研究開発初期段階の新規技術を対象とした
ライフサイクル CO2 排出量の簡易評価ガイドライン
第 2 版 2023 年 11 月
(初版 2022 年 7 月)
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
技術戦略研究センター
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目 次
1. はじめに.......................................................................................................................... 4
2. ガイドライン策定の目的 ................................................................................................ 4
3. 簡易 LCCO2 評価の考え方 .............................................................................................. 5
3.1 評価の対象とするライフサイクルの範囲(システム境界)....................................... 5
3.2 フォアグラウンドデータとバックグラウンドデータ.................................................. 6
3.3 バックグラウンドデータの既定値............................................................................... 7
3.4 評価対象とする生成物に利用された原料 CO2 の取り扱いについて........................... 9
4. 簡易 LCCO2 評価手順.....................................................................................................11
4.1 システム境界の設定....................................................................................................11
4.2 簡易 LCCO2 評価に必要なデータの収集 ................................................................... 12
4.3 LCCO2 排出量の計算 .................................................................................................. 13
4.4 従来技術との比較 ...................................................................................................... 14
4.5 レポーティング.......................................................................................................... 14
5. 簡易試算ツールについて .............................................................................................. 16
5.1 対象とする CCU 技術と投入物のバックグラウンドデータ...................................... 16
5.2 比較対象とする従来技術の CO2 排出原単位データ .................................................. 18
5.3 試算ツールの構成 ...................................................................................................... 18
6. 参照文献........................................................................................................................ 26
付録 1 簡易試算ツール
付録 2 レポーティング事例集
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改訂履歴
版数 発行月 主な改訂内容
第 1 版 2022 年 7 月 ・初版発行
第 2 版 2023 年 11 月 ・ガイドラインの対象技術を CCU 技術から拡大。
・簡易試算ツールに 5 つの技術を追加。
・付録としてレポーティング事例集を追加。
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1.はじめに
カーボンニュートラルの実現に向け、CCU 技術やリサイクル技術などの CO2 削減に貢献
する様々な新規技術の研究開発が進められています。このような研究開発をより効果的に
進めていくためには、
「その技術が本当にCO2 削減につながるのか、
