燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた
共通課題解決型産学官連携研究開発事業
/共通課題解決型基盤技術開発
/燃料電池セパレータ用ラミネート金属・高分子
ナノコンポジット(NC)フィルムの研究開発
NEDO水素・燃料電池成果報告会2024
発表No.A2-10
南 秀人/赤松謙祐
国立大学法人神戶大学
学校法人甲南学園
積水化学工業株式会社
7月19日 連絡先:南 秀人
国立大学法人神戶大学
(minamihi@kobe-u.ac.jp)
事業概要21. 期間
開始 :(2021)R3年6月
終了(予定):(2025)R7年3月
2. 最終目標
3.成果・進捗概要
次世代の低接触抵抗・高耐食性セパレータの実現
を目指し、新しいセパレータラミネート用「ナノ
コンポジット(NC)フィルム」の合成技術の確立
と、基材へのラミネートプロセスの開発を行う。
耐食性金属コーティング
導電パス
ビルディングブロック粒子
表面不均一粒子の形状制御
疎水性熱可塑性樹脂
耐食性
圧空成形
セパレータ基材
(ex. アルミニウム)
セパレータのトータル製造
コスト100円/枚以下(FC
システムコスト0.4万円
/kW以下)
ピンホールレスNCフィルム
神戸大学
多面体異形高分子微粒子を利用したナノ
コンポジットエマルションの研究開発
甲南大学
異形高分子微粒子の部位選
択的導電化技術の研究開発
積水化学工業
導電異形高分子微粒子の大量生産技術
とフィルム形成プロセスの開発
【最終目標】
+バインダー
ポリマー
1ピンホールレス 2粒子サイズ 3接触抵抗 4耐食性1 5膜厚制御 6ピール強度 7耐久性
2〜5 μm
(中間目標)
(目標値:RM・ベンチマーク)
初期10
mΩ c×ばつ10-10
mol cm-2 h-1以下
95%以上
0.5kgf/cm
以上
48時間後の伝
導率/密着性
90%維持
粒子の脱落率を0%
異形粒子2〜10
μmサイズ制御
初期3 mΩ cm2/
腐食後5 mΩ
c×ばつ10-10mol
cm-2 h-1以下
歩留:98%
以上 1.0kgf/cm以上
72時間後の伝
導率/密着性
90%維持
粒子の脱落率2%
10 μm 0.6kgf/c×ばつ10-10mol
cm-2 h-1以下97%以上
3.6 mΩ cm2
(モデル粒子フィ
ルム)
1.5% 最大70%維
持(10h) 31.事業の位置付け・必要性
防食性と耐久性
「金属セパレータにおける電気伝導性と耐食性の両立」
ナノコンポジット
フィルム
ガス拡散層
(GDL)
生成水e‐GDL
セパレータ
可塑性ベースポリマーの形状追随性大
接触面積増大→低接触抵抗GDLセパレータ
表面粗さによる
接触面積減少
→高接触抵抗
ナノコンポジット
フィルム
セパレータの複雑形状
のためスパッタの欠陥
1 長期使用可能とする金属セパ
レータの酸性生成水からの保護
2 ガス拡散層とセパレータ表面
粗さによる接触抵抗増加を抑制
する新規表面処理膜
3 FCV普及に向けての製造低コ
スト化
産業界のニーズ
熱可塑性ポリマー(耐薬品・耐水性)
本研究
圧空成形 42 .研究開発マネジメントについて
・5%塩水 ・温度30‐60°C
・240h ・湿潤95%RH
Cu50Ni50合金(200nm厚さ)
露出面積 :60%
密度 :8.9 g/cm3
孔食面積比率:0.2%
腐食評価条件
溶出量 = 0.99 ng cm‐2 h‐1
比較
SUS316L(硫酸pH3, 200h)
溶出量 = 5.0 ng cm‐2 h‐1
フィルム製造
製造コスト 歩留まり 50円/m2
歩留まり:98%以上 Cコート基材
(10-20 mW cm2)
C樹脂
(5-10 mW cm2)
Ti基材
(30-50 mW cm2)
AuコートTi基材
(5-10 mW cm2)接触抵抗
ナノコンポジット
フィルム
