明な電圧低下
●くろまるECmode:200h以降の特性解析
Jex=448mA/cm2 Jex=160mA/cm2
・初期の高出力化を確認したが耐久性向上は確認できず
・電圧低下率は電流密度にほぼ比例
●くろまるFCmode:2000hの特性解析結果(600°C)
・初期〜500h:オーミック損や空気極過電圧の増大
・500h以降:燃料極過電圧の増大も顕著
1-2.東京ガス製PCFC
●くろまるFCmode:575°C、600°C、650°C耐久試験
・650°Cが最も安定発電が可能(-1.8%/kh)
・600°Cの電圧低下率-13%/kh
・575°Cでは初期から電圧不安定かつ急激な電圧低下
⇒低温ほど劣化が加速される傾向
仕様
(Φ18mm)
燃料極 BZYb-NiO
電解質 BCZYYb/BZYb
空気極 BSCF
電流密度 230mA/cm2
●くろまる解体分析(産総研殿実施)
650°C(FC)600°C(FC)575°C(FC)600°C(EC)空気極 電解質 燃料極 硫黄(S) バリウム(Ba) ニッケル(Ni) イットリビウム(Yb)
界面に濃集傾向
界面に局所的
表面に濃集傾向か
空気極全面
に濃集
界面にYb
Ybと同じ
場所にNi
空気極に
リッチ層
電解質に
欠乏層
●くろまるECmode:600°C耐久試験
・劣化要因は燃料極>空
気極の順
FCmode時の解析
表面に濃集 界面にYb
Ybと同じ
場所にNi
界面にYb
Niの後退
■しかくPXRを用いたボタンセル非破壊検査による内部欠陥検出技術の開発
単色X線を試料に照射すると,試料の内部状態
によってX線の吸収,屈折,散乱が生じる
測定対象
屈折 散乱
吸収
単色X線
赤:Ref.
青:Meas.
本研究で使用する燃料電池ボタンセルについて,
クラックや剥離などの欠陥に対して,単色X線が通過す
ると屈折や散乱が発生すると想定
これを情報源としてX線像を得る
ボタンセル 顕微写真
レーザ
スポット
クラック
屈折像 散乱像 1mm
空孔およびクラック
●くろまる単色X線の透過 ●くろまるボタンセルの断面構造と期待される透過X線
●くろまる人為的に欠陥を加えたボタンセルの準備 ●くろまるKEKビームライン(20keV)における撮像
劣化後のボタンセルについて燃料極を削りこみ,
さらにレーザを照射し人為的に欠陥を与える
X線の屈折や散乱の情報をコントラストとしてマッピングし目視
できない内部欠陥と思われる構造を検出(有用性を確認)
→PXR-DEI法ではさらなる鮮明化が期待できる
直線加速器 PXRビームライン
本学の加速器光源施設の
電子線加速器
電子エネルギー100 MeV
シリコン結晶への照射角に依存して
光子エネルギーを最大47 keVまで
可変することに成功
����
����
2d sin ���� ≅ ���� ����
d:格子間隔
����:X線の波長
���� ≅ ����
ボタンセルの構成元素Ce (40.4keV)と
La (38.9keV)にフォーカスして
元素の不均一性について検証中
●くろまるパラメトリックX線源(PXR)を用いたエネルギー可変単色X線の発生
断面SEM像:佐藤 他,燃料電池,Vol. 19, No3. (2020).
電解質中にも
侵入か?