NEDO水素・燃料電池成果報告会2024
発表No.A1-15
山口 安美
株式会社 クボタ
2024年7月18日
連絡先:
株式会社 クボタ
https://www.Kubota.co.jp/
燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた
共通課題解決型産学官連携研究開発事業/
燃料電池の多用途活用実現技術開発/
燃料電池搭載農業用トラクタの実用化に向けた実証研究
事業概要
1. 期間
開始 :2021年8月
終了(予定):2025年3月 (2024年度末)
2. 最終目標
1国内圃場の実作業で燃料電池トラクタの実証試験
実施と、国内農業への適合性評価完了
2製品化に向けた課題抽出と対策立案、
および、実証試験結果の報告完了
3.成果・進捗概要 (〜2024/3)
(1)燃料電池トラクタの試作機の組立完成
(2)実証試験用制御ソフトの作成完了
・電力マネジメント制御
・冷却制御
・モータ回転数制御など
(3)クボタ社内でのトラクタ評価試験完了
・システム動作確認
・車両諸元確認(寸法測定、重心位置・転倒角測定、騒音測定など)
・強度確認(車速スイープ評価、悪路走行、急加減速評価など)
・作業性能(ロータリー作業評価、水田圃場動作確認など)
燃料電池トラクタ試作機31.事業の位置付け・必要性
■しかく本事業を実施する背景
• 当社は、2021年公表の「環境ビジョン」で掲げた2050年カーボンニュートラル実現に向け、機械の動力源に関する脱炭素化の
取り組みとして、バッテリーを使用した電動化のみならず、水素燃料電池利用による電動化、水素やバイオ燃料、合成燃料を燃
料とするエンジンなど、全方位の研究開発を進めております。
• 世界各国でカーボンニュートラルの動きが加速する中、当社はバッテリー式の小型電動トラクタ・建設機械を開発し、市場投入い
たしました。しかしながら、当社が網羅する農機・建機のシリーズは多岐にわたり、各シリーズに適した出力を得るための技術の一
つとして、エネルギー密度でバッテリーよりも優位性のある水素燃料電池に着目し、FCトラクタの開発も進めています。
■しかく実施する意義
• 中大型農機に、低振動・低騒音で環境性・快適性に優れたCNの手段を提供できる
• エネルギー源の多様化と利用促進、水素社会の実現に貢献
バッテリ電動の農機・建機42 .研究開発マネジメントについて
■しかく研究開発の実施体制
■しかくスケジュール
・2022年度 4Q:試作機(PoC)製作着手
・2023年度 試作機製作
動作検証、性能評価
・2024年度 実証試験
項目
FCトラクタ設計
システム設計
要素機器設計・開発
試作機製作・評価
実証試験
FY2021 FY2022 FY2023 FY2024
株式会社クボタ
研究開発本部 次世代研究ユニット
・燃料電池トラクタの研究開発
国立研究開発法人 食料・産業技術総合研究機構
農業機械研究部門
・実証圃場の提供
・燃料電池トラクタの作業性評価
・水素充填方法の課題抽出への協力など
実証協力先2
・実証圃場の提供
・作業機評価への協力など
実証協力先3
・実証圃場の提供
・作業機評価への協力など
共同研究 (調整中) (調整中)
1 燃料電池トラクタ試作機の組立完成53.研究開発成果について
モータ
水素充填口
バッテリパック
水素タンクモジュール
サイズ(約) 全⻑4200 ×ばつ 全幅1810 ×ばつ 全高3100(mm)
最大出力
60馬力のディーゼルエンジン搭載トラクタと
同等水準
燃料 圧縮水素
燃料電池種類 固体高分子型
想定する用途 一般の農作業用途全般
【試作機の概要】
燃料電池
モジュール
【システム概要】
【機器レイアウト】
インバータ63.研究開発成果についてT/M燃料サプライ系、タンク
軽油
「エンジントラクタ」 と 「燃料電池トラクタ試作機」の違い
エンジントラクタシステム
燃料電池システム
モータ
充放電
燃料電池
モジュール
インバータ
電力
バッテリ
パック
水素T/M水素タンク
・水素を電気エネルギーに変換、モータでT/Mを駆動
・バッテリーの役割は起動時の電力供給と、急負荷変動時の電力補間
ディーゼルエンジントラクタ
燃料電池トラクタ73.研究開発成果について
2 実証試験用制御ソフトの作成完了
制御ソフトを作り込み、ベンチシステムや燃料電池トラクタを使って制御確認を実施・完了
1 起動/停止シーケンス
2 モータ回転数制御
3 冷却水制御
ラジエータFAN制御、燃料電池モジュールとの協調制御
4 電力制御
燃料電池モジュール、バッテリパック、モータ・インバータのパワマネ制御
5 診断機能
各電装機器からの異常を検知したときのフェールセーフアクション
モータ
燃料電池トラクタ電動システム〜〜〜負荷モータ 制御装置
電力
充放電
モータベンチ
燃料電池
モジュール
インバータ
水素供給設備H2動力
社内試験ほ場でのロータリ作業評価
評価ベンチシステム
バッテリ
パック
3.研究開発成果について
3クボタ社内でのトラクタ評価試験完了
弊社グローバル技術研究所内のテストコースや圃場にて、
「システム」「車両諸元」「強度」「電気」「冷却」「作業性能」6分野の試験を実施
2024年度の実証試験を実施できる性能を確保していることを確認
試験項目(抜粋)
テストコース外観93.研究開発成果について
4 水素充填設備の本格稼働を開始
簡易式水素充填設備 ・・・ 35MPa
一般的な水素ステーション ・・・ 70MPa
70MPa
最大
35MPa
コントローラ
水素カードル
充填装置
最大
45MPa
低圧蓄圧機
高圧蓄圧機 圧縮機
ディスペンサFCVプレクーラー
-40°C
水素 水素104.今後の見通しについて
■しかく今後の予定
(1)実証試験の実施(2024年 5月〜2025年2月)
国内の複数のほ場で実証を予定
(2)製品化に向けた課題抽出と対策立案の完了(2025年3月)
1製品化に向けた課題抽出
・システム成立性の評価
・インプルメント毎の作業性評価
・課題抽出と対策立案
2水素供給手段のあり方
・水素ステーションが農地から離れている場合が多く、
自走して充填することは困難であると想定。
農家へのヒアリングなどを通じて、
トラクタに適した水素供給手段を提案する
ロータリ耕うん作業
代搔き作業114.今後の見通しについて
■しかく今後の予定
水素
供給拠点
配送
トラクタ自走
移動式水素充填車
簡易式充填設備
交換搭載H2H2H2・JH2Aにて農機への水素供給のコストモデル構築・FSを実施中
・実証試験にて水素充填の運用上の課題を抽出
農村部へのインフラ面の課題への取り組み
実証にて運用課題を抽出