前田 征児
ENEOS株式会社
2024年7月18日
グリーンイノベーション基金事業/
大規模水素サプライチェーンの構築/
水素発電技術(混焼、専焼)の実機実証/
CO2フリー水素発電実証
NEDO水素・燃料電池成果報告会2024
発表No.B1-14
連絡先:
ENEOS株式会社
(https://www.eneos.co.jp/)
事業概要
1. 期間
開始 :2021年12月
終了(予定):2027年3月 *契約締結済みのステージゲート2までの期間22. 最終目標
2030年までに大型発電設備による水素専焼発電技術を確立し、大規模水素サプライチェーン構築事業と連携し
た社会実装を実現すること
3.成果・進捗概要
大型水素発電の実証候補場所を選定し、事業性評価を実施した。
発電設備での水素専焼用燃焼器の技術開発は進んでおり、一定の技術評価が得られ始めている。
一方、以下1〜3の観点から、現計画での事業性確保に対する課題が確認された。
1必要水素量の不足
2必要水素圧力の不足(水素圧縮機設置の影響)
3水素SCに係る新規技術の蓋然性(運転開始遅延・安定供給不可のリスク) 31.事業の位置付け ー全体像ー
•2030年までに大型発電設備による水素専焼発電技術を確立し、大規模水素サプライチェーン構築事業と連
携した社会実装を実現する。
•CO2フリー水素供給事業から水素発電事業まで一貫して取り組むことで、安定的かつコスト競争力のあるゼロ
エミ電力供給事業を目指す。
水素製造 液化水素輸送
液化水素製造 液化水素ガス化
GI基金/液化水素サプライチェーンの商用化実証
パイプライン供給
液化水素受入
水素、MCH製造
製油所近隣への
水素供給
海上輸送
MCH受入、
水素製造・利用
自社発電所
他社発電所
製鉄所等
水素製造 MCH輸送 MCH受入
MCH製造
MCH脱水素
陸上
輸送
GI基金/MCHサプライチェーン実証
パイプライン供給
1. 水素発電(専焼)の
実機実証
CO2フリー
電力
2. 発電用CO2フリー水素供給システムの確立
当事業スキーム 42 .研究開発マネジメントについて ー実施体制ー
研究開発項目1:水素発電技術(専焼)の実機実証
ENEOS
発電タービンメーカー
研究開発項目2:発電用水素供給システムの確立
ENEOS
アウトプット目標:水素専焼発電の商用化
プラントエンジニアリング会社
プラントエンジニアリング会社
•ENEOSは、「発電設備と水素供給設備を統合した全体取りまとめ」「実証場所の選定」「事業の経済性評
価」等を実施する。
•発電タービンメーカーで開発中の水素専焼燃焼器を、ENEOSの発電設備に導入し、実機実証を行う。
•プラントエンジニアリング会社と連携した最適な水素供給設備の基本設計を実施し、実証計画を策定する。
検討実施体制 52 .研究開発マネジメントについて ーKPIの設定1ー
•ENEOSの所有する発電設備を比較し、大型水素発電の実証候補地を選定。
•選定した設備における実機改造および安定運転の計画を策定。
候補地の事業性を評価し、実証場所と実証システムの構成を決定する
水素発電導入の際の既設設備の改造仕様を確立し、コストを情報を精査した上で、
実証計画を確定する
12の実証計画に基づいて既設設備を改造し、実機実証システムを建設する
燃焼安定性、発電出力、負荷応答性、NOx値などを実機で検証し、水素専焼で長
期間安定運転するための技術を確立する
実装発電所の選定
(事業性評価)1専焼燃焼器への
改造仕様の確立2実機改造3長期間の連続
運転の実機実証4燃料品質規格の
確立、標準化5規定すべき不純物の種類と、同燃焼器で許容できる混焼可能範囲を規定するKPI研究開発内容
1. 水素発電技術の実機実証 6CO2フリー水素発電による温室効果ガス削減量を定量化する評価手法を確立する候補地の事業性を評価し、実証場所と実証システムの構成を決定する
CO2フリー水素を発電設備へ供給するための設備建設仕様を確立し、コストを情
報を精査した上で、実証計画を確定する
67の実証計画に基づき、水素供給設備を新設、既存発電設備へ接続し、実機
実証システムを建設する
水素供給のレスポンス性、安定性などを実機で検証し、長期間安定して大量に水
素安定供給するための技術を確立する
実装発電所の選定
(事業性評価)6水素供給設備の