削減効果はどの程度か」、「CO2 削減にインパクトのある技術要素はどこなのか」
を研究開発の初期段階で見極めるこ
とが重要です。また、このような新たな技術の導入の際には、従来技術に対してサプライチ
ェーンが大きく変わることから、ライフサイクル全体での CO2 排出量(以後、LCCO2 排出
量、または単に LCCO2 と表記)の評価が不可欠です。
しかしながら、研究開発初期段階(TRL1〜3 程度)の LCCO2 排出量の評価に際し、前提
条件となる、
原料の前処理や製品の後処理等の主要工程以外の工程の詳細や、
投入される原
料・エネルギーの CO2 排出原単位などのデータを設定することは、LCA に精通していない
研究者にとっては大きな負担でありハードルが高いと考えています。
そこで、研究者が容易に LCCO2 排出量を評価できるよう、研究開発初期段階の LCCO2 評
価における重要な考え方やその評価手順をまとめたガイドラインを策定しました。
また、このガイドラインに基づいて作成した簡易試算ツールおよびレポーティング事例集を付録と
して添付しました。以下、2 章、3 章でガイドライン策定の目的と評価の考え方について述
べた後、4 章、5 章で評価手順と試算ツールの内容について説明します。
2.ガイドライン策定の目的
このガイドラインでは、LCA の手法に精通しない方でも容易に評価が行えるよう、研究
開発初期段階の新規技術に対し、研究開発初期段階でも収集することが可能なデータを用
いて LCCO2 排出量の概算値を評価することを目的に、評価の考え方や具体的な評価手順を
定めました。以降、本ガイドラインに基づく LCCO2 評価を簡易 LCCO2 評価と呼びます。
本ガイドラインを用いることにより、当該技術による LCCO2 排出量の概算値の評価に加
え、研究目標となる生成物収率やエネルギー投入量等の因子が LCCO2 排出量に与える影響
を把握することができます。
これらにより、
適切な研究開発目標の設定に貢献することを期
待します。
本評価においては、ライフサイクル全体のうち LCCO2 評価の対象とする範囲を限定する
とともに、主要な投入物の CO2 排出原単位1
を提供しています。また、このように計算の前
提を固定しているため、
異なる技術でも共通の前提の下で比較することが可能です。
なお、
ライフサイクル全体を評価の対象としていないことや設定している計算の前提が、実施者
が対象とするプロセスの実態と一致しているとは限らないことから、簡易 LCCO2 評価によ
る LCCO2 排出量は概算値となります。1単位量当たりの生産にかかった CO2 排出量のこと (kg-CO2/単位量)
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3.簡易 LCCO2 評価の考え方
本章では簡易 LCCO2 評価においてポイントとなる考え方を説明します。
3.1 評価の対象とするライフサイクルの範囲(システム境界)
LCCO2 評価では、はじめに、ライフサイクル全体のうち、LCCO2 評価の対象とする範囲
を設定する必要があります。
このような範囲をシステム境界と呼びます。
既に市場に出回っ
ている製品のシステム境界の設定では、原料の製造から廃棄までのライフサイクル全体を
システム境界とすることが一般的です(図 1a)
。一方で、研究開発初期段階の新規技術にお
いて、評価対象とした主生成物の使用並びに使用後処理段階、また輸送、設備製造、原料の
製造工程の実態を明確に把握することは困難であると予想されます。そこで、簡易 LCCO2
評価では、システム境界の対象を、新規技術および主要工程に限定し、それ以外の工程はシ
ステム境界から除外しています2。
メタン合成の場合のシステム境界の考え方を例示すると、
LCCO2 評価では原料の製造工程から、
メタン合成工程、
輸送、
利用に至るサプライチェーン
全体がシステム境界になりますが(図 1a)
、簡易 LCCO2 評価では原料の製造工程およびメ
タン合成工程のみがシステム境界となります(図 1b)。また、簡易 LCCO2 評価において評価の対象とする生成物は、主生成物のみとし、副生成
物や実態の把握が難しい廃熱の利用は評価の対象外とします。
図 1 CCU 技術によるメタン合成におけるシステム境界の設定例2一般的な LCA の実施においては、システム境界は通例、原材料の調達から製品の使用後処理まで、全
てのライフサイクル段階を対象とする Cradle-to-Grave(ゆりかごから墓場まで)の範囲で設定される。一
方で、調査の目的に応じて対象製品の製造までの段階で留める Cradle-to-Gate(ここで、gate とは factory
gate、すなわち対象製品が生産される工場のゲートを指している)の範囲で設定されるケースもある。本
ガイドラインにおいて設定されるシステム境界は、この Cradle-to-Gate に該当するということができる。
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3.2 フォアグラウンドデータとバックグラウンドデータ
LCCO2 排出量は、システム境界中の工程ごとに、投入する原料やエネルギーの CO2 排出
原単位と投入量から、その工程までの CO2 排出量を求め、それを次の工程での CO2 排出原
単位として順次計算することで評価します(図 2)
。その際、原料やエネルギーの投入量の
ように、LCCO2 評価実施者自ら収集するデータをフォアグラウンドデータと呼び、投入物
の CO2 排出原単位のように LCA データベースや文献等から引用するデータをバックグラウ
