Microsoft Word - ガイドブックver06.doc


「風力発電電力系統安定化等技術開発-気象予測システム-
気象予測に基づく風力発電量予測システムの開発」
風力発電出力予測技術ガイドブック
平成 20 年 3 月
国立大学法人 東京大学
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
財団法人 電力中央研究所
財団法人 日本気象協会
イー・アンド・イー ソリューションズ株式会社
はじめに
わが国では、エネルギー源の多様化によるエネルギー安定供給の確保や地球温暖化対策に資するた
め、
風力発電をはじめとする新エネルギーの導入が積極的に促進されています。
平成 13 年 6 月に取り
まとめられた総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会報告書(平成 13 年 6 月)では平成 22 年度
における風力発電導入目標量は 300 万 kW とされています。
風力発電の導入実績に関しては、1996 年度に 1.4 万 kW でありました設備容量が 2006 年度末には
約 149 万 kW(1, 314 基)に達し、現在既に電力会社と需給契約済みの容量と風力発電追加契約予定量
の 2 つの導入見込み量を合わせると約 166 万 kW と想定され、2010 年の風力発電導入目標量(300 万
kW)の約半分に達する規模です。
しかし電力システムの観点から見ますと、風力発電は出力変動が大きい電源であるために電力系統
に連系した場合には、電圧や周波数などの電力品質等に影響を及ぼすことが懸念されます。平成16
年7月の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会風力発電系統連系対策小委員会中間報告におい
ては、周波数変動対策オプションの一つとして局地気象予測を精緻化し、風力発電の出力変動の予見
可能性を向上することにより、一定の調整力の下での風力発電連系可能量を拡大できる可能性がある
と指摘しています。
本ガイドブックは、このような背景のもと、風まかせの発電電力を事前に予測することによって電
力系統側の調整力を計画的に運用可能にすることを目的として、平成 17 年度から 19 年度の 3 ヶ年プ
ロジェクトとして始まりました「風力発電電力系統安定化等技術開発-気象予測に基づく風力発電量
予測システムの開発」
事業の一部成果として、
気象予測に基づく風力発電量予測システムの利用者(導
入者)やサービス提供者が必要とする参考書的なものとしてとりまとめました。
なお「風力発電電力系統安定化等技術開発-気象予測システム-気象予測に基づく風力発電量予測
システムの開発」事業は、東京大学、伊藤忠テクノソリューションズ(株)、(財)電力中央研究所、(財)
日本気象協会およびイー・アンド・イー ソリューションズ(株)が新エネルギー・産業技術総合開発機構
からの受託調査の一部として実施したものです。
最後に、本事業においてご助言を頂きました風力発電出力予測実行委員会および風力発電出力予測
電力共同 WG の有識者皆様に心よりお礼申し上げます。
風力発電出力予測実行委員会・委員名簿
役 名 氏 名 所 属
委員長 牛山 泉 足利工業大学総合研究センター・センター長
中西 幹郎 防衛大学校地球海洋学科 助教授
大山 力 横浜国立大学 教授
岡本 浩 東京電力株式会社 系統技術グループ マネージャー
秋山 康人* 東北電力株式会社 電力流通本部 電力システム部 課長
市川 嘉則
東北電力株式会社 電力流通本部 電力システム部
制御技術課長
秋田 耕児* 北海道電力株式会社 工務部 給電計画グループリーダ
一戸 昌則 北海道電力株式会社 工務部 給電計画グループリーダー
小倉 良夫* 九州電力株式会社 経営企画室 エネルギー戦略 グループ長
福田 一二三
九州電力株式会社 電力輸送本部系統運用部
電力品質グループ 副長
高原 景滋
沖縄電力株式会社 研究開発部 技術開発グループリーダー
課長
白石 一雄*
四国電力株式会社 電力輸送本部系統運用部
調査グループリーダー
安藤 和正
四国電力株式会社 電力輸送本部 系統運用部
調査グループリーダー
小松崎 勇一 株式会社ユーラスエナジージャパン 技術部 部長
蜂屋 一雄
電源開発株式会社 環境エネルギー事業部
風力事業室長代理 兼技術・発電グループリーダー
久家 秀海 エコ・パワー株式会社 技術部長
斉藤 哲夫 中間法人日本風力発電協会 事務局企画室長
本田 明弘 三菱重工業株式会社 技術本部 長崎研究所 流体研究室 室長
加藤 裕司
富士重工業株式会社 エコテクノロジーカンパニー
風力発電プロジェクトマネージャー
委員
北村 真一 サミットウィンドパワー酒田株式会社 代表取締役
千葉 康司
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
新エネルギー技術開発部 系統連系技術グループ 主査
岩崎 敏泰
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
新エネルギー技術開発部 系統連系技術グループ 主査
諸住 哲
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
新エネルギー技術開発部 系統連系技術グループ 主任研究員
オブザーバ
山下 充利
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー対策課 課長補佐
荒川 忠一 東京大学 大学院工学系研究科 教授(プロジェクトリーダー)
七原 俊也
電力中央研究所 システム技術研究所
需要家システム領域リーダー(プロジェクトリーダー代行)
石原 孟 東京大学 大学院工学系研究科 准教授
藤野 陽三 東京大学 大学院工学系研究科 教授
山口 敦 東京大学 大学院工学系研究科 助教
飯田 誠 東京大学 大学院工学系研究科 特任講師
福田 寿
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 科学システム事業部
地球科学部 応用気象課 課長
谷川 亮一
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 科学システム事業部
地球科学部 応用気象課
田中 伸和 財団法人 電力中央研究所 地球工学研究所 首席研究員
平口 博丸
財団法人 電力中央研究所 地球工学研究所 流体科学領域
上席研究員
服部 康男
財団法人 電力中央研究所 地球工学研究所 流体科学領域
主任研究員
橋本 篤
財団法人 電力中央研究所 地球工学研究所 流体科学領域
特別契約研究員
門倉 真二 環境科学研究所 物理環境領域 主任研究員
鈴木 靖* 財団法人 日本気象協会 首都圏支社 調査部長
林 宏典*
財団法人 日本気象協会 首都圏支社 調査部
環境調査課 主任技師
黒田 幸夫 財団法人 日本気象協会 首都圏支社 ソリューション部長代理
叶木 律子
財団法人 日本気象協会 首都圏支社 ソリューション部
応用気象課 技師
工藤 泰子
財団法人 日本気象協会 首都圏支社 ソリューション部
環境技術課 技師
中尾 徹 環境事業部 技師長
飛田 実 環境事業部 副事業部長
事務局
梶原 史洋 環境事業部 温暖化・エネルギー対策グループ主任研究員
(*)途中退任
風力発電出力予測電力共同 WG・委員名簿
(*)途中退任
氏 名 所 属
岡本 浩 東京電力株式会社 系統技術グループ マネージャー
秋山 康人* 東北電力株式会社 電力流通本部 電力システム部 課長
市川 嘉則
東北電力株式会社 電力流通本部 電力システム部
制御技術課長
秋田 耕児* 北海道電力株式会社 工務部 給電計画グループリーダ
一戸 昌則 北海道電力株式会社 工務部 給電計画グループリーダー
小倉 良夫* 九州電力株式会社 経営企画室 エネルギー戦略 グループ長
福田 一二三
九州電力株式会社 電力輸送本部系統運用部
電力品質グループ 副長
高原 景滋
沖縄電力株式会社 研究開発部 技術開発グループリーダー
課長
白石 一雄*
四国電力株式会社 電力輸送本部系統運用部
調査グループリーダー
調査担当者 名簿
(1)国立大学法人 東京大学
平成 20 年 3 月 20 日現在
氏 名 所 属 ・ 役 職(職名)
藤野 陽三 大学院工学系研究科 教授
荒川 忠一 同 教授
石原 孟 同 准教授
飯田 誠 同 特任講師
山口 敦 同 助教
小川 豪 同 産学官連携研究員
酒井 和也 同 産学官連携研究員
[業務管理者]
藤野 陽三:東京大学 大学院工学系研究科 社会基盤学専攻 教授
[内容についての問い合わせ先]
石原 孟:東京大学 大学院工学系研究科 総合研究機構 准教授
〒113-8656 東京都文京区弥生 2-11-16
TEL 03-5841-1145 FAX 03-5841-1147
(2)伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
平成 20 年 3 月 20 日現在
氏 名 所 属 ・ 役 職(職名)
福田 寿 科学システム事業部 地球科学部 応用気象課 課長
谷川 亮一 同 主任研究員
劉 発華 同 主任研究員
早崎 宣之 同 主任研究員
高木 哲郎 同 主任研究員
北谷 匠子 同 副主任研究員
結城 陽介 同 副主任研究員
青木 功 同 副主任研究員
久保 博司 同 副主任研究員
児玉 総司 科学システム事業部 地球科学部 応用技術課 主任研究員
磯和 充 同 主任研究員
横塚 透 同 主任研究員
[業務管理者]
福田寿 科学システム事業部 地球科学部 応用気象課 課長
[内容についての問い合わせ先]
谷川 亮一 科学システム事業部 地球科学部 応用気象課 主任研究員
〒100-6080 東京都千代田区霞が関 3-2-5 霞が関ビル
TEL 03-6203-7555 FAX 03-3539-5174
(3)財団法人 電力中央研究所
平成 20 年 3 月 20 日現在
氏 名 所 属 ・ 役 職(職名)
田中 伸和 地球工学研究所 首席研究員
七原 俊也 システム技術研究所 需要家システム領域リーダー 上席研究員
平口 博丸 地球工学研究所 流体科学領域リーダー 上席研究員
江口 譲 同 流体科学領域 上席研究員
豊田 康嗣 同 流体科学領域 主任研究員
服部 康男 同 流体科学領域 主任研究員
田村 英寿 同 流体科学領域 主任研究員
杉本 聡一郎 同 流体科学領域 主任研究員
和田 浩治 同 流体科学領域 主任研究員
須藤 仁 同 流体科学領域 主任研究員
橋本 篤 同 流体科学領域 特別契約研究員
門倉 真二 環境科学研究所 物理環境領域 主任研究員
[業務管理者]
田中 伸和:地球工学研究所 首席研究員
[内容についての問い合わせ先]
服部 康男 地球工学研究所 流体科学領域 主任研究員
〒270-1194 千葉県我孫子市我孫子 1646
Tel: 04-7182-1181 (代表) Fax: 04-7184-7142
(4)財団法人 日本気象協会
平成 20 年 3 月 20 日現在
氏 名 所 属 ・ 役 職(職名)
奥山 和彦 首都圏支社 ソリューション部 部長
黒田 幸夫 同 ソリューション部 部長代理
是永 司 同 ソリューション部 部長代理
佐藤 隆光 同 ソリューション部 部長代理
筑紫 文夫 同 ソリューション部 環境技術課
小島 啓美 同 ソリューション部 環境技術課 主任技師
工藤 泰子 同 ソリューション部 環境技術課 技師
齋藤 重雄 同 ソリューション部 環境技術課
山口 高明 同 ソリューション部 環境技術課 技師
宇都宮 好博 同 ソリューション部 応用気象課 主任技師
叶木 律子 同 ソリューション部 応用気象課 技師
坂本 豊美 同 ソリューション部 応用気象課 技師
松藤 絵里子 同 ソリューション部 応用気象課 技師
窪田 和彦 同 ソリューション部 応用気象課 技師
村山 貴彦 同 ソリューション部 応用気象課 技師
松浦 邦明 同 ソリューション部 応用気象課 主任技師
冨田 雄一郎 同 ソリューション部 応用気象課 技師
乙津 孝之 同 ソリューション部 応用気象課 技師
中野 俊夫 同 ソリューション部 応用気象課 技師
滝谷 克幸 北海道支社 ソリューション部 専任主任技師
宮畑 信吾 同 ソリューション部 情報開発課 課長
西山 直樹 同 ソリューション部 情報開発課 技師
中村 一樹 同 ソリューション部 気象情報課 課長
中田 琢志 同 ソリューション部 応用気象課 技師
山口 浩司 同 ソリューション部 応用気象課 技師
[業務管理者]
奥山 和彦 首都圏支社 ソリューション部長
[内容についての問い合わせ先]
黒田 幸夫 首都圏支社 ソリューション部 部長代理
〒170-6055 東京都豊島区東池袋 3-1-1 サンシャイン 60 55F
TEL 03-5958-8151 FAX 03-5958-8157
(5)イー・アンド・イー ソリューションズ株式会社
平成 20 年 3 月 20 日現在
氏 名 所 属 ・ 役 職(職名)
飛田 実 環境事業部 副事業部長
中尾 徹 環境事業部 技師長
梶原 史洋 環境事業部 温暖化・エネルギー対策グループ 主任研究員
橋本 真也 環境事業部 主席研究員
渡辺 尚道 環境事業部 温暖化・エネルギー対策グループ 主席研究員
臼井 健 同 主任技師
加藤 秀樹 同 主任研究員
天春 成樹 同 主任研究員
阪口 幸三 同 主任研究員
長田 悠子 同 研究員
久松 信介 同 研究員
近藤 敦 環境事業部 CSR・環境審査グループ 主任研究員
[業務管理者]
飛田 実 環境事業部 副事業部長
[内容についての問い合わせ先]
梶原 史洋 環境事業部 温暖化・エネルギー対策グループ 主任研究員
〒101-0021 東京都千代田区外神田4丁目14番1号 秋葉原 UDX ビル
TEL 03-6328-0080 FAX 03-5295-205 i目 次
【第 1 部】ガイドブックの目的 ······································································································································ 1
1. 風力発電出力予測技術ガイドブックの目的 ······················································································ 1
2. 本書の対象読者 ······································································································································· 1
3. 本書の構成 ················································································································································ 1
【第 2 部】気象予測に基づく風力発電出力予測システムの基本事項 ······················································· 3
4 本書でのシステム構築適用範囲 ·········································································································· 3
5 関連法規等 ················································································································································ 4
5.1 気象業務法 ······································································································································· 4
5.2 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 ················································································ 4
6 用語の定義 ················································································································································ 5
7 システム導入の目的と留意点 ················································································································ 8
7.1 目的 ···················································································································································· 8
7.2 対象とする範囲 ································································································································ 9
7.3 留意点 ················································································································································ 9
8 システム導入の基本事項 ····················································································································· 11
8.1 気象予測と個別のモデルの概要 ······························································································ 11
8.1.1 数値気象予報モデル ······································································································· 14
8.1.2 メソスケール気象モデル ·································································································· 14
8.2 ウィンドファーム予測モデルと制御エリア予測モデルの概要 ············································· 16
8.2.1 ウィンドファーム発電出力予測モデル ·········································································· 16
8.2.2 電力系統制御エリア発電出力予測モデル ································································· 18
8.2.3 予測結果の利用(表示) ·································································································· 20
8.3 気象予測に基づく風力発電出力予測のシステム化 ····························································· 25
8.3.1 ウィンドファーム発電出力予測システム ···································································· 28
8.3.2 電力系統制御エリア発電出力予測システム ······························································ 30
【第 3 部】気象予測に基づく風力発電出力予測システム構築・運用の例 ·············································· 32
9 オンライン観測通信システムの構築・運用 ······················································································· 32
10 風力発電出力予測システムの構築・運用 ························································································ 38
11 風力発電出力予測プラットフォーム ··································································································· 41
12 運用障害事例と解析結果 ···················································································································· 43
13 予測システムの構築・運用に関する留意事項 ················································································ 49
【付録】
風力発電出力予測プラットフォーム マニュアル
-1-
【第1部】風力発電出力予測技術ガイドブックの目的
1 風力発電出力予測技術ガイドブックの目的
風力発電出力予測技術ガイドブック(以下、本書と称します。
)は、気象予測に基づいた2日先
までの風力発電を予測するシステムの利用者(導入者)やサービス提供者に対して「日本の風況特
性に適合した高精度な気象予測に基づく風力発電出力予測の技術や情報およびその組み合わせに
よるシステム構築・運用方法のありかたを提示」することとして、オンライン情報収集・通信シ
ステムの構築等の留意点の他、ウィンドファーム発電出力予測モデル、電力系統制御エリア発電
出力予測モデルの各モデルの特徴等を含めた参考書的なものとしました。
2 本書の対象読者
本書の対象読者は、気象予測に基づいた風力発電予測システムの利用者(導入者)や風力発電
量予測値の提供をサービスとして行う方々が対象となります。
3 本書の構成
本書の構成は、まず本書の目的は何なのか?誰を対象としているのか?構成はどうなっている
のか?という本書自体を【第1部】で説明しています。ですから、風力発電予測システムを理解し
たり、導入、構築、運用をどのようにするのか?といったことは第2部以降で説明しています。
【第2部】では、「2日先までの風力発電を予測するシステムとは、どういうものなのか?」と
いうことを主眼においています。具体的には、1知っておくべき法規や用語、2システムの導入
や利用前に考慮すべきこと、
3システムを構成する基本計算モデルの種類とその特徴、そして4基本
的な気象予測に基づく風力発電出力予測システム(風力発電出力予測の流れ)を理解するという構成とし
ています。
最後に【第3部】ですが、ここでは実際に気象予測に基づく風力発電出力予測システムを構築して
運用および評価をした事例を示し、トラブル事例やその対応方法、そして考えられる対策を留意事項とし
てまとめてあります。
なお、本書には、気象予測に基づく風力発電出力予測システムをWindows PCで体験(簡易予測モデ
ルが格納されているサンプルデータに対し実際に計算します。)でき、また、実際に気象庁GPVデータの
入電とWFの情報(総発電出力等)のオンラインシステムを構築することで、実態に気象予測に基づいた風
力発電出力を簡易的に予測ができる「風力発電出力予測プラットフォーム」のマニュアルを【付録】として
付け加えてあります。
このマニュアルには、風力発電出力予測プラットフォーム(ソフトウェア)のインストールや設定方法が含
まれますので、具体的な風力発電出力予測システムの構築方法の一例ですので参考になることでしょう。 -2-【第1部】風力発電出力予測技術ガイドブックの目的
【第2部】気象予測に基づく風力発電出力予測システムの基本事項
【第3部】気象予測に基づく風力発電出力予測システム構築・運用の例
【付録】風力発電出力予測プラットフォーム マニュアル
本ガイドブックの目的、対象とする読者、本書構成
本ガイドブックで説明するシステムの範囲、予測システムの基礎知識
1. 風力発電出力予測技術ガイドブックの目的
2. 本書の対象読者
3. 本書の構成
4. 本書でのシステム構築適用範囲
5. 関連法規等
6. 用語の定義
7. システム導入の目的と留意点
8. システム導入の基本事項
9. オンライン観測通信システムの構築・運用
10. 風力発電出力予測システムの構築・運用
11. 風力発電出力予測プラットフォーム
12. 運用障害事例と解析結果
13. 予測システムの構築・運用に関する留意事項
風力発電量予測システムの体験
風力発電量予測システムの構築・運用・評価の事例
図3-1 本書の構成(流れ) -3-【第2部】気象予測に基づく風力発電出力予測システムの基本事項
4 本書でのシステム構築適用範囲
本書で取り扱うシステム構築の適用範囲は、1SCADAシステムから排出される必要情報を伝送サ
ーバ等で受渡してもらった以降、2ウィンドファームの総発電出力情報の入手以降、および3気
象業務センターが定期的に配信する気象庁GPVの入電以降とします。適用範囲を図4-1に示しまし
た。
図4-1 本書でのシステム構築適用範囲 -4-5 関連法規等
5.1 気象業務法
気象業務法において「予報」とは「観測の成果に基づく現象の予想の発表」と定義されていま
す。具体的には、「時」と「場所」を特定して、今後生じる自然現象の状況を、観測の成果を基
に自然科学的方法によって予想し、その結果をその発表手段や営利か非営利を問わず、通報する
場合には予報業務許可の対象となります。(注記)1
なお、同法において「業務」とは「定時的または非
定時的に反復・継続して行われる行為」をいいます。
ただし、「予報業務許可申請の手引き」(注記)1
では、予想を行う人が、例えば自分の所属する学校
や会社あるいは家庭内等内部のみで自らの予想を利用する限りは、部外への発表行為を伴わない
自家用の予想と見なされ、許可は不要と記載されている。
従いまして、気象予測に基づく風力発電出力予測は、気象庁が日々運用している気象予報システ
ムによる予測結果を気象モデルの初期値・境界値として用いて風向・風速を算出し、最終的に発
電出力を予想しますので、気象庁以外の者が予想結果を定期的または非定期的に第三者に気象情
報とともに報じる場合には、気象業務法第十七条により予報業務許可の対象となることに注意す
る必要があります。
気象業務法 第十七条(予報業務の許可)
気象庁以外の者が気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務(以下「予報業務」と
いう。)を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならない。
なお、風力発電出力予測結果のみを第三者に報じる場合には明確に定義されていませんが、風
力発電出力は「観測の成果に基づく現象」に相当すると思われます。風力発電出力予測システム
を構築して発電出力予測結果のみを第三者へ報じる場合には、「気象庁の判断」が必要となりま
すので必ず気象庁に問い合わせ下さい。
(注記)1「予報業務許可申請の手引き」(平成17 年11月8日改訂版)気象庁総務部民間事業振興課民間気象業務推進係
5.2 不正アクセス行為の禁止等に関する法律
風力発電出力予測システムはオンラインネットワークシステムですので、予測対象ウィンドファームや関
係事業会社などのネットワークに接続しています。
もし、不正アクセスされますとコンピュータの破壊、データ破壊、データ漏えい、データ改ざ
ん、または勝手に操作されてしまう可能性があります。なかには、不正アクセスされたコンピュ
ータを踏み台にされて、他のコンピュータシステム(例えば、風力発電所を制御するシステム)
に不正アクセスされて、勝手に操作される可能性もあります。
このように不正アクセスされますと、「業務に重大な支障が発生する」「社会的に信用が低下
する」「損害賠償責任が生じる」など多大な損失を受ける可能性があります。
そこで、不正アクセスを防止するために 1不正アクセス行為の禁止(第三条)、2不正アクセ
ス行為を助長する行為の禁止(第四条)、3アクセス管理者による防御措置(第五条)、4都道
府県公安委員会による援助等(第六・七条)および5罰則(第八条)から構成される「不正アク
セス行為の禁止等に関する法律」(不正アクセス禁止法)が平成12年に施行されています。
参考資料:警察庁サイバー犯罪対策(http://www.npa.go.jp/cyber/legislation/) -5-6 用語の定義
用語 定義・説明
関連JIS番号
[ア行]
ウィンドファーム
風力発電所。一般には,複数の風力発電装置をいう。
(ウィンドパークと呼ばれることもある。)108(風力発電システムの)
定格出力
一般には製造業者によって指定される,機器又は装置の所定の
運転状態における出力の値。41810 分間平均風速 風速の 10 分間平均値。 205
CFD モデル
NuWiCC:
NuWiCC(Numerical Wind Simulation Code in CRIEPI)は電中研
において開発されたモデルである。基礎式に、Boussinesq 近似を
施した、連続の式、N. S.式およびエネルギ方程式を用いており、
高 Re 数型 k-ε2 方程式モデルにより乱流過程を再現している。MOSModel Output Statistics の略で、モデルの予測結果と観測値との
関係を調べ、予測結果から系統的な予測誤差を取り除く手法の
一つ。一般には重回帰式による予測式を用いた補正方法を示
す。NCEPNCEP ( 米 国 環 境 予 報 セ ン タ ー ) と は National Centers for
Environmental Prediction の略である。
アップスケールモデル
オンライン観測データを得られる一部の代表的ウィンドファームの
