発表者名 内田 誠
団体名 国立大学法人山梨大学、
国立大学法人大阪大学、
株式会社メイコー
発表日 2024年7月18日
燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官
連携研究開発事業
/水素利用等高度化先端技術開発
/燃料電池および水電解の革新的な生産技術に資する静電ス
プレー法に関するプロセス要素技術の研究開発事業
NEDO水素・燃料電池成果報告会2024
発表No.A1-5
連絡先:内田 誠
国立大学法人山梨大学
( E-mail:uchidam@yamanashi.ac.jp)
事業概要
1. 期間
開始 :(西暦)2022年 7月
終了(予定):(西暦)2025年 3月
2. 最終目標
3.成果・進捗概要2研究開発用生産プロセス規模の「Ptの有効性を倍増可能な精密塗工と乾燥工程フリーを実現する業界初のマルチノズル式静電ス
プレー(ES)法」を将来の大量生産を可能とする革新的プロセスへ進化させる。小規模から本格量産性のある装置のためのマイルス
トーンとして、触媒有効性50%・触媒層性能20%向上し、ダイ塗工比で乾燥炉長比50%減相当の乾燥負荷低減する500ノズ
ル規模のノズルデバイス塗工を実現する。
1) ES法プロセスの要素技術原理解明
電場解析シミュレーションにより電場分布偏差を低減する実用サイズの数値解析とメカニズム解明に進捗あり。最終目標の500ノ
ズルデバイス構築へ、シミュレーション結果で有望な結果が得られた。
高時空間分解能可視化と計算科学によりESプロセス電極の材料から性能に至るデジタルエンジニアリングの確立をめざし推進中。
2) ES法プロセスを用いた触媒層の性能の検証
各種電気化学特性など、81>72マルチノズルすべての項目で性能の向上確認。数値解析シミュレーション技術も駆使したノズル
配置改善の効果を検証できた。
3) ES法マルチノズルデバイスモジュール設計・制御技術開発
電場分布偏差低減デバイスの設計作成改良中。
81ノズルのデバイスの検証結果をもとに500ノズルデバイスを製作。最外周の電場制御み静電場制御プレート構造を採用。
• 本事業を実施する背景や目的
各種開発触媒材料の特徴を最大限発揮させるための触媒層設計技術を構築し、2030 年以降の更なる燃料電池や水電解シ
ステムの低コスト、高性能、高耐久化に資する製造プロセス技術を開発する。また、「共通課題解決型基盤技術開発」の性能やコ
スト目標を凌駕する燃料電池の実現に資する製造プロセスにおける革新的な要素技術を開発する。また、2030 年の燃料電池
の高効率・高出力化を実現するための触媒層に課せられた過電圧低減目標へ寄与を検証する。
• 本事業の位置づけや意義、必要性31.事業の位置付け・必要性
大量生産を可能とする革新的生産プロセス
(最終の装置イメージ)
マルチノズルデバイスと
各種プロセス技術開発
スプレー ダイコータ
静電
スプレー
静電
スプレー
事業後
MEA性能 〇 〇 ◎にじゅうまる ◎にじゅうまる
量産性 △しろさんかく ◎にじゅうまる ×ばつ 〇
カーボンニュー
トラル
△しろさんかく ×ばつ ◎にじゅうまる ◎にじゅうまる
反応輸送構造モデル
H2 Air0.30.50.7I/C=1.01.52.0
0 1.0
Current density [A/cm2]Cellvoltage[V]01.0(a) 細孔スケール
(b) 連続体スケール
(c) 発電特性
ノズル
壁面
ノズル
吐出噴霧
蒸発成分
(a) 噴霧を伴う流動場解析
(b) 蒸発を伴う噴霧流解析
噴霧流体解析
ノズルの電場シミュレーション解析
静電スプレーの基本原理
マルチノズル
研究機関向け触媒塗工装置
先行開発:
Ptの有効性を倍増可能な精密塗工と乾燥工程フリーを
実現する業界初の72マルチノズル式静電塗工法を確立。
・研究開発の目標と目標設定の考え方(根拠)と実施体制42 .研究開発マネジメントについて
産業界のニーズに資する既存設備(ダイコータ)に対して、ES法は潜在能力として、競争力を持つことが
期待されているが、社会実装可能な装置として実現するには、8000ノズル規模のマルチノズル化が必要
であると試算された。(試算値は、産業界との情報交換により随時に直しを実施する。)
本事業では、現時点で成果を得ている72ノズルからの拡大を実現するためのマイルストーンとして、実
生産ラインに重要と考えられる1000ノズル規模も見据えながら、500規模のモジュール開発と要素部分
の原理解明を設定する。
開発項目1 ⇒DX技術と実験検証をもとに科学的根拠を創出する
開発項目2 ⇒触媒の有効性と性能の向上にむけた現状課題の検証としてテーマCで開発されたES法マルチ
ノズルデバイスを用いた触媒層の性能をダイコータ転写法と比較検証する