ンドデータと呼びます。
図 2 メタン合成の LCCO2 評価において収集が必要なデータ
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3.3 バックグラウンドデータの既定値
研究開発初期段階では、
原料の製造方法や電源構成、
熱供給源等が定まっていないケース
が多く、原料やエネルギーの CO2 排出原単位などを見積もれないため、バックグラウンド
データを適切に設定することが困難であると考えられます。
そこで、
本ガイドラインでは、
新規技術の主要な投入物である電力、熱、原料 CO2、水素についてバックグラウンドデータ
の既定値を脱炭素化の程度に応じた 3 つのシナリオに対して用意しました。これらを活用
すれば、
データ収集が簡素化されることに加え、
各シナリオに応じた評価条件で他の技術と
の横並び評価が可能になります。
本ガイドラインで整備したバックグラウンドデータの既定値は、
現状適用ケース、
中間ケ
ース、低炭素ケースの 3 種で、表 1 の数値としました。これらの算出の考え方は表 2 のとお
りです。
各ケースの既定値を用いた LCCO2 の計算結果から以下のような考察を行うことを想定し
ています。
➢ 現状適用ケースは、
評価対象の新規技術に投入される投入物について、
その供給
に係る CO2 排出量を基に、どの投入物の影響が大きいかを把握することによっ
て CO2 削減にインパクトのある技術要素はどこなのかを考察することを想定。
➢ 低炭素ケースおよび中間ケースは、従来技術の LCCO2 排出量と比較することに
より、
評価対象の新規技術の確立が将来、
本当に CO2 削減につながるのか、
削減
効果はどの程度かといった有効性を確認することを想定。
表 1 主要 4 投入物のバックグラウンドデータの既定値
投入物 単位
現状適用ケース
(2020 年想定)
中間ケース
(2030 年想定)
低炭素ケース
(2040 年想定)
電力 kg-CO2/kWh 0.506 0.158 0.00665
熱 kg-CO2/MJ 0.0510 0.0510 0.00224
原料 CO2
(CO2 分離回収あり)
kg-CO2/kg-CO2 0.148 0.0801 0.00704
原料 CO2
(CO2 分離回収なし)
kg-CO2/kg-CO2 0 0 0
水素 kg-CO2/kg-H2 9.82 7.56 0.318
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表 2 バックグラウンドデータの既定値の算出の考え方
投入物 現状適用ケース(2020 年を想定) 中間ケース(2030 年を想定) 低炭素ケース(2040 年を想定)
電力
World Energy Outlook 2021[1]
より、2020
年における世界の電力供給量と電力
由来 CO2 排出量を基に推計
World Energy Outlook 2021 より、2030 年
のネットゼロシナリオにおける世界の
電力供給量と電力由来 CO2 排出量を基
に推計
World Energy Outlook 2021 より、2040 年
のネットゼロシナリオにおける世界の
電力供給量と電力由来 CO2 排出量を基
に推計熱 天然ガスの高位発熱量と CO2 排出原単位を基に推計 水素による熱供給を想定し、
低炭素ケー
スにおける水素の CO2 排出原単位を基
に推計
原料 CO2
(CO2 分離回収あり)
石炭火力発電所から MEA 化学吸収法
による CO2 分離回収を想定し、
CO2 分
離回収エネルギー由来の排出を推計
熱消費量はプロセスシミュレーショ
ンによる推計値、電力および MEA の
消費量は文献値[2][3]
を使用
カーボンリサイクルロードマップ[4]
に記載されている 2030 年における CO2 分離回収技
術のターゲットのうち、濃度数%の低圧ガス用に対応する所要エネルギー量を採用
熱の CO2 排出原単位は各ケースの値に準拠
原料 CO2
(CO2 分離回収なし)
大気や排ガスを CO2 分離回収装置を用いず直接利用することを想定
水素
CCU を伴わない天然ガスの水蒸気改
質による水素製造を想定
アルカリ水電解による水素製造を想定[5]
電力の CO2 排出原単位は低炭素ケースの値に準拠
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表 1 に示す原料 CO2 のバックグラウンドデータについては、CO2 分離回収工程から得た
原料 CO2(分離回収あり)と CO2 分離回収装置を用いずに大気や排ガスから直接利用する
原料 CO2(分離回収なし)の 2 種を想定しました。原料 CO2(分離回収あり)では、CO2 を
回収する際に必要となるエネルギーに由来する CO2 排出量のみを対象としており、CO2 の
発生源から生成される主製品や CO2 回収時のオフガスは考慮していません(図 3)
。CO2 分
離回収装置を用いず直接利用する原料 CO2(分離回収なし)は CO2 排出原単位を 0 としま
した。
図 3 原料 CO2 のバックグラウンドデータの対象範囲
3.4 評価対象とする生成物に利用された CO2 の取り扱いについて
簡易 LCCO2 評価における CO2 排出の取り扱いを図 4 に示します。本評価では、新規技術
に投入した全 CO2 を回収するために必要なエネルギー由来の CO2 排出は増加分として計上
し、新規技術に投入した CO2 のうち評価対象とする主生成物に利用された CO2 は減少分と
して計上します。これは、簡易 LCCO2 評価における評価対象は主生成物のみであり、未反