発電出力の予測値を用いて、エリア全体の発電出力を精度よく
予測する手法の一つである。一部の代表的ウィンドファームから
エリア全体の発電出力を予測できるのが特徴である。
エリアモデル
電力系統制御エリアを対象とした発電出力予測モデルであり、オ
ンライン観測データとしてウィンドファーム総出力のみを用いるの
が特徴である。観測から得られたウィンドファーム総出力に加え、
気象予測から得られたウィンドファームにおける代表風速および
ウィンドファーム位置や設備容量などの情報を入力データとし
て、ウィンドファームにおける発電出力を求める。このようにして得
られた個々のウィンドファームの発電出力に基づき、アップスケー
ルモデルにより、エリア全体における発電出力を求める。
[カ行]
カットアウト風速 風車が利用可能な動力を生むハブ高さにおける最大の風速。 133
カットイン風速 風車が利用可能な動力を生むハブ高さにおける最小の風速。 143
気象庁 GPV データ
(RSM)
気象庁が配信している数値予報モデル(またはその計算結果)。
RSM(Regional Spectral Model;領域スペクトルモデル)は、日本
付近について 1 日 2 回(00,12Z)計算され、51 時間先までの 1 時
間毎の予測値が、格子点値として配信されている。日本において
局地気象モデルによる詳細計算を行う場合、しばしば RSM が初
期・境界値として使用される。RSM データのことを特に RSM-GPV
と呼ぶ場合もある。なお、2007 年 11 月より RSM は GSM(Global
Spectral Model;全球スペクトルモデル)に統合された。
可変ピッチ ピッチ角が可変であるプロペラ形風車のロータ形式。 415
可変速風車 ロータ回転速度が変化する風車。 413
気象モデル WRF:
WRF(Weather Research and Forecasting)は米国大気研究センタ
ーNCAR(National Center for Atmospheric Research)などにより
開発が進められている気象モデルである。客観解析値を初期値・
境界値として主にメソスケール気象を予測することができる。入力
値としては海面水温などが必要である。 -6-用語 定義・説明
関連JIS番号
局 地 気 象 モ デ ル
ANEMOS
ANEMOS ( Area-oriented Numerical prediction and
Environmental assessment Modeling System)は財団法人日本気
象協会で開発された局地気象モデルである。客観解析値を初期
値・境界値として主にメソスケール気象を予測することができる。
入力値としては他に標高、土地利用、雪面情報、海面水温が必
要である。
工学モデル LAWEPS
LAWEPS (Local Area Wind Energy Prediction System)は、NEDO
局所的風況予測モデル開発プロジェクトチームにおいて開発さ
れた、風況予測システム。LAWEPS は複雑地形上においても年
平均風速が高精度で予測できる 1〜5 次の多段階ネスティングモ
デルで、適切なネスティング手順を踏むことにより、10m メッシュモ
デル(5 次領域)において観測値との年平均風速誤差が±10%
以内になるように設計されている。
[サ行]
サンプリング周波数 データを計測する周波数。
計測装置が計測データを取得する周波数。423最大出力 正常な運転状態にある風車が発生する正味出力の最大値。 419
出力 風力発電装置が発生する電気出力。 404
出力曲線・パワーカーブ横軸に風速,縦軸に風車出力をとり,両者の関数関係を示す曲
線又はプロットされたデータ群。405精度 測定結果と測定対象の真値との間の一致の度合い。 425
設備利用率 ある期間中における風車総発電量の,同期間中に定格出力で運
転したと仮定して風車が発生可能な発電量に対する比。421増速機 入力軸の回転速度を,増速して出力軸に動力伝達する装置。ロ
ータの回転速度よりも発電機の回転速度が高い場合に,主軸の
回転速度を増速して動力を伝達する装置。305測定期間 統計的に意味のあるデータベースを収録するのに必要な性能試
験の期間。438[タ行]
タワー 風車ロータ,動力伝達装置,発電機などを地上から適切な高さに
支持するための架台。312定格風速 風車の定格出力が発生するハブ高さにおける規定の風速。 414
電力系統 発電所,変電所及び負荷とこれらを結ぶ電線路からなり,発電電
力を負荷に送る電力設備網。315データセット ある期間に連続的に採取されたデータの集合。 431
[ナ行]
ナセル 水平軸風車において,タワーの上部に配置され,動力伝達装
置,発電機,制御装置などを格納するもの,並びにその内容物の
総称。310年平均 十分な期間にわたって集めた十分な量の測定データセットを平
均した値であって,測定対象の期待値を推定できるもの。平均を
計算する期間は,季節差などの非定常効果をならすため,年数
は整数とする。206年平均風速 年平均の用語の定義に従って平均した風速。 207
[ハ行]
発電機 機械動力(風車ロータの回転力)を受けて電力を発生する回転
機。306風向 観測者から見て,風が向かってくる方向。例えば,"北風とは北か
ら吹く風", "山風とは山から谷に向かって吹く風"の意味である。216 -7-
用語 定義・説明
関連JIS番号
風車後流(ウェイク) 風車に流入した空気流の風車ロータの後方流れであり,風車前
方の自由気流と比較して,一般的に風速が低く,乱流強度が強
い。412風速 空気が移動した距離とそれに要した時間の比(単位は通常 m/s)。 201
複雑な地形 地形が変化に富み,又は障害物が存在し,それらによって風が
ゆがめられやすい風車サイトの地理形状。430平均風速 風速の瞬間値を,所定期間内で統計的に平均したもの。所定期
間は数秒から数年の場合がある。203補正量低減化
最新の実況値と予測値との差を補正量とし、N 時間後にもとの予
測値と一致するように補正量を減らしながら予測値を修正する手
法。
バックアップモデル
何らかの原因で、システムにおける予測モデルの1つ(あるいは
複数)が正常終了しなくても、最終的な予測結果が得られるように
構築された予備的モデルのこと。
ハブ ブレードをロータ軸に固定する部分。 303
ハブ高さ 風車ロータ中心の地上高さ。垂直軸ダリウス風車の場合には,赤
道面の高さ。403 -8-
7 システム導入の目的と留意点
7.1 目的
気象予測に基づく風力発電出力予測システムは、風まかせの発電電力を事前に予測することによ
り電力系統側の調整力を計画的に運用可能としたり、ウィンドファームの運営に役立つシステム
です。
気象予測に基づく風力発電出力予測システムの導入・実施においては、導入検討者が達成すべき
目的を明確にすることが必要です。気象予測に基づく風力発電出力予測システムの一般的な目的の
例として、以下のことが挙げられます。
(1)電力系統運用への貢献
1 風力発電の予測困難性に伴なう系統運用への影響の緩和
2 風力発電量予測システムの周波数変動対策オプション(注記)2
に対する貢献
・ より効率的な電源運用による調整力の有効活用に貢献
・ 予定解列・出力抑制開始と終了時刻の予測に活用可能
・ 風力発電の短周期変動や発電量予測誤差の吸収など蓄電池の効率的な運用に活用
可能
(注記)2総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会風力発電系統連系対策小委員会中間報告(平成16年7月)において
以下の7項目に関する周波数変動対策オプションが掲げられた。
(1)周波数変動の観点から見た風力発電連系可能量の正確な把握
(2)解列枠の募集
(3)蓄電池等の導入
(4)会社間連系線の活用
(5)調整力の拡大に向けた電源運用
(6)周波数変動による導入制約のない地域での風力発電の立地
(7)気象予測に基づく風力発電量予測システムの調査研究
(2)ウィンドファーム運営の向上
1 逸失機会発電量の逓減支援
・ 保守・改修工事などにおける着手時期決定の補完情報として利用
・ 定期メンテナンス時における対象機順番決定の補完情報として利用
・ 日常保守管理作業における安全面確保支援
・ その他、停止時間調整、強風/暴風時の停止時間最小化の補完情報として利用
2 設備利用率向上支援
・ 各風力発電機の出力特性実績値の収集および経時変化の検証
・ 各種エラー、故障情報の蓄積に対して、気象との関連・トレンドなどを検証
・ 系統制限、解列制限などの電力規制下での活用
3 風力発電併用型PPSの検討および運用の可能性 -9-(3)業務の効率性の向上への寄与
今まで、ただ単に風力発電電力量の実績値によってウィンドファームの運営・管理をしてきた
のに対し、
気象予測に基づく風力発電出力予測システムによって気象予測に基づいた出力予測を織り
込めますので、短期的な計画をすることが可能になります。これによって費用の節減やリスク管
理向上などの効果が期待できます。
なお、期間平均的な予測精度を高めることと瞬時における予測値が大はずれする可能性が生じ
てしまうこととは裏表の関係で、
両方を同時に追求することは難しいことです。
これについては、
入手観測データの特性やオンラインデータ収集システムの状態、運営・管理者の要望によって、
目的に対する優先順位が異なることがありますので、気象予測に基づく風力発電出力予測システム
の導入・構築にあたっては、取組主体がこれらを考慮してどのような目的に重点をおくかを定め
ておく必要があります。
7.2 対象とする範囲
気象予測に基づく風力発電出力予測システムを導入するにあたり、システムの対象とする範囲を
明確にすることが重要です。具体的には、以下の項目が考えられます。
・予測対象項目(出力、風速、風向、その他)
・予測対象単位(風車単位、ウィンドファーム単位、その他)
・予測時間単位(30分、1時間、その他)
・予測時間範囲(24時間、48時間、その他)
・オンラインデータ種類(送電端出力、SCADA、気象観測、その他)
・停止情報の活用有無(計画/実績:風車停止、計画停電、その他)
・予測誤差精度(絶対平均誤差低減、持続予報に対する改善率向上、大はずれ防止)
・予測情報配信場所(管理事務所、作業員、本社/系列会社、その他)
なお、より広い範囲をカバーするシステムを構築することが理想ですが、設定した目的や、さ
まざまな技術的・経済的制約を考慮した場合、範囲を限定することが現実的です。そのような場
合には、まず一部の範囲を対象として開始し、次第に範囲を拡張できるシステムを設計し、必要
に応じて順次拡張していくことが有効です。
7.3 留意点
(1)企業内コミットメントと継続的改善
風力発電出力予測システムの導入と実施、およびその継続的な改善に対して以下のことが必要で
す。
1 風力発電出力予測システムの重要性を事業所内で周知させることが必要です。
2 実施計画が確実に定められるようにします。
3 経営資源(人員、財源、機械、設備、ソフトウェア、技術・技法)の用意が必要です。
-10-
(2)制約
風力発電出力予測システムの導入は効果的な手段といえますが、予測対象の規模、機器の種類や
特性、収集データの特性や品質、業務規模および体制、現地管理の固有の性質などによって適用
のしやすさが異なるなど制約や問題が生じます。取組主体は、起こりえる問題や制約などを十分
に留意することが必要です。どのような制約があるかを把握した上で、そのようなことを視野に
入れて、創意工夫したり、将来的な展望をもっておくことが望ましいのです。
経済的な制約としては、より精緻なレベルで予測しようとすると、必要な費用が大きくなって
しまう可能性が高くなります。以下のように費用と効果を考慮したシステムづくりを進めること
が重要です。
なお、新しい技術や管理方法などが開発されると、制約が除かれる場合もあります。
(3)費用と効果の考慮
取組主体は、達成すべき目的と効果、必要な費用を予測し、相互に比較しながら、自らの風力
発電出力予測システムを導入します。
しろまる得られる効果
風力発電出力予測システムを導入する目的と、それら目的を達成することによって得られる効果
を十分に吟味しておく必要があります。
しろまる導入費用
風力発電出力予測システムの導入に必要な主な費用は、以下のとおりです。
1 風力発電出力予測システムの基本構想書や手順書の作成費用
2 各種モデルやソフトウェアの開発や機器(観測機器、情報処理機器など)の整備費用
3 教育・研修などの費用
しろまる運用費用
導入後の運用における主な費用は、以下の通りです。
1 システム管理および運用に係わる人件費
2 セキュリティー対策費、通信費、電気代、消耗品費、その他
3 機器やソフトウェアの保守・更新費用
4 システムの信頼性を保証するためのモニタリングや監査の費用
(4)電力系統運用またはウィンドファーム運営管理を目的としたシステムとの関連
風力発電出力予測システムは、あくまで数十時間先までの風力発電出力を予測するシステムです。
電力系統の運用管理やウィンドファーム運営管理に有効活用するためには、対象とする運用管理
システムや業務プロセスの何処に、どのタイミングで、どの程度の精度のものが、どのように組
み込まれるかを十分に吟味することが必要です。
(5)関連法規の遵守
風力発電出力予測システムの運用にあたって、関連法規と社会的倫理を遵守することが必要です。
-11-
8 システム導入の基本事項
8.1 気象予測と個別のモデルの概要
数値気象予報(Numerical Weather Prediction:NWP)提供時間分の WF 発電出力の予測は単
純に、
WF 総発電量 = 風況予測値(NWP) → メーカー提供パワーカーブ → ×ばつ基数
で算出することは可能です。
しかし、WF 発電出力を精度良く予測するには以下を考慮することになります。
1) NWP 予報値の水平解像度は 20km 程度なので WF 内の風況を細かく再現していません。
2) 風速から(送電端)発電出力までの過程の全物理的事象をモデリングすることは不可能であ
り、予測誤差の低減には統計手法が必要となります。
3) 風車の稼動状況や出力制御を無視した場合には誤差が大きくなることを例として、風況予
測の精度を高めたからといって発電出力予測結果が良くなる訳ではありません。
4) 目的や予算に対して、利活用可能データ、各種算出モデルおよびシステム構成を設計する
ことになります。
一般的に、気象庁 GPV の利用(図中、気象庁 GPV)
、気象モデルの利用(図中、気象モデル)、実測値に基づくパワーカーブの利用(図中、パワーカーブ補正)
、そしてリアルタイム観測データ
の利用(図中、観測データ補正)といったように、各手法(モデル)を複数重ねることによって
予測値の絶対平均誤差が低減されることが分かっています(図 8-1 参照)。05101520251 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
気象庁GPV
気象モデル
パワーカーブモデル補正
持続モデル
観測データ補正絶対平均誤差(%)時間(Hr)
図 8-1 各手法による予測精度の向上(一般論)
従いまして、風力発電出力を精度良く予測するには、複数の手法を組み合わせ、それに必要な
データをリアルタイムで入手する必要があります。
-12-
以上のことを背景に WF の発電出力を精度良く予測するためには以下の1〜5が必要となり
ます。
1 ウィンドファームの総発電出力や SCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)
のデータ、
2 数値気象予報(NWP)データ、
3 ウィンドファーム情報(風車情報、地形情報等)
などを入力データとして、当該地域の気象を気象予測モデルなどから算出し、
4 NWP の提供時間分
(本事業では 51 時間分)
(注記)3 の風力発電出力(風力発電機や風力発電所全
体)を予測することになります。
5 なお、この発電出力予測は数十時間先を予測するものなので、予測誤差は必ずあると考え
なければなりません。これについては予測した値の不確かさや信頼区間を同時に表記した
り、予測精度は落ちますが大はずれの度合いを低減させる方法など、運用目的に応じた予
測値の評価を付加することが必要となります。
これら1〜5の関係は図 8-2 となり、これは基本的な風力発電出力予測算出のフローに相当
します。
図 8-2 基本的な風力発電出力予測フロー(概念図)
(注記)3 本事業では、領域数値予報モデル GPV【RSM】
(2007 年 11 月 21 日廃止)を利用しました。
初期値 00UTC,12UTC
予報時間 51時間予報 地上1時間間隔、P面3時間間隔
領域 北緯50度・東経120度〜北緯20度・東経150度
格子系 等緯度等経度(×ばつ0.5度格子)
地上物理量
海面更正気圧(Pmsl)、風、気温、相対湿度、時間降水量(RR1)、数値予報雲量
(Cloud)
P面物理量 高度(Z)、風(U,V)、気温(T)...11層 相対湿度(RH)、上昇流(Omg)...7層
RSMデータの内容NWP気象予測
発電出力予測
WF総発電出力
SCADAデータ
などのリアルタイム情報
WF情報
(風車・地形・制御な
どの既知情報)13 244
予測値の評価5 -13-
なお、風力発電予測モデルを構築するには、ウィンドファームの所有者が運営管理を目的に
したもの(ウィンドファーム発電出力予測モデル:WF 予測モデル)と系統運用者が利用するこ
とを目的にしたもの(電力系統制御エリア発電出力予測モデル:エリア予測モデル)とに分ける
ことができます(図 8-3)。WF予測モデルの概念 エリア予測モデルの概念
図8-3 「WF予測モデル」と「エリア予測モデル」(概念図)
両者のモデルの大きな違いとしては、ウィンドファーム内での風車の SCADA データの取り扱
いがあります。WF 予測モデルは、風車各機のナセル風速、出力等のウィンドファーム内の詳細
な SCADA データが得られます。一方、エリア予測モデルは、ウィンドファームの所有者ではな
いので総出力のデータしか得られません。
「風力発電電力系統安定化等技術開発-気象予測システム-気象予測に基づく風力発電量予測
システムの開発」事業(以下、本事業とします。
)では、これらのことを前提として、WF 予測モ
デルとエリア予測モデルの風況予測モデル・発電出力予測モデルの各モデルの精緻化、高速化お
よび発電出力精度向上を図り、実証、検証および評価を行いました。それらの方法や結果につい
ての詳細は成果報告書に記載されていますので、本節では、これらの予測モデルのコンポーネン
トとなる「数値気象予報モデル(NWP データの算出モデル)」、
「メソスケール気象モデル」の説
明や注意点を重点におきました。
数値気象予報データ 単機出力/ナセル風速データ
単機出力予測値
WF総出力予測値abcdabcd
(a+b+c+d)
ファームIII
ファームIII
数値気象予報データ
WF総出力予測値
エリア総出力予測値
ファームIII
ファームI
ファームII
ファームIV
ファームIII
WF総出力データ
ファームI
ファームIV ファームII
(I+II+III+IV)
-14-
8.1.1 数値気象予報モデル
数値天気予報に用いる気象モデルは、地球全体を対象として地球規模での気象変化を予測可能
な全球モデルと特定の領域を対象として詳細な気象場を計算可能な領域モデルに対象となる領域
で大きく2つに分類されます。
全球モデルは多くの計算資源や観測値を必要とすることから、その運用は日本の気象庁や米国
の NCEP および欧州の ECMWF などの主たる予報センターで行われています。
(a)全球モデルの予測(気象庁) (b)領域モデルの予測
図 8-4 各モデルのイメージ図
気象庁では 2007 年 11 月にデータ形式が変更されて本事業で調べたものと現在の配信内容は異
なりますが、気象庁では全球予報モデル GSM により 1 日 4 回予測データが配信され、日本域を
対象として 84 時間予測までについて空間格子解像度 0.2 ×ばつ0.25 度(×ばつ経度) で地上は1時
間間隔、気圧面は3時間間隔のデータを提供しています。
初期値・境界値
-15-
8.1.2 メソスケール気象モデル
メソスケール気象モデルは、気象予報センターから配信される数値気象予報データ(GPV)を
初期値・境界値とし、流体力学や熱力学などの物理法則に基づく数値シミュレーションにより風
速、
風向だけでなく気温、
気圧、
水蒸気量などの大気の 3 次元的な気象場を予測するモデルです。
ウィンドファームを対象とした WF 予測モデルでは、メソスケール(水平規模 2〜2,000km)の
気象現象を取り扱うメソスケール気象モデルを用いています。この気象モデルが対象とするメソ
スケールの気象現象とは、台風、前線および海陸風などであり、WF 予測モデルを構築する上で気
象モデルは重要な役割を担うことになります。
メソスケール気象モデル取り扱い時の注意:
気象モデルは降水過程や大気境界層過程など様々な過程を考慮していて、複数の物理オプショ
ンを使い分けることが可能なモデルです。この物理オプションの設定次第では予報精度に大きく
影響を与えてしまう場合があります。従いまして、これらを変更する場合には慎重な取り扱いが
必要となります。
計算負荷を低減するために降水過程を無しにした場合に計算精度が悪化した事例(図 8-5 参照):
本事例は、台風の通過に伴う風速の時間変化について示しております。
降水なしのケースは、降水ありのケースと比較して計算時間の短縮が期待できます。但し、本
事例では水蒸気が水滴に変化する過程で発生するエネルギーの供給がないため、降水ありのケー
スと比較して予測時間の経過とともに台風の勢力が弱まっていることがわかります。このことは、
ウィンドプロファイラ観測値との比較からも確認することができます。
上述事例のように、メソスケール気象モデルの領域・計算条件などを設定する場合には、計算
時間及びそこから得られる計算精度を十分に考慮した上で慎重に決定することが重要となります。
(a)初期値 (b)12 時間後(降水あり)
(c)12 時間後(降水なし)
図 8-5 気象モデルによる風速分布の比較[m/s](地上高 1576m)
-16-
8.2 ウィンドファーム予測モデルと制御エリア予測モデルの概要
本節では、ウィンドファーム予測モデルと制御エリア予測モデルについて概要をまとめます。
8.2.1 ウィンドファーム発電出力予測モデル
ウィンドファーム発電出力予測モデルは、気象庁などの気象予報センターから配信される GPV
等の数値気象予報データを初期値・境界条件として、
高解像度のメソスケール気象モデル
(以下、
気象モデル)
、局所風況予測モデル(CFD モデル、ウェイクモデル)などの物理モデルを用いて各
風車位置および高度での風速・風向を算出します。そして、この風速を統計モデルの適用により
修正して、SCADA データを元にした経験的パワーカーブを用いて、当日・翌日の単基出力および
総発電出力を求める予測モデルです。
また、本モデルでは、各風車の SCADA データで得られる風向・風速や発電出力などの実況値、
メンテナンスによる風車の停止状況や各風車の運用制御状況の情報を活用することにより精度向
上を図りました。
本書で対象とする WF 予測モデルは、
気象庁などの気象予報センターから配信される GPV 等の
数値予報気象データを初期値・境界条件として、メソスケールの気象モデル(以下、気象モデル)、
CFD モデル、ウェイクモデルなどの物理モデルなどを用いて各風車での風速・風向を得るもので
す。そして、統計モデルの適用により修正された風速と SCADA データを元にした経験的パワー
カーブを用いて、当日・翌日の単基出力および総発電出力を求める方法です。
また本予測モデルでは、各風車の SCADA データで得られる風向・風速や発電出力などの実況
値、メンテナンスによる風車の停止状況や各風車の運用制御状況の情報を活用することにより精
度向上を図っています。
本書で述べる WF 予測モデルおよび予測システムの仕様を表 8-1 に示します。また、図 8-6 に
計算の流れを、表 8-2 にウィンドファーム予測システムの構成例を示します。
表 8-1 ウィンドファーム予測システムの構成
対象スケール ウィンドファーム
気象モデル
局所風況予測モデル(CFD モデル、wake モデル)
予測モデルの構成
統計モデル
数値予報データ(GPV: Grid Point Value)
海面温度データ(SST: Sea Surface Temperature)
物理モデル入力データ
地形データ、風車の配置
当日モデル: 30 分後〜24 時間後(30 分間隔で出力)
時間スケール
翌日モデル: 翌日 24 時間(30 分間隔で出力)
風力発電機の風向、風速、発電出力データ
風車データ(SCADA データ)
風力発電機情報(カタログパワーカーブ、ハブ高など)
-17-
図 8-6 ウィンドファーム発電出力予測モデルフロー図
気象庁 GPV
気象モデル計算
参照点風向・風速
30 分毎、51 時間先まで
工学モデル DB
(風向別風速比)
WF 内風速分布(3次元)推定
30 分毎
現地観測データ
10 分毎
2気象モデル計算
風車位置における風速推定
30 分毎
3工学モデル計算
統計モデル計算
30 分毎
バックアップモデル
経験的パワーカーブ
各風車の発電量
30 分毎
信頼区間情報 DB
WF 発電量予測値+信頼区間情報
30 分毎
4統計モデル計算
5信頼区間情報を付加して出力
網掛けのデータはオフラインで
別途作成しておくもの
1広域気象データ受信
-18-
表 8-2 予測システム構成例
JWA CRIEPI
対象期間 当日モデル 翌日モデル
入力データ GPV(RSM)データ GPV(RSM)データ
気象モデル ANEMOS
水平分解能(1) 5km
水平分解能(2) 1kmWRF水平分解能 10km
CFD モデル 非線形モデル(LAWEPS)
水平分解能 100m
非線形モデル(NuWiCC)
水平分解能 約 100m
統計手法 MOS MOS
(1) 気象モデル
ウィンドファームを対象とした WF 予測システムでは、気象モデルとしてメソスケール(水平規
模 2〜2,000km)の気象現象を取り扱うメソスケール気象モデル(以後、気象モデル)を用いていま
す。この気象モデルが対象とするメソスケールの気象現象とは台風、前線および海陸風などであ
り、WF 予測モデルを構築する上で重要な役割を担います。
(2) 局所風況予測モデル(CFD モデル、ウェイクモデル)
気象モデルで計算された風速と風向は、広範囲を対象とした値であり、現地の状況に合わせる
必要があります。現地の障害物(構造物、風の減少など)の影響、地表面粗度の影響、地表面粗度の
変化などを反映させて、各風車における風速と風向を計算します。
急峻で複雑な地形の多い日本では、ヨーロッパで開発された線形モデルをそのまま適用するの
は困難なので、複雑な地形においても適用可能な国内で開発された非線形の局所風況予測モデル
を用いることをお勧めします。
(3) 統計モデル
一般に、気象モデル、局所風況モデルといった物理モデルでは、地形表現や物理方程式の表現
における近似のため、流れの場の表現には限界があります。これに対する方策としては、過去の
観測データとモデル出力の統計的対応関係を、将来の予測に適用してモデル出力を補正するとい
った統計モデルを組み込むことが有効です。
-19-
8.2.2 電力系統制御エリア発電出力予測モデル
本ガイドブックで対象とする電力系統制御エリア発電出力予測モデルは、各風車での風向・風
速や発電出力などの SCADA データを用いないでウィンドファームの総発電出力観測値と代表的
な風況予測値、そしてウィンドファーム情報を入力データとして、電力系統制御エリア全体の当
日・翌日の総発電出力を求める予測モデルです。
本モデルでは、WF 予測モデルと同様に、気象モデルなどの物理モデルを用いて風況を予測し
てから過去の観測値と予測値から予測の誤差傾向を把握した後に予測修正をおこなっています。
ただし、予測対象とする範囲が WF 予測モデルより広いので、一般に、WF 予測モデルと比べ
て気象モデルの計算対象範囲は広く、格子間隔は粗くなっています。
本ガイドブックで述べるエリア予測モデルと予測システムの仕様を表8-3に示し、図くろまるに計算の
流れの構成例を示します。
表 8-3 電力系統制御エリア発電出力予測システムの構成
対象スケール 電力系統制御エリア
気象モデル
予測モデルの構成
統計モデル
数値予報データ(GPV: Grid Point Value)
海面温度データ(SST: Sea Surface Temperature)
物理モデル入力データ
地形データ、風車の配置
当日モデル: 30 分後〜24 時間後(30 分間隔で出力)
時間スケール
翌日モデル: 翌日 24 時間(30 分間隔で出力)
総発電出力観測値、風況予測値
ウィンドファームデータ
(総発電出力データ) 風力発電機情報(カタログパワーカーブ、ハブ高など)
-20-
気象庁GPVデータ
【日本域,20kmメッシュ】
各WF総発電出力実績値
各WF風予測値
局地気象予測計算
(電力系統制御エリア)
発電出力変換
&
エリア発電出力算出
エリア発電出力予測値
定時予測用
予測の最適化
(統計モデル計算)
エリア発電出力予測値
(6時,18時発表)
更新予測用
統計モデル計算
(30分毎更新)
エリア発電出力予測値
(30分毎更新)
エリア発電出力実績値
の算出
土地利用データ
地形データ
パワーカーブ
各WF総発電出力値取得
(10分毎)
エリア発電出力実績値
WF: Wind Farmの略
図8-7 電力系統制御エリア発電出力予測モデルフロー図
8.2.3 予測結果の利用(表示)
風力発電の出力予測は数時間〜十時間先を予測するもので、予測誤差は必ずあると考えなけれ
ばなりませんから、予測結果だけをプロットしたものを使うのはお勧めできません。
予測誤差のある風力発電の出力予測結果を利用する場合には、例えば、予測値の外れ傾向が高
め(または、低め)なのか?その度合いが大きく(または、小さく)と予想されるのか?それと
も、予測値は当たりそうなのだが時間的なずれが生じそうなのか?などが解れば目的用途に沿っ
て予測結果を利用することができると考えられます。
従いまして、予測値の誤差傾向や度合いなどを同時に鑑みながら予測結果を利用できればよい
-21-
ので、予測した値の不確かさや信頼区間を同時に表記したり、利用目的に応じた予測値の評価を
予測結果と共に付加すれば効果的です。そして、過去の傾向を統計的に分析した結果を表記する
ことも機能として付け加えれば利用者の助けとなります。
なお、気象モデルの予測値と実測値を用いて統計的に最適化された予測値は、平均誤差を最小
化して、積極的に実測値に追従することを目指しています。従いまして、想定外の風力発電出力
の急変があった場合には、予測の大外しが発生する原因となりえます。そこで予測精度は落ちま
すが、大はずれの度合いを低減させるために、大まかな実測の変化傾向を捉えている予測の平均
値成分に着目し、大外し低減予測手法を用いて大外しの割合を少なくできることが可能となりま
す。
風力発電出力予測結果の表示例や統計的に分析した結果の表記例を図8-8〜8-13に示します。
図8-8 風力発電出力予測の表示(過去6時間の予測値と実測値、24時間先までの予測結果と信頼区間)
-22-
図8-9 風力発電出力予測の表示(過去24時間の予測値と実測値)
図8-10 時間別風力発電出力予測結果の誤差評価表示