実接触面積の増大
比抵抗Au(2.1 μW cm)
Cu-Ni合金
(1.5〜6.0 μW cm)
実際のラミネート厚さ:10μm以下
JISさび止め包装方法通則
水蒸気透過度(透湿度)が,
JIS K 7129の条件3で測定して
15 g/m2・day以下である。
各種材料の水蒸気透過度
ポリスチレン(PS) :120
ポリエチレン(PE) : 22
ポリプロピレン(PP) : 4
金属膜(アルミなど) : 0〜0.1
くろまる 水蒸気透過度:水蒸気透過度3 g/m2・day未満
くろまる 接触抵抗:3 mΩ cm2以下
くろまる 耐食性:塩水サイクル・噴霧試験孔食面積比率0.2%以下
くろまる フィルム歩留まり: 98%以上
セパレータコスト100円/枚
実現のための閾値
評価・解析PFでの目標値:
溶出速度: < 3x10‐10
mol cm‐2
h‐1
( < 16 ng cm‐2
h‐1 )評価・解析PFでの目標値:
初期: < 3 mΩcm2
@1MPa
劣化後: < 5 mΩcm2
@1MPa
くろまる圧空成形時のピール強度:1.0kgf/cm以上
くろまる耐腐食性:120°C、pH3.0の酸性水溶液の腐食環境下
において、72時間後の電気抵抗および密着性が初期値
の90%以上を維持
表面酸化物除去(酸処理前後)に
お け る 基 材 に 対 す る ラ ミ ネ ー ト
フィルムの90度ピール剥離試験
中間目標:0.5kgf/cm以上
最終目標:1.0kgf/cm以上
参考:フレキシブル基板上の金属
回 路 パ タ ー ン 要 求 密 着 強 度 :
1.0kgf/cm基準値とする
圧着及び密着力評価
プレッシャークッカー
2022年1月28日 NEDO GL会議
130°C,100%RHの加圧水蒸気
中に1h後
初期の抵抗値+剥がれないこと
密着性 52 .研究開発マネジメントについて
• 研究開発の実施体制GL所属:神戶大学 氏名:南 秀人
PL: 木崎PL
神戶大学
だいやまーく研究開発テーマ
・多面体異形高分子微粒子を利用したナノコンポ
ジットエマルションの研究開発
・導電部相互作用部分/フィルム形成能部分の表
面積比の最適条件の検討
・導電部相互作用部分のベースポリマーの最適化
甲南大学
だいやまーく研究開発テーマ
・多面体異形高分子微粒子の部位選択的導
電化技術の研究開発
・マイクロ粒子へのナノカーボンの部位選択的吸
着による導電化
・NCフィルムの電気伝導性、耐食性評価およ
び高性能化に向けたマイクロ粒子の構造最適化
積水化学工業株式会社
だいやまーく研究開発テーマ
・導電異形高分子微粒子の大量生産
技術とフィルム形成プロセスの開発
・圧空成形時の基材・膜界面制御NEDO1 μm
Pdコロイド吸着
+無電解めっき
成膜フィルム
粒子分散樹脂
・粒子の単分散技術
搬送フィルム
(基材フィルム:PET)
乾燥ゾーン 冷却ゾーン
・ギャップ管理 検査
乾燥ゾーン 63.研究開発成果について
接触抵抗値
サンプル 粒子含有量
初期接触抵抗(@1MPa)
端子間電圧(V)
接触抵抗
(mΩcm2)Au-Re010
5wt% 0.83 9.0
10wt% 0.48 5.2
20wt% 0.33 3.6
80wt% 0.33 3.60246810
0 20 40 60
表面導電相占有率と接触抵抗
粒子専有面積(%)
【成果概要】初期抵抗値としては3.6 mW cm2をマークした。導電部分のめっき厚み制御により
3.0 mW cm2を達成見込みである。
接触抵抗/mWcm2粒子径:10 μm (膜厚: 10 μm ) 73.研究開発成果について
耐食性
【成果概要】プレッシャークッカー試験では、一部試料台の接触部分に剥がれが生じたが、目視による外観変化はな
かった。腐食試験結果より、NCフィルムは金めっきセパレータと同等の保護機能を有していることが明らかとなり、
プロトコル目標値を充足した。
