各地で推進されたスマートコミュニティ実証の具体的事例や今後のスマートコミュニティに活かすべき示唆を、ケーススタディとしてまとめています。
本資料は、東北地方にある仙台市において構築されたマイクログリッド(仙台マイクログリッド)に関するケーススタディです。仙台マイクログリッドは、NTTファシリティーズらが2004年度からの4ヵ年、仙台市において実施した実証試験「品質別電力供給システム実証研究」のテストベッドとして誕生したものであり、仙台市にある東北福祉大学内の施設にエネルギーを供給しており、2008年に実証試験が終了した後も、マイクログリッドシステムとして引き続き運用されているものです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴い、地震発生後数日間、東北地方のエネルギー供給システムは壊滅的な状況に陥りました。このような状況下においても、仙台マイクログリッドは需要家に対して電気と熱を供給し続けました。
本ケーススタディでは、仙台マイクログリッドの震災時における稼働状況を分析することで、今後マイクログリッドを構築するにあたっての注意点に関して考察を行うものです。
2009 年度から2014年度の間、米国のニューメキシコ州において、スマートグリッドに係る米国と日本の共同研究としての実証試験「米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証」を実施しました。これは、NEDO の「スマートコミュニティ海外実証プロジェクト」の第1号案件であり、ニューメキシコ州のロスアラモスとアルバカーキという2つのサイトにおいて、19社の日本企業とニューメキシコ州の政府、電気事業者、研究機関等が合同で取り組んだものです。将来における再生可能エネルギーの大量導入に向けて、スマートグリッドの構築を行ってきたこの取組では、実証試験を進めていく経験の中で、今後日米におけるスマートグリッドを展開していく上でのいくつかの重要な示唆が得られました。
本ケーススタディは、ロスアラモス、アルバカーキそれぞれのサイトにおける取組によって明らかになった示唆をまとめたものです。
スペイン・マラガでは2012年から2015年にかけて、日本との合同プロジェクトとして、EVの普及が拡大した場合の道路交通分野にフォーカスしたスマートコミュニティ実証が実施されました。これは、NEDOの「スマートコミュニティ海外実証プロジェクト」の1つで、NEDOとスペイン政府機関の産業技術開発センター(CDTI)との間に締結された技術開発協力協定「ジャパン・スペインイノベーションプログラム(JSIP)」に基づき開始されたものです。NEDOとマラガ市の間で2012年に結ばれたMOUのもと、スペイン側と日本側の民間企業6社がコンソーシアム(ZEM2ALL)を創設し、本実証に参画しました。
本実証では、将来のEV普及拡大に向けて、スマートコミュニティインフラの構築やEV電力需要マネジメント等の取り組みが実施されており、この過程でいくつかの重要な示唆が得られています。また、スマートコミュニティの技術実証だけでなく、マラガ市の協力のもと積極的なカスタマーリレーションシップの構築も行われており、社会的に果たす役割も大きい実証です。本ケーススタディでは、本実証の取り組みを通して得られたスマートコミュニティ関連技術に対する示唆や実証の社会的意義について取りまとめます。
米国ハワイ州のマウイ島では、2011 年度から2016 年度にかけて、スマートコミュニティのプロジェクト「JUMP Smart Maui (JSM)」が行われてきました。このプロジェクトは、導入が拡大する再生可能エネルギーを有効に活用するとともに、電気自動車(EV)の普及を拡大することを目的として、ハワイの関係者と日本企業が協力してスマートコミュニティを構築したものです。
スマートコミュニティは、先進的な環境・エネルギー技術を統合し、対象とするコミュニティに帰属する市民に持続可能で安心・安全な生活を提供する社会システムであると言えます。この意味では、一般市民に対して、スマートコミュニティがどのような価値を与えたかという観点が重要です。本資料は、この視点に立ち、特に一般市民(JUMP Smart Maui に参加したボランティア)が深く関係するEV 関連の取り組みを中心に、その実施内容と結果を整理し、この取り組みからの今後のスマートコミュニティ構築に向けた示唆をまとめています。