-23-
図 8-11 風力発電出力予測結果の誤差評価表示(誤差頻度分布)0%20%40%60%80%100%
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31日エリア発電出力
実績値 予測値(統計補正済み) 予測の日平均成分 大外し低減予測(α=0.4)
図8-12 過去1ヶ月の風力発電出力予測の表示(予測値、実測値、日平均成分値、大はずし低減予測値)
-24-01020304050607080901002/1 2/2 2/3 2/4 2/5 2/6 2/7TimePower/Rated
Power(%)110100100010000
-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80
信頼区間の残差/定格出力 (%)
出現頻度(回)
予測時間別信頼
区間
予測時間別・予測
風速別信頼区間
観測値
予測値
観 測 値 が 信
頼 区 間 上 限
値 か ら 逸 脱
した場合
観測値が信頼区間上限値か
ら逸脱した場合の信頼区間
の残差( 1
upperd )1measP1upperP1
upperd観測値が信頼
区間下限値か
ら逸脱した場合2
lowerd観測値が信頼区間下限値か
ら逸脱した場合の信頼区間
の残差( 2
lowerd )2measP2lowerP信頼区間下限値
信頼区間上限値
図8-13 過去1週間の信頼区間の評価(信頼区間の残差分布)
-25-
8.3 気象予測に基づく風力発電出力予測のシステム化
気象予測に基づく風力発電出力予測の流れは、8.1項(気象予測に基づく風力発電出力予測モデル
の種類とその特徴)で説明しましたので、本節では、
気象予測に基づく風力発電量をリアルタイムで予
測する手法のシステム化について説明します。
具体的には、12 ページの図 8-2 に示してある基本的な風力発電出力予測算出の流れをシステム
化するということになります。
気象予測に基づく風力発電出力予測に必要なデータやモデルの種類を含め、
風力発電出力予測シ
ステムの例は図 8-14 のとおりです。
図 8-14 基本的な風力発電出力予測システム(概念図)
-26-
<説明>
1 ウィンドファームの総発電出力やSCADAデータをオンラインで入手して予測計算モデルに自動で
利用できるようにシステム化
2 数値気象予報(NWP)のデータをオンラインで入手および予測計算モデルに自動で利用できるよ
うにシステム化
3 ウィンドファーム情報(風車情報、地形情報等)などのデータを事前にモデリング化しておき、メソ
スケール気象モデルや発電出力モデルに内装
4 上記1〜3を利用して当該地域の気象を気象予測モデルなどから自動で予測計算できるように
システム化
5 次いで、4の計算結果と1のデータを利用して NWP の提供時間分(注記)
の風力発電出力(風力発電
機や風力発電所全体)を自動で予測計算できるようにシステム化
6 5の予測値の不確かさや信頼区間を同時に表記したり、予測精度は落ちますが大はずれの度
合いを低減させる方法など、運用目的に応じた予測値の評価を付加するモデルを定期的に自動
計算して図表などに表現できるようにシステム化
なお、
WFの発電出力の情報が入手できるたびに予測計算の更新をすることで期間平均の予測精
度が向上します。
この予測計算更新は、
「数値気象予報(NWP)のデータ更新に基づく予測計算更新」と「予測
対象ウィンドファームの発電量や風況データの更新に基づく予測計算更新」があります。
「数値気象予報(NWP)のデータ更新に基づく予測計算更新」で向上する精度は図8-15の灰色
の部分に相当します。この更新には数値気象予報(NWP)を初期値としてメソスケール気象モデ
ルなどの物理モデルの計算を実施しますので数時間かかりますが、時々刻々と変化する気象予測
情報更新を基に予測するものですから大変重要となります。
絶対平均誤差(%)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
時間(Hr)
更新による予測精度向上
図8-15 数値気象のデータ更新に基づく予測計算更新による精度向上(概念図)
予測計算を更新
-27-
一方、
「予測対象ウィンドファームの発電量や風況データの更新に基づく予測計算更新」に関し
ては、数値気象予報(NWP)を初期値として予測した値を発電量や風況データなどの実測データ
と照らし合わせて逐次補正するものです。この更新による精度向上は図8-16の灰色部分に相当し
ます。
絶対平均誤差(%)
図8-16 観測データのみを利用した予測計算更新による精度向上(概念図)
前述2種類の予測計算の更新スケジュールは、運用目的と予測計算をするコンピュータの計算処
理能力を考慮して決めることになりますが、一般的には「数値気象予報のデータ更新に基づく予
測計算」
は毎回更新、
「予測対象ウィンドファームの発電量や風況データの更新に基づく予測計算」
は30分または1時間毎更新になると思います。
図8-17は風力発電出力予測システムの計算スケジュールの例です。
時 間 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51
UTC時刻 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 0 1 2
JST時刻 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
しろまる
初期値 入電
しかく
計算開始 計算終了
しろまる
初期値 入電
しかく
計算開始 計算終了
しろまる
初期値 入電
しかく
計算開始 計算終了
しろまる
初期値 入電
しかく
計算開始 計算終了
更新
オンライン観測データを
利用した統計モデル計算更新
オンライン観測データを
利用した統計モデル計算更新
オンライン観測データを
利用した統計モデル計算更新
更新
更新
オンライン観測データを
利用した統計モデル計算更新
数値気象予報モデル計算(気象庁GPV)
数値気象予報モデル計算(気象庁GPV)
数値気象予報モデル計算(気象庁GPV)
数値気象予報モデル計算(気象庁GPV)
メソスケール気象モデル〜発電量予測モデル計算
メソスケール気象モデル〜発電量予測モデル計算
メソスケール気象モデル〜発電量予測モデル計算
メソスケール気象モデル〜発電量予測モデル計算更新更新更新更新
図8-17 風力発電出力予測システムの計算スケジュール例
(NWP初期値利用:12時間毎、観測データ利用補正:1時間毎とした例)
-28-
8.3.1 ウィンドファーム発電出力予測システム
WF 予測モデルの実運用においては、以下の手順に従ってウィンドファーム内の発電出力を予測
します。
1 広域気象予報データ(気象庁)を受信して初期値等を設定する。
2 気象モデルによる計算を行い、
3 局所風況予測モデル(CFD モデル、ウェイクモデル)によるウィンドファーム内の風系を
詳細に計算し、各風車位置における風速を得る。事前に風向別に局所風況予測モデルの計
算を行い、
各風車位置における風速比データベースを作成しておき、
計算時間を短縮する。
そして、各風車について
4 統計モデルの適用により修正された風速に過去の予測結果と SCADA データから得られた
経験的パワーカーブモデルを用いて発電出力に変換する。さらに、各風車の SCADA デー
タから得られた風車情報をもとにした稼動予測を組み合わせることによりウィンドファ
ーム総発電出力を求める。
最後に、
5予測結果に信頼区間情報を付加して出力する。
参考として、一般的なウィンドファーム発電出力予測モデルの計算手順を図 8-18 に、システム
の構成を図 8-19 に示しておきます。
図 8-18 一般的なウィンドファーム発電出力予測モデルの計算手順0200400600800100012001400
0 5 10 15 20 25風速(m/s)
発電量(kW)
-100 -50 0 50 100
定格比発電量予測誤差(%)
-29-
ウィンドファーム発電量予測モデル
NWPデータ 風況観測
データ
発電量
データ
風況・発電出力予測
風況
シミュレーション
(物理モデル)
発電機毎
発電量予測
ウィンドファーム
発電量予測
発電量評価
風況DB
発電
出力DB
(オンライン)データ収集
ウィンドファーム稼動状況
風車計画
停止情報
風車計画外
停止情報
ウィンドファーム
稼動状況報告
・風車メンテナンス情報 等
・風車事故停止情報 等
WF稼動
状況DB
ウィンドファーム風況・発電量情報
風況DB
発電
出力DB
・実測データ
(過去、現在)
・予測データ
(過去、現在)
・実測データ
(過去、現在)
・予測データ
(過去、現在)
: モジュール/モデル : データ : データベース
地理情
報DBWFDB
図 8-19 一般的なウィンドファーム発電出力予測システムの構成
-30-
8.3.2 電力系統制御エリア発電出力予測システム
電力系統制御エリア発電出力予測モデル(以下,エリア予測モデル)の 実運用においては、以
下の手順に従ってウィンドファーム内の発電出力を予測します。
1 気象庁RSMデータを気象業務支援センターより受信を行う(2回/日)
2 電力系統制御エリアを含む全ての領域(本システムでは東北地方全体)を気象モデルによ
る計算を行う。(2回/日)
3 各WFにおけるWT毎のハブ高さの風予測データを出力する。(2回/日)
4 WT毎のパワーカーブデータに基づいて発電出力をWT毎に出力し、さらに、WF毎に積算す
ることで、WF総発電出力を出力する。その後、電力系統制御エリアの総発電出力をWF総発
電出力を積算し、エリア総発電出力として出力を行う。(2回/日)
5 定時予測用の統計モデル計算を実施するために、過去の各WF総発電出力を10分毎オンラ
インにてデータを取得し、エリア発電出力実測データを算出しておく。
6 エリア総発電出力の予測データと実測データを統計モデル計算により誤差修正を行い、
毎日6時、18時にエリア発電出力予測データを算出する。
7 また、30分ごとに予測を更新するため、30分前までのエリア発電出力実測データを入力
値として30分毎更新のエリア発電出力データを算出する。
参考として、一般的なエリア予測モデルの計算手順を図8-8-20に、システムの構成を図8-21に
示しておきます。
RSMデータ
各WF総発電出力データ
各WF風予測データ
気象モデル計算
(2回/日)
発電出力変換
&
エリア発電出力算出
エリア発電出力予測データ
定時予測用
統計モデル計算
(2回/日)
エリア発電出力予測データ
(6時,18時発表)
更新予測用
統計モデル計算
(30分毎更新)
エリア発電出力予測データ
(30分毎更新)
エリア発電出力算出
RSMデータ取得
(2回/日)
土地利用データ
地形データ
パワーカーブ
各WF総発電出力データ取得
(10分毎)
エリア発電出力実測データ
図8-20 一般的なエリア予測モデルの計算手順
-31-
電力系統エリア予測システム
系統運用関係各所へ通告
系統領域
発電量
NWPデータ
発電量データ
風況
シミュレーション
(物理モデル)
ウィンドファーム
発電量予測
系統制御エリア
発電量予測
発電量評価
NWPデータ収集
風況DB
発電
出力DB
地理情
報DBWFDB
データ収集システム
発電
出力DB
発電量収集
・実測データ
(過去、現在)
・予測データ
(過去、現在)
: モジュール
: データ
: データベース
ウィンドフ
ァーム
発電量
電力系統制御エリア発電量予測モデル
図8-21 一般的なエリア予測システムの構成
-32-
【第3部】気象予測に基づく風力発電出力予測システム構築・運用の例
〜風力発電量予測システムの実証試験と評価〜
9 オンライン観測通信システム
本章では、対象ウィンドファーム風力発電量予測計算(更新)に必要な総発電出力データや風車SCADAデ
ータをオンライン通信によって収集するシステムの概要をまとめました。
(1) SCADA データ収集・伝送システム
通常、
ウィンドファームは風車用 SCADA システムによって各風車の運転状況を監視したり制御し
ています。この SCADA システムは、様々な監視項目(ナセル風速、ヨー角、ピッチ各、発電機
回転数、発電量など)の 10 分統計値を 10 分毎に更新するデータベース機能をもっています。
図 9-1 風車用 SCADA システムの例
出典:特高連系風力発電所監視システムの開発, 渡部拓郎 他, エバラ時報 No. 218(2008-1)
-33-
この SCADA システムのデータベースから風力発電量予測計算(更新)に必要な項目(ナセル風速、
発電量など)を予測計算をする計算機に定期的に伝送することは技術的に可能です。
ただし、SCADA システムは主に各風車の運転状況の監視と制御を目的として各風車メーカー
が独自に開発したシステムですので、
風力発電量予測計算(更新)に必要な項目データの取得に関して
対応する仕組みを用意しているものと、していないものがあります。また、必要項目データの取得に対応して
いても風力発電事業者と風車メーカーとの契約内容を見直す必要がある場合があります。
SCADA システムのデータベースから風力発電量予測計算(更新)に必要な項目を予測計算をする計
算機に定期的に伝送するシステム(以下、SCADA データ収集・伝送システム)の構築に際しては、データベ
ースおよびネットワークシステムの専門知識を有する人(専門家)が風車メーカーと協議しながら
SCADA データ収集・伝送システムの設計が出来るようにして下さい。
以下は、本事業で構築した SCADA データ収集・伝送システムの概念と仕様です。
図 9-2 SCADA データ収集・伝送システムの概念
表 9-1 SCADA データ収集・伝送システムの仕様
項 目 仕 様
取得データ項目 発電量、ナセル風速・風向、ヨー角など
取得データ間隔 10 分
データ取得
既設 SCADA 装置のデータベース(mdb ファイルなど)をコピーしたも
のを利用し、元のデータベースを編集することはしない。
データ送信
各風力発電サイトから、上記データの 10 分平均値を 10 分毎に、東京の
データセンターに向けて通信回線を経由して送信。
通信方式
主に、インターネット上に VPN を構築し、データセンターと接続。通信
プロトコルは FTP(PUT)を採用。VPN の採用により情報漏洩、ウィルス
感染を防止。有線回線を推奨。
-34-
項 目 仕 様
接続形態
ISDN/ADSL/光などの有線通信回線によりインターネットへの常時接続。
場所によって無線携帯電話通信(専用回線)を使用。
10 分間隔で定期的に接続、送出する。通信はインターネットプロトコル
で行い、風力発電サイトと東京のデータセンター間は一般のインターネ
ット回線と異なる閉域網を利用し、セキュリティを保つ。
そして、以下の2例は本事業で実際に構築した SCADA データ取得方法です。
しろまる SCADA データ取得方法例(その1)
<SCADA データの取得、伝送の手順>
1 SCADA 装置(既設)から伝送サーバ(持込)のディスクに SCADA データを書き込めるよう
SCADA 装置上で"ネットワークドライブの割り当て"(下図1、以下 X ドライブと呼ぶ)。
2 SCADA データコピープログラムによって、SCADA データ(MS-Access の mdb 形式ファイルな
ど)を 10 分毎に共有設定をした伝送サーバのディスク(X ドライブ)にコピー(下図2)。
3 伝送サーバの SCADA データファイル解析プログラムで、SCADA データを CSV ファイルに変
換し、通信回線経由で伝送(下図3、4)。
図 9-3 SCADA データ取得方法(その1) 概要図
<風車 SCADA 側対応事項>
3⁄4 SCADA データコピープログラムの作成と導入
3⁄4 SCADA 装置から伝送サーバのディスクを参照するために、SCADA 装置にワークグループ設定
(ユーザーID、パスワード)
3⁄4 SCADA 装置から、伝送サーバのディスクを共有する設定("ネットワークドライブの割り当て")
3⁄4 伝送サーバ用の IP アドレスを1つ付与(SCADA 装置と同セグメント)。
3⁄4 SCADA 装置のサーバ情報(IP アドレス)開示
3⁄4 SCADA 装置のワークグループ設定情報(ユーザーID、パスワード)開示
3⁄4 SCADA データの仕様(データベース仕様)開示
(注記)既設 SCADA 装置のデータベース(mdb ファイルなど)をコピーしたものを利用し、元のデータベ
ースを編集することはしない。
SCADA装置 (既設)
SCADAデータ
コピープログラム
(新規)
SCADAデータ
mdbファイル
(既存)
SCADAデータ
mdbファイル
SCADAデータ
mdbファイル
LAN接続
伝送サーバー(当社持込)
X:ドライブ
SCADAデータファイル
解析プログラム
DISK共有
(ネットワークドライ
ブの割当て)
通信回線
経由で送出1234
-35-
しろまる SCADA データ取得方法例(その2)
<SCADA データの取得、伝送の手順>
1 SCADA 装置(既設)の SCADA データ(MS-Access の mdb 形式)の格納フォルダを伝送サーバ
(持込)から読めるように、SCADA 装置上で共有設定("このフォルダを共有する")を選択(下図1)。
その際アクセス許可は読み取り専用とし、外部からのデータの書き換え等をおこなえないように
する。
2 SCADAデータコピープログラムによって、SCADAデータ(MS-Accessのmdb形式ファイルなど)
を 10 分毎に共有設定をした伝送サーバのディスク(X ドライブ)にコピー(下図2)。
3 伝送サーバの SCADA データファイル解析プログラムで、SCADA データを CSV ファイルに変換
し、通信回線経由で伝送(下図3、4)。
図 9-4 SCADA データ取得方法(その 2) 概要図
<風車 SCADA 側対応事項>
3⁄4 SCADA データコピープログラムの作成と導入
3⁄4 SCADA 装置から伝送サーバのディスクを参照するために、SCADA 装置にワークグループ設定
(ユーザーID、パスワード)
3⁄4 SCADA 装置から、伝送サーバのディスクを共有する設定("ネットワークドライブの割り当て")
3⁄4 伝送サーバ用の IP アドレスを1つ付与(SCADA 装置と同セグメント)。
3⁄4 SCADA 装置のサーバ情報(IP アドレス)開示
3⁄4 SCADA 装置のワークグループ設定情報(ユーザーID、パスワード)開示
3⁄4 SCADA データの仕様(データベース仕様)開示
(注記)既設 SCADA 装置のデータベース(mdb ファイルなど)をコピーしたものを利用し、元のデータベ
ースを編集することはしない。
SCADA装置 (既設)
SCADAデータ
mdbファイル
(既存)
SCADAデータ
mdbファイル
SCADAデータ
mdbファイル
LAN接続
伝送サーバー(当社持込)
X:ドライブ
SCADAデータファイル
解析プログラム
DISK共有
(このフォルダ
を共有する)
通信回線
経由で送出123SCADAデータ
コピープログラム4 -36-
(2) ウィンドファーム総発電出力データ収集・伝送システム
ウィンドファームは風車用SCADAシステムのほかに全電力系統電気設備を監視するための監視装置
を併設しています。
図 9-5 変電設備監視システム表示画面の例
出典:特高連系風力発電所監視システムの開発, 渡部拓郎 他, エバラ時報 No. 218(2008-1)
前述した風車用の SCADA データ収集・伝送システムと同様に、全電力系統電気設備を監視するシ
ステムのデータベースから風力発電量予測計算(更新)に必要な総発電出力データを予測計算をする計
算機に定期的に伝送することは技術的に可能です。この場合は、9.1 節を参考として下さい。
なお、ウィンドファームの系統連系地点において有効電力変換器などを設置してアナログ信号をデ
ジタル情報に変換して計測用 PC やデータロガーでウィンドファーム総発電出力の測定、データ収集、
そしてデータ伝送をすることが可能です。参考として、以下に概念(図 9-6)とシステム構成例(図
9-6、表 9-2)を示しました。
図 9-6 ウィンドファーム総発電出力収集システムの概念図
-37-
VCT Wh
受電設備WhCT CTT
特高
送電線
WF側
設備WTG1WTG2WTG3WTG n・・・GCBDSアナログ信号 -0.5V-10V
有効電力
トランスデューサー(新設)
WF総発電出力データ
収集システム
51H 51LWHWAVarHVarF
W/TD SCADAA/TDVar/TDEVT59 27 95H 95L V/TDVVo64インターネット/VPN
風力発電量予測
システム
図 9-7 ウィンドファーム総発電出力データ収集システムの構成(例)
表 9-2 総発電出力データ収集システムの仕様(例)
<必要情報(例)>
・ WF全体定格発電出力(kW)
・ 電力需給用計器
・ パルス変換器
・ VCT 比
・ パルス定数(pulse/KWh)
・ 分配出力使用時(1KWh 当パルス数(pulse/KWh)、1パルス当(KWh:KWh/pulse))
・ 定格出力時のパルス数(1 秒間電力(KWh/sec)、1 秒間パルス数(pulse/sec))
項 目 仕 様
取得データ ウィンドファーム総出力(kW)
サンプリング間隔 1 秒
平均化時間 10 分(全 1 秒サンプリング値の平均)
データ送信 10 分平均値は 10 分毎に、データセンターに送信
データ収集・伝送方式 PC(アナログ入力タイプ)またはデータロガー(通信可能)
通信方式
インターネット上に VPN を構築し、データセンターと接続。通信プロトコルは
FTP(PUT)を採用。VPN の採用により情報漏洩、ウィルス感染を防止。有線回線
を推奨。
接続形態 フレッツ ISDN によりインターネットへの常時接続により接続
-38-
10 風力発電出力予測システムの構築・運用
本節は、本事業で実施しましたウィンドファーム発電出力予測システム(以下、WF 予測システム)
の構築および運用を例として紹介します。
本事業で構築しました WF 予測システムは、
「観測値の取得」、「気象モデル」、「工学モデル」、「統
計モデル」の各機能によって構成されるシステムです。システムの主幹となる予測モデルはウィンド
ファーム発電出力予測モデル(WF 予測モデル)は、30 分毎の当日および翌日の風車別発電出力を算
出します。図 10-1 に WF 予測システムの概要を示します。
図 10-1 WF 予測システムの概要
なお、WF予測システムにおける気象モデルと工学モデル計算に時間を要しますので、当日および
翌日の発電出力を 30 分毎に予測するには計算時間の短縮を図る必要がありました。そこで、最も計
算時間のかかる工学モデルの計算については、事前に工学モデルを用いて対象WF内の風向別・風車
別に風速比を求めた計算データベースを作成しておき、予測計算(更新)毎にこのデータベースを利用
することで計算時間を短縮しています。
気象庁GPVデータ
気象モデル計算
5kmメッシュ→1kmメッシュ
→風車別風向・風速データ
Aサイト
Nサイト
Gサイト
LAWEPS(5次)
16方位別・風車別
対応データベース
SCADAデータ0200400600800100012001400
0 5 10 15 20 25風速
(m/s)発電量(kW)
パワーカーブ
30分毎に観測値更新
統計モデル
・風速補正
・風車稼働予測
・補正量低減化
・バックアップモデル
工学モデル
観測値
-39-
(1) ハードウェア構成
【気象モデル計算マシン】
CRAY XD1 (管理ノード 1(2CPU)
、計算ノード 5(10CPU))【統計モデル計算マシン】
CPU:Intel(R) Pentium(R) 4 CPU 3.20GHz
メモリ:2.0GB
OS:Linux (CentOS 4.4)
(2) オンライン観測データの概要
3 サイトを対象として、SCADA データ収集・伝送システムを構築してナセル風速・ヨー角、発
電量の 10 分データおよび 1 日分を取りまとめたデータを自動取得しました。
データの転送経路は、まずは対称サイトからデータセンターに伝送し、全データをデータセンタ
ーに集約させました。
そしてデータセンターと WF 予測システムを構築した
(財)
日本気象協会(以下 JWA)の間を IP-VPN 網で接続して、ftp を用いたデータ転送方法によって観測データを取得す
るようにしました。なお、複数のアクセス者が同時に同一プラットフォームで予測結果の一括表示
を可能とするために、逐次計算結果を同回線を用いてデータセンターに ftp/put するようにしてい
ます。
(3) 気象モデルの概要
気象モデルはJWA の局地気象モデルANEMOS を使用しました。
気象モデルの計算は1 日2 回、
51 時間先までの予測を実証試験対象 WF 毎に行い、参照点における 30 分毎の風向・風速を出力し
ました。
(4) 工学モデルの概要
工学モデルは NEDO 局所風況ワーキンググループが開発した LAWEPS(4 次領域モデルおよび
5 次領域モデル)を使用していますが、計算時間短縮のために予めウィンドファーム内の風車毎に
LAWEPS を用いて作成した風向別風速データベースをシステム内に格納しました。なお、この風
車別風速データベースは計算毎に更新するものではありません(図 10-2)。図 10-2 工学モデル処理フローの例
1 WF計算格子
2 流入気流プロファイル
予め計算しておく
5 風車ハブ高さの風速算出
気象モデル51時間予測結果
の参照点における時系列
発電量予測計算
統計モデル計算
評価が困難であるため、ウェーク
の補正を行わないデータを統計モ
デルへ引き渡す。
4 WF内参照点における気
象モデル風向・風速を用
いた工学モデルの計算結
果の修正
3 16風向流入気流に対するWF内の風
向風速分布計算
-40-
(5) 統計モデルの概要
WF 予測システムの発電量予測は統計モデルを用いて算出しています。まずは、風車別の風向・
風速をオンラインで入手している SCADA データを用いて統計補正します。そして、経験パワーカ
ーブを用いて発電出力の予測値を算出して、その後算出した予測値と過去の SCADA データを用い
て信頼区間データを出力するようにしています。なお、データベースソフトウェアは
PostgreSQL8.2.1 を採用しました。
処理方法は、統計モデルをソフトウェア化して、工学モデルの風向・風速データの取得と、観測値
の取得に分け、観測値の取得時に統計計算・発電出力予測計算を行うことと、実況データや工学モ
デルデータの更新状況等のログも出力するようにしています。
WF 予測システムの発電量予測算出処理フローは図 13-3 を参照して下さい。
図 10-3 統計モデル処理フロー
工学モデル
出力
工学モデル
データ取得
統計モデル
計算
統計モデル処理用DB
データ取得
データ格納
観測値の取得
発電出力予測
取得
信頼性区間
モデル
SCADA
データ
1日2回
30分毎
-41-
11 風力発電出力予測プラットフォーム
みなさんは、各銀行のシステム構成やプログラム言語は違っていても、それを認識しないで自分が
口座を設けている銀行のATMや他の銀行のATM、
またはコンビニエンスストアのATMを使って自分の口座
から1キャッシュカードを入れ、2暗証番号を入力して、3金額を入力して、4現金が現金ポケット
に入れらて、
5現金ポケットの取り出し口が開き現金を取り出して現金を引き出していると思います。
このようなことは気象予測に基づく風力発電量予測システムにおいても、特定箇所のデータフォー
マットを統一することで可能なのです(図11-1)。
本事業では、異なる種類の風力発電出力予測モデルやシステムであっても予測結果の利用者(ユー
ザー)が、どこからでも同じ画面のものを複数の人が同時に操作・閲覧できるように「風力発電出力
予測プラットフォーム」を開発して、WF予測システムでのJWAモデル/システムとエリア予測システム
でのCTCモデル/システムで実証しました。
気象予報データセット
(NWP)
風力発電出力予測モデルA
オンライン風況データ
(風車SCADA:風速・ヨー角)
オンライン出力データ
(送電端出力・風車SCADA)
風車・発電所停止情報
予測値評価モデル
Web/ftp サーバ
閲覧者A 閲覧者D
閲覧者C
閲覧者B
インターネット/VPN
データフォーマット統一
データフォーマット統一
風況予測モデルB
風況予測モデルA
風力発電出力予測モデルB
図11-1 データフォーマットの統一箇所
-42-
本事業で開発した「風力発電出力予測プラットフォーム」(図11-2、図11-3)は、1Windows PC上
で簡易予測モデルが格納されているサンプルデータに対し実際に計算して、予測結果やその評価を閲覧す
ることを体験できますし、また、2実際に気象庁GPVデータの入電とWFの情報(総発電出力等)のオンライン
システムを構築することで、実態に気象予測に基づいた風力発電出力を簡易的に予測することができます。
「風力発電出力予測プラットフォーム」はインストールプログラムとして同胞されています。イン
ストール方法および設定方法は、
成果報告書の第7章と【付録】として付け加えました「風力発電出力予測
プラットフォーム マニュアル」を参照して下さい。
外部予測システムA 外部予測システムB
集団学習
GPVデータ 風車実測データ
簡易予測(デモ)
描画/操作/表示
LAN,WAN
クライアントPC操作
プラットフォームサーバ
本機にて操作可能
外部予測システムA 外部予測システムB
集団学習
GPVデータ 風車実測データ
簡易予測(デモ)
描画/操作/表示
LAN,WAN
クライアントPC操作
プラットフォームサーバ
本機にて操作可能
図11-2 プラットフォームの概要図
図11-3 プラットフォームの出力画面例
-43-
12 運用障害事例と解析結果
風力発電量予測システムの年間を通して運用した結果に得られた運用障害事例と解析結果を以下に
示します。
(1) ウィンドファーム発電出力予測システム(WF 予測システム)
実証試験中に対象全 3 サイトで、1 日に 2 回実施される統計モデルの更新が正常に行われなかった
ことがありました。この事を運用障害事例としてその発生原因を解析しました。
サイト別に運用障害発生頻度とその種類を表 12-1〜表 12-3 にまとめました。
表 12-1 実証試験における A サイトトラブル状況
WF:Aサイト 更新回数 22 56 62 60 62 60 62 62 60 62 60 62 690
トラブル発生部 種類 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 計
GPV(回) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 14 24
気象モデル(回) 1 5 0 5 5 0 3 0 0 1 3 0 23
統計モデル(回) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
プログラム改修(回) 3 8 2 15 3 0 2 13 3 0 0 0 49
システムダウン(回) 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 5 0 7