開発項目3 ⇒テーマAより導き出された設計数値とテーマBの性能検証のフィードバックを基にマルチノ
ズルデバイス設計製造を実施する
⇒大規模マルチノズルデバイス開発には、トライ&エラーのづくり設計開発ではなくて、
DX技術を駆使した要素技術のメカニズム解明として、具体的には電場解析、フライトシ
ミュレーション、噴霧流体解析等の技術を構築したうえでデバイス設計への反映が必須。
アジャイル開発
幅150mmのCCMを20m/分で塗工す
るためには、電界均一による能力向上
係数を3倍とし、目標成膜速度
20m/min:12台/ラインで対応(
8000ノズル/台)
500ノズル
モジュールの実現
安定塗工
メカニズム解明
数値解析
シミュレーション
発電&電解
性能検証
各種プロセス機構開発
インク
レオロジー
解析
触媒層
構造解析
・研究開発のスケジュール と 知的財産戦略の取り組み52 .研究開発マネジメントについて
順調に計画実施中
(4)実施計画
事業項目 N1年度 N2年度 N3年度
第 1
四半期
第 2
四半期
第 3
四半期
第 4
四半期
第 1
四半期
第 2
四半期
第 3
四半期
第 4
四半期
第 1
四半期
第 2
四半期
第 3
四半期
第 4
四半期
1「 ES 法プロセス の要素技
術原理解明」
(山梨大学、大阪大学)
2「ES 法プロセスを用いた触
媒層の性能の検証」
(山梨大学)
3「ES 法マルチノズルデバイス
モジュール設計・制御技術開
発」
(メイコー)
数値解析シミュレーション技術開発のめどつけ 数値解析技術開発
主要メカニズム抽出 メカニズム解明
混合・分散・供給時のレオロジー解析 インク安定化技術
電場・電界分布等の静電特性/分裂粒子の飛行軌跡解析
500 ノズル性能の検証 500 ノズル性能の検証
触媒有効性 35%・触媒層性能 14%向上 触媒有効性 50%
触媒層性能 20%向上
500 ノズル規模デバイスの設計制御技術開発
モジュールの素材、形状、配置などの設計開発
500 ノズルの設計制御技術開発
インクの分散・供給方法、
塗工後のアニール方法等の開発
2024年度
2023年度
2022年度
■しかく静電スプレー法に関する山梨大学保有特許出願、権利化状況
国名
ステータス単独/共願 名称・日本語 出願日 出願番号 登録日 登録番号
出願人名称1出願人名称2
中国 登録 単独
エレクトロスプレー法による電極触
媒層の形成方法及び装置
2018年1月1日9201880008091.X2022年6月3日 110199422
国立大学法
人山梨大学
日本 登録 単独
エレクトロスプレー法による電極触
媒層の形成方法及び装置
2018年1月1日9特願2018-
562443
2022年5月1日8特許7075562
国立大学法
人山梨大学
日本 登録 単独
エレクトロスプレー法による電極触
媒層の形成方法及び装置
2022年4月1日5特願2022-
067552
2023年6月2日7特許7303584
国立大学法
人山梨大学
米国 登録 単独
エレクトロスプレー法による電極触
媒層の形成方法及び装置
2018年1月1日916/515,973
2021年8月3日111,108,070
国立大学法
人山梨大学
日本 登録 共願
制御装置、制御方法、プログラム、
及び電極触媒層形成システム
2018年2月2日6特願2018-
032235
2022年2月1日0特許7007662
国立大学法
人山梨大学
(持分1/3)
株式会社メ
イコー
(持分2/3)
日本 特許査定 共願
インク塗布ユニットおよびインク塗
布装置
2020年1月2日9特願2020-
012327
2023年7月2日5特許7319615
国立大学法
人山梨大学
株式会社メ
イコー
2024年5月8日現在
⚫ 開発技術の知財は、ファミリとして群管理
を実施。
⚫ 中国、米国も含めて、確実に権利化を実
現している。
⚫ 今後も、タイムリーな権利化を推進する。63.研究開発成果について 1)ES法プロセスの要素技術原理解明1
電場解析シミュレーションにより電場分布偏差を低減する実用サイズの数値解析とメカニズム解明に進捗あり。
⇒ 最終目標の500ノズルデバイス構築へ、シミュレーション結果で有望な結果が得られた。
72ノズルの電場シミュレーション解析例
基準となるピン配置
Range 1.01, Average 6.89 Range 0.54, Average 9.10
ノズル配置、
ダミーノズル配置
などの最適化
電場分布偏差を低減例
数値解析による電場均一化の配置に従い81ノズルのデバイスを作製
a)数値解析による最適配置設計81マルチノズルデバイスの静止位置での
b)実塗工痕およびc)予測着弾痕
電場シールド
32液塗工ノズル+2ダミーピン
ノズルピッチ
5[mm]
シールド内側の幅175[mm]
全体 ノズル先端付近拡大
電場の大きさ[1e5V/m]
電場の大きさ[1e5V/m]
電場&軌跡解析による500ノズルデバイス開発
8.37 8.31 8.26 8.23 8.23 8.24 8.24 8.24 8.26 8.25 8.24 8.23 8.24 8.21 8.23 8.23 8.22 8.24 8.26 8.24 8.24 8.24 8.23 8.23 8.24 8.26 8.24 8.26 8.24 8.26 8.28 8.30 8.28 8.34
8.34 8.31 8.29 8.24 8.25 8.23 8.24 8.25 8.26 8.24 8.24 8.25 8.25 8.21 8.25 8.25 8.22 8.24 8.26 8.22 8.24 8.24 8.21 8.24 8.24 8.20 8.25 8.25 8.25 8.25 8.27 8.25 8.30 8.30
8.32 8.28 8.27 8.26 8.26 8.28 8.26 8.26 8.27 8.25 8.25 8.25 8.25 8.24 8.23 8.23 8.26 8.26 8.24 8.24 8.22 8.25 8.26 8.25 8.23 8.27 8.26 8.25 8.25 8.25 8.29 8.26 8.27 8.28
8.30 8.28 8.26 8.28 8.23 8.24 8.25 8.25 8.28 8.26 8.25 8.24 8.27 8.22 8.25 8.22 8.26 8.24 8.27 8.22 8.25 8.24 8.25 8.25 8.22 8.24 8.25 8.24 8.26 8.27 8.25 8.27 8.27 8.28
8.27 8.25 8.27 8.25 8.28 8.23 8.25 8.25 8.24 8.24 8.25 8.22 8.25 8.24 8.24 8.23 8.26 8.24 8.23 8.26 8.26 8.24 8.25 8.24 8.25 8.24 8.24 8.25 8.25 8.24 8.26 8.27 8.25 8.25
8.27 8.27 8.24 8.25 8.22 8.27 8.26 8.24 8.24 8.22 8.26 8.24 8.23 8.25 8.24 8.22 8.24 8.25 8.22 8.23 8.24 8.24 8.23 8.26 8.23 8.22 8.24 8.23 8.25 8.25 8.26 8.24 8.26 8.27
8.27 8.23 8.27 8.24 8.24 8.23 8.24 8.22 8.25 8.22 8.24 8.22 8.23 8.26 8.23 8.22 8.20 8.25 8.25 8.23 8.24 8.24 8.24 8.25 8.23 8.23 8.23 8.25 8.23 8.25 8.25 8.28 8.26 8.29
8.27 8.25 8.26 8.25 8.23 8.24 8.23 8.23 8.22 8.25 8.25 8.26 8.24 8.23 8.25 8.23 8.22 8.25 8.22 8.23 8.24 8.23 8.25 8.22 8.23 8.24 8.22 8.23 8.23 8.23 8.26 8.26 8.27 8.29
8.26 8.28 8.27 8.24 8.22 8.26 8.25 8.24 8.25 8.21 8.23 8.21 8.25 8.22 8.22 8.24 8.23 8.25 8.23 8.23 8.25 8.24 8.24 8.24 8.25 8.22 8.24 8.22 8.24 8.24 8.26 8.24 8.27 8.29
8.28 8.25 8.26 8.24 8.22 8.24 8.22 8.25 8.24 8.24 8.23 8.22 8.27 8.25 8.24 8.24 8.25 8.21 8.26 8.26 8.23 8.26 8.24 8.23 8.23 8.25 8.26 8.23 8.25 8.26 8.26 8.25 8.27 8.28
8.29 8.27 8.25 8.24 8.25 8.25 8.24 8.23 8.22 8.22 8.25 8.25 8.23 8.22 8.26 8.22 8.24 8.25 8.22 8.25 8.24 8.22 8.24 8.23 8.22 8.22 8.24 8.23 8.23 8.25 8.24 8.29 8.28 8.22
8.25 8.25 8.25 8.24 8.24 8.24 8.22 8.24 8.24 8.21 8.22 8.21 8.23 8.23 8.23 8.23 8.24 8.24 8.25 8.23 8.24 8.24 8.24 8.24 8.22 8.23 8.24 8.23 8.21 8.24 8.24 8.27 8.27 8.24