フランス・リヨンでは2011 年から2017 年にかけて、日本との合同プロジェクトとして、欧州の高い環境目標に適合するための先進的なエネルギー技術を活用した未来型都市モデルの構築にフォーカスしたスマートコミュニティ実証を実施しました。これは、リヨン都市共同体(Grand Lyon la Métropole)が再開公社(SPL Lyon Confluence)への委託に基づいて推進しているリヨン・コンフルエンス地区の再開発事業の一部として実施されました。NEDO とリヨン都市共同体との間に締結されたMoA(Memorandum of Agreement)のもと、日本の東芝とフランス側の主要実証パートナー4 社がIA (Implementation Agreement)を結び、共同で実証を行いました。
本実証では、新築ビル及び既設住宅への省エネ関連技術の導入や、情報通信技術を用いたPV 発電量管理システム、EV カーシェアリングシステム、都市のリアルタイムエネルギー利用情報を管理して効果的・効率的な都市計画の推進を支援するシステムの構築と効果検証が行われ、この過程でいくつかの重要な示唆を得ました。本ケーススタディでは、本実証の取り組みを通して得られたスマートコミュニティ関連技術に対する示唆や実証の社会的意義について取りまとめています。
2014 年度から2016 年度にかけて、英国・マンチェスターにおいて日本・英国の合同プロジェクトである、スマートコミュニティの実証事業が実施されました。主な目的は、再生可能エネルギーの導入等、低炭素化の取り組みが進む英国において、住宅の小口消費電力を日本の情報通信技術(ICT)を用いてコントロールすることで、負荷調整能力を創出するアグリゲーションビジネスの有効性・実現可能性を確認することです。
このプロジェクトは、英国側の取りまとめとなるグレーター・マンチェスター合同行政機構(Greater Manchester Combined Authority)とNEDO の間で実証推進の協力協定を締結し、住宅公社や大学など現地関連事業者と日本側コンソーシアム(NEDO・日立製作所・ダイキン工業・みずほ銀行)との共同で実証が行われました。
実証の中では、断熱施工された公営住宅へのヒートポンプ(HP)機器の導入や住民の生活環境に配慮したデマンドレスポンス(DR)技術の導入、英国の電力取引市場に対応したアグリゲーションシステムの構築と効果検証が行われ、この過程でいくつかの重要な示唆が得られました。
本ケーススタディは、本実証の取り組みを通して得られたスマートコミュニティ関連技術に対する示唆や実証の社会的意義について取りまとめられています。
550 軒の実証対象住宅に対し複数の方式のHPを導入、入居者の利用による長期間の運用と十分な保守・修理サービスを提供し、HP 導入の有効性を実証
導入したHP を集中制御するHP アグリゲーションシステムの構築に加え、英国の電力市場での取引を考慮した電力アグリゲーションシステムを構築し、小口需要家のHP を制御・集約して得られる負荷調整能力が、英国の電力取引市場における需給バランス調整能力として利用可能なレベルで提供可能であることを実証
テーマ1・テーマ2 で実証した小口アグリゲーションビジネスを実際に事業化する上で考えられるビジネスモデルの評価・決定と、各モデルにおける事業収益等のシミュレーションを実施
2012年から2017年にかけて、インドネシア共和国・ジャワ島において、エネルギー需要の伸びが著しい工業団地における高度なエネルギー利用方法の確立にフォーカスしたスマートコミュニティ実証事業が行われました。
本実証では、スルヤチプタ工業団地において、電力品質安定化のためのシステム、工業団地のエネルギー管理のためのシステムの導入に加えて、それらの基盤となるICTプラットフォームの構築と効果検証が行われました。また、単に技術実証を行うだけではなく、導入技術の事業性を検討するビジネス実証を兼ねた事業として実施されました。