回線異常(回) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
観測値 観測値未入電(日) 26 29 31 19 0 0 0 1 1 0 3 3 113
18.2% 23.2% 3.2% 33.3% 12.9% 0.0% 8.1% 24.2% 5.0% 1.6% 30.0% 22.6% 14.9%
*単位が回の場合は更新ごとにカウント(1日2回)
ソフト系
ハード系
未更新発生率(観測値未入電は除く)
表 12-2 実証試験における G サイトトラブル状況
WF:Gサイト 更新回数 22 56 62 60 62 60 62 62 60 62 60 62 690
トラブル発生部 種類 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 計
GPV(回) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 14 24
気象モデル(回) 0 3 3 3 2 1 3 0 0 1 3 0 19
統計モデル(回) 0 0 0 0 0 0 0 1 15 0 0 0 16
プログラム改修(回) 4 8 2 13 5 0 1 16 4 0 0 0 53
システムダウン(回) 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 5 0 7
回線異常(回) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
観測値 観測値未入電(日) 20 12 13 23 20 30 0 5 30 31 30 31 245
18.2% 19.6% 8.1% 26.7% 11.3% 1.7% 6.5% 30.6% 31.7% 1.6% 30.0% 22.6% 17.2%
*単位が回の場合は更新ごとにカウント(1日2回)
ハード系
未更新発生率(観測値未入電は除く)
ソフト系
表 12-3 実証試験における N サイトトラブル状況
WF:Nサイト 更新回数 62 62 60 62 60 62 368
トラブル発生部 種類 7月 8月 9月 10月 11月 12月 計
GPV(回) 0 0 0 0 10 14 24
気象モデル(回) 0 0 0 1 0 0 1
統計モデル(回) 0 0 1 0 0 0 1
プログラム改修(回) 0 8 3 0 0 0 11
システムダウン(回) 0 2 0 0 5 0 7
回線異常(回) 0 0 0 0 0 0 0
観測値 観測値未入電(日) 1 1 6 5 2 3 18
0.0% 16.1% 6.7% 1.6% 25.0% 22.6% 12.0%
*単位が回の場合は更新ごとにカウント(1日2回)
ハード系
未更新発生率(観測値未入電は除く)
ソフト系
運用障害の原因は、ソフトウェアに関する障害発生頻度がほとんどでした。最も多かった運用障害
原因はプログラム改修に関するものでした。これは、常に最新の予測プログラムを組み込んだためで
す。特に、8 月のプログラム改修では、計算スケジュールの調整がうまくいかず、気象モデルの結果
を統計モデル計算マシンにうまく転送できないことが多くありました。
なお、11 月に運用障害発生頻度が多くなった原因は、気象庁 GPV が 11 月に更新されて配信時刻
-44-
の遅れがあったためです。これに対しては、スケジュール調整を改正しました。
ハードウェアに関する運用障害は、8 月の落雷によるシステムダウン、11 月の法定点検による計画
停電でシステムを停止したことによる障害の2件でした。これら障害に対しては、システムの再起動
をすることでした。
以下に運用障害解析結果を示します。
1 GPV
実証期間中に気象庁のシステムトラブルによる GPV 配信エラーは生じていません。なお、11
月に GPV の更新がありました。
2 気象モデル
気象モデルの計算終了が遅延して工学モデルの計算に間に合わない事例がありました。これに
対しては、定時に計算終了分までを出力するかバックアップモデルによって回避できると考えら
れます。
GPV 更新後に気象モデルの計算終了時刻が遅くなったことで、
工学モデルの計算結果に未来日
付が発生するようになりました。これに対しては、気象モデルから工学モデルに渡す初期値時刻
計の処理で不具合が見つかりましたので修正することによってシステムが正常に戻りました。
3 統計モデル
工学モデルのデータ登録時のデータ検索に多大な時間がかかって予測データが一部欠落しまし
た。
これは 30 分更新を開始した後にデータベース内のレコード数が急増したことが原因でした。
この問題は、データ検索のチューニングをすることで解消しました。
4 プログラム改修
地点追加などの作業を行った時と、
8 月の 30 分更新対応でのタイミング調整を実施したときに
障害が発生しました。
これについては、
試験環境での十分なテストと作業手順の整備が必要です。
なお、データの更新異常を検出した場合には、電子メールなどを利用し運用担当者へ通知する
ことも障害回避に有効だと考えられます。
5 システムダウン
落雷によるシステムダウンと、法定点検による計画停電でシステムが停止しました。これに対
しては、システムを再起動することで解消しました。
6 回線異常
実証期間中に回線の異常は発生しませんでした。
7 観測データ
無線通信回線(携帯電話通信回線)でオンライン観測システムを構築したサイトにおいて、長
期間リアルタイムでのデータ取得ができない状態が不定期的に連続して起こりました。安定した
通信回線を確保する必要があります。
なお、リアルタイムで転送されている観測データが、タイミングがずれて後に更新されて転送
されるといった事例がありました。これについては、統計モデルでリアルタイム観測データの取
得方法を調整することで解消しました。
-45-
(2) 電力系統制御エリア発電出力予測システム
実証試験を行った東北エリアを対象とした電力系統制御エリア予測システムの障害事例とその発生
原因を解析しました。
図 13.-4 に約一年間にわたる運用障害発生内容、発生・復旧日時、対応について示しています。
約 1 年間の運用において計 12 回のシステム停止が発生しました(図 12-4)。これらの障害は予測の統計補正をメインに行うサーバのシステムが急にダウンしてしまうもので、
2007 年 6 月 14 日に最初に発生しました。再起動を行うことで正常な状態に復旧しておりますが、原
因は不明で、再発の可能性も懸念されるため、原因として可能性が考えられるハードウェアの部品交
換を行い、翌 15 日より予測計算を再開しました。
この後 2007 年 8 月に入り再度同様の障害が頻発するようになったため、アプリケーション側の問
題の可能性も考慮して、プログラムの修正・見直しを行いましたが、障害は解消されませんでした。
このため、2007 年 8 月 27 日に、前回のハードウェア交換で未交換だった部品(CPU・ケーブル類)
も加えて部品交換をしました。
2007 年 10 月に入り再度、同障害が頻発するようになりました。これまでにほぼ全てのハードウェ
ア部品を交換してますので、ハードウェア以外に障害の原因があると考えられましたので、OS のカ
ーネルアップデートを実施後は、2007 年 12 月 31 日まで同じ障害は発生しませんでした。結果とし
て、OS とハードウェア間で何らかの不整合が生じていた可能性が考えられます。
表 12-4 電力系統制御エリア予測システムの障害履歴(2007 年 1 月 9 日〜2007 年 12 月 31 日)
障害内容 対応
サーバのシステムダウン 2007年6月14日 11:41:01 2007年6月15日 18:00:00
HW部品(メモリ・ベアボーン)交換後,
復旧
サーバのシステムダウン 2007年8月2日 13:05:01 2007年8月2日 14:30:00 再起動により復旧
サーバのシステムダウン 2007年8月9日 13:04:01 2007年8月9日 14:00:00 再起動により復旧
サーバのシステムダウン 2007年8月10日 09:50:02 2007年8月10日 10:30:00 再起動により復旧
サーバのシステムダウン 2007年8月11日 13:05:02 2007年8月13日 10:00:00 再起動により復旧
サーバのシステムダウン 2007年8月13日 12:59:01 2007年8月13日 14:00:00 再起動により復旧
サーバのシステムダウン 2007年8月17日 15:45:01 2007年8月17日 16:30:00 再起動により復旧
サーバのシステムダウン 2007年8月27日 10:25:02 2007年8月28日 18:00:00
HW部品(メモリ・ベアボーン・CPU・
ケーブル類)交換後,復旧
サーバのシステムダウン 2007年10月23日 01:00:10 2007年10月23日 10:30:00 再起動により復旧
サーバのシステムダウン 2007年10月23日 13:00:12 2007年10月23日 13:30:00 再起動により復旧
サーバのシステムダウン 2007年10月24日 11:56:04 2007年10月24日 12:30:00 再起動により復旧
サーバメンテナンス 2007年10月25日 15:24:00 2007年10月25日 18:00:00 カーネルアップデート
障害発生日時 障害復旧日時
前述しましたようにシステムの障害は主に、ハードウェアに依存する障害であって、電力系統制御
エリア予測モデルによるソフトウェアの障害は発生してません。
障害内容としましては、ブレードサーバーにおけるハードウェアの初期トラブルに起因する障害で
あって、この障害に対しては、結果的に躯体の総入れ替えをすることで解決されました。
-46-
また、2007 年 12 月 31 日までのシステムの稼働率・MTBF(平均故障間隔)
・MTTR(平均修理時
間)を以下に示します。
くろまる稼働率 98.5%
くろまるMTBF(平均故障間隔) 714時間(29.3日)
くろまるMTTR(平均修理時間) 10.4時間
13 性能評価(コスト、信頼性、予測精度)
年間を通して運用した風力発電量予測システムの性能評価は以下のとおりです。
(1) ウィンドファーム発電出力予測システム(WF 予測システム)
1 コスト
WF 予測システム構築のためのハードウェアに係るコストは以下のとおりです。
- 気象モデル計算マシン
300,000円 程度(1 ヶ月分のレンタル料金)
CRAY XD1 (管理ノード 1(2CPU)
、計算ノード 5(10CPU))- 統計モデル計算マシン
250,000円 程度(PC 購入代金)
CPU:Intel(R) Pentium(R) 4 CPU 3.20GHz
メモリ:2.0GB
OS:Linux (CentOS 4.4)
統計モデルの計算は数分で終えますので、統計モデル計算マシンは実証試験に用いた PC サ
ーバー程度で十分に安定運用できると考えます。
2 信頼性
運用障害発生頻度はプログラム改修に関する障害がほとんどで、ハードウェアに関する障
害はあまり発生していない。実証試験では、バックアップモデルの構築などで、気象モデル
の計算スケジュールが多少遅れても予測値の提供が安定して出来るように改善したので、最
終的には信頼性の高いシステムが構築されました。
ハードウェアの運用障害においては停電を原因とする障害が見られましたので、UPS、
CVCF 等に接続して電力供給を行って、ハードウェアの二重化といった冗長構成を検討すれ
ば更に信頼性の高いシステムになります。
3 予測精度
実証試験中はプログラムの更新、観測値での補正方法の変更が余儀なくされたために、一定
の条件下での予測精度の検討は行うことが出来ませんでした。なお、長期間リアルタイムでの
データ取得ができない状態が不定期的に連続して起こったサイトでは、観測値の入電率が低か
ったために、統計モデル内で実況値補正(予測計算更新)ができない場合が多くありました。
-47-
(2) 電力系統制御エリア発電出力予測システム
1 コスト
電力系統制御エリア発電出力予測システムに使用したハードウェアは以下の通りです。
以下に構成されるハードウェア全てのコストは約 15,000 千円でした。
【気象モデル・統計モデル計算サーバ】
NL-Blade(シャーシ 1 台、サーバーノード 10 台)
シャーシ
NL-SBCE
7U rack chassis that can support up to 14 blade servers
CD-ROM Slim Type ×ばつ
FDD Slim FDD
GigaLAN switch module (installs into SBCE chassis) 1 枚
Power Supply SBCE Accessory - 2000 WATT Power Supply 2 個
OS RedHat9
サーバーノード(一台あたり)
NL-SBXL82
CPU Xeon プロセッサ 3.6GHz/800MHz-2MB 2 個
RAM DDRII 1GB PC4300 ECC Registered DIMM 4 枚
HDD 2.5 インチ 36GB SCSI Hard Disk 2 個
RAID Controller ONBoard Raid(1,0)
OS RedHat9
【DB サーバ】
NL Server RX1100E RX1100E-TPXE3200S-4096-36C2R
CPU Intel Xeon 3.2DGHz FSB800 1 個
Chipset Intel SE7520
SCSI On board LSI-53C1030 U320 Dual Channel
RAM 1GB DDR2-400 ECC Registered 4 枚
HDD 36GB Ultra320 SCSI 15,000rpm SCA-2 2 個
Raid Controller Intel AU320SCSI 1 個
Graphics On board ATI RAGE-XL VGA 8MB
CD-ROM Slim Type ×ばつ
LAN Onboard Intel Gigabit Etherne×ばつ2
I/O Slot Full-size 64bit ×ばつ1
Low profile 64bit ×ばつ1
Case 1U Radkmount
Power Supply 500W
FibreCard 2G QLA-2342 2Gb Dual Prot FC HBA LC コネクタ 1 枚
OS Re Hat Enterprise Linux Standard Plus
(ES v.4 for Intel x86,AMD64, and Intel EM64T
-48-
【ファイルサーバ】
NexStor4711F2
Fiber Channel Interface 1GB Cash
400GB SATA HDD 7,200rp×ばつ12 本(RAID5+HS)
OS Red Hat EnterpriseLinux ES4)
なお、
システムの監視についてはデーターセンターにて24時間365日の監視を実施しています。
保守・監視の種類は以下の通りで、下記の体制を構築・運用したコストは、初期 3,000 千円、
月額 1,500 千円でした。
無停電電源化 : 2系統連系、バックアップ電源(ガスタービン、鉛電池)
Ping 監視 : ハードウェアの状態を監視する (1 回/1 分)
障害一次対応 : ハードウェアがダウンしたときの再起動復旧(ホットスタンバイ)
ネットワーク監視 : ネットワークの回線遮断の状態監視 (1 回/1 分)
ハードウェア保守 : 24 時間 365 日 オンサイト対応
これらの監視・保守を実施することで、故障発生時の早期発見、早期復旧体制が実現されました。
2 信頼性
システムの信頼性の評価は一般的に稼働率(Availability)もしくは信頼度(reliability)で評価さ
れます。稼働率(Availability)は、システムの平均故障時間(MTBF)と平均修理時間(MTTR)を
用いて算出され、定義は以下のとおりです。MTTRMTBFMTBF+=稼働率
信頼性(Reliability)は、
稼働率と似た概念ですが、
こちらはシステムが障害を発生する頻度のみ
に注目した指標であって平均修理時間(MTTR)は考慮されません。
本システムは実証試験にて平均故障時間、平均修理時間を実際に測定できていますので、シス
テムの信頼性を評価するには、稼働率を用いることが適しています。
本システムの平均故障時間(MTBF)は 714 時間、平均故障間隔が 10.4 時間でしたので、稼働率
は 98.5%でした。
予測システム
稼働率98.5%
予測システム(正)
稼働率98.5%
予測システム(副)
稼働率98.5%
稼働率98.5%
年間停止時間127時間
実証試験システム
(単体構成)
稼働率 99.98%
年間停止時間1.9時間
本格運用時システム
(冗長化構成)
図 12-1 システム構成概念図
-49-
図 12-1 に示す様にシステムを単純化して冗長構成化を考慮した場合には、予測システム単体の稼
働率が 98.5%なので、冗長化構成の稼働率は 99.98%と試算されます。
したがいまして、実証試験のシステムを冗長化構成とますと 98.5%から 99.98%まで向上すること
になり、
年間の停止時間が約 127 時間(約 5 日)から 1.9 時間へ大幅に削減されることを示しています。
このように、システムに対する信頼性(許容される故障回数、停止時間)を十分に検討して、導入する
べきシステムが、どの程度の信頼性を担保するかを事前に考慮することが大切です。
13 予測システムの構築・運用に関する留意事項
実証実験で実際に起こりました予測システムの運用トラブルと、その対応の事例をまとめますと、
表 13-1 になります。
表 13-1 トラブルの種類と対応事例
トラブル事例項目 対応策
システムダウン、ハードウェア障害による不具合
システム(ハードウェア)の二重化
前回の結果の利用
落雷や停電によるシステムダウン 無停電電源装置等の採用
観測値の欠測/遅延 実況値補正なしの予測値の出力
通信回線異常による受配信エラー 通信ラインの二重化
気象モデルの計算遅延
バックアップモデル等の採用
前回の結果の利用
データ蓄積の肥大化によるデータ検索遅延不具合
データベース検索のチューニング
データベース構造の変更など
計算の異常終了 再計算の自動化
システムの障害復旧に関しては、作業手順等が複雑なことや作業量が多いこと等が問題となりまし
た。これについては作業手順を整理するとともに、作業量を軽減する工夫が必要です。
また、障害の早期発見や原因究明、作業ミスによる障害発生の抑制のために、予測システムが障害
を検出したときに、予測システムから予測システム運用担当者へ自動的に電子メール等で通知する機
能は有効であると思われます。
今回の実証実験での運用を通じまして、想定外の様々なトラブルに見舞われました。このことを思
いますと、安定したシステム運用のためには、設計のみならず、システム導入後に定期的なシステム
運用障害解析を行いまして、その解析結果に基づいて不具合の修正や運用の工夫を継続的に実施して
いくことが必要です。 1【付録】
「風力発電出力予測プラットフォーム マニュアル」
(表示システムインストール・設定資料) 2【目次】
第 1 章 概要..................................................................................................................................... 3
第 2 章 プラットフォーム システム構成 ............................................................................................. 4
2.1. プラットフォーム 全体構成....................................................................................................... 4
2.2. 表示システムのシステム構成 ................................................................................................... 4
第 3 章 表示システムインストール・設定............................................................................................ 6
3.1. 表示システムの動作環境 ......................................................................................................... 6
3.2. 表示用画像・データ作成機能インストール・設定........................................................................ 7
3.2.1. 必要な環境....................................................................................................................... 7
3.2.2. グラフ作成用ソフト「GD」のインストール.............................................................................. 8
3.2.3. 表示用画像・データ作成機能インストール前の事前確認と決め事..................................... 10
3.2.4. 表示用画像・データ作成機能インストール(通常モジュール用)..........................................11
3.2.5. 表示用画像・データ作成用テーブル設定(通常モジュール用)........................................... 13
3.2.6. エリア・WF 追加時の設定(通常モジュール用) ................................................................. 20
3.2.7. 自動時間起動の設定(通常モジュール用) ....................................................................... 24
3.2.8. 表示用の画像・データ作成機能動作確認方法(通常モジュール用) .................................. 26
3.2.9. 表示用画像・データ作成機能インストール(簡易予測モジュール) ..................................... 27
3.2.10. 表示用画像・データ作成用テーブル設定(簡易予測モジュール用) ................................... 28
3.2.11. エリア・WF 追加時の設定(簡易予測モジュール).............................................................. 29
3.2.12. 自動時間起動の設定(簡易予測モジュール用)................................................................ 30
3.2.13. 表示用画像・データ作成機能動作確認方法(簡易予測モジュール用)............................... 31
3.2.14. 表示用画像・データ作成機能インストール(集団学習モジュール) ..................................... 32
3.2.15. 表示用画像・データ作成用テーブル設定(簡易予測モジュール用) ................................... 33
3.2.16. エリア・WF 追加時の設定(集団学習モジュール).............................................................. 34
3.2.17. 自動時間起動の設定(集団学習モジュール用)................................................................ 35
3.2.18. 表示用画像・データ作成機能動作確認方法(集団学習モジュール用)............................... 36
3.3. Web 表示機能インストール・設定 ............................................................................................ 37
3.3.1. Apache の設定................................................................................................................ 37
3.3.2. Web 表示システムのインストール前の事前確認と決め事 ................................................. 38
3.3.3. Web 表示システムのインストール .................................................................................... 39
3.3.4. Web 表示システムの設定................................................................................................ 41
3.3.5. エリア・WF 追加時の設定 ................................................................................................ 44
3.3.6. ID,パスワードによるアクセス制限の設定.......................................................................... 45
3.3.7. Web 表示機能動作確認方法(ページへのアクセス).......................................................... 47
第 4 章 入力データのフォーマット.................................................................................................... 48
4.1. 予測データフォーマット ........................................................................................................... 48
4.2. 観測データフォーマット ........................................................................................................... 51
第 5 章 表示内容............................................................................................................................ 55
5.1. 表示内容の解説..................................................................................................................... 55 3第1章 概要
本プラットフォームは、数値気象予報データ、ウィンドファームにおける風速及び発電出力のオン
ライン実測データを入力値とし、WF 毎・制御エリア毎における発電出力予測値、同実績値、及び出
力予測値に対する信頼区間値を WEB ブラウザー上で閲覧する環境を提供するシステムである。
本プラットフォームでは入出力仕様の標準化を図っており、新しい予測モデルを開発された場合に
そのモデル出力を本プラットフォームに組み込めるような仕様である。
また開発したプラットフォームは、集団学習機能、簡易予測機能を搭載し、プラットフォームサー
バ、ユーザー側 PC 両方で操作ができるものとする
外部予測システムA 外部予測システムB
集団学習
GPVデータ 風車実測データ
簡易予測(デモ)
描画/操作/表示
LAN,WAN
クライアントPC操作
プラットフォームサーバ
本機にて操作可能
外部予測システムA 外部予測システムB
集団学習
GPVデータ 風車実測データ
簡易予測(デモ)
描画/操作/表示
LAN,WAN
クライアントPC操作
プラットフォームサーバ
本機にて操作可能
図 1-1 プラットフォームの概要図 4第2章 プラットフォーム システム構成
2.1. プラットフォーム 全体構成
本プラットフォームは、簡易予測モジュールが動作する Windows 系マシンと、表示モジュールが
動作する Linux 系マシンの 2 台構成である。クライアント PC を含めたシステム構成図は、図 2.-1
のとおりであり、
表示に関しては、
クライアント PC から Linux 系マシンへ http アクセスによる Web
ブラウザ表示(IE6.0 以上推奨)で実現している。
プラットフォームサーバ群である Windows 系マシンと Linux 系マシンは、
FTP プロトコルでのデ
ータのやり取り(Windows 系マシンから Linux 系マシンへのデータの put)を行うため、ネットワ
ーク上、同一セグメントにあることが望ましい。同一セグメントでなくても、FTP プロトコルでのデ
ータ転送ができる環境であることが必要である。
プラットフォームの表示は、クライアント PC から Linux 系マシンへ http アクセスによる Web ブ
ラウザ表示により閲覧可能である。クライアント PC はネットワーク上、プラットフォームサーバ群
と同一セグメントでも別セグメントでも問題ないが、
クライアント PC から Linux 系マシンへの http
アクセスが可能な環境であることが必要である。Linux 系マシンは、Apache による Web サービスを
提供しており、複数のクライアント PC からのアクセスを同時に処理し、表示させることができる。
図 2. -1 プラットフォームのシステム構成図
2.2. 表示システムのシステム構成
表示システムとは、Web アクセスしたときに画面上に表示される画像やデータの作成する機能「表
示用画像・データ作成機能」と、Web 表示サービスを実現する機能「Web 表示機能」の 2 つの機能を
持ったシステムである。システム構成は、図 2.-2 のとおりである。
LAN/WAN