8.29 8.25 8.26 8.25 8.23 8.25 8.24 8.27 8.24 8.26 8.23 8.23 8.26 8.25 8.26 8.24 8.23 8.24 8.24 8.24 8.22 8.22 8.25 8.24 8.26 8.24 8.23 8.22 8.23 8.22 8.25 8.28 8.24 8.24
8.28 8.29 8.28 8.25 8.24 8.26 8.24 8.24 8.25 8.26 8.25 8.23 8.24 8.22 8.25 8.24 8.25 8.23 8.26 8.24 8.24 8.25 8.22 8.26 8.23 8.25 8.26 8.24 8.25 8.28 8.22 8.28 8.25 8.24
8.29 8.27 8.28 8.27 8.25 8.26 8.27 8.25 8.27 8.24 8.23 8.25 8.28 8.26 8.23 8.25 8.24 8.24 8.23 8.25 8.24 8.25 8.26 8.25 8.25 8.25 8.26 8.25 8.25 8.26 8.26 8.26 8.27 8.28
8.29 8.27 8.29 8.26 8.25 8.27 8.24 8.25 8.25 8.24 8.24 8.25 8.26 8.27 8.24 8.26 8.24 8.25 8.24 8.22 8.25 8.26 8.26 8.24 8.24 8.26 8.26 8.27 8.25 8.26 8.27 8.24 8.28 8.31
8.29 8.29 8.28 8.24 8.25 8.24 8.19 8.22 8.23 8.21 8.20 8.24 8.22 8.25 8.23 8.24 8.28 8.25 8.24 8.23 8.23 8.23 8.26 8.25 8.24 8.23 8.24 8.24 8.23 8.26 8.27 8.27 8.29 8.34
8.33 8.28 8.27 8.25 8.22 8.20 8.18 8.20 8.22 8.20 8.23 8.22 8.21 8.22 8.23 8.22 8.23 8.25 8.25 8.25 8.24 8.22 8.27 8.23 8.23 8.24 8.23 8.24 8.23 8.23 8.26 8.27 8.29 8.38
標準偏差は平均の1%以下であり
ノズル先端の電場はかなり均一化できた
軌跡解析により得られた塗工痕
・研究開発の進捗状況73.研究開発成果について 3)ES法マルチノズルデバイスモジュール設計・制御技術開発
81ノズルのデバイスの検証結果をもとに500ノズルデバイスを製作。
最外周の電場制御み静電場制御プレート構造を採用。
500マルチノズル試作品
数値解析による電場均一化の配置に従い
81ノズルのデバイスを作製
・研究開発の進捗状況83.研究開発成果について
各種電気化学特性など、81>72マルチノズルすべての項目で性能の向上確認。
数値解析シミュレーション技術も駆使したノズル配置改善の効果を検証できた。
2) ES法プロセスを用いた触媒層の性能の検証
電極サイズ:25cm2、JARI-Cell, 0kPaG
カソード:Pt/C触媒(TEC10E50E),アイオノマー
(I:D521,I/C=0.7)、触媒量0.1mg/cm2
Nafion膜(NRE212,50μm)へES
アノード:Pt/C触媒(TEC10E50E),アイオノマー
(I:D521,I/C=0.7)、触媒量約0.2mg/cm2、PSS,
ガス拡散層(GDL:SGL,22BB)へGDE
⚫ 今後、触媒層の均一性の詳細解析、さらに500マルチノズルにおける、性能検証を進める。
81ノズルデバイス
72ノズルデバイス
・研究開発の進捗状況93.研究開発成果について 1)ES法プロセスの要素技術原理解明2
高時空間分解能可視化と計算科学によりESプロセス電極の材料から性能に至るデジタルエンジニアリングの確立をめざし推進中。
・研究開発の進捗状況
ES塗工高性能触媒層:均一・高空隙,均等アイオノマー被覆
◆だいやまーくES-CL高性能化機構の解明と設計・制御手法の確立
◆だいやまーくES-CLインク吐出・分裂挙動の解明
◆だいやまーくES-CLインク噴霧飛行・蒸発・着弾挙動の解明
◆だいやまーくES-CL構造形成過程・機能発現の解明
1多様なインク材料・組成比への対応
2大面積・高速塗工マルチノズル化への対応PV L
撮影速度: 10,000 frames/sec
安定吐出条件
印加圧力大 印加電圧大
高時空間分解能可視化
課題
これらを解決するためには
が必要
Cone-jet mode Multi-jet mode
Dripping mode
➢ 静電噴霧形成時の異なる吐
出モードを高時空間分解可
視化により明らかにした.
➢ 安定吐出条件の支配因子の
解明に向けて計算科学による
検討を進めるために,粘性係
数,界面張力,誘電率など
の計測を実施.
H2O NPA EtOH
◎にじゅうまる表面張力の測定
◎にじゅうまる誘電率の測定H2ONPAEtOH10
3.研究開発成果について 1)ES法プロセスの要素技術原理解明2
高時空間分解能可視化と計算科学によりESプロセス電極の材料から性能に至るデジタルエンジニアリングの確立をめざし推進中。
・研究開発の進捗状況
安定吐出 非吐出 非吐出
高分解能
可視化
ES吐出挙動の気液二相流シミュレーション
➢ メニスカス先端の頭頂角が従来のテイラーコーン角度とは異な
ることを明らかにし,電場による応力を考慮した独自の混相
流解析モデルにより再現することに成功.
水の蒸発計算
(0.01sec)
(断面の水蒸気濃度
を可視化)
上壁面(10kV)
下壁面(0kV)
噴射位置
➢ 静電スプレー流動場(静
電場,静電場と液滴の
相互干渉,相変化を考
慮)を解明する解析基
盤を構築.
ESインク
吐出
ESインク
流動・蒸発
触媒層
構造形成
燃料電池
機能発現[性能]
[電極材料]
ESインク調整
デジタルエンジニアリングの解析フロー
スラリー微細滴につ
いて蒸発を伴うアイ
オノマー析出挙動の
解析手法を構築
ES流動・蒸発挙動の気液二相流シミュレーション
ES蒸発・構造形成挙動の気液二相流シミュレーション
ES触媒層機能発現の細孔スケール反応輸送解析
細孔スケールでの反応輸送
解析手法を構築し,触媒層
構造がセル性能に及ぼす影
響の解明と高性能電極ESプ
ロセスの確立を目指すMPLPEM
=0.36
反応輸送解析:格子ボルツマン法
液水輸送解析:ポアネットワークモデル
x=5 nm
Nx=202, Ny=30, Nz=30113.研究開発成果について
テーマ名
最終目標
(2025年3月)
最終目標達成に向けた取り組み
A:ES法プロセス
の要素技術原
理解明
500ノズル規模のノズルデバイス塗工を
実現する数値解析シミュレーション技
術開発とその要素技術のメカニズム解明・クーロン力、静電場力、空気抵抗を考慮した電場解析シミュレーションにより電場分布偏差を低減する
実用サイズの数値解析で、実際の塗工状態の再現が実現。流動場の基礎的解明&主要メカニズムの
抽出は達成。
・大阪大学に導入したES塗工機の活用することにより溶媒蒸発影響、ノズル間の空間形成メカニズム等
を解明し、静電場解析と融合することにより数値解析シミュレーション技術開発が達成できる。
*数値解析シミュレーション技術開発により、ES法実装設計が加速できる。
B:ES法プロセス
を用いた触媒層
の性能の検証
500ノズル規模のノズルデバイスを用い
た触媒層の燃料電池および水電解
性能の検証と触媒有効性50%・触
媒層性能20%向上する。(対既存プ
ロセス)
・現状設計要素を用いたマルチノズルとインクプロセスの改良とアイオノマー比率の最適化により、最終目
標であるアイオノマーの均一薄膜被覆とPtナノ粒子の頭出しに、部分的に成功。ダイコータに勝るセル性
能が得られ、最終目標を上回る触媒層性能(36%UP@0.6V)を達成しており、この設計要素を見織
り込んだ500ノズルデバイスでの達成にめどがついている。
・要素技術開発の成果を適応すれば、さらに特性改善され500ノズルデバイスでの性能向上は達成可
能である。
*性能を実現する触媒有効性の効果を数値化きる見込みである。
C:ES法マルチノ
ズルデバイスモ
ジュール設計・
制御技術開発
・500ノズル規模のノズルデバイスモ
ジュールの設計・制御技術開発
・ダイ塗工比で乾燥炉長比50%減相
当の乾燥負荷低減
・塗工状態と数値モデルの再現性を実現した80ノズルの設計を微調整することにより、500ノズルデバイス
の設計開発を達成できる
・現設計要素を盛り込んだ数値計算モデルで、1000ノズルシミュレーションで良好な結果が得られており、
今後、テーマA&Bで明らかにされる設計要素を盛り込み、500ノズル達成できる。
*現状、マルチノズル化に伴う乾燥負荷の増大はなく、当初設計通りの50%減相当の乾燥負荷低減が
実現できる見込みである。
・目標達成に向けたアプローチ
・論文、学会発表、広報等の取り組み123.研究開発成果について
所属 タイトル 発表場所 発表年月日
大阪大学
燃料電池とフロー電池における熱流体研究
と材料研究の協働
日本機械学会関西支部
専門部会
2023年4月7日
University of Yamanashi,
Meiko Co., Ltd,
Mizuho Research &
Technologies, Ltd.
Development of Multi-Nozzle
Electrospray Device for
Fabrication of Cathode Catalyst
Layer on Polymer Electrolyte Fuel
Cells
244th ECS meeting
Gothenburg Sweden
2023年10月8日
大阪大学
固体高分子形燃料電池触媒層作製にお
ける静電噴霧の安定吐出条件の検討
日本機械学会関西学生会
2023年度学生員卒業研
究発表講演会
2024年3月14日
⚫ 成果普及の努力(広報等)
2024年2月28日から3月1日のH2&FC-EXPO2024水素燃料電池展において、山梨県展示ブースでES塗工装
置の試作品を展示し、研究成果をアピールした。
⚫ 学会発表
・実用化・事業化のイメージ&今後の課題と対応方針134.今後の見通しについて
*産業界&AFCとRtoRプロセスへの適応実現に向けてトータルプロセスの姿を構築し、意見交換実施中。
ロール to ロールプロセス
• 乾燥工程不要でCO2排出削減、触媒利用率2倍以上、薄膜塗工、省電
力等により製造ランニングコスト大幅削減
• 乾燥工程不要+両面同時塗工で全長短縮
プレスロール
保護フィルム
剥離
保護フィルム
挿入
ESノズル
赤外線ランプ
放射温度計
プレスロール
ESノズル
動画
本NEDO事業での開発部分
枚葉塗工機
・実用化・事業化に向けた具体的な取り組み(計画や戦略等)144.今後の見通しについて
年度 2025年度〜 2028年度〜 2032年度〜 2036年度〜 2040年度以降
MES-Lab,
MES-Lab-mini
MES-Pro
(小型機)
MES-Map
(大型機)
ブラッシュアップのための改良検討
装置設計
ES装置の製造、販売 (MES-Lab、MES-Lab-mini)
仕様検討
装置設計
ES装置の製造、販売 (MES-Pro)
仕様検討
装置設計
ES装置の製造、販売 (MES-Map)
メイコー
現時点:TRL3 事業終了時点:TRL4
23-24年度
LOI企業2社
:研究開発用(MES-Lab.)
導入検討中(TRL4)
小規模生産用(MES-Pro.)
への適応検討(TRL5-6)
大規模生産用(MES-Map.)
への適応検討、
実証事業(TRL7-8)
普及機へ
TRL9-10
AFC生産技術WGの協力必須
1実生産プロセスへの展開:AFCや産業界と意見交換しながら現状解明されているメカニズム・発電性能などをベースに実用化企業と
LCA貢献、プロセススペース改善などのプロセス構築へ向け新規開発事業につなげる。
2理想的な触媒層・セル構造の検討:本事業の原理解明の成果・シミュレーション技術をベースに共通基盤技術開発として、
インク作製から触媒層・セルまでの設計指針の検討をすすめる次期研究開発事業につなげる。