プラスチックは、日常生活の利便性をもたらす素材として幅広く活用されてきている一方で、需要増大に伴い、原料調達・製造・加工及び廃棄処理の過程でのエネルギー消費・CO2排出の増大や、プラスチックごみによる海洋汚染が社会問題となっています。
本事業では、海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、海洋生分解性プラスチックの市場導入を促進し、更なる製品適用拡大により普及拡大を加速させるために、海洋生分解メカニズムに裏付けされた評価手法の開発(研究開発項目〔1〕)と海洋生分解性プラスチックに関する新技術・新素材の開発(研究開発項目〔2〕)を行い、新たな海洋プラスチックごみ発生ゼロの実現に貢献します。
各海洋域における既存及び新規の海洋生分解性プラスチックの生分解性評価を行い、海洋領域の違いによる生分解性の基礎データを収集し、海洋生分解性プラスチックが分解されるメカニズムの解析と海洋生分解性の評価手法の検討を行います。生分解途中に生成される中間体を含めた安全性を評価する新たな手法の検討、生分解度と種々の因子の関係を解析することにより、加速生分解評価法、実験室内試験結果と実海域試験結果の相関を解明する検討も行っています。樹脂とその分解物の海洋における安全性評価試験も実施しています。これらの検討から2024年度に、実用化の際に共通して活用できる海洋生分解性メカニズムに裏付けされた評価手法を確立し、ISO国際標準化に繋げる計画です。
海洋生分解性プラスチックについて、新規の化学構造を有する樹脂、新規のバイオ製造プロセスの開発のほか、既存の樹脂を複合化して物性や機能性等を高める開発を行っています。海洋生分解性を高める樹脂添加剤や、パーソナルケア製品や塗料に添加するプラスチックビーズの代替品として、粒子形状の海洋生分解性素材の開発を行っています。その他、釣具製品を目指した多糖類長鎖短鎖エステル誘導体からなる樹脂素材開発や、ガスバリア性やインパクト強度が既存の汎用プラスチックを上回ることを目指し、エステルアミド誘導体からなる樹脂素材開発にも着手しています。
日本では、最近プラスチック資源循環促進法が成立し、2022年4月より施行されています。今後、環境配慮型プラスチック普及への機運が更に高まると思いますが、特にワンウエイプラスチックの代替素材の開発・転換等のイノベーションとして当部門で取り組んでいる海洋生分解性プラスチックの技術開発成果を有効活用できれば幸いです。
事業期間・予算額 | 事業期間:2020年度〜2024年度、予算額:3.3億円(2024年度) |
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技術・事業分野 | 材料・製造 |
プロジェクトコード | P20008 |
担当部署 | バイオ・材料部 (TEL:044-520-5220) |
最終更新日:2024年7月29日