OS:Windows
簡易予測モジュール
OS:Linux
表示モジュール
クライアント PC
プラットフォームサーバ群 5図 2.-2 プラットフォーム表示システムのシステム構成
表示システムは、
前述したように大きく 2 つの機能がある。
「表示用画像・データ作成機能」と「Web
表示機能」である。
表示用画像・データ作成機能は、図 2.-2 のとおり、
「(1)通常モジュール用」、「(2)簡易予測モジュ
ール用」、「(3)集団学習モジュール用」
がある。
違いは、
ユーザー準備の予測システムの出力である「1予測データ」と「2観測データ」を利用し画像やデータを作成する機能が(1)の「通常モジュール用」
であり、プラットフォーム付属の簡易予測モジュールが出力した「3簡易予測モジュールの予測デー
タ」と「2観測データ」を利用し画像やデータを作成する機能が(2)の「簡易予測モジュール用」であ
る。また「4集団学習モジュールの予測データ」と「2観測データ」を利用し画像やデータを作成す
る機能が(3)の「集団学習モジュール用」である。予測データ(1、3、4)や観測データ(2)のフ
ォーマットやデータ例は、第 4 章に記載している。
また、Web 表示機能(図 2.-2 の(4))は、図 2.-2 の(1)と(2)、(3)の表示用画像・データ作成機能が
各々出力した画像やデータを利用してブラウザ表示のサービスを提供する機能である。
ユーザー作成のデータ
簡易予測モジュール
の出力
1予測データ
(30 分毎)
2観測データ
(30 分毎)
3簡易予測モジュ
ールの予測データ
(30 分毎)
(1) 表 示 用 画
像・データ作成
機能
(通常モジュ
ール用)
(2) 表 示 用 画
像・データ作成
機能
(簡易予測モ
ジュール用)
5画像・データ
(通常モジュール
出力)
6画像・データ
(簡易予測モジュ
ール出力)
(4)Web 表示
機能
クライアントPCクライアントPCクライアントPCクライアントPCブラウザアクセス
表示システム
集団学習モジュール
の出力
4集団学習モジュ
ールの予測データ
(30 分毎)
(3) 表 示 用 画
像・データ作成
機能
(集団学習モ
ジュール用)
7画像・データ
(集団学習モジュ
ール出力) 6第3章 表示システムインストール・設定
3.1. 表示システムの動作環境
本プラットフォームの推奨動作環境は、以下のとおりである。
CPU :Intel(R) Xeon(TM) CPU 3.20GHz 以上
OS :Red Hat Enterprise Linux ES release 4 以上
メモリ :2GB 以上
Apache :バージョン 1.3.33 (1.3 系のこのバージョン以上)
HDD :空き 10GB (蓄積するデータ量による)
Perl :バージョン 5.8.5 以上
GD :バージョン 2.0.28
また、開発環境は下記のとおりであり、このスペックで動作確認を行っている。
CPU :Intel(R) Xeon(TM) CPU 3.20GHz
OS :Red Hat Enterprise Linux ES release 4
メモリ :2GB
Apache :バージョン 1.3.33
HDD :空き 10GB (蓄積するデータ量による)
Perl :バージョン 5.8.5
GD :バージョン 2.0.28 73.2. 表示用画像・データ作成機能インストール・設定
表示モジュールをインストールし動作させるに当たって、必要な環境と、いくつかのライブラリの
インストールが必要である。この節では、表示モジュールのインストールと動作をさせるために、必
要な環境と具体的なインストール、設定方法を記述する。
3.2.1. 必要な環境
3.1 でも紹介したとおり、表示システムは、Linux の OS(Red Hat Enterprise Linux ES release 4
推奨)で動作する。また、Micorosoft の InternetExplore などのブラウザにて Web 表示をさせるた
め、Linux マシンには、Web サーバ機能が必要である。Web サーバは、Apache1.3 系(バージョン
1.3.33 以上推奨)であり、Linux マシンで動作する必要がある。Apache に関しては、インストール、
設定、動作確認などの書物や Web サイトがたくさんあるため、ここでは Apache で Web サイトが見
られる環境が必要であるということだけで留める。
通常、OS(Red Hat Enterprise Linux ES release
4)をフルパックでインストールすると、Apache はインストールされているはずである。
また、Web 表示用にグラフやデータを作成するが、必要となる環境は、C シェルと Perl5.8.5 以上
である。こちらも OS(Red Hat Enterprise Linux ES release 4)をフルパックでインストールする
と、インストールされるはずである。
表示システムをインストールしようとしているサーバ環境に関しては、サーバ管理者に問い合わせ
て、確認をしていただきたい。
また、Linux 付属のソフト以外に、グラフを作成するために必要なソフトのインストールが必要で
あり、3.2.2 以降でインストール方法を説明する。 83.2.2. グラフ作成用ソフト「GD」のインストール
OS によって、入手しなければならないモジュールが異なるが、ここでは、推奨の Red Hat
Enterprise Linux ES release 4 を利用して説明する。Red Hat Enterprise Linux ES release 4 では
ほとんどのライブラリがインストールされている。以下では、必要なモジュールのインストールのみ
記述する。また、Perl のバージョンが 5.6.0 以上でなければならない。
インストール CD より以下のファイルを任意のディレクトリに置く。置くべきディレクトリはどこ
でも良いが、今回は例として、
「/data/online/INSTALL」とする。
「/data/online/INSTALL」に CD よりコピーするファイルは
・ gd-2.0.28.tar
・ GD.pm.tar
・ GDTextUtil-0.86.tar.gz
・ GDGraph-1.4308.tar.gz
である。
以下(1)〜(4)の GD 関連ソフトインストールは、全て root 権限で行う。
(1) gd-2.0.28 のインストール
「/data/online/INSTALL」ディレクトリが、カレントディレクトリ。
以下のコマンドを実行する(root 権限で実行)。tar xvf gd-2.0.28.tar # tar ファイルの解凍
cd gd-2.0.28 # 解凍により出来上がる gd-2.0.28 に移動
configure #環境設定
make install #インストール
(2) GD Perl モジュールのインストール
「/data/online/INSTALL」ディレクトリが、カレントディレクトリ。
以下のコマンドを実行する(root 権限で実行)。tar xvf GD.pm.tar # tar ファイルの解凍
cd GD-2.15 #解凍により出来上がる GD-2.15 に移動
perl Makefile.PLmakemake install #インストール
(3) GD::Text Perl モジュールのインストール
「/data/online/INSTALL」ディレクトリが、カレントディレクトリ。
以下のコマンドを実行する(root 権限で実行)。gzip -dc GDTextUtil-0.86.tar.gz |tar xf - # tar.gz ファイルの解凍
cd GDTextUtil-0.86 #解凍により出来上がる GDTextUtil-0.86 に移動
perl Makefile.PLmakemake install #インストール
(4) GD::Graph Perl モジュールのインストール
「/data/online/INSTALL」ディレクトリが、カレントディレクトリ。 9以下のコマンドを実行する(root 権限で実行)。gzip -dc GDGraph-1.4308.tar.gz | tar xf - # tar.gz ファイルの解凍
cd GDGraph-1.4308 #解凍により出来上がる GDGraph-1.4308 に移動
perl Makefile.PLmakemake install #インストール
これで GD 関連ソフトのインストールは完了である。 103.2.3. 表示用画像・データ作成機能インストール前の事前確認と決め事
3.2.3.(1). Perl にパスが通っていることを確認
表示用画像・データ作成処理を実行するアカウントにて、
『perl -v』コマンドで
------------------------------------------------------------------------
This is perl, v5.8.5 built for i386-linux-thread-multi
・・・
-----------------------------------------------------------------------
のようなバージョン情報が出れば、パスが通っている。パスが無い場合は、サーバ管理者に確認をし
てパスの設定を依頼してください。
3.2.3.(2). csh のパス確認
『which csh』
このコマンドを実行し、返ってきたパスをメモする。
例 $ which csh
/bin/csh
この例の場合、
「/bin/csh」をメモする。
3.2.3.(3). 対象の WF(もしくはエリア)のエリア番号、WF 番号を決めておく
エリア番号 2 桁、WF 番号 3 桁、を決めておく。例として、表 3.2.-1 のようなエリア番号を決めて
おき、WF 毎に 3 桁の数字を決めておく。
例 WF の場合:東北電力管内の A サイト
Æ エリア番号=02 、WF 番号=001 (A サイトを 001 番とした場合)
例 エリアの場合:東北電力管内
Æ エリア番号=02 、WF 番号=000(特定 WF ではないので「000」とした場合)
表 3.2.-1 電力系統エリア識別子の識別エリア番号
番号 電力会社 番号 電力会社
01 北海道電力管内 07 中国電力管内
02 東北電力管内 08 四国電力管内
03 東京電力管内 09 九州電力管内
04 中部電力管内 10 沖縄電力管内
05 北陸電力管内 11 その他(特高連系以外の WF)
06 関西電力管内 113.2.4. 表示用画像・データ作成機能インストール(通常モジュール用)
プラットフォーム表示用のグラフ画像と数値一覧用のデータ(csv データ)作成のためのモジュール
のインストールを行う。ここでは、ユーザーが準備した予測モジュールの出力から画像と CSV データ
を作成するための説明である。
(簡易予測モジュールの出力を用いた場合のインストールは、3.2.10 以
降を、集団学習モジュールの出力を用いた場合のインストールは、3.2.14 以参照ください)。(1) ファイル権限の調整
インストール CD より exec_platform_std.tar をインストールするディレクトリへコピーする。コ
ピー先は、画像やデータを作成するアカウントが読み書き実行できる権限のディレクトリで行う。コ
ピー後に、もし exec_platform_std.tar の権限が、root である場合は、サーバの root 権限になって
『 chown [User]:[Group] exec_platform_std.tar 』
というコマンドで権限の変更を行ってください。[User]は、表示用の画像やデータを作成するアカウ
ント名であり、[Group]はそのアカウントのグループ名である。
(2) tar の解凍
exec_platform_std.tar は、tar 圧縮されたファイルであるため解凍する必要がある。解凍時には、
表示用の画像やデータを作成するアカウントで以下のコマンドを実行。
『 tar xvf exec_platform_std.tar 』
解凍が完了すると、
「exec_platform_std」というディレクトリができる。exec_platform_std ディレ
クトリ内に以下のファイルとディレクトリができていれば解凍成功である。
表 3.2.-2 exec_platform_std 以下のファイル・ディレクトリリスト
種類 ディレクトリ名 or ファイル名 内容
ディレクトリ lib_perl Perl で利用するライブラリ
ディレクトリ pic_parts グラフ作成時に利用する画像パーツ
ディレクトリ spool 過去画像とデータを蓄積しておくディレクトリディレクトリ tmpdata 一次出力ファイルの出力先
ファイル ZEXEC_REAL_FST.csh リアルタイム予測結果のグラフと csv データ
を作成するためのシェル。
ファイル ZEXEC_REAL_FST.pl リアルタイム予測結果のグラフと csv データ
を作成するための perl プログラム。
ファイル ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab リアルタイム予測結果のグラフと csv データ
を作成するための設定ファイル。
作成するエリ
アもしくは WF 毎に必要。
ファイル mk_dataset_realfst.pl リアルタイム予測結果のデータセット作成プ
ログラム。
ファイル mk_csv_real.pl リアルタイム予測結果の当日用 csv データ作
成プログラム。
ファイル mk_csv_real_yetm.pl リアルタイム予測結果の前日、
翌日用 csv デー
タ作成プログラム。 12ファイル mk_pic_real.pl リアルタイム予測結果の当日用グラフ作成プ
ログラム。
ファイル mk_pic_real_yetm.pl リアルタイム予測結果の前日、
翌日用グラフ作
成プログラム。
ファイル ZEXEC_STAT.csh 評価結果のグラフと csv データを作成するた
めのシェル。
ファイル STAT_PARAM_a02_w001.tab 評価結果のグラフと csv データを作成するた
めの設定ファイル。作成するエリアもしくは
WF 毎に必要。
ファイル exec_stat1.pl 評価結果の翌日予測データセット作成プログ
ラム。
ファイル exec_stat2.pl 評価結果の当日予測データセット作成プログ
ラム。
ファイル mk_pic_csv_errtime.pl 評価結果の時間別予測誤差の当日予測グラフ
と csv データ作成プログラム。
ファイル mk_pic_csv_errtime_tm.pl 評価結果の時間別予測誤差の翌日予測グラフ
と csv データ作成プログラム。
ファイル mk_ctc_pic_errdist.pl 評価結果の誤差分布の当日誤差ヒストグラム
作成プログラム。
ファイル mk_ctc_pic_errdist_tm.pl 評価結果の誤差分布の翌日誤差ヒストグラム
作成プログラム
(3) 管理用 tar の解凍
インストール CD より exec_platform_mng.tar をインストールするディレクトリへコピーする。コピー先は、画像やデータを作成するアカウントが読み書き実行できる権限のディレクトリで行う。コ
ピー後に、もし exec_platform_mng.tar の権限が、root である場合は、サーバの root 権限になって
『 chown [User]:[Group] exec_platform_mng.tar 』
というコマンドで権限の変更を行ってください。[User]は、表示用の画像やデータを作成するアカウ
ント名であり、[Group]はそのアカウントのグループ名である。
exec_platform_mng.tar は、
tar 圧縮されたファイルであるため解凍する必要がある。
解凍時には、
表示用の画像やデータを作成するアカウントで以下のコマンドを実行。
『 tar xvf exec_platform_mng.tar 』
解凍が完了すると、
「exec_platform_mng」というディレクトリができる。exec_platform_mng ディ
レクトリ内に以下のファイルとディレクトリができていれば解凍成功である。
「ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm」
次は、各種設定ファイルの設定です。 133.2.5. 表示用画像・データ作成用テーブル設定(通常モジュール用)
3.2.5.(1). リアルタイム予測結果用の設定
「exec_platform_std」
ディレクトリ内の表 3.2.-3 のファイルを編集する。
実際の編集は、
(1-1)〜(1-3)
のとおりに行う。
表 3.2.-3 リアルタイム予測結果用の設定ファイル一覧
ファイル名 設定内容
ZEXEC_REAL_FST.csh リアルタイム予測結果のグラフと csv データを作成するため
のシェル。
ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab 作成するエリアもしくは WF 毎にテーブルを作成する。左の
ファイル名は設定のテンプレートファイル。WF の数だけ作
成する必要あり。
../ exec_platform_mng/
ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm
表 示 系 画 像 デ ー タ 作 成 処 理 の 管 理 テ ー ブ ル 。 上 記 の
「ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab」などを設定する必要
がある。
(1-1) カレントディレクトリを確認
exec_platform_std.tar 解凍後の exec_platform_std のカレントディレクトリのパスを確認する。
『pwd』 コマンドを実行。
例 $ pwd
/data/online/exec_platform_std
この例の場合、
「/data/online/exec_platform_std」をメモする。
(1-2) ZEXEC_REAL_FST.csh の編集
『vi ZEXEC_REAL_FST.csh』
コマンドで、ファイルを編集する。
(vi である必要は無い。
テキスト編集ができるエディタであれば OK だが、
ZEXEC_REAL_FST.csh
は EUC コードで書かれているので、EUC コードで編集すること。)以下の1〜2を行う。
1 ファイル内の、1 行目の csh のパスを先ほどメモした csh パスに書き換える。
2 カレントディレクトリに cd する。 14---------------- ZEXEC_REAL_FST.csh ファイル内容 ----------------------------------
#! /bin/csh
#####################################################################
# ZEXEC_REAL_FST.csh## Useage : ZEXEC_REAL_FST.csh YYMMDDHH (JST)
# YYMMDDHH を指定しなければ、現在時刻で実行。######################################################################
cd /data/online/exec_platform_std
if(1ドル == "") then
set YY = ( `date '+%y'` )
set MM = ( `date '+%m'` )
set DD = ( `date '+%d'` )
set HH = ( `date '+%H'` )
set MN = ( `date '+%M'` )
set YMDHM = ${YY}${MM}${DD}${HH}${MN} #" local time
echo $YMDHMelseset YMDHM = $argv[1]
endif
perl ./ZEXEC_REAL_FST.pl -t $YMDHMexit---------------- ZEXEC_REAL_FST.csh ここまで ----------------------------------
編集後、保存する。
(1-3) エリア orWF 毎のテーブル編集
「ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab」がテンプレートであるため、このファイルをエリアや WF を
意識した任意ファイル名にコピーする。コピーをせずそのままのファイル名で利用しても良い。
『 cp ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab 変更したいファイル名 』
説明は、ファイル名を変更しなかった場合で進める。
『 vi ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab 』コマンドで編集。EUC コードで編集する。
1 エリアもしくは WF の総定格出力値を記入
2 カレントディレクトリを記入
3 出力先のディレクトリを記入
4 観測データのパスを記入
5 予測データのパスを記入
(注記) 4、5のデータパスは、4、5で設定するパス以下に「cYYMM」(YY:西暦の下 2 桁、MM:月
(2 桁))というディレクトリが作成される想定です。
1 3.2.3.(2)の csh のパスを記述する
書式「#! パス名」
2 (1-1)のカレントディレクトリのパスを記述する
書式「cd カレントディレクトリ」 15例 実際の観測データが、
/data/online/exec_get_jwadata/obs_data30/kW_001/c0802/ファイル名
の場合、4で記述するパスは、
「/data/online/exec_get_jwadata/obs_data30/kW_001」であ
る。5も同様。
-------------- ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab 内容 --------------------------------
#########################################################
# mk_dataset_realfst.pl の読み込みようテーブル #
#########################################################
#--- 地域番号:"02"
#--- 地点番号:"001"
#--- 地域番号
#--- WF の最大出力(MW)
$POWER_MAX = "32.5";
#--- 実行ディレクトリ
$EXE_DIR="/data/online/exec_platform_std";
#--- 出力データ用ディレクトリ(CSV,Graph 出力ディレクトリ)
$DATA_DIR = "/data/online/exec_platform_std/data";
#--- 観測データディレクトリ(30 分更新)
$OBS_DIR="/data/online/exec_get_jwadata/obs_data30/kW_001";
#--- 予測データディレクトリ(30 分更新)
$FST_DIR="/data/online/exec_get_jwadata/jdata/001";
####################################
# 以下は設定不要 #
####################################
#--- 一次出力データセット
$REAL_DSET_File= ${EXE_DIR}/data/REAL_DATASET_${AREA_NUM}_${POINT_NUM}.out";
#--- CSV ファイル名指定
$CSVFile_Yesterday = "${DATA_DIR}/cnt132_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.csv";
$CSVFile_Today = "${DATA_DIR}/cnt112_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.csv";
$CSVFile_Tomorrow = "${DATA_DIR}/cnt122_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.csv";
#--- グラフファイル名
$GrFile_Yesterday = "${DATA_DIR}/gr131_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
事前に決めたエリア番号(2 桁)と地点番号
(WF 番号)
を記入
する。このファイルがこの地点の設定ファイルであると判別
するため。特にプログラムには影響しない。
1WF(or エリアの総定格出力値を[MW]単位で記入する。
書式 「$POWER_MAX = "XX.X";」
(XX.X が出力値)
2(1-1)のカレントディレクトリのパスを記述する
書式「$EXE_DIR="カレントディレクトリ";」
4観測データ(30 分平均値)のパスを記述。
書式 「$OBS_DIR = "観測データパス";」
5予測データ(30 分値)のパスを記述。
書式 「$FST_DIR = "予測データパス";」
3最終成果物のグラフ画像や csv データの出力先のパス
を記述する
書式「$DATA_DIR="カレントディレクトリ";」 16$GrFile_Today = "${DATA_DIR}/gr111_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
$GrFile_Tomorrow = "${DATA_DIR}/gr121_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
#--- Spool 処理
$SPOOLDIR = "${EXE_DIR}/spool";
$CSVFile_Yesterday_spool = "${SPOOLDIR}/cnt132_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.csv";
$GrFile_Yesterday_spool = "${SPOOLDIR}/gr131_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
-------------- ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab 内容 ここまで --------------------------------
編集後、保存する。
(1-4) 管理テーブル「ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm」の編集
「exec_platform_std」ディレクトリの一つ上に「exec_platform_mng」ディレクトリがあり、これが
管理ディレクトリである。このディレクトリ内の「ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm」を編集する。
『 vi ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm 』コマンドで編集。EUC コードで編集する。
先頭の「#」行はコメント行である。
編集は<TSUJO> 〜 </TSUJO>の間の行を編集する。
<TSUJO> 〜 </TSUJO>の間に、
「T,地域番号(2 桁),WF 番号(3 桁),画像データ作成用ファイル名(フルパス)」というフォーマットで記述する。
例 と し て 、 エ リ ア 番 号 = 02 、 WF 番 号 =001 、 上 記 (1-3) で 編 集 し た フ ァ イ ル 名 が
「ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab」であるとすると、
T,02,001,/home/winc/nedo/exec_platform_std/ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab
である(ファイル名はフルパスで記述)
。1地点のみであれば、
<TSUJO>
T,02,001,/home/winc/nedo/exec_platform_std/ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab
</TSUJO>
のようになればよい。
複数地点の場合は、3.2.6 を参照し、記述を追加する必要がある。
3.2.5.(2). 評価結果用の設定
「exec_platform_std」ディレクトリ内の表 3.2.-4 のファイルを編集する。実際の編集は、(1-1)、(1-2)
のとおりに行う。
表 3.2.-4 評価結果用の設定ファイル一覧
ファイル名 設定内容
ZEXEC_STAT.csh 評価結果のグラフと csv データを作成するためのシェル。
STAT_PARAM_a02_w001.tab 評価結果を表示するエリアもしくは WF 毎に、テーブルを作成
する。左のファイル名は設定のテンプレートファイル。WF の
数だけ作成する必要有り。 17(1-1) ZEXEC_STAT.csh の編集
『vi ZEXEC_STAT.csh 』
このコマンドを実行し、ファイルを編集する。(vi である必要は無い。テキスト編集ができるエディ
タであれば OK だが、
ZEXEC_STAT.csh は EUC コードで書かれているので、
EUC コードで編集す
ること。)以下の1〜3を行う。
1 ファイル内の、1 行目の csh のパスを先ほどメモした csh パスに書き換える。
2 カレントディレクトリに cd する。
3 テーブル名をセットする。
(注記)以下の設定ファイルの内容に噴出しで書かれている部分を編集する。
---------------- ZEXEC_REAL_FST.csh ファイル内容 ----------------------------------
#! /bin/csh
#####################################################################
# ZEXEC_STAT.csh## Useage ZEXEC_STAT.csh 0 <--- 通常
# Useage ZEXEC_STAT.csh YYMMDDHH <-- 年月日時指定######################################################################
cd /data/online/exec_platform_std
### TABLE SETTING ###
set TABLE1=STAT_PARAM_a02_w001.tab
#####################################################################
if($argv[1] == 0) then