本実証は、NEDOとインドネシア共和国エネルギー鉱物資源省(MEMR)との間に締結された基本協定書(MOU)のもと、日本の事業者である住友商事、富士電機、三菱電機、住商機電貿易およびNTTコミュニケーションズの5社と国営電力会社(PLN)が 合意文書(ID)を結び、スルヤチプタ工業団地をプロジェクトサイトとして実施されました。
本ケーススタディでは、本実証の取り組みを通して得られたスマートコミュニティ関連技術に対する示唆や実証の社会的意義について取りまとめています。
2015年から2017年にかけて、再生可能エネルギー100%を目指すドイツ・シュパイヤー市において、太陽光パネル、蓄電池、ヒートポンプから構成される電力・熱供給システムをHEMS(Home Energy Management System)により制御し、住宅における自家消費率向上を試みるスマートコミュニティ実証事業が行われました。
本実証では、戸建てを想定した世帯単位での自家消費モデル(タイプA)と集合住宅を想定した棟単位での自家消費モデル(タイプB)と2つのタイプを想定し、それぞれのタイプにおいて実証事業が行われました。
本実証の実施にあたり、NEDO、シュパイヤー市、そしてシュパイヤー市のエネルギー公社Stadtwerke Speyer(SWS)社の3者が基本協定書(MOU)を締結し、タイプAに関してはNTTドコモ及びNTTファシリティーズがSWS及びシュパイヤー市の住宅公社であるGEWOと、タイプBに関しては日立化成及び日立情報通信エンジニアリングがSWS及びGEWOとそれぞれ協定付属書(ID)を締結しました。
本ケーススタディでは、本実証の取り組みを通して得られた スマートコミュニティ関連技術に対する示唆や実証の社会的意義について取りまとめています。
2015年から2018年にかけて、電力不安定地域であるカナダ・オンタリオ州オシャワ市において、太陽光パネル、蓄電地、およびハイブリッドインバータから構成されるシステムによる実証事業が行われました。
本実証の主な目的は、電力不安定地域において非常用電源となり得る蓄電システムの導入・運用、ならびにそれらのシステムを系統安定化に活用していくための検証です。
本実証は、NEDO がオシャワ市およびオシャワ市の電力会社Oshawa Power & Utility Corporation(OPUC)と基本協定書(MOU)を締結し、田淵電機がOPUCと協定付属書(ID)を締結することで事業の体制を構築しています。また、田淵電機と保守点検契約を締結したPanasonicカナダ法人であるPanasonic Eco Solutions Canadaが、機器調達、設置工事、および実証参加住民のサポートを行う体制としました。
本ケーススタディでは、本実証への取り組みを通して得られた 蓄電システムに関する成果や、非常用電源としての価値、今後のスマートコミュニティ市場や電力システムに関する示唆、実証の社会的意義などについて取りまとめています。
2015年から2019年にかけて、インド・ハリヤナ州の地方都市であるパニパットにおいて、日本企業のスマートグリッド技術を活用し、配電事業の信頼性向上と効率化に取り組む実証事業が行われました。
本実証事業は、日本のスマートグリッド技術(スマートメータ・配電系統監視制御システム等)の導入と運用・保守の訓練も含めたキャパシティビルディング事業を同時に実施することで、パニパットにおける配電網データの見える化、およびデータ分析による停電時間短縮、配電ロス低減に貢献することを目指し、実施されました。本実証事業は、インド電力省が主導する配電公社の収支改善、次世代配電網の構築を目的とした14のスマートグリッドパイロットプロジェクトのひとつに位置付けられました。
本実証の実施にあたり、NEDOとインド電力省・インド財務省・ハリヤナ州電力局・ハリヤナ州北部配電公社Uttar Haryana Bijli Vitran Nigam(UHBVN)が基本協定書(MOU)を締結し、富士電機、住友電気工業、THEパワーグリッドソリューションがそれぞれUHBVNと協定付属書(ID)を締結しました。
本ケーススタディでは、本実証の取り組みを通して得られた スマートグリッド関連技術に対する示唆や実証の社会的意義について取りまとめています。
NEDO スマートコミュニティ・エネルギーシステム部 システム開発・実証グループ TEL:044-520-5274
最終更新日:2021年11月25日