接触抵抗の結果を踏まえると、金めっき粒子20%程度で目標に到達する可能性があることから、コスト目標において
も有望な候補材料であるといえる。 83.研究開発成果について0.380.350.420.39
0.53 0.51
0.56 0.5400.10.20.30.40.50.610um厚
20wt%
10um厚
80wt%
30um厚
20wt%
30um厚
80wt%
10um厚
20wt%
10um厚
80wt%
30um厚
20wt%
30um厚
80wt%
ピール強度[kgf/cm]
目標値0.5kgf/cm
Al表面粗化
10 μm
100 μm
膜厚
10±0.8μm
膜厚
100±3μm
しかく膜厚制御
しかくピール強度
10〜100mmの範囲で、最大偏
差8%での制御に成功
表面粗化アルミニウム基板に対し、目標値を達成
【実用化に向けた課題と検討状況】粒子生産および膜厚制御ともに、バッチ量
アップに伴う歩留まりに注意が必要だが、ラインでの条件調整によって対応可能。
ピール強度については、フィルム構造およびバインダー検討により、非粗化基材
に対する必要強度達成を目指す。
NCフィルム
Al/SUS基板
密着性・膜厚
nBMA1.5倍 nBMA2倍 nBMA4倍
nBMA2倍,重合温度35 ̊C nBMA2倍,重合温度40 ̊C
Dn = 10.30 μm Cv = 5.37%
ドデカン1.5倍 ドデカン2倍
2 μm 2 μm 2 μm
2 μm 2 μm 2 μm
2 μm 2 μm93.研究開発成果について
10 μmの粒子においても,シード重合時
の各種条件(ドデカン量,第二成分モノ
マー量,重合温度)を制御することによ
り,凹凸の大きさの制御の可能性を示唆
【実用化に向けた課題と検討状況】接触抵抗試験結果より、フィルム厚みは粒子直径と同程度であることが最適条件と評価
されたことから、ゴルフボール粒子の大粒径化に取り組んでおり、現在、最適膜厚と同じ10μmの大粒径粒子の合成に成功
している。本粒子を用いることで、凹部とフィルムの接合によるマイクロアンカー効果による耐久性向上が期待される。
NCフィルムの耐久性向上にむけた取り組み 104.今後の見通しについて10【試算の前提条件】
トヨタ社 MIRAI相当車種を想定
<燃料電池スタック>
1セル数
(2008) 200セル 2列= 400セル
(2020) 330セル 1列= 330セル
次世代車のセル数を「300セル」と仮定
2セルサイズ
200cm2と仮定
3セパレータ数
1セル当たりに裏表2枚使用
事業化イメージ
しろまる事業化イメージ
・セパレータラミネート用の金属・高分子ナノコンポジットフィルム(NC
フィルム)を提案する
・製造コストを100円/枚以下に低減することでFCシステムコスト目標
(0.4万円/kW以下)に貢献する
しろまる事業化想定時期:2030年頃
・2025年に品質保証体制を構築後、国内ユーザーへの供給プロセ
スや量産協力メーカー等と事業性検証
(プライスマーケティング等)(2026年度内)、量産設備の導入
(2028年度末)、量産検討(2029年
度末)を経て、最終的に2030年での実用化・事業化を目指す。
しろまる事業化想定機関
・積水化学工業株式会社
研究開発目標と事業化に向けた課題
しろまる研究開発の最終目標
・カーボンクロスとの接触抵抗が5 mΩcm2以下、かつ120°C以上
かつpH3.0の酸性水溶液に対し優れた
耐食性を示すNCフィルムを開発
しろまる成果の到達度と事業化のかい離
・フィルム生産上の想定課題
1新規フィルム化工程の立ち上げと低コスト化:生産技術確立
と歩留まり改善によるコスト低減
2品質保証体制の構築:ピンホールレスな薄膜フィルムを供給す
るための検査方法と荷姿の検討

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