set YY = ( `date '+%y' -d Y` )
set MM = ( `date '+%m' -d Y` )
set DD = ( `date '+%d' -d Y` )
set HH = ( `date '+%H'` )
set YMDH = ${YY}${MM}${DD}${HH}elseset YMDH = $argv[1]
set YY = ( `echo ${YMDH} | cut -c1-2` )
set MM = ( `echo ${YMDH} | cut -c3-4` )
set DD = ( `echo ${YMDH} | cut -c5-6` )
set HH = ( `echo ${YMDH} | cut -c7-8` )
endif
echo $YMDH
・・・ ファイルの内容は、後に続きあり ・・・
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
1 3.2.3.(2)の csh のパスを記述する
書式「#! パス名」
2 カレントディレクトリのパスを記述する
書式「cd カレントディレクトリ」
3 作成する地点(エリア orWF)の設定テーブルファ
イル名を記述する。
STAT_PARAM_a02_w001.tab がテ
ンプレートなので、コピーして利用する。ファイル名は
任意に決めてよい。
書式「set TABLE1 = ファイル名」 18編集後、保存する。
(1-2) エリア orWF 毎のテーブル編集
「STAT_PARAM_a02_w001.tab」がテンプレートであるため、このファイルを上記の3で設定した
ファイル名(以下の説明では変更していないが)にコピーする。
『 cp STAT_PARAM_a02_w001.tab 変更したいファイル名 』
説明は、ファイル名を変更しなかった場合で進める。
『 vi STAT_PARAM_a02_w001.tab 』コマンドで編集。EUC コードで編集する。
1 エリア番号を記入
2 WF 番号を記入
3 エリアもしくは WF の総定格出力値を記入
4 カレントディレクトリを記入
5 出力ディレクトリの記入
6 観測データのパスを記入
7 予測データのパスを記入
(注記) 6、7のデータパスは、6、7で設定するパス以下に「cYYMM」(YY:西暦の下 2 桁、MM:月
(2 桁))というディレクトリが作成される想定である。
例 実際の観測データが、
/data/online/exec_get_jwadata/obs_data30/kW_001/c0802/ファイル名
の場合、6で記述するパスは、
「/data/online/exec_get_jwadata/obs_data30/kW_001」であ
る。7も同様。
(注記)以下の設定ファイルの内容に噴出しで書かれている部分を編集する。
-------------- STAT_PARAM_a02_w001.tab 内容 --------------------------------
###########################
# Statistic Parameter ###
###########################
#--- エリア番号
$AREA_NUM = "02";
#--- 地点番号
$POINT_NUM = "001";
#--- WF 定格出力(MW)
$POWER_MAX = 32.5;
#--- 実行ディレクトリ
$EXE_DIR="/data/online/exec_platform_std";
# 最終出力ディレクトリ
$OUTPUTDIR = "/data/online/exec_platform_std/data";
# Observation data(30min mean) Path
1事前に決めたエリア番号(2 桁)を記入する。
書式 「$AREA_NUM = "XX";」
(XX がエリア番号)
2事前に決めた WF 番号(3 桁)を記入する。
書式 「$POINT_NUM = "XXX";」
(XXX が WF 番号)
3WF(or エリア)の総定格出力値を[MW]単位で記入する。
書式 「$POWER_MAX = "XX.X";」
(XX.X が出力値)
4カレントディレクトリのパスを記述する
書式「$EXE_DIR="カレントディレクトリ";」
5最終成果物のグラフ画像やcsvデータの出力先の
パスを記述する
書式「$ OUTPUTDIR ="カレントディレクトリ";」 19$OBSDIR = "/data/online/exec_get_jwadata/obs_data30/kW_001";
# Forecast Data Path
$FCSDIR = "/data/online/exec_get_jwadata/jdata/001";
################################################################
# 一次データ出力ディレクトリ
$TMPDIR = "${EXE_DIR}/tmpdata";
# 時間別誤差出力ファイル(CSV)
$CSVFile_Today ="cnt212_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.csv";
$CSVFile_Tomorrow ="cnt222_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.csv";
# 時間別誤差出力ファイル(PNG)
$PNGFile_Today = "gr211_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
$PNGFile_Tomorrow = "gr221_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
# ヒストグラムファイル(PNG)
$HSTFile_Today3h = "gr311_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
$HSTFile_Today6h = "gr312_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
$HSTFile_Today12h = "gr313_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
$HSTFile_Today24h = "gr314_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
$HSTFile_Tomorrow = "gr321_a${AREA_NUM}_p${POINT_NUM}.png";
-------------- STAT_PARAM_a02_w001.tab 内容 ここまで --------------------------------
編集後、保存する。
6観測データ(30 分平均値)のパスを記述。
書式 「$OBSDIR = "観測データパス";」
7予測データ(30 分値)のパスを記述。
書式 「$FCSDIR = "予測データパス";」 203.2.6. エリア・WF 追加時の設定(通常モジュール用)
エリアや WF を追加する数の分だけ、設定ファイルが必要となる。表 3.2.-5 のリアルタイム予測結
果用と評価結果用のテンプレートファイルを任意な別のファイル名にコピーし、
「3.2.5.(1)の(1-3)」
「3.2.5.(2)の(1-2)」のように編集する。
表 3.2.-5 地点追加時の設定追加ファイル一覧
テンプレートファイル名 設定内容
ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab リアルタイム予測結果を作成するエリアもしくは WF 毎にテ
ーブルを作成する。WF の数だけ作成する必要有り。
STAT_PARAM_a02_w001.tab 評価結果を作成するエリアもしくは WF 毎にテーブルを作成
する。WF の数だけ作成する必要有り。例:WF 番号="009"、 WF 番号="010"の 2 箇所を追加設定すると仮定すると、
『 cp –p ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab ZEXEC_REAL_FST_a02w009.tab 』 --(1-1)
『 cp –p ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab ZEXEC_REAL_FST_a02w010.tab 』 --(1-2)
『 cp –p STAT_PARAM_a02_w001.tab STAT_PARAM_a02_w009.tab 』 --(2-1)
『 cp –p STAT_PARAM_a02_w001.tab STAT_PARAM_a02_w009.tab 』 --(2-2)
(1-1) 009 サイトのリアルタイム予測結果用の設定ファイルを、
テンプレートファイルからコピーし
て編集する(編集は、3.2.5.(1)の(1-3)参照)。
(1-2) 010 サイトのリアルタイム予測結果用の設定ファイルを、
テンプレートファイルからコピーし
て編集する(編集は、3.2.5.(1)の(1-3)参照)。
(2-1) 009 サイトの評価結果用の設定ファイルを、テンプレートファイルからコピーして編集する
(編集は、3.2.5.(2)の(1-2)参照)。
(2-2) 010 サイトの評価結果用の設定ファイルを、テンプレートファイルからコピーして編集する
(編集は、3.2.5.(2)の(1-2)参照)。
を実施する。注意点は、各設定ファイルで設定する出力先のディレクトリは、全て同じにする必要が
ある。
上記(1-1)〜(2-2)のように、
エリアもしくは WF の数分の設定ファイルを作成後、
表 3.2.-6 のシェル
ファイルを編集する。編集は EUC コードで行う。
表 3.2.-6 地点追加時の設定シェルファイル一覧
ファイル名 設定内容
../ exec_platform_mng/
ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm
表示系画像データ作成処理の管理テーブル。上記の
「ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab」
などを設定する必要
がある。
ZEXEC_STAT.csh 評価結果のグラフと csv データを作成するためのシェル。 21・管理テーブル「ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm」の編集
「exec_platform_std」ディレクトリの一つ上に「exec_platform_mng」ディレクトリがあり、これが
管理ディレクトリである。このディレクトリ内の「ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm」を編集する。
『 vi ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm 』コマンドで編集。EUC コードで編集する。
先頭の「#」行はコメント行である。
編集は<TSUJO> 〜 </TSUJO>の間の行を編集する。
<TSUJO> 〜 </TSUJO>の間に、
「T,地域番号(2 桁),WF 番号(3 桁),画像データ作成用ファイル名(フルパス)」というフォーマットで記述する。
上記の例のように、(エリア番号=02、WF 番号=009)と(エリア番号=02、WF 番号=010)を追加す
る場合、
<TSUJO>
T,02,001,/home/winc/nedo/exec_platform_std/ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab
T,02,009,/home/winc/nedo/exec_platform_std/ZEXEC_REAL_FST_a02w009.tab
T,02,010,/home/winc/nedo/exec_platform_std/ZEXEC_REAL_FST_a02w010.tab
</TSUJO>
のようになればよい。
・ZEXEC_STAT.csh の編集
以下の1〜4の追記を行う必要がある。
1 追加する地点(エリア orWF)の数だけ設定ファイル名を追記する。
2 翌日予測用データセット作成処理を追加
3 当日予測用データセット作成処理を追加
4 時間別予測誤差作成処理を追加
5 グラフ作成処理を追加
(注記)以下の設定ファイルの内容に噴出しで書かれている部分を編集する。
---------------- ZEXEC_STAT.csh ファイル内容と編集箇所 ----------------------------------
#! /bin/csh
#####################################################################
# ZEXEC_STAT.csh## Useage ZEXEC_STAT.csh 0 <--- 通常
# Useage ZEXEC_STAT.csh YYMMDDHH <-- 年月日時指定######################################################################
cd /data/online/exec_platform_std
### TABLE SETTING ###
set TABLE1=STAT_PARAM_a02_w009.tab
set TABLE2=STAT_PARAM_a02_w010.tab
1作成した地点(エリア orWF)の設定テーブルファイル名を
記述する。
書式「set TABLE[n]= ファイル名」
追加する地点の数だけ行数を増やす。set 以降の「TABLE[n]」
の[n]は整数で数字を増やしていけばよい。例として 2 地点な
ら、以下のとおり。
「set TABLE1= ファイル名」
「set TABLE2= ファイル名」 22#####################################################################
if($argv[1] == 0) then
set YY = ( `date '+%y' -d Y` )
set MM = ( `date '+%m' -d Y` )
set DD = ( `date '+%d' -d Y` )
set HH = ( `date '+%H'` )
set YMDH = ${YY}${MM}${DD}${HH}elseset YMDH = $argv[1]
set YY = ( `echo ${YMDH} | cut -c1-2` )
set MM = ( `echo ${YMDH} | cut -c3-4` )
set DD = ( `echo ${YMDH} | cut -c5-6` )
set HH = ( `echo ${YMDH} | cut -c7-8` )
endif
echo $YMDH
set YM = ${YY}${MM}
set BYMDH = ${YY}${MM}${DD}06
#=========================================================================
# 1. stat(当日予測、翌日予測の作成)
#=========================================================================
### 翌日予測用 ###
perl ./exec_stat1.pl ${TABLE1} -t $BYMDH
perl ./exec_stat1.pl ${TABLE2} -t $BYMDH
### 当日予測用 ###
perl ./exec_stat2.pl ${TABLE1} -t $YMDH
perl ./exec_stat2.pl ${TABLE2} -t $YMDH
#=========================================================================
#--------------------------------------------------------------------
# 1. make statistic error ( every 30min.)
#--------------------------------------------------------------------
perl ./mk_pic_csv_errtime.pl ${TABLE1}
perl ./mk_pic_csv_errtime_tm.pl ${TABLE1}
perl ./mk_pic_csv_errtime.pl ${TABLE2}
perl ./mk_pic_csv_errtime_tm.pl ${TABLE2}
#--------------------------------------------------------------------
# 2. make histgram
#--------------------------------------------------------------------
2翌日予測処理を追加
「perl ./exec_stat1.pl ${TABLE1} -t $BYMDH」
の行を
コピーして増やし、1で設定した「set TABLE2 ファイル名」
の「TABLE2」を、${TABLE1}に記入する。例は左のとおり。
3当日予測処理を追加
「perl ./exec_stat2.pl ${TABLE1} -t $BYMDH」
の行を
コピーして増やし、1で設定した「set TABLE2 ファイル名」
の「TABLE2」を、${TABLE1}に記入する。例は左のとおり。
4時間別予測誤差作成処理を追加
「perl ./mk_pic_csv_errtime.pl ${TABLE1}」と
「perl ./mk_pic_csv_errtime_tm.pl ${TABLE1}」
の 2 行をコピ
ーして増やし、1で設定した「set TABLE2 ファイル名」の
「TABLE2」を、${TABLE1}に記入する。例は左のとおり。 23perl ./mk_ctc_pic_errdist.pl ${TABLE1}
perl ./mk_ctc_pic_errdist_tm.pl ${TABLE1}
perl ./mk_ctc_pic_errdist.pl ${TABLE2}
perl ./mk_ctc_pic_errdist_tm.pl ${TABLE2}
exit;
---------------------- ZEXEC_STAT.csh ファイル内容 ここまで ------------------------------
編集後、保存する。
5エラー分布作成処理を追加
「perl ./mk_ctc_pic_errdist.pl ${TABLE1}」と
「perl ./mk_ctc_pic_errdist_tm.pl ${TABLE1}」の 2 行をコピ
ーして増やし、1で設定した「set TABLE2 ファイル名」の
「TABLE2」を、${TABLE1}に記入する。例は左のとおり。 243.2.7. 自動時間起動の設定(通常モジュール用)
リアルタイム予測結果と評価結果のシェルを、時間起動で動作させるように設定する。設定は、
Linux で時間起動の設定ができる crontab コマンドで登録する方法である。crontab に関しては、多
くの書物や Web サイトに記載があるので、詳細はそちらを見て頂きたい。
3.2.7.(1). リアルタイム予測結果の時間起動設定
リアルタイム予測結果のシェルを時間起動で動作させるように設定する。実行するカウントでログ
イン後、
『crontab –l 』
というコマンドを実行する。現在、時間起動用に登録されている処理が表示されるが、表示されな
い場合は、何も登録されていないということである。新規に登録する場合も、現在の登録に追記する
場合も、以下のコマンドで、編集可能である。
『crontab –e 』
vi エディタと同じ方法で操作可能である。
通常 30 分ごとに観測データと予測データが更新する想定であるので、リアルタイム予測結果のシ
ェルの時間起動も毎時間 2 回起動で 30 分毎とする。
以下は crontab 登録の例である。
28,58 * * * * /data/online/exec_platform_std/ZEXEC_REAL_FST.csh
この設定は、
毎時、
28 分と 58 分に ZEXEC_REAL_FST.csh を実行する。
観測データと予測データが、
毎正時のデータ(00 分データ)が 28 分までにそろっており、毎 30 分のデータが 58 分までにそろって
いることを想定している。データがそろう時間によって、crontab の登録時間の調整が必要である。
また、作成したい時間の手動実行も可能である。
コマンドは、
『 ZEXEC_REAL_FST.csh YYMMDDHHmm』
とする。YY=西暦の下 2 桁、MM=月(2 桁)、DD=日(2 桁)、HH=時(2 桁)、mm=分(2 桁)である。
例として、2008 年 2 月 9 日 9 時 0 分で実行したい場合は、
『 ZEXEC_REAL_FST.csh 0802090900 』
を実行する。
3.2.7.(2). 評価結果の時間起動設定
評価結果のシェルを時間起動で動作させるように設定する。実行するカウントでログイン後、
『crontab –e 』
というコマンドを実行する。vi エディタと同じ方法で操作可能である。
評価結果は、1 日 1 回の実行を行う。前日から遡って 30 日分を評価するので、1 日の中で、どの時
間に時間起動設定を行っても特に問題はない。
以下は crontab 登録の例である。
15 6 * * * /data/online/exec_platform_std/ZEXEC_STAT.csh
この設定は、毎日 6:15 に ZEXEC_STAT.csh を実行する。 25また、作成したい時間の手動実行も可能である。
コマンドは、
『 ZEXEC_STAT.csh YYMMDDHH』
とする。YY=西暦の下 2 桁、MM=月(2 桁)、DD=日(2 桁)、HH=時(2 桁)である。
例として、2008 年 2 月 9 日 9 時で実行したい場合は、
『 ZEXEC_STAT.csh 08020909 』
を実行する。 263.2.8. 表示用の画像・データ作成機能動作確認方法(通常モジュール用)
運用上は、3.2.8 節で示したような自動時間起動を行うが、実際の初期動作確認の場合、リアルタイ
ム予測結果であれば「ZEXEC_REAL_FST.csh」を手動実行し、評価結果であれば「ZEXEC_STAT.csh」を
手動実行することで動作確認ができる。
各シェルを実行することで出来上がるファイルは表 3.2.-7 のとおりであり、
そのファイルができる
ディレクトリは、
「3.2.5(1)の(1-3)エリア orWF 毎のテーブル編集の5出力先のディレクトリを記入」
で記入したディレクトリである。
表 3.2.-7 実行後に出来上がるファイルリスト
種類 ファイル名 内容・備考
REAL_DATASET_[pp]_[xxx].out リアルタイム予測結果用のデータセット。
cnt112_a0[pp]_p[xxx].csv 当日予測結果の観測値、予測値、信頼区間値
cnt122_a[pp]_p[xxx].csv 翌日予測の予測値や信頼区間値
cnt132_a[pp]_p[xxx].csv 前日予測結果の観測値、予測値。
gr111_a[pp]_p[xxx].png 当日予測結果のグラフ
gr121_a[pp]_p[xxx].png 翌日予測のグラフ
リアルタイム
予測結果
gr131_a[pp]_p[xxx].png 前日予測結果のグラフ
cnt212_a[pp]_p[xxx].csv 時間別誤差の当日誤差の値
cnt222_a[pp]_p[xxx].csv 時間別誤差の翌日誤差の値
gr211_a[pp]_p[xxx].png 時間別誤差の当日誤差のグラフ
gr221_a[pp]_p[xxx].png 時間別誤差の翌日誤差のグラフ
gr311_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 3 時間予測のグラフ
gr312_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 6 時間予測のグラフ
gr313_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 12 時間予測のグラフ
gr314_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 24 時間予測のグラフ
評価結果
gr321_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の翌日予測のグラフ
(注記) [pp]:エリア番号(2 桁)
、[xxx]:WF 番号(3 桁)
表 3.2.-7 のファイルが出来上がり、
グラフなどが描けていれば正常である。
観測値や予測値は正常
に存在するが、グラフが描かれず、csv ファイルに値が入らない場合には、3.2.5 などを再度確認して
ください。 273.2.9. 表示用画像・データ作成機能インストール(簡易予測モジュール)
簡易予測モジュールの予測データを利用し、表示用のグラフ画像と数値一覧用のデータ(csv デー
タ)作成のための簡易モジュールのインストールを行う。
ここでは、
本プラットフォーム付属の簡易予
測モジュールの出力から画像と CSV データを作成するための説明である。またプラットフォームの簡
易予測モジュールの出力は、リアルタイム予測結果のみに反映され、評価結果には反映されない。
(1) ファイル権限の調整
インストール CD より exec_platform_kani.tar をインストールするディレクトリへコピーする。コピー先は、画像やデータを作成するアカウントが読み書き実行できる権限のディレクトリで行う。コ
ピー後に、もし exec_platform_kani.tar の権限が、root である場合は、サーバの root 権限になって
『 chown [User]:[Group] exec_platform_kani.tar 』
というコマンドで権限の変更を行ってください。[User]は、表示用の画像やデータを作成するアカウ
ント名であり、[Group]はそのアカウントのグループ名である。
(2) tar の解凍
exec_platform_kani.tar は、
tar 圧縮されたファイルであるため解凍する必要がある。
解凍時には、
表示用の画像やデータを作成するアカウントで以下のコマンドを実行。
『 tar xvf exec_platform_kani.tar 』
解凍が完了すると、
「exec_platform_kani」というディレクトリができる。exec_platform_kani ディ
レクトリ内に以下のファイルとディレクトリができていれば解凍成功。
表 3.2.-8 exec_platform_kani 以下のファイル・ディレクトリリスト
種類 ディレクトリ名 or ファイル名 内容
ディレクトリ lib_perl Perl で利用するライブラリ
ディレクトリ pic_parts グラフ作成時に利用する画像パーツ
ディレクトリ spool 過去画像とデータを蓄積しておくディレクトリ
ディレクトリ tmpdata 一次出力ファイルの出力先
ファイル ZEXEC_REAL_FST.csh リアルタイム予測結果のグラフと csv データを
作成するためのシェル。
ファイル ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab リアルタイム予測結果のグラフと csv データを
作成するための設定ファイル。作成するエリア
もしくは WF 毎に必要。
ファイル mk_dataset_realfst.pl リアルタイム予測結果のデータセット作成プロ
グラム。
ファイル mk_csv_real.pl リアルタイム予測結果の当日用 csv データ作成
プログラム。
ファイル mk_csv_real_yetm.pl リアルタイム予測結果の前日、翌日用 csv デー
タ作成プログラム。
ファイル mk_pic_real.pl リアルタイム予測結果の当日用グラフ作成プロ
グラム。
ファイル mk_pic_real_yetm.pl リアルタイム予測結果の前日、翌日用グラフ作
成プログラム。
次は、各種設定ファイルの設定です。 283.2.10. 表示用画像・データ作成用テーブル設定(簡易予測モジュール用)
3.2.10.(1).リアルタイム予測結果用の設定
「exec_platform_kani」ディレクトリ内の表 3.2.-9 のファイルを編集する。
表 3.2.-9 リアルタイム予測結果用の設定ファイル一覧
ファイル名 設定内容
ZEXEC_REAL_FST.csh リアルタイム予測結果のグラフと csv データを作成するため
のシェル。
ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab 作成するエリアもしくは WF 毎にテーブルを作成する。左の
ファイル名は設定のテンプレートファイル。WF の数だけ作
成する必要あり。
../ exec_platform_mng/
ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm
表 示 系 画 像 デ ー タ 作 成 処 理 の 管 理 テ ー ブ ル 。 上 記 の
「ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab」などを設定する必要
がある。
設定に関しては、
3.2.5(1)の
「exec_platform_std」を「exec_platform_kani」
に読み替えて実施する。
ファイル名や設定の内容は、3.2.5(1)と全く同じである。
ただし、3.2.5 の(1-3)「エリア orWF 毎のテーブル編集」の7では、簡易予測モジュールの出力先の
ディレクトリを記述すること。 293.2.11. エリア・WF 追加時の設定(簡易予測モジュール)
エリアや WF を追加する数の分だけ、設定ファイルが必要となる。表 3.2.-10 のリアルタイム予測
結果用のテンプレートファイルを別なファイル名にコピーし、
「3.2.5.(1)の(1-3)」のように編集する。
表 3.2.-10 地点追加時の設定追加ファイル一覧
テンプレートファイル名 設定内容
ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab リアルタイム予測結果を作成するエリアもしくは WF 毎にテ
ーブルを作成する。WF の数だけ作成する必要有り。
エリアもしくは WF の数分の設定ファイルを作成後、
表 3.2.-11 のファイルを編集して追加を行う。
表 3.2.-11 地点追加時の設定シェルファイル一覧
ファイル名 設定内容
