「新産業創出新技術先導研究プログラム」2019年終了テーマ事後評価について
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術研究開発機構ロボット・AI部及び材料・ナノテクノロジー
部は、
「新産業創出新技術先導研究プログラム」において採択した先導研究テーマのうち、終了したテー
マに対して、事後評価を実施しております。
本事後評価は、
先導研究テーマの目標に対する達成度、
国家プロジェクトに向けた取組み等を確認する
とともに、今後の研究開発に役立てて頂くことを目的に実施しております。
この度、
2018年度に採択し、
事業が終了した先導研究テーマ全6件についての事後評価を終了致し
ましたので、下記のとおり公表いたします。記1.事後評価実施テーマと評価実施時期
・2018年度採択テーマのうち、2019年で終了したテーマ・・・6件
※(注記)事後評価を実施した先導研究テーマは別紙の通り。
2.事後評価の方法
(1)事後評価の手順
各テーマに対して当該技術分野を担当する複数の評価委員により、a)及び b)に基づく書面評価、c)
に基づくヒアリング評価を実施した。
a)委託業務成果報告書
(業務委託契約約款
(一般用、
大学国研用)
第24条に基づき提出されたもの)
b)補足資料(委託業務成果報告書を補足する資料)
c)発表スライド(委託業務成果報告書の要約。ヒアリング時に使用。)(2)事後評価項目と評価基準
以下の評価項目と基準に基づき、各項目を5段階(S・A・B・C・D)で評価した。
評価項目 評価基準
1)目標の達成度 ・成果は目標値をクリアしているか。
・全体としての目標達成度はどの程度か。
2)成果の意義・波及効果 ・成果には新規性・独創性・革新性があるか。
・成果は世界的に見てどの程度の水準にあるか。
・成果は新たな技術領域を開拓することにつながるか。
・成果は関連分野への技術的波及効果及び経済的波及効果を期待できる
ものか。
・研究の実施自体が当該分野の研究開発を促進するなどの波及効果を生
じているか。3)政策・長期ビジョンへの
有効性
・今後の国プロ化に向けて有効な成果となっているか。
・国プロ化に有効な検討がなされているか(技術課題、開発目標、開発
スケジュールの策定、実施体制の提案を含む)。4)総合評価 上記1)〜3)の評価項目を踏まえての総合的な評価。
3.事後評価結果
各評価委員の「4)総合評価」について、S=4、A=3、B=2、C=1、D=0 と数値に換算し、事後評価を実施
した複数の評価委員の平均評価点を算出し、当該テーマの評価点とした。この評価点に基づき、当該テー
マに対して、以下の5段階の評価を決定した。
評価点 評価
3.20〜4.00 極めて優れている
2.40〜3.19 優れている
1.60〜2.39 妥当である
0.80〜1.59 概ね妥当である
0.00〜0.79 妥当とは言えない
事後評価結果の5段階評価による内訳は以下の通り。また、各テーマの評価は別紙の通り。
【事後評価】
(全6件)
評価 件数
極めて優れている 2
優れている 2
妥当である 1
概ね妥当である 1
妥当とは言えない 0
4.事後評価委員名簿(敬称略、順不同) ※(注記)所属・役職は評価実施時点のもの。
氏名 機関名 役職
井上 浄 株式会社リバネス 代表取締役副社長 CTO
小菅 厚子 公立大学法人大阪府立大学 准教授
小矢野 幹夫 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 教授
小林 彬
一般社団法人次世代センサ協議会/国立大学法人東京
工業大学
会長/名誉教授
小松崎 常夫 セコム株式会社 顧問
近藤 和博 事業創出推進機構株式会社 執行役員
末廣 尚士 国立大学法人電気通信大学 教授
高橋 里美 元国立大学法人京都大学 客員教授
竹内 敬治
株式会社 NTT データ経営研究所 社会・環境戦略コンサ
ルティングユニット
シニアマネージャー
野中 寛 国立大学法人三重大学 教授
藤田 孝之 公立大学法人兵庫県立大学 准教授
細田 祐司 一般社団法人日本ロボット学会 理事・事務局長
吉田 和哉 国立大学法人東北大学 教授
(別紙)
■しかく評価実施テーマと評価結果
研究テーマ名: ドローン運用高度化のための革新的熱電発電システムの開発
委託先機関名: 国立大学法人東京大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所
評 価 結 果 : 優れている
コ メ ン ト :
ドローンに搭載可能な革新的な熱電発電システムの開発を目標とし、
発電性能の解析的
分析による、設計方針を明確にした。身近にある液化ガスの燃焼熱を独立電源として使
用するという着想の元に、
対流効果や触媒反応を利用した発電の原理検証を行ったとい
う点、金属薄板素子の製造技術を確立し、発電試験を実施しある程度の高出力密度を実
験的に実証したという点で優れている。今後は、社会実装に向けたシステムの具体的な
仕様検討や実用技術開発が望まれる。
研究テーマ名: 超高感度センサシステムのためのナノ界面技術・回路の統合開発
委託先機関名: 学校法人慶應義塾、国立大学法人九州大学
評 価 結 果 : 極めて優れている
コ メ ン ト :
研究開発のビジョンが明確であり、
それに基づいた具体的な活動が各グループで設定さ
れている。全く新しい取り組みではあるが、非常に説得力のある活動が行われている。
解決すべき新たな課題も明示されており、実現性を強く感じた。
具体的・実践的・実用的・マーケット的な意味がある適正な標的分子の選定とセンシン
グにおける選択性の実証ということに十分留意して欲しい。
研究テーマ名: 心疾患予防のための目視型プラズモンフルカラーセンサーの開発
委託先機関名: 国立大学法人九州大学、東レ株式会社、公立大学法人大阪府立大学
評 価 結 果 : 妥当である
コ メ ン ト :
本研究を取組み、課題が明確になったことはひとつの成果と考える。
また、アレルゲンについても、重要な社会課題と考えるが今後、実施体制や方法につい
ては今一度検討する必要がある。
研究テーマ名: 超微小ノイズ計測システムの汎用化に資するナノ界面制御技術の研究開発
委託先機関名: 国立大学法人大阪大学
評 価 結 果 : 極めて優れている
コ メ ン ト :
超微小ノイズ計測装置実現のための基本となる技術開発のキッカケになるものである。
非常に高性能な汎用低ノイズ評価システムが実現している。
目指すべきビジョンが明確
になっており、そのための具体的なアプローチも包括性があり優れたものと感じる。
社会実装時に重要になる点についても明示していただくと更に価値が高まると思う。
研究テーマ名: 電力非依存型多機能生物デバイスの開発に不可欠な基盤技術の確立
委託先機関名: 国立大学法人大阪大学
評 価 結 果 : 優れている
コ メ ン ト :
植物の可能性を大きく広げる優れた研究であり、環境センシング、照明、アートなど幅
広い分野への展開が期待される。
今回の成果を活用した社会実装の提案を踏まえつつ、
国内外の動向に十分留意して戦略
的に研究を進め、特許・論文等の成果の確保と本技術の基盤を早急に確立してほしい。
研究テーマ名: 分子触媒システムによる木質バイオマス変換プロセスの研究開発
委託先機関名: 株式会社ダイセル、国立大学法人京都大学
評 価 結 果 : 概ね妥当である
コ メ ン ト :
「分子触媒を利用した高効率な木質バイオマスの処理システムの開発」
という新たな視
点から要素技術を駆使しつつ取組み、木質バイオマスの低温パルプ化、可溶化システム
として、新しい知見を得ることができた。
しかしながら本システムが、既存の処理システムと比べ、経済性、環境調和性などを凌
駕する可能性を示すことができていない。
既存の処理システムとの比較を、コスト比較等を含めて実施し、本処理システムの優位
な点を明確にする必要がある。
以上