応の CO2 や副生成物に利用された CO2 は大気中に排出されたと考えるためです。特に CCU
技術によって得られた製品を後工程の原料とする場合(例えば CCU 技術によって製造した
メタノールを原料に用いてオレフィンを製造する等)
、後工程において未反応の原料や副生
成物に利用されている CO2 も主生成物に利用された CO2 として過剰にマイナス計上しない
よう注意が必要です。
原料の CO2 排出原単位にCO2 利用分が考慮されているかを確認の上、
計算してください。評価対象とする主生成物に利用される CO2 の重量は、主生成物 1kg 当
たりに利用される CO2 の重量としてデータを収集します。
利用される CO2 の重量は、
通常、
主生成物の化学組成から算出します。これらの考え方に基づき算出した正味の CO2 排出量
が簡易 LCCO2 評価によって求められる LCCO2 排出量となります。
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図 4 LCCO2 排出量算出時の CO2 の取り扱い
なお、今回の評価では CO2 発生源の主製品や回収時のオフガス、評価対象とした主生成
物の使用や使用後処理に伴う CO2 の排出を考慮していないこと、評価対象とする主生成物
に利用される CO2 を関連する製品と配分せず全量マイナス計上していることから、LCCO2
排出量の評価結果がゼロやマイナスの値となったとしても、必ずしもカーボンニュートラ
ルやネガティブエミッションを達成しているとは言い切れない点に留意が必要です。加え
て、カーボンニュートラルや、ネガティブエミッションの定義は【コラム】に示してあり
ます。
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4.簡易 LCCO2 評価手順
本章では簡易 LCCO2 評価手順を説明します。本ガイドラインは、研究開発初期段階
(TRL1~3 程度)の新規技術を対象とします。また、評価の基準となる、評価対象とする生
成物の生成量(機能単位3
)は、例えば、素材であれば重量(例:1kg)
、エネルギーであれば
発熱量(例:1MJ)等、分かりやすい単位を設定します。以降の説明では、1 単位量を 1kg
と設定した場合を例として説明しています。新規技術から複数の生成物が生成される場合
は、主生成物を評価対象として、それらの生成量の合計値を 1 単位量(1kg)とします。詳
細は「4.2.1 フォアグラウンドデータの収集」に示します。
4.1 システム境界の設定
はじめに、
システム境界を設定します。
研究開発初期段階で想定できるライフサイクル全
体を示したうえで、
システム境界を設定してください。
システム境界の設定にあたっては、
「3.1 評価の対象とするライフサイクルの範囲
(システム境界)」を参照してください。CCU技術によるメタン合成における簡易LCCO2評価のシステム境界の設定例を図5に示します。
図 5 簡易 LCCO2 評価の対象とするライフサイクルの範囲(メタン合成の例)3LCA の国際規格である ISO14040[6]
および ISO14044[7]
では、評価の対象とする製品の機能や性能を一定
の数量単位で表現したものを機能単位と呼んでいる。機能単位の設定は、特に異なる製品間の比較を行う
際には製品間で統一することが必須であり、LCA を通じて製品の環境負荷を定量的に把握するための土
台となる、重要な要素である。
ここで、CCU 製品の化学構造や組成が従来製品と異なる場合は、例えば燃料であればその走行距離
(年間走行距離 1 万 k×ばつ車両の耐用年数 10 年=生涯 10 万 km の走行)を機能単位に設定する等、本来
的には用途に応じた機能単位の設定が求められる。本ガイドラインでは研究開発の初期段階における評価
を想定しており、使用段階で当該製品が発揮する性能が明確ではないケースも考えられることから、単位
重量や単位発熱量等、物理量によるシンプルな機能単位の設定を求めることとしている。
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4.2 簡易 LCCO2 評価に必要なデータの収集
システム境界が設定できたら、
次に、
フォアグラウンドデータとバックグラウンドデータ
を収集します。
4.2.1 フォアグラウンドデータの収集
簡易 LCCO2 評価において、収集が必要なフォアグラウンドデータは(表 3)
、1新規技術
に投入される原料やユーティリティの投入物とその投入量(X)、
2生成物とその生成量(α)、
3評価対象とする主生成物 1kg 中に利用されている原料 CO2 の重量(β)の 3 つです。
1の投入量や2の生成量には、実験やシミュレーションから算出したデータ等を用いま
す。
その際、
各投入物の投入量は評価対象とする生成物が 1kg となるように調整してくださ
い。
評価対象とする主生成物が複数ある場合は、
それらの生成量の合計値が 1kg となるよう
に投入物の投入量を調整します。3の評価対象とする生成物 1kg 中に利用されている原料
CO2 の重量は、通常、生成物の化学組成から算出します。ただし、コンクリートのように組
成が不明な場合は最大限利用されると推定される量として構いません。
なお、
試算ツールには、
原料やユーティリティの投入量や生成物の生成量の理論値を入力
する欄を設けています。
理論値は生成物収率が 100%だった場合の化学量論により算出され
る値であり、実験値(あるいはシミュレーションデータ等)のフォアグラウンドデータと理
論値を比較することにより、研究開発による CO2 削減ポテンシャルや簡易 LCCO2 評価結果