../ exec_platform_mng/
ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm
表 示 系 画 像 デ ー タ 作 成 処 理 の 管 理 テ ー ブ ル 。 上 記 の
「ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab」などを設定する必要
がある。
・管理テーブル「ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm」の編集
「exec_platform_kani」ディレクトリの一つ上に「exec_platform_mng」ディレクトリがあり、これ
が管理ディレクトリである。このディレクトリ内の「ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm」を編集する。
『 vi ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm 』コマンドで編集。EUC コードで編集する。
先頭の「#」行はコメント行である。
編集は<KANI> 〜 </KANI>の間の行を編集する。
<KANI> 〜 </KANI>の間に、
「T,地域番号(2 桁),WF 番号(3 桁),画像データ作成用ファイル名(フルパス)」というフォーマットで記述する。
例として、(エリア番号=02、WF 番号=009)と(エリア番号=02、WF 番号=010)を追加する場合、
<KANI>
K,02,001,/home/winc/nedo/exec_platform_kani/ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab
K,02,009,/home/winc/nedo/exec_platform_kani/ZEXEC_REAL_FST_a02w009.tab
K,02,010,/home/winc/nedo/exec_platform_kani/ZEXEC_REAL_FST_a02w010.tab
</KANI>
のようになればよい。 303.2.12. 自動時間起動の設定(簡易予測モジュール用)
簡易予測モジュールのリアルタイム予測結果のシェルを、時間起動で動作させるように設定する。
設定は、Linux の時間起動の設定ができる crontab コマンドで登録する方法である。Crontab に関し
ては、多くの書物や Web サイトに記載があるので、詳細はそちらを見て頂きたい。
3.2.12.(1).リアルタイム予測結果の時間起動設定
リアルタイム予測結果のシェルを時間起動で動作させるように設定する。実行するカウントでログ
イン後、
『crontab –l 』
というコマンドを実行する。現在、時間起動用に登録されている処理が表示されるが、表示されな
い場合は、何も登録されていないということである。新規に登録する場合も、現在の登録に追記する
場合も、以下のコマンドで、編集可能である。
『crontab –e 』
vi エディタと同じ方法で操作可能である。
通常 30 分ごとに観測値と予測値が更新する想定であるので、リアルタイム予測結果のシェルの時
間起動も毎時間 2 回起動で 30 分毎とする。
以下は例である。
28,58 * * * * /data/online/exec_platform_kani/ZEXEC_REAL_FST.csh
この設定は、
毎時、
28 分と 58 分に ZEXEC_REAL_FST.csh を実行する。
観測データと予測データは、
毎正時のデータ(00 分データ)が 28 分までにそろっており、毎 30 分のデータが 58 分までにそろって
いることを想定している。データがそろう時間によって、crontab の登録時間の調整が必要である。
また、作成したい時間の手動実行も可能である。
コマンドは、
『 ZEXEC_REAL_FST.csh YYMMDDHHmm』
とする。YY=西暦の下 2 桁、MM=月(2 桁)、DD=日(2 桁)、HH=時(2 桁)、mm=分(2 桁)である。
例として、2008 年 2 月 9 日 9 時 0 分で実行したい場合は、
『 ZEXEC_REAL_FST.csh 0802090900 』
を実行する。 313.2.13. 表示用画像・データ作成機能動作確認方法(簡易予測モジュール用)
運用上は、3.2.14 節で示したような時間起動を行うが、実際の初期動作確認の場合、リアルタイム
予測結果は「ZEXEC_REAL_FST.csh」を手動実行することで動作確認ができる。
各シェルを実行することで出来上がるファイルは表 3.2.-12 のとおりであり、そのファイルができ
るディレクトリは、
「3.2.11(1)の(1-3)エリア orWF 毎のテーブル編集の5出力先のディレクトリを記
入」で記入したディレクトリである。
表 3.2.-12 実行後に出来上がるファイルリスト
種類 ファイル名 内容・備考
REAL_DATASET_[pp]_[xxx].out リアルタイム予測結果用のデータセット。
cnt112_a0[pp]_p[xxx].csv 当日予測結果の観測値、予測値、信頼区間値
cnt122_a[pp]_p[xxx].csv 翌日予測の予測値や信頼区間値
cnt132_a[pp]_p[xxx].csv 前日予測結果の観測値、予測値。
gr111_a[pp]_p[xxx].png 当日予測結果のグラフ
gr121_a[pp]_p[xxx].png 翌日予測のグラフ
リアルタイム
予測結果
gr131_a[pp]_p[xxx].png 前日予測結果のグラフ
cnt212_a[pp]_p[xxx].csv 時間別誤差の当日誤差の値
cnt222_a[pp]_p[xxx].csv 時間別誤差の翌日誤差の値
gr211_a[pp]_p[xxx].png 時間別誤差の当日誤差のグラフ
gr221_a[pp]_p[xxx].png 時間別誤差の翌日誤差のグラフ
gr311_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 3 時間予測のグラフ
gr312_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 6 時間予測のグラフ
gr313_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 12 時間予測のグラフ
gr314_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 24 時間予測のグラフ
評価結果
gr321_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の翌日予測のグラフ
(注記) [pp]:エリア番号(2 桁)
、[xxx]:WF 番号(3 桁)
表 3.2.-12 のファイルが出来上がり、グラフなどが描けていれば正常である。観測値や予測値は正
常に存在するが、グラフが描かれず、csv ファイルに値が入らない場合には、3.2.5 などを再度確認し
てください。 323.2.14. 表示用画像・データ作成機能インストール(集団学習モジュール)
集団学習モジュールの予測データを利用し、表示用のグラフ画像と数値一覧用のデータ(csv デー
タ)作成のための簡易モジュールのインストールを行う。
ここでは、
本プラットフォーム付属の集団学
習モジュールの出力から画像と CSV データを作成するための説明である。またプラットフォームの集
団学習モジュールの出力は、リアルタイム予測結果のみに反映され、評価結果には反映されない。
(1) ファイル権限の調整
インストール CD より exec_platform_shuudan.tar をインストールするディレクトリへコピーす
る。コピー先は、画像やデータを作成するアカウントが読み書き実行できる権限のディレクトリで行
う。コピー後に、もし exec_platform_shuudan.tar の権限が、root である場合は、サーバの root 権
限になって
『 chown [User]:[Group] exec_platform_shuudan.tar 』
というコマンドで権限の変更を行ってください。[User]は、表示用の画像やデータを作成するアカウ
ント名であり、[Group]はそのアカウントのグループ名である。
(2) tar の解凍
exec_platform_shuudan.tar は、tar 圧縮されたファイルであるため解凍する必要がある。解凍時
には、表示用の画像やデータを作成するアカウントで以下のコマンドを実行。
『 tar xvf exec_platform_shuudan.tar 』
解 凍 が 完 了 す る と 、「 exec_platform_shuudan 」 と い う デ ィ レ ク ト リ が で き る 。
exec_platform_shuudan ディレクトリ内に以下のファイルとディレクトリができていれば解凍成功。
表 3.2.-13 exec_platform_shuudan 以下のファイル・ディレクトリリスト
種類 ディレクトリ名 or ファイル名 内容
ディレクトリ lib_perl Perl で利用するライブラリ
ディレクトリ pic_parts グラフ作成時に利用する画像パーツ
ディレクトリ spool 過去画像とデータを蓄積しておくディレクトリディレクトリ tmpdata 一次出力ファイルの出力先
ファイル ZEXEC_REAL_FST.csh リアルタイム予測結果のグラフと csv データ
を作成するためのシェル。
ファイル ZEXEC_REAL_FST.pl リアルタイム予測結果のグラフと csv データ
を作成するための perl プログラム。
ファイル ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab リアルタイム予測結果のグラフと csv データ
を作成するための設定ファイル。
作成するエリ
アもしくは WF 毎に必要。
ファイル mk_dataset_realfst.pl リアルタイム予測結果のデータセット作成プ
ログラム。
ファイル mk_csv_real.pl リアルタイム予測結果の当日用 csv データ作
成プログラム。
ファイル mk_csv_real_yetm.pl リアルタイム予測結果の前日、
翌日用 csv デー
タ作成プログラム。
ファイル mk_pic_real.pl リアルタイム予測結果の当日用グラフ作成プ
ログラム。
ファイル mk_pic_real_yetm.pl リアルタイム予測結果の前日、
翌日用グラフ作
成プログラム。
次は、各種設定ファイルの設定です。 333.2.15. 表示用画像・データ作成用テーブル設定(簡易予測モジュール用)
3.2.15.(1).リアルタイム予測結果用の設定
「exec_platform_shuudan」ディレクトリ内の表 3.2.-14 のファイルを編集する。
表 3.2.-14 リアルタイム予測結果用の設定ファイル一覧
ファイル名 設定内容
ZEXEC_REAL_FST.csh リアルタイム予測結果のグラフと csv データを作成するため
のシェル。
ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab 作成するエリアもしくは WF 毎にテーブルを作成する。左の
ファイル名は設定のテンプレートファイル。WF の数だけ作
成する必要あり。
設定に関しては、3.2.5(1)の「exec_platform_std」を「exec_platform_shuudan」に読み替えて実施
する。ファイル名や設定の内容は、3.2.5(1)と全く同じである。
ただし、3.2.5 の(1-3)「エリア orWF 毎のテーブル編集」の7では、集団学習モジュールの出力先の
ディレクトリを記述すること。 343.2.16. エリア・WF 追加時の設定(集団学習モジュール)
エリアや WF を追加する数の分だけ、設定ファイルが必要となる。表 3.2.-15 のリアルタイム予測
結果用のテンプレートファイルを別なファイル名にコピーし、
「3.2.5.(1)の(1-3)」のように編集する。
表 3.2.-15 地点追加時の設定追加ファイル一覧
テンプレートファイル名 設定内容
ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab リアルタイム予測結果を作成するエリアもしくは WF 毎にテ
ーブルを作成する。WF の数だけ作成する必要有り。
エリアもしくは WF の数分の設定ファイルを作成後、
表 3.2.-16 のファイルを編集して追加を行う。
表 3.2.-16 地点追加時の設定シェルファイル一覧
ファイル名 設定内容
../ exec_platform_mng/
ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm
表 示 系 画 像 デ ー タ 作 成 処 理 の 管 理 テ ー ブ ル 。 上 記 の
「ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab」などを設定する必要
がある。
・管理テーブル「ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm」の編集
「exec_platform_kani」ディレクトリの一つ上に「exec_platform_mng」ディレクトリがあり、これ
が管理ディレクトリである。このディレクトリ内の「ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm」を編集する。
『 vi ZEXEC_REAL_FST_MNG.prm 』コマンドで編集。EUC コードで編集する。
先頭の「#」行はコメント行である。
編集は<KANI> 〜 </KANI>の間の行を編集する。
<KANI> 〜 </KANI>の間に、
「T,地域番号(2 桁),WF 番号(3 桁),画像データ作成用ファイル名(フルパス)」というフォーマットで記述する。
例として、(エリア番号=02、WF 番号=009)と(エリア番号=02、WF 番号=010)を追加する場合、
<SHUUDAN>
S,02,001,/home/winc/nedo/exec_platform_shuudan/ZEXEC_REAL_FST_a02w001.tab
S,02,009,/home/winc/nedo/exec_platform_shuudan/ZEXEC_REAL_FST_a02w009.tab
S,02,010,/home/winc/nedo/exec_platform_shuudan/ZEXEC_REAL_FST_a02w010.tab
</SHUUDAN>
のようになればよい。 353.2.17. 自動時間起動の設定(集団学習モジュール用)
集団学習モジュールのリアルタイム予測結果のシェルを、時間起動で動作させるように設定する。
設定は、Linux の時間起動の設定ができる crontab コマンドで登録する方法である。Crontab に関し
ては、多くの書物や Web サイトに記載があるので、詳細はそちらを見て頂きたい。
3.2.17.(1).リアルタイム予測結果の時間起動設定
リアルタイム予測結果のシェルを時間起動で動作させるように設定する。実行するカウントでログ
イン後、
『crontab –l 』
というコマンドを実行する。現在、時間起動用に登録されている処理が表示されるが、表示されな
い場合は、何も登録されていないということである。新規に登録する場合も、現在の登録に追記する
場合も、以下のコマンドで、編集可能である。
『crontab –e 』
vi エディタと同じ方法で操作可能である。
通常 30 分ごとに観測値と予測値が更新する想定であるので、リアルタイム予測結果のシェルの時
間起動も毎時間 2 回起動で 30 分毎とする。
以下は例である。
28,58 * * * * /data/online/exec_platform_shuudan/ZEXEC_REAL_FST.csh
この設定は、
毎時、
28 分と 58 分に ZEXEC_REAL_FST.csh を実行する。
観測データと予測データは、
毎正時のデータ(00 分データ)が 28 分までにそろっており、毎 30 分のデータが 58 分までにそろって
いることを想定している。データがそろう時間によって、crontab の登録時間の調整が必要である。
また、作成したい時間の手動実行も可能である。
コマンドは、
『 ZEXEC_REAL_FST.csh YYMMDDHHmm』
とする。YY=西暦の下 2 桁、MM=月(2 桁)、DD=日(2 桁)、HH=時(2 桁)、mm=分(2 桁)である。
例として、2008 年 2 月 9 日 9 時 0 分で実行したい場合は、
『 ZEXEC_REAL_FST.csh 0802090900 』
を実行する。 363.2.18. 表示用画像・データ作成機能動作確認方法(集団学習モジュール用)
運用上は、3.2.17 節で示したような時間起動を行うが、実際の初期動作確認の場合、リアルタイム
予測結果は「ZEXEC_REAL_FST.csh」を手動実行することで動作確認ができる。
各シェルを実行することで出来上がるファイルは表 3.2.-17 とおりであり、そのファイルができる
ディレクトリは、
「3.2.11(1)の(1-3)エリア orWF 毎のテーブル編集の5出力先のディレクトリを記入」
で記入したディレクトリである。
表 3.2.-17 実行後に出来上がるファイルリスト
種類 ファイル名 内容・備考
REAL_DATASET_[pp]_[xxx].out リアルタイム予測結果用のデータセット。
cnt112_a0[pp]_p[xxx].csv 当日予測結果の観測値、予測値、信頼区間値
cnt122_a[pp]_p[xxx].csv 翌日予測の予測値や信頼区間値
cnt132_a[pp]_p[xxx].csv 前日予測結果の観測値、予測値。
gr111_a[pp]_p[xxx].png 当日予測結果のグラフ
gr121_a[pp]_p[xxx].png 翌日予測のグラフ
リアルタイム
予測結果
gr131_a[pp]_p[xxx].png 前日予測結果のグラフ
cnt212_a[pp]_p[xxx].csv 時間別誤差の当日誤差の値
cnt222_a[pp]_p[xxx].csv 時間別誤差の翌日誤差の値
gr211_a[pp]_p[xxx].png 時間別誤差の当日誤差のグラフ
gr221_a[pp]_p[xxx].png 時間別誤差の翌日誤差のグラフ
gr311_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 3 時間予測のグラフ
gr312_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 6 時間予測のグラフ
gr313_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 12 時間予測のグラフ
gr314_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の当日 24 時間予測のグラフ
評価結果
gr321_a[pp]_p[xxx].png 誤差分布の翌日予測のグラフ
(注記) [pp]:エリア番号(2 桁)
、[xxx]:WF 番号(3 桁)
表 3.2.-17 のファイルが出来上がり、グラフなどが描けていれば正常である。観測値や予測値は正
常に存在するが、グラフが描かれず、csv ファイルに値が入らない場合には、3.2.5 などを再度確認し
てください。 373.3. Web 表示機能インストール・設定
3.3.1. Apache の設定
本プラットフォームの Web 表示機能は、Linux の標準的な Web サーバソフトウェアの Apache
(Apache1.3 系)を利用している。そのため、ユーザー側で準備頂く Linux マシンには、Apache が
インストールされ、
動作することが必須である。
また cgi が実行されることでページを表示するため、
Apache の設定では、cgi が動作するように設定する必要がある。ただ、Apache に関しては、多くの
Web サイトや図書があるため、ここで詳細な説明は行わない。
実際のプラットフォームの Web 表示のために、
いくつか設定内容の確認が必要となるため、
ここで
は確認内容を示す。
Apache の設定ファイルである「httpd.conf」は、インストールの設定や OS バージョンなどによっ
ても置き場所が異なる可能性があるが、通常「/etc/httpd/conf/httpd.conf」に存在する。この設定フ
ァイルの DocumentRoot の設定部、
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
# DocumentRoot: The directory out of which you will serve your
# documents. By default, all requests are taken from this directory, but
# symbolic links and aliases may be used to point to other locations.#DocumentRoot "/export/home/web"
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
の確認が必要である。この例の場合、DocumentRoot は「/export/home/web」となっているので、そ
のディレクトリ以下に表示するためのモジュール群を配置する必要がある。
また cgi を実行するために、
ScriptAlias /cgi-bin/ "/export/home/web/"
または、
Alias /cgi-bin/ "/export/home/web/"
<Directory "/export/home/web">
Options ExecCGI
</Directory>
AddHandler cgi-script .cgi
などの設定がなされていれば、cgi 実行可能である。
設定がされていない場合には、サーバ管理者にご確認ください。 383.3.2. Web 表示システムのインストール前の事前確認と決め事
3.3.2.(1). Perl のパスを確認
『which perl』
を実行し、返ってきたパスをメモする。
例 [online@nedlsv01 web_platform]$ which perl
/usr/bin/perl
この例の場合、
「/usr/bin/perl 」をメモする。
3.3.2.(2). 対象の WF(もしくはエリア)のエリア番号、WF 番号を決めておく
画像・グラフ作成(3.2.3.(3))で決めたエリア番号 2 桁、WF 番号 3 桁、を再度利用するのでメモして
おく。エリア番号が 2 桁、WF 番号が 3 桁である。詳細は、3.2.3.(3)を参照。 393.3.3. Web 表示システムのインストール
プラットフォームの Web 表示システムのモジュールのインストールの説明を行う。
(1) ファイル権限の調整
インストール CD より web_platform.tar をインストールするディレクトリへコピーする。コピー
先は、3.3.1 の Apache の DocumentRoot 以下にする。
例: DocumentRoot が「/export/home/web」であれば、
「/export/home/web」以下に web_platform.tar ファイルをコピーする。
「/export/home/web」以下であればどこでも良く、
「/export/home/web/site01」
以下でも良い。
また、
root 以外のアカウントでログインし、
上記のコピー後に、
もし web_platform.tar の権限が、
root である場合は、サーバの root 権限になって
『 chown [User]:[Group] web_platform.tar 』
というコマンドで権限の変更を行ってください。[User]は、ログインアカウント名であり、[Group]
はそのアカウントのグループ名である。
(2) tar の解凍
web_platform.tar は、tar 圧縮されたファイルであるため解凍する必要がある。解凍時には、プラ
ットフォームの画像やデータを作成するアカウントで以下のコマンドを実行。
『 tar xvf web_platform.tar 』
解凍が完了すると、
「web_platform」というディレクトリができる。web_platform ディレクトリ内に
表 3.3.-1 のファイルとディレクトリができていれば解凍成功である。 40表 3.3.-1 exec_platform_std 以下のファイル・ディレクトリリスト
種類 ディレクトリ名 or ファイル名 内容
ディレクトリ files 予測手法のファイルを保存する場所
ディレクトリ image_set_portal Web ページに必要な画像部品がある場所
ファイル Nedo_platform.ph 表示システムの各種パスの設定ファイル
ファイル Platform_lib.pl 表示システムの各種ライブラリ
ファイル SHUUDAN.FLG 集団学習のフラグファイル
ファイル SHUUDAN_SYS.tab 集団学習の外部システム設定ファイル
ファイル WF_POINT.tab エリア、WF の設定ファイル
ファイル index.cgi トップページ表示用 cgi
ファイル portal_g.css スタイルシート
ファイル shuudan.cgi 集団学習の表示用 cgi
ファイル wf.cgi 各コンテンツ表示用 cgi
ファイル wf_cnt_111.tab リアルタイム予測結果当日予測結果グラフ表示用ファ
イル
ファイル wf_cnt_112.tab リアルタイム予測結果当日予測結果一覧表用ファイル
ファイル wf_cnt_121.tab リアルタイム予測結果翌日予測グラフ表示用ファイル
ファイル wf_cnt_122.tab リアルタイム予測結果翌日予測一覧表用ファイル
ファイル wf_cnt_131.tab リアルタイム予測結果前日予測結果グラフ表示用ファ
イル
ファイル wf_cnt_132.tab リアルタイム予測結果前日予測結果一覧表用ファイル
ファイル wf_cnt_211.tab 評価結果の時間別誤差グラフの当日用ファイル
ファイル wf_cnt_212.tab 評価結果の時間別誤差一覧の当日用ファイル
ファイル wf_cnt_221.tab 評価結果の時間別誤差グラフの翌日用ファイル
ファイル wf_cnt_222.tab 評価結果の時間別誤差一覧の翌日用ファイル
ファイル wf_cnt_311.tab 評価結果の誤差分布の当日 3 時間予測のファイル
ファイル wf_cnt_312.tab 評価結果の誤差分布の当日 6 時間予測のファイル
ファイル wf_cnt_313.tab 評価結果の誤差分布の当日 12 時間予測のファイル
ファイル wf_cnt_314.tab 評価結果の誤差分布の当日 24 時間予測のファイル
ファイル wf_cnt_322.tab 評価結果の誤差分布の翌日予測のファイル
ファイル wf_cnt_501.tab モジュール切替え設定ページ用ファイル
ファイル wf_cnt_502.tab 集団学習出力の表示への切替えファイル
ファイル wf_cnt_503.tab 簡易予測モジュール出力の表示への切替えファイル
ファイル wf_cnt_504.tab 通常モジュール出力の表示への切替えファイル
ファイル wf_cnt_901.tab 本サイトついてのページ用ファイル
ファイル wf_cnt_902.tab 操作方法のページ用ファイル
ファイル wf_cnt_903.tab 予測手法のページ用ファイル
ファイル wf_cnt_904.tab 連絡先のページ用ファイル
ファイル wf_html_INI.tab トップページの表示用のファイル
ファイル wf_html_base.tab 各コンテンツの基本表示用ファイル
ファイル wf_html_base_Nchg.tab トップページの表示用のファイル
ファイル A.htaccess アクセス制限用設定ファイル
ファイル A.htpasswd アクセス制限用 ID,PW 設定ファイル
次は、各種設定ファイルの設定です。 413.3.4. Web 表示システムの設定
「web_platform」ディレクトリ内の表 3.3.-2 のファイルを編集する。編集は EUC コードで行う。
表 3.3.-2 リアルタイム予測結果用の設定ファイル一覧
ファイル名 設定内容
Nedo_platform.ph Web 表示のためのディレクトリ設定ファイル
Platform_lib.pl 各種 perl のライブラリファイル
SHUUDAN.FLG 集団学習用フラグファイル
SHUUDAN_SYS.tab 集団学習取り込みシステム設定ファイル
WF_POINT.tab WF 設定ファイル
(1) Nedo_platform.ph の編集
Nedo_platform.ph は、各データのパスや設定ファイルを設定しているファイルである。これを編
集する必要がある。以下の1、2を行う。
1 通常モジュールの出力した csv データとグラフの画像のパス設定
2 簡易予測モジュールの出力した csv データとグラフの画像のパス設定
(注記)以下の設定ファイルの内容に噴出しで書かれている部分を編集する。
---------- Nedo_platform.ph 内容と編集箇所 ---------------------------
#=============================================
# Configration File of Platform System
#=============================================
# 通常モジュールの DATA(csv)とグラフのパス
$DAT_PATH_std = "./data";
# 簡易モジュールの DATA(csv)とグラフのパス
$DAT_PATH_KANI = "./data/KANI_DAT";
##############################
### 以下は設定変更不要 ###
##############################
# サイトの画像部品のパス
$FIG_PATH = "./image_set_portal";
# ウィンドファーム&エリア設定テーブル
$WF_POINT_TAB = "WF_POINT.tab";
# 集団学習フラグ
$Shudan_flg_file = "SHUUDAN.FLG";
---------- Nedo_platform.ph 内容 ここまで ---------------------------
1通常モジュール用の csv データやグラフ画像の出力先を記
述する。(3.2.5 で設定した出力ディレクトリ)
書式「$DAT_PATH_std = "出力先ディレクトリ";」
2簡易予測モジュール用の csv データやグラフの画像の出力
先を記述する。(3.2.11 で設定した出力ディレクトリ)