新設仕様の確立7供給設備の新設8負荷追従を行う上で
の運転方法の確立9温室効果ガス削減
効果の評価10KPI
研究開発内容
2 .研究開発マネジメントについて ーKPIの設定2ー
•大規模水素サプライチェーン実証と連携した、発電用水素供給システムを検討。
•検討した結果を基に、実機建設および安定運転方法を確立。
2. 発電用水素供給システムの確立 72 .研究開発マネジメントについて ースケジュールー
•ステージゲート(SG)1を2022年度末に実施済み。当初計画では、2026年度末にSG2、2029年度から
の実証開始を想定。
➡一方、事業性評価の検討を実施した結果(結果は後述)、現計画では事業性確保が難しいことを確認
したため、当初スケジュールを見直し中。
水素発電技術
(専焼)の
実機実証
発電用
CO2フリー水素
供給システムの確立
21 25 30 32...社会
実装FS29
FEED EPC 商用化(専焼/混焼)FS(残課題)
実証SG228SG1水素パイプライン
水素供給設備
FEED 〜 EPC
23 26 272422
研究開発期間(国費負担有)
Pre-FS
現計画では事業性確保が難しいことを確認し、スケジュール見直し中
当初スケジュール 83.研究開発成果について ー実証候補場所選定・燃焼器比較ー
•「大規模水素サプライチェーンとの連携可能性(水素基地想定場所との近接等)」や「現行発電設備の仕
様・利用状況」等に基づき、実証候補場所を選定。
•実証候補発電所へ導入できる可能性のある燃焼器について、比較検討を実施。
出典:三菱重工業株式会社HP情報を基にENEOS作成
燃焼器
マルチノズル
燃焼器
マルチクラスタ
燃焼器
構造
フラッシュ
バック
火炎伝播可能な領域が
広く、水素専焼時にリスク
が高くなる
火炎伝播可能な領域が
狭く、リスクは少ないNOx予混合ノズルにより火炎
温度は均一にできるため、
NOxは低い
小さな予混合ノズルにより
火炎温度は均一にできる
ため、NOxは低い
燃料
燃料
ガスタービン・燃焼器概要 93.研究開発成果について ー事業性評価ー
•実証候補場所において、 「水素供給設備の供給可能水素条件」 と「大型水素専焼設備の仕様(必要水
素条件)」を調査・比較し、事業性検討を実施。検討の結果、以下課題が確認された。
【課題】 1必要水素量の不足、2必要水素圧力の不足、3水素SCに係る新規技術の蓋然性
➡現計画では事業性の確保が難しいことを確認。
出典:三菱重工業株式会社HP
水素
供給可能水素量 :A 万トン/年
供給可能水素圧力 :B MPa
水素SC新規技術確立時期:2030年頃
必要水素量 :C 万トン/年
必要水素圧力 :D MPa
【事業性評価にて確認した課題】
1必要水素量の不足
供給可能水素量(A 万トン/年)< 必要水素量(C 万トン/年)
➡必要な水素量を確保できず、事業継続不可。
2必要水素圧力の不足
供給可能水素圧力(B MPa)< 必要水素圧力(D MPa)
➡水素圧縮機の新設が必要。
➡➡圧縮機の新設により設備投資額が増大し、事業性悪化。
3水素SCに係る新規技術の蓋然性
水素サプライチェーンに係る新規技術(水素製造〜輸送〜受入)の
実証時期(技術の実機検証時期)が2030年頃となる想定。
➡水素供給設備側の運転開始遅延、安定供給不可のリスク有り。
比較検証 104.今後の見通しについて
•大型水素専焼発電に必要な条件(水素量、圧力、新規技術蓋然性等)を確保することが難しい状況。
•2024年度に事業性確保に向けた可能性を調査し、2025年度以降の計画を検討。
・実証候補場所の選定
・発電設備の仕様検討
・水素供給設備の仕様調査
事業性評価を実施
➡現行計画の課題を確認
(事業性確保が難しい)
2025年度以降の計画を再検討
実装発電所の選定
(事業性評価)1専焼燃焼器への
改造仕様の確立2実機改造3長期間の連続
運転の実機実証4燃料品質規格の
確立、標準化5水素発電技術の実機実証
実装発電所の選定
(事業性評価)6水素供給設備の
新設仕様の確立7供給設備の新設8負荷追従を行う上で
の運転方法の確立9温室効果ガス削減
効果の評価10発電用水素供給システムの確立
過去検討
現在
今後KPI

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