の妥当性の確認に利用できます。
フォアグラウンドデータを設定する際は、どのような根拠に基づくデータであるかを明
記してください。なお、評価対象に含まない副生成物や廃熱の利用は簡易 LCCO2 評価の対
象外ですが、これらについても生成量を収集し記録することが望ましいです。
表 3 フォアグラウンドデータ
入出力 フォアグラウンド
データ
Input: 電力 X1 kWh
熱 X2 MJ
原料 CO2
CO2 回収エネルギー
由来の排出
X3 kg
評価対象とする主生成物
に利用される CO2
β kg
水素 X4 kg
・・・ Xn kg
Output: 評価対象とする
生成物
Σαn(=1)kg
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4.2.2 バックグラウンドデータの収集
簡易 LCCO2 評価において、収集が必要なバックグラウンドデータ(表 4)は各投入物お
よび生成物の CO2 排出原単位(Y)です。主要な投入物である電力、熱、原料 CO2、水素に
ついては、
原則として本ガイドラインにて用意したバックグラウンドデータの既定値
(表 1)
を用いてください。
評価対象の投入物が表 2 に示した前提と異なる場合等、
一般的に用いら
れている LCA データベースの値や既報の論文等の値の方が妥当な場合は、それらを用いる
ことも可能です。
表 1 以外の投入物や主生成物のバックグラウンドデータについては、LCAデータベースや論文の値を引用するとともに、その情報源と選定の根拠を明記してくださ
い。なお、CCU 技術によって得られた製品を投入物とする場合はバックグラウンドデータ
に CO2 利用分が考慮されているか確認してください。
表 4 バックグラウンドデータ
入出力 バックグラウンド
データ
Input: 電力 Y1 kg-CO2/kWh
熱 Y2 kg-CO2/MJ
原料 CO2
CO2 回収エネルギー
由来の排出
Y3 kg-CO2/kg
評価対象とする主生成物
に利用される CO2
-1 kg-CO2/kg
水素 Y4 kg-CO2/kg
・・・ Yn kg-CO2/kg
Output: 主生成物
なお、簡易 LCCO2 評価では温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)のうち、CO2 のみを対
象とすることを基本とします。GHG 全体を対象とする場合は、気候変動に関する政府間パ
ネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の最新の評価報告書における地球温
暖化ポテンシャル(GWP:Global Warming Potential)の 100 年値の係数を用いて CO2 等量に
換算した GHG を用いるのが望ましいです。CO2 以外の特定の GHG に特化した評価を行う
場合や、最新ではない GWP の係数を用いる場合、また 100 年値以外の GWP 係数を用いる
場合は、その根拠を明記してください。
4.3 LCCO2 排出量の計算
「4.2.1 フォアグラウンドデータ」で収集した各投入物の投入量に対し、
「4.2.2 バッ
クグラウンドデータ」で示した個々の投入物に対応した既定値を乗算して得られる各投
入物の CO2 排出量を加算した値から、評価対象とする主生成物 1kg に利用される CO2 重
量を減ずることにより、LCCO2 排出量を算出します(表 5)。- 14 -
表 5 LCCO2 排出量の計算のイメージ
入出力 フォアグラウンド
データ
バックグラウンド
データ
CO2 排出量
Input: 電力 X1 kWh ×ばつ Y1 kg-CO2/kWh = Z1 kg-CO2
熱 X2 MJ ×ばつ Y2 kg-CO2/MJ = Z2 kg-CO2
原 料CO2CO2 回収エネルギ
ー由来の排出
X3 kg ×ばつ Y3 kg-CO2/kg = Z3 kg-CO2
評価対象とする主
生成物に利用され
る CO2
β kg ×ばつ -1 kg-CO2/kg = Z3’
(=-β)
kg-CO2
水素 X4 kg ×ばつ Y4 kg-CO2/kg = Z4 kg-CO2
・・・ Xn kg ×ばつ Yn kg-CO2/kg = Zn kg-CO2
Output: 主 生 成物Σαn(=1)kg
合計 ΣZn kg-CO2
4.4 従来技術との比較
従来技術との比較をするために、比較対象とする従来技術により製造された製品を定め
ます。
簡易 LCCO2 評価により算出された LCCO2 排出量と比較対象の LCCO2 排出量の差が、
新規技術により削減が見込まれる CO2 削減量となります。
比較対象の設定にあたっては、評価の対象とした主生成物と化学構造や組成が同じ製品
が存在する場合はその製品を、
存在しない場合は、
例えば評価の対象とした主生成物が輸送
用燃料であればガソリン等、同一の機能を有する製品を設定します。
比較対象とする従来技術の LCCO2 排出量の算出にあたっては、一般的に用いられている
LCA データベースにある当該製品の CO2 排出原単位を用いてください。その際、利用する
データベースは、簡易 LCCO2 評価のために利用したデータベースを利用することが望まれ
ます4。この時、
「4.簡易 LCCO2 評価手順」で設定した機能単位と同一とします。また、既
報の論文等に記載されているデータを比較対象として適用する場合等は、その情報源とと
もに選定の根拠を明確にします。
なお、
従来技術により製造された製品が複数の生成物で構
成される場合は、各生成物の生成量と CO2 排出原単位を乗算して加算することにより、比
較対象の LCCO2 排出量を算出してください。
4.5 レポーティング
簡易 LCCO2 評価結果を報告する際には、評価の目的や計算のトレーサビリティを確保す
るための情報を報告することが望まれます。基準となるレポーティングの項目を表 6〜表 9
に示していますが、
具体的なレポーティング項目については、
報告する相手との協議によっ
て決定してください。なお、研究開発目標が達成されたときの CO2 削減効果の確認や CO2
削減にインパクトのある技術要素を見極め研究開発目標として設定するなど実際の使用ケ
ースを想定したレポーティング事例集を付録として提供しています。4比較対象とする従来技術のシステム境界は、新規技術のシステム境界と必ずしも一致しているとは限ら
ない。システム境界が異なる場合の従来技術との差より求められる CO2 削減効果は、あくまでも目安であ
る点、留意が必要である。
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表 6 レポーティング項目(1)目的
項目 項目および要件の説明
対象とする
主生成物と技術
対象となる新規技術から生成される主生成物の名称を記載
目的 目的を記載
概要説明 対象となる新規技術について、簡潔に記載
意図する伝達先 結果を伝える相手を記載
機能単位 対象となる新規技術の性能を表す、定量的な参照単位を記載
‒ 新規技術から生成される主生成物の単位量(例:1kg、
1MJ)を機能単位として設定する
‒ 評価対象とする主生成物が複数ある場合、それらの生成
量の合計値が単位量となるような形で評価を行う
表 7 レポーティング項目(2)評価範囲
項目 項目および要件の説明
システム境界 ライフサイクル全体のうち、評価対象とする範囲について、
図示も含め記載
表 8 レポーティング項目(3)LCCO2 排出量の計算
項目 項目および要件の説明
フォアグラウンドデ
ータのデータソース
フォアグラウンドデータ(対象となる新規技術への投入物並
びに生成物に関する定量的な情報)のデータソースを記載
エネルギー源 新規技術に投入されるエネルギー
(電力、熱、蒸気等)
の供給
源を記載5
バックグラウンドデ
ータのデータソース
バックグラウンドデータのデータソースを記載
ガイドラインで整備した規定値以外を用いる場合は、その情
報源とともに選定の根拠を記載
表 9 レポーティング項目(4)評価結果
項目 項目および要件の説明
評価結果 表やグラフ等も用いて、定量的な評価結果を記載
主な結論 現状適用、中間、低炭素、の各ケースの評価結果から導き出
される、それぞれの目的に応じた結論を記載
評価対象に含まない生成物や廃熱などの有効利用の可能性に
ついての補足説明等も併せて記載5ただし、表 1 の既定値を用いた場合は記載不要。
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5.簡易試算ツールについて
付録として添付している簡易試算ツールは、LCA の手法に精通していなくても容易に評
価が行えるよう、16 種類の新規技術について、簡易 LCCO2 評価における考え方に基づくシ
ステム境界、評価対象とする主生成物、必要な投入物を設定するとともに、そのバックグラ
ウンドデータと従来技術により生成される主生成物の CO2 排出原単位を提供しています。
本ツールで提供する新規技術については、実験やシミュレーションから求めたフォアグラ
ウンドデータを入力することで、評価対象とする主生成物の LCCO2 排出量が試算され、結
果が表やグラフとして表示されます。
5.1 対象とする主生成物と投入物のバックグラウンドデータ
簡易試算ツールで評価対象とした主生成物を表 10 に示します。また、バックグラウンド
データを提供している投入物は、公開されている文献[8]-[34]を用いて行った感度分析を基に、
LCCO2 評価への影響が大きいと推算されたものを選定しています。用意した投入物の詳細
は簡易試算ツールの「バックグラウンドデータ」シートを参照してください。
簡易試算ツールでは、これらの投入物の CO2 排出原単位を国立研究開発法人国立環境研
究所の発行する「産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EID)
」[35]を元に以下の
方法により算出し、提供しています。
1 3EID の最新版である 2015 年版から、
対象となる投入物や生成物が該当する
産業連関表の列部門6の CO2 排出原単位を引用
• 「CO2 排出原単位
(エネルギー起源)
(I-A)-1」と「CO2 排出原単位(非エネルギー起源)(I-A)-1」の合算値
• 単位 : t-CO2/百万円
2 「平成 27 年(2015 年)産業連関表 部門別品目別国内生産額表」[36]より、
対象となる投入物および生成物に対応する列部門の単価の平均値を算出
3 1と2を乗算することにより、物量あたりの CO2 排出原単位を算出
なお、簡易試算ツールでは、国内の一般的な LCA データベースとして、国立研究開発法
人産業技術総合研究所が提供する「IDEA(Inventory Database for Environmental Anlysis)
」[37]
の活用時に参照するデータが容易にそろえられるよう、対応する製品分類コードを提示し
ています。6部門は産業連関表を表章する際の区分のことをいいます。列部門は産業連関表におけるタテの計数の並
びをいい、財・サービスを生産するための費用構成(投入)を示します。
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表 10 簡易試算ツールで評価対象とする主生成物
分野 主な開発対象 研究開発目標例 主生成物CO2分離回収 分離材
・分離回収エネルギー○しろまるGJ/t-CO2
以下
・分離回収コスト○しろまる円/t-CO2
以下CO2化学品・燃料
触媒
CCU プロセス
・収率○しろまる%以上
・選択率○しろまる%以上
・製造コスト○しろまる円台/L
メタン
一酸化炭素
水素
メタノール
オレフィン(C2~C5)
ブタジエン
芳香族(BTX)
液体燃料
ぎ酸
ポリオール
炭酸ジメチル
エチレングリコール
ジメチルエーテル
ジメトキシメタン
鉱物
環境配慮型
コンクリート
代替セメント
混和剤
骨材
・CO2
削減量○しろまるkg/m3・CO2
固定量○しろまるkg/m3セメント
コンクリート
廃プラスチック
ケミカル
リサイクル
ポリスチレン
解重合プロセス
・廃プラスチック転化率○しろまる%以上
・生成物収率○しろまる%以上
スチレン
エチルベンゼン
トルエン
メチルスチレン
ポリオレフィン
油化プロセス
芳香族
軽質油
中質油
重質油
- 18 -
5.2 比較対象とする従来技術の CO2 排出原単位データ
従来技術との比較のため、比較対象とする従来技術により生成される主生成物の CO2 排
出原単位についても、3EID を元に算出した結果と IDEA の製品分類コードを提供していま
す。
5.3 試算ツールの構成
試算ツールは、
図 6 に示すように、
「メニュー」
シート、
「バックグラウンドデータ一覧」
シート、
「LCCO2 排出量試算」シートの 3 種のシートで構成されています。また、
「LCCO2
排出量試算」シートの具体的な利用方法については、簡易試算ツールの中にある「試算シー
トの使い方」を参照してください。
図 6 試算ツールを構成する 3 種のシート
- 19 -
「メニュー」シートからは、他の各シートへ移動することが可能です(図 7)。図 7 「メニュー」シート
「LCCO2 排出量試算」
シートは、
ユーザーがデータや前提条件を入力する欄と、
試算結果
やバックグラウンドデータを参照する欄の大きく 2 つのパートに分かれています(図 8)。図 8 「LCCO2 排出量試算」シートの構成
- 20 -
このうち、データの入力欄では、フォアグラウンドデータ(新規技術並びに化学量論に基
づく投入物の投入量や、主生成物に利用される CO2 の量)を入力します(図 9)。図 9 フォアグラウンドデータ入力欄と入力例
なお、
廃プラスチックのケミカルリサイクルにおいては、
研究開発ごとに対象としたい主
生成物が異なる可能性が高いため、評価対象とする主生成物をユーザーが選択できるよう
になっています(図 10)。図 10 廃プラスチックケミカルリサイクルのフォアグラウンドデータ入力欄
また、
オレフィンや芳香族等、
一部の製品については、
触媒の合成や再生等による CO2 排
出量が大きくなる可能性があるため、触媒に係る CO2 排出量を考慮できるように、任意の
入力欄を設けています(図 11)。■しかくフォアグラウンドデータ一覧
フォアグラウンドデータ 主生成物に利用されるCO2
I/O 項目 単位 新規技術 化学量論 (kg-CO2)
CO2 kg 2.292 1.375 -
投入物 水素 kg 0.313 0.188 -
電力 kWh 0.050 -
熱 MJ 4.200 -
一酸化炭素(CCU由来) kg -
主生成物 メタノール kg 1.000 1.000 1.375
CH4 kg
H2 kg
副生成物 CO2 kg
CO kg
H2O kg
その他 kg
■しかくフォアグラウンドデータ一覧
フォアグラウンドデータ
I/O 項目 単位 新規技術 化学量論
投入物 電力 kWh
熱 MJ
廃プラスチック(ポリスチレン) kg
主生成物 スチレン kg
主生成物 エチルベンゼン kg
主生成物 トルエン kg
主生成物 メチルスチレン kg
副生成物 残渣(石炭類似) kg
副生成物 オフガス kg
主生成物 計 kg 0.000 0.000
副生成物 計 kg 0.000 0.000
生成物合計 kg 0.000 0.000
主生成物 or 副生成物を選択する
- 21 -
図 11 触媒に係る CO2 排出量を考慮するための任意入力欄
また、
データの入力欄の下にあるスペースに、
収集したフォアグラウンドデータの前提条
件やフォアグラウンドデータ設定の考え方を記載します(図 12)。図 12 前提条件・フォアグラウンドデータ設定の記載欄
■しかく触媒(合成ゼオライト等)を考慮する場合に入力
項目 単位 量
触媒1kgから生産される主生成物の総生産量
kg-主生成物総生
産量/kg-触媒
触媒を1kg合成並びに再生に伴うCO2排出量
kg-CO2
/kg-触媒
主生成物1kg生成した時の触媒に係るCO2排出量
kg-CO2
/kg-主生成物0■しかく前提条件・フォアグラウンドデータ設定の考え方
新規技術
開発中のプロセスの研究開発目標から投入物のフォアグランドデータを算出。
研究開発目標:CO2基準のメタノール収率60%、H2基準のメタノール収率60%
ユーティリティ(電力、熱)は従来技術(CO/H2からのメタノール合成)と同等
化学量論(化学反応や物理現象などから可能な場合は理論限界を示す)
水素とCO2からメタノール量論反応に入れる量と反応熱より試算。発熱反応。
3H2 + CO2 --> H2O + CH3OH , ∆Hr = - 53.3kJ
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データの入力欄に入力されたデータを基に、LCCO2 の試算結果が表とグラフで表されま
す(図 13 および図 14)。図 13 試算結果の例(表)
図 14 試算結果の例(グラフ)
計算に用いたバックグラウンドデータ(CO2 排出原単位)は、各「LCCO2 排出量試算」シ
ートの右端にあるバックグラウンドデータ一覧で参照することが可能です(図 15)。■しかく試算結果(表)
CO2排出量 (kg-CO2/kg-主生成物)
項目 従来技術
現状適用 中間 低炭素 現状適用 中間 低炭素
CO2利用分 -1.38E+00 -1.38E+00 -1.38E+00 - -1.38E+00 -1.38E+00 -1.38E+00
CO2回収エネルギー 3.39E-01 1.84E-01 1.61E-02 - 2.04E-01 1.10E-01 9.68E-03
水素 3.07E+00 2.37E+00 9.95E-02 - 1.85E+00 1.42E+00 5.98E-02
電力 2.53E-02 7.90E-03 3.33E-04 - 0.00E+00 0.00E+00 0.00E+00
熱 2.14E-01 2.14E-01 9.41E-03 - 0.00E+00 0.00E+00 0.00E+00
一酸化炭素(CCU由来) 0.00E+00 0.00E+00 0.00E+00 - 0.00E+00 0.00E+00 0.00E+00
従来技術 - - - 8.34E-01 - - -
LCCO2 2.28E+00 1.40E+00 -1.25E+00 8.34E-01 6.75E-01 1.56E-01 -1.31E+00
CO2削減量 -1.44E+00 -5.63E-01 2.08E+00 - 1.59E-01 6.77E-01 2.14E+00
新規技術 化学量論
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図 15 バックグラウンドデータ一覧
バックグラウンドデータ一覧の基になっているデータは、
「バックグラウンドデータ」シ
ートに収められています。
「バックグラウンドデータ」シートのうち、J, K 列には IDEA の
バージョン 3 シリーズの製品コードと製品名を掲載しており、
これらを用いて IDEA のデー
タを計算に適用することが可能です。バージョン 3 シリーズのデータは L 列に入力するよ
うにしてください。また、I 列には 3EID の CO2 排出原単位と産業連関表の単価を用いて算
出したバックグラウンドデータを掲載しています。これらのデータは、G, H 列に記載して
いる産業連関表の列部門コードと部門の名称に対応しています。バックグラウンドデータ
として参照するデータベースは、
E39 セルのプルダウンメニューで選択が可能です
(図 16)。図 16 計算に用いるバックグラウンドデータの選択
なお、
「バックグラウンドデータ」シート 6〜29 行には、現状適用、中間、低炭素、の 3
種のケースごとに、新規技術の主要な投入物である原料 CO2、水素、電力、熱のバックグラ
ウンドデータを掲載しています。
- 24 -
【コラム】
カーボンニュートラル、ネガティブエミッションの考え方
Zimmermann, et al. (2020)[38] によると、CCU 技術がライフサイクルを通じて理論上カ
ーボンニュートラルと呼べるケースを CO2 が吸収される場合や隔離される場合に分け
て定義しています。
前者はバイオ由来または DAC により大気から吸収されたのと同量
の CO2 が最終的に排出されるケース(図 17)
、後者は化石由来の CO2 全量が永久に隔
離・貯留されるケースであり(図 18)
、いずれの場合もライフサイクル全体にわたりそ
の他全ての GHG 排出量がゼロである場合と整理しています。
図 17 カーボンニュートラル – CO2 吸収 –
図 18 カーボンニュートラル – CO2 隔離 –
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同様に、Zimmermann, et al. (2020) は、CCU 技術が潜在的にはネガティブエミッショ
ンといえるケースについて、
バイオ由来または DAC により大気から吸収された CO2 が
製品の状態のまま永久に隔離・貯留され、かつライフサイクル全体にわたりその他す
べての GHG 排出量が隔離・貯留された CO2 よりも少ないケースと整理しています(図19)。図 19 ネガティブエミッション
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6.参照文献
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メント(その 2)-太陽光発電、地熱発電との環境影響比較-", V13021, 2013.
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Hydrogen Energy and Fuel Cells Primers, 2018, 17-62.
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Life cycle assessment — Principles and framework", 2006
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Life cycle assessment — Requirements and guidelines", 2006
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