書式「$DAT_PATH_std = "出力先ディレクトリ";」 42編集後、保存する。
(2) Platform_lib.pl の編集
Platform_lib.pl は、各種処理のライブラリ集である。以下の1を行う。
1 Perl のパスを設定する。
---------- Platform_lib.pl 内容(先頭付近)と編集箇所 ---------------------------
#!/usr/bin/perl
#==============================
# Nedo Platform Library.
#------------------------------
#=====================================================
# S U B F U N C T I O N
#=====================================================
## ------------------------
# Write TABLE Part.
## ------------------------
sub Write_TABLE100_WF {
#--- csv => html
my ($AW_CODE,$AREA_NUM,$WF_NUM,$CNT_NUM,$DAT_PATH) = @_;
my ( @line0,@dat );
・・・ ファイルの内容は、後に続きあり ・・・
---------- Platform_lib.pl 内容(先頭付近)ここまで ---------------------------
編集後、保存する。
(3) SHUUDAN.FLG の権限確認
SHUUDAN.FLG の権限を確認する。
『ls -l SHUUDAN.FLG』
このコマンドを実行し、権限を確認する。
例として、上記コマンドを実行し、
-rwxrwxrwx 1 weps WEPS 10 2 月 20 日 13:53 SHUUDAN.FLG*
のように結果が返ってくれば、パーミッションが、所有ユーザ、所有グループ、その他のユーザと
も「wxr」のように、読み、書き、実行の権限が与えられているので問題ない。
もしパーミッションが異なっているのであれば、root 権限になって、
『chmod 777 SHUUDAN.FLG』
を実行し、再度、
『ls -l SHUUDAN.FLG』
でパーミッションを確認してください。パーミッションが、所有ユーザ、所有グループ、その他の
ユーザとも「wxr」のようになっていれば問題ない。
(4) SHUUDAN_SYS.tab の編集
SHUUDAN_SYS.tab は、集団学習用の取り込みうる外部システムの設定を行うファイルである。
1 3.3.2.(1)の perl のパスを記述する
書式「#! パス名」 43集団学習に取り込める外部システムを確認し、以下のようにファイルを編集する。ファイルは EUC
で書かれている。
---------- SHUUDAN_SYS.tab 内容 ---------------------------
# 集団学習用外部システム設定ファイル## Usage No,Value(a,b,・・・),外部システム名称,予測データのディレクトリ
1,a,外部予測システム AA, /home/winc/nedo/jdata/001
2,b,外部予測システム BB, /home/winc/nedo/jdata/007
3,c,外部予測システム CC, /home/winc/nedo/jdata/010
---------- SHUUDAN_SYS.tab 内容 ここまで -------------
編集後、保存する。
(5) WF_POINT.tab の編集
WF_POINT.tab は、
表示するエリア、
WF の設定を行うファイルであり、
これを編集する必要がある。
表示するエリアもしくは WF を確認し、以下のようにファイルを編集する。ファイルは EUC で書か
れているため EUC で編集する。
---------- WF_POINT.tab 内容 ---------------------------
# WF の地点名リスト
# 通番,エリア orWF(AorW),エリアコード,地点コード(3 桁), 地点名
1,A,02,200,エリア全体
2,W,02,001,A サイト
3,W,02,007,G サイト
4,W,02,010,N サイト
---------- WF_POINT.tab 内容 ここまで--------------------------
カンマ区切りで、以下のような書式である。
「通番,アルファベット記号,外部システム名称、外部予測システムが読み込む予測データのディレ
クトリ」
#が先頭にあるものはコメント行である。
通番は、
1 からの連番。
アルファベット記号は、
a,b,c,・・・の旬で、アルファベットの小文字を外部システムの数分、記述する。
外部システム名称は、外部システムの名称を記述。日本語も可能だが、EUC コードで記述する。
予測データのディレクトリはフルパスで記述する。通常、予測データのファイルは、ここで記述し
たディレクトリの下に「cYYMM」
(YY:西暦の下2桁、MM:月)があり、それ以下に存在する。
この例は外部システムが 3 つある場合である。
カンマ区切りで、下記のような書式である。
「通番,AorW,エリア番号,WF 番号,地点名」
#が先頭にあるものはコメント行である。
通番は、1 からの連番。
AorW は、エリアであれば「A」
、WF であれば「W」を
記入する。
エリア番号は 2 桁の整数。(3.2.4.(3)で決めた番号)
WF 番号は 3 桁の整数。(3.2.4.(3)で決めた番号)
地点名は、
各サイトの地点名を記述。
日本語も利用でき
るが、EUC コードで記述する。 443.3.5. エリア・WF 追加時の設定
エリアや WF を追加するときには、
3.3.4 の(5)のように WF_POINT.tab を編集する。
3.3.4 の(5)の例は、
合計 4 サイトで、エリアが1エリア、WF が3WF である例である。1 サイトでよい場合には、1 行だ
けを記述すればよい。サイトが多くなる場合には、WF_POINT.tab の行数を増やし、必要なサイトの数
だけ行を増やし追記することで、表示可能となる。
例:2エリア、5 ウィンドファーム(WF)で
A エリアの番号=01 , B エリアの番号=02
A エリアの A ウィンドファームの番号=001,
A エリアの B ウィンドファームの番号=002,
A エリアの C ウィンドファームの番号=003,
B エリアの AA ウィンドファームの番号=001,
B エリアの BB ウィンドファームの番号=002,
の場合の、WF_POINT.tab の設定例は、以下である。
---------- WF_POINT.tab 内容 ---------------------------
# WF の地点名リスト
# 通番,エリア orWF(AorW),エリアコード,地点コード(3 桁), 地点名
1,A,01,000,A エリア全体
2,A,02,000,B エリア全体
3,W,01,001,A エリア A サイト
4,W,01,002,A エリア B サイト
5,W,01,003,A エリア C サイト
6,W,02,001,B エリア A サイト
7,W,02,002,B エリア B サイト
---------- WF_POINT.tab 内容 ここまで-------------------------- 453.3.6. ID,パスワードによるアクセス制限の設定
本プラットフォームには、
Web 表示時にアクセス制限をかける機能を設けている。
アクセス制限は、
Apache のベーシック認証の機能を利用しており、ページを参照できる人を限定するための機能であ
る。ベーシック認証機能を有効にしているディレクトリに Http アクセスがあると、ユーザ名とパス
ワードの入力が求められる(図 3.3.-1)
。ユーザ名とパスワードがあらかじめ登録されたものと一致す
ればアクセスが許可され、逆に一致しない場合はアクセスできない。
図 3.3.-1 認証画面
設定の例として 3.3.1 で示した DocumentRoot の例「/export/home/web」以下に「web_platform」
というディレクトリで、プラットフォームの Web 公開を行うと仮定する。Web 表示機能をインスト
ールすると、web_platform ディレクトリ以下に「A. htaccess」
「A.htpasswd」というファイルがで
きあがる。このまま Http アクセスすると、制限がかかっておらず、全てのアクセスに対し、表示が
可能である。
アクセスの制限を行いたい場合には、
『mv A. htaccess .htaccess』
『mv A. htpasswd . htpasswd 』
としてファイル名を変更し、
『vi .htaccess』
で編集する。編集内容は下記のとおり。
---------------- .htaccess の内容と編集箇所 --------------------
AuthType Basic
AuthName "NEDO Platform"
AuthUserFile /export/home/web/web_platform/.htpasswd
AuthGroupFile /dev/null
require valid-user
---------------- .htaccess の内容 ここまで --------------------
3 行目 AuthUserFile の欄にカレン
トディレクトリの「.htpasswd」の
パスを記述する。 46また「.htpasswd」には、アクセス可能な ID とパスワードを設定する。
AAA という ID とパスワード「AAA1」を作成する方法は、
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
# /usr/apache/bin/htpasswd /export/home/web/platform/.htpasswd AAA
New password: Å AAA1 と入力
Re-type new password: Å AAA1 と入力
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
である。作業は root 権限で行う。
Apache が有効になっていることを確認し、
http://アクセスサーバ/web_platform/index.cgi
に Web ブラウザでアクセスする。
図 3.3.-1 の認証画面が表示され、
設定した ID/パスワードを入力し、
トップ画面が表示されれば、アクセス成功である。 473.3.7. Web 表示機能動作確認方法(ページへのアクセス)
サーバの IP アドレス、
もしくは DNS サーバに登録されているのであればドメイン名を利用して、サーバ以外の Windows クライアントから InternetExplore 等のブラウザでアクセスする。
サーバの IP アドレスは、
「ifconfig -a」で確認できる。確認できない場合には、サーバ管理者に確
認してください。またそのサーバが DNS サーバに登録されていて、ドメイン名でのアクセスができる
ようであれば、そのドメイン名を利用する。
アクセスの例として、3.3.1 の Apache の設定確認で、DocumentRoot が「DocumentRoot
"/export/home/web"」のようになっていたときに、Web 表示システムをインストールしたディレクト
リが、
「/export/home/web/site00/web_platform」
であったとしたならば、Windows クライアント PC のブラウザで、
「http://サーバ IP アドレス/site00/web_platform/index.cgi」
と入力し、アクセスする。表示されれば正常である。 48第4章 入力データのフォーマット
本プラットフォームには、Web 表示のためのデータ加工を行う「データ・画像作成機能」と、実際
の Web 表示を行う機能「Web 表示機能」があるが、
「データ・画像作成機能」に対しては、ユーザー
側で風力発電出力予測の予測データと、風力発電出力の観測データを準備する必要がある。予測デー
タのフォーマット、観測データフォーマットに関しては以下に記述する。
4.1. 予測データフォーマット
本プラットフォーム表示機能に予測値を表示させるための、予測データフォーマットを記載する。
(1) 時間定義
・ 日本標準時(JST)基準であり、24 時間表記、午前 12 時=0 時
・ 深夜 0 時は翌日 0 時 00 分
・ 時間は平均時間の最後の時間を代表
(例:21 時 00 分のデータの場合、20 時 30 分 01 秒から 21 時 00 分の平均値)
(2) 内容
・ ファイル形式はテキスト形式の CSV(カンマ区切り)
・ ファイルは 30 分毎に 1 ファイルを作成(0 時 0 分〜23 時 30 分)
・ 予測初期時刻から 30 分間隔で最大 51 時間先までの予測データを一単位として格納
(3) ファイル名規則
[Ee]f[NNN]_YYYYMMDDhhmm.csv
[Ee] :電力系統エリア識別子(2 桁)
「表 7.1.1.-1 参照」
f :予測値を意味する「f」
(f 固定)
[NNN] :WF 識別子(3 桁)
「表 7.1.1.-2 参照」
エリア全体が対象の場合「000」
YYYY :西暦(4 桁)
MM :月(2 桁)
DD :日(2 桁)
hh :時(2 桁)
mm :分(2 桁)
例) 東北エリア、総発電出力、エリア、2007 年 1 月 1 日 6 時 30 分の結果
02f000_200701010630.csv
予測の初期時刻(JST) 49(4) データフォーマット
・ 各データ要素間はカンマ区切り。
・ 「#」で始まる行はヘッダー部であり、ヘッダー部のフォーマットは、
「 #キーワード[, 要
素・・・] 」である。
・ ヘッダー部以降の行がデータ。
各キーワードとその説明を以下に示す(斜体字は可変部分)。#area, AREA
電力系統エリアを記述。電力会社名は表 4.1-1 参照。
#site, Wind_Farm_1
WF サイト名を記述、エリアの場合「Area」
。WF サイトは表 4.1-2 参照。
#PowerRated, PowerRated_1
総発電出力[kW]
# data, PowerFcst
データの内容。発電出力予測なので「PowerFcst」固定。
#interval, 30min
予測データのインターバル(
「30min」固定)。# time, JST
基準時間。 日本標準時「JST」固定。
#windturbnines, 25
Wind turbine 数。エリアの場合=0。
#material, 5, PowerFcst[kW], PowerQnt16.5%[kW], PowerQnt83.5%[kW],
PowerQnt05%[kW], PowerQnt95%[kW]
データ要素数、要素
-- PowerFcst[kW] :発電出力予測値[kW]
-- PowerQnt16.5%[kW] :信頼区間 67%(正規分布のσ)の下限
-- PowerQnt83.5%[kW] :信頼区間 67%(正規分布のσ)の上限
-- PowerQnt05%[kW] :信頼区間 90%(正規分布の 2σ)の下限
-- PowerQnt95%[kW] :信頼区間 90%(正規分布の 2σ)の上限
#missingvalue, -99999.9
欠測時の値
#comment
予備行
以降、データ行となる。 50データ行は下記のとおりのフォーマットとする(カンマ区切り)。YYYY,MM,DD,hh,mm, PowerFcst, PowerQnt16.5%, PowerQnt83.5%, PowerQnt05%,
PowerQnt95%
・YYYY :西暦の年(4byte)
・MM :月(2byte)11 月=11, 3 月=_3(半角スペース+3)
・DD :日(2byte)11 日=11, 3 日=_3(半角スペース+3)
・hh :時(2byte)11 時=11, 3 時=_3(半角スペース+3)
・mm :分(2byte)30 分=30, 0 分=_0(半角スペース+0)
・PowerFcst :発電出力予測値。単位 kW。F10.1 の書式。
・PowerQnt16.5% :信頼区間 67%の下限。単位 kW。F10.1 の書式。
・PowerQnt83.5% :信頼区間 67%の上限。単位 kW。F10.1 の書式。
・PowerQnt05% :信頼区間 90%の下限。単位 kW。F10.1 の書式。
・PowerQnt95% :信頼区間 90%の上限。単位 kW。F10.1 の書式。
データ例)
#area, 02
#site, site A
#Power Rated, Power[kW]
#data, PowerFcst
#interval, 30min
#time, JST
#windturbines, 25
#material, 5, PowerFcst[kW], PowerQnt16.5%[kW], PowerQnt83.5%[kW], PowerQnt05%[kW],
PowerQnt95%[kW]#missingvalue, -99999.9
#comment
2008, 1,23, 6, 0, 2821.4, 0.0, 5493.3, 0.0, 7486.5
2008, 1,23, 6,30, 2751.6, 0.0, 5326.0, 0.0, 7277.7
2008, 1,23, 7, 0, 2681.2, 0.0, 5157.4, 0.0, 7067.0
2008, 1,23, 7,30, 2607.7, 0.0, 4981.5, 0.0, 6847.4
2008, 1,23, 8, 0, 2605.0, 0.0, 4975.0, 0.0, 6839.2
2008, 1,23, 8,30, 2541.3, 0.0, 4822.3, 0.0, 6648.5
2008, 1,23, 9, 0, 3178.2, 23.5, 6492.3, 0.0, 8719.4
・・・・
2008, 1,24, 9, 0, 11121.2, 4163.8, 17052.9, 0.0, 21490.3
2008, 1,24, 9,30, 11534.2, 4704.3, 17743.9, 215.0, 22233.3
2008, 1,24,10, 0, 12092.1, 5424.0, 18669.6, 863.8, 23229.8
2008, 1,24,10,30, 12331.1, 5710.2, 19049.5, 1117.7, 23641.9
2008, 1,24,11, 0, 12676.6, 6123.7, 19598.5, 1484.6, 24237.6
2008, 1,24,11,30, 11379.4, 4501.6, 17484.8, 31.8, 21954.7
2008, 1,24,12, 0, 15617.9, 8873.5, 21590.1, 4495.4, 25968.2 51表 4.1-1 電力系統エリア識別子[Ee]の識別番号(予測値の場合)
Ee 電力会社 ファイル内表記
01 北海道電力管内 hepco
02 東北電力管内 tohoku
03 東京電力管内 tepco
04 中部電力管内 chuden
05 北陸電力管内 rikuden
06 関西電力管内 kepco
07 中国電力管内 energia
08 四国電力管内 yonden
09 九州電力管内 kyuden
10 沖縄電力管内 okiden
11 その他(特高連系以外の WF) other
表 4.1-2 WF 識別子[NNN]の識別番号(予測値の場合)
NNN 東北電力管内 ファイル内表記
001 A サイト site A
002 B サイト site B
003 C サイト site C
004 D サイト site D
005 E サイト site E
006 F サイト site F
007 G サイト site G
008 H サイト site H
009 I サイト site I
010 N サイト site N
4.2. 観測データフォーマット
本プラットフォーム表示機能に観測値を表示させるための、観測データフォーマットを記載する。
(1) 時間定義
・ 日本標準時(JST)基準であり、24 時間表記、午前 12 時=0 時
・ 深夜 0 時は翌日 0 時 00 分
・ 時間は平均時間の最後の時間を代表
(例:21 時 00 分のデータの場合、20 時 30 分 01 秒から 21 時 00 分の平均値)
(2) 内容
・ ファイル形式はテキスト形式の CSV(カンマ区切り)
・ ファイルは 30 分毎に 1 ファイルを作成(0 時 0 分〜23 時 30 分)
・ 観測時刻における実測値データを一単位として格納 52(3) ファイル名規則
[Ee]s[NNN]_YYYYMMDDhhmm.csv
[Ee] :電力系統エリア識別子(2 桁)
「表 7.1.1.-3 参照」
s :観測値を意味する「s」
(s 固定)
[NNN] :WF 識別子(3 桁)
「表 7.1.1.-4 参照」
エリア全体が対象の場合「000」
YYYY :西暦(4 桁)
MM :月(2 桁)
DD :日(2 桁)
hh :時(2 桁)
mm :分(2 桁)
例) 東北エリア、総発電出力、001 番 WF、2007 年 1 月 1 日 6 時 30 分の場合
02s001_200701010630.csv
(4) データフォーマット
・ 各データ要素間はカンマ区切り。
・ 「#」で始まる行はヘッダー部であり、ヘッダー部のフォーマットは、
「 #キーワード[, 要
素・・・] 」である。
・ ヘッダー部以降の行がデータ。
各キーワードとその説明を以下に示す(斜体字は可変部分)。#area, AREA
電力系統エリアを記述。電力会社名は表 4.2-1 参照。
#site, Wind_Farm_1
WF サイト名を記述、エリアの場合「Area」
。WF サイトは表 4.2-2 参照。
# data, scada
データの内容。実測値なので「scada」固定。
#interval, 30min
実測データのインターバル(
「30min」固定)。# timemeans, JST
基準時間。 日本標準時「JST」固定。
#windturbnines, 25
Wind turbine 数。エリアの場合=0。
#material,2,ActivePower[kW],Percent[%]
データ要素数、要素
-- ActivePower [kW] :発電出力実測値[kW]
-- Percent[%] :総発電出力に対する割合[%]
#missingvalue, -9999.9
欠測時の値
実測時刻(JST) 53#comment,30min average val
予備行(上記固定)
以降、データ行となる。
データ行は下記のとおりのフォーマットとする(カンマ区切り)。YYYY,MM,DD,hh,mm, ActivePower , Percent
・YYYY :西暦の年(4byte)
・MM :月(2byte)11 月=11, 3 月=_3(半角スペース+3)
・DD :日(2byte)11 日=11, 3 日=_3(半角スペース+3)
・hh :時(2byte)11 時=11, 3 時=_3(半角スペース+3)
・mm :分(2byte)30 分=30, 0 分=_0(半角スペース+0)
・ActivePower :発電出力実測値。単位 kW。F10.1 の書式。
・Percent :総発電出力に対する割合。単位%。F10.1 の書式。
データ例)
#area,tohoku
#site,eurusenergy_iwaya
#data,scada
#interval,30min
#timemeans,JST
#windturbines,25
#material,2,ActivePower[kW],Percent[%]
#missingvalue,-99999.9
#comment,30min average val
2007,12,11,13,00, 1476.80, 9.20
表 4.2-1 電力系統エリア識別子[Ee]の識別番号(観測値の場合)
Ee 電力会社 ファイル内表記
01 北海道電力管内 hepco
02 東北電力管内 tohoku
03 東京電力管内 tepco
04 中部電力管内 chuden
05 北陸電力管内 rikuden
06 関西電力管内 kepco
07 中国電力管内 energia
08 四国電力管内 yonden
09 九州電力管内 kyuden
10 沖縄電力管内 okiden
11 その他(特高連系以外の WF) other 54表 4.2-2 WF 識別子[NNN]の識別番号(観測値の場合)
NNN 東北電力管内 ファイル内表記
001 A サイト site A
002 B サイト site B
003 C サイト site C
004 D サイト site D
005 E サイト site E
006 F サイト site F
007 G サイト site G
008 H サイト site H
009 I サイト site I
010 N サイト site N 55第5章 表示内容
5.1. 表示内容の解説
本プラットフォームの Web 表示の遷移は、図 5.1-1 のとおりである。
図 5.1-1 プラットフォーム遷移図
また、トップページは、図 5.1-2 のとおりである。エリア表示、ウィンドファーム表示を選択する
と、一般的な画面の図 5.1-3 のような画面となる。図 5.1-3 は、メニュー選択エリアとコンテンツ表
示エリアより構成される。
図 5.1-2 トップページ画面 56図 5.1-3 表示構成
表示画面の操作は、
「メニュー選択エリア」より、表示したいエリア、もしくは WF を「風力発電
所を選択」のプルダウンより選択し、表示メニューを選択することで、
「コンテンツ表示エリア」に選
択結果を表示させる。
メニュー選択エリア コンテンツ表示エリア 57「メニュー選択エリア」のメニューは表 5.1-1 のとおりである。
表 5.1-1 メニュー選択エリアの構成
大項目 中項目 小項目 コンテンツ表示エリアの表示内容・機能
風力発電所を選択 表示したいエリア、もしくは WF を選択する。
当 日 予 測 結果当日の 6 時間前からの観測値と 24 時間先までの予
測値を表示する。
予測には正規分布の 2σとなる信
頼区間が表示される。
翌日予測 翌日の 24 時間の予測値と信頼区間が表示される。
リアルタイム予測
結果
前日結果 前日の 24 時間の観測値と観測の 3 時間前に予測さ
れた予測値を表示する。
時間別誤差 過去 1 ヶ月のデータより、当日の 24 時間先までの
30 分毎の誤差を表示する。
評価結果
予 測 誤 差 分布過去 1 ヶ月のデータより、当日 3 時間先、当日 6
時間先、当日 12 時間先、当日 24 時間先、翌日の
誤差分布を表示する。
モジュール切替え モジュール 予測モジュールの切替を行う。
切替えたモジュール
にてリアルタイム予測結果が表示される。
予測選
択メニ
ュー
表示切替え 表 示 切 替 え
(エリア/WF)
エリア予測と WF 予測を切り替える画面へ移動す
る。
予測手法 予測手法を解説しているページが表示される。
Infor
mationその他
連絡先 連絡先が表示される。 58表 5.1-1 の大項目の「予測選択メニュー」の小項目に関して、詳細を記載する。
(1) 当日予測結果
図 5.1-4 はリアルタイム予測結果の当日予測結果のグラフ表示である。グラフの縦軸は総定格出力
に対する出力の割合(%)、横軸は時間である。グラフ内のピンク色の縦棒が現在時刻を示している。ま
た青の折れ線グラフが過去 6 時間分の観測値、赤の折れ線の過去 6 時間は、観測値の時刻の 3 時間前
発表の予測値であり、現在時刻より先の 24 時間は、最新の予測の 24 時間予測値を示している。緑色
の点線は予測の信頼区間であり、正規分布の 2σの範囲を示している。
図 5.1-4 リアルタイム予測結果当日予測結果のグラフ 59図 5.1-5 は、図 5.1-4 のグラフの右上の「数値一覧表」をクリックしたときの画面である。一覧表
は、図 5.1-4 のグラフに表示されている時間の値を示しており、各項目の単位の少数第 2 位までを示
している。一覧表は左側より、時間(年、月、日、時、分)
、観測値(MW 単位) 、観測値(%単位)、予測値(MW 単位)
、予測値(%単位)である。
図 5.1-5 リアルタイム予測結果当日予測結果の一覧 60(2) 翌日予測
図 5.1-6 はリアルタイム予測結果の翌日予測のグラフ表示である。グラフの構成は、当日予測結果
のグラフ(図 5.1-4)と同じであるが、時間は翌日の 0 時〜24 時である。また、グラフの右上の「数
値一覧表」をクリックすると、当日予測結果と同様の数値一覧表が表示される。一覧表は、翌日予測
のグラフに表示されている時間の予測値を示している。
図 5.1-6 リアルタイム予測結果翌日予測のグラフ 61(3) 前日結果
図 5.1-7 はリアルタイム予測結果の前日結果のグラフ表示である。グラフの構成は、当日予測結果
のグラフ(図 5.1-4)と同じであるが、時間は前日の 0 時〜24 時である。予測値である赤の折れ線グ
ラフは、観測値の時刻の 3 時間前発表の予測値である。また、グラフの右上の「数値一覧表」をクリ
ックすると、当日予測結果と同様の数値一覧表が表示される。一覧表は、前日結果のグラフに表示さ
れている時間の観測値、予測値を示している。
図 5.1-7 リアルタイム予測結果前日結果のグラフ 62(4) 時間別誤差
図 5.1-8 は評価結果の時間別誤差のグラフ表示である。グラフは、過去 1 ヶ月のデータより、予測
時刻の 24 時間先までの 30 分毎の誤差を表示している。
グラフの縦軸は総定格出力に対する誤差の割
合(%)、横軸は 0〜24 時間後を示している。
赤色の折れ線グラフが ME(Mean Error:平均誤差)、青色の折れ線グラフが MAE(Mean Absolute
Error:平均絶対誤差)、
緑色の折れ線グラフが RMSE(Root Mean Square Error: 二乗平均平方根誤差)
を示している。各誤差の計算式は下記のとおりである。
ME(平均誤差)の式 :nOiFiMEni∑=−= 1)(
MAE(平均絶対誤差)の式 :nOiFiMAEni∑=−= 1
|
|
RMSE(二乗平均平方根誤差)の式 :nOiFiRMSEni∑=−= 12)((ここで、Fi は i 番目の予測値、Oi は i 番目の観測値、n は予測回数である)
図 5.1-8 評価結果 時間別誤差のグラフ 63図 5.1-9 は、エラー! 参照元が見つかりません。のグラフの右上の「数値一覧表」をクリックした
ときの画面である。一覧表は、予測時間 0 時間〜24 時間の誤差を示しており、総定格出力に対する誤
差の値の割合(%単位)で示している。一覧表の左側より、予測時間(時、分)
、ME(%単位) 、MAE
(%単位)
、RMSE(%単位)である。
図 5.1-9 評価結果 時間別誤差の一覧表 64(5) 予測誤差分布
図 5.1-10 は評価結果の予測誤差分布のヒストグラム表示である。過去 1 ヶ月のデータより、当日 3
時間後、当日 6 時間後、当日 12 時間後、当日 24 時間後、翌日予測の総定格出力に対する予測誤差
ME の出現頻度割合を示している。グラフの縦軸は、誤差幅の出現頻度割合(%)
、横軸は総定格出力
に対する誤差幅(ME:単位%)を示している。
図 5.1-10 評価結果 予測誤差分布 65(6) モジュール切替え
図 5.1-11 は、リアルタイム予測結果の表示に利用する予測モジュールを切り替えるページである。
集団学習の結果をリアルタイム予測結果に表示させる場合には、予測モジュールの切替より「集団学
習 ON」をチェックし、取り込む外部システムを選択(複数選択可)して「送信」ボタンをクリック
することで、リアルタイム予測結果の表示が集団学習からの出力結果となる。
また、簡易予測モジュールの結果をリアルタイム予測結果に表示させる場合には、予測モジュール
の切替より「簡易モジュール ON」をチェックし、
「送信」ボタンをクリックすることで、リアルタイ
ム予測結果の表示が簡易予測モジュールからの出力結果となる。
上記どちらでもなく、
通常利用している予測モジュールをリアルタイム予測結果に表示させる場合、
「通常モジュール ON」をチェックし、
「送信」ボタンをクリックする。
図 5.1-11 モジュール切替え画面
(7) 表示切替え
表示切替えは、トップページの表示(図 5.1-2)と同様である。エリア表示、ウィンドファーム表
示を選択することができる。
以上

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /