建築士の資格以外にも耐震専門の資格を取得していることで、お客様にとって具体的に相談できる専門家と映るようになったように感じます。
そのため、お客様から耐震だけではなく間取変更を伴うリノベーション工事の相談が増えたり、私自身も耐震についてお客様にお話しする機会が増えました。
設計で間取りのお打ち合わせをする際に、生活面の提案と耐震性能面での両面でお話しすることができるようになったことです。
お打合せ中にその場で「耐震上ここにこの壁を残したいので、このようなデザインはいかがですか?」「ここに収納があると便利ですし、壁を作ることで直下率も良くなるのでスッキリするだけでなく安全にもなりますよ」等とお伝えすると、お客様も耐震について「大変そう」「大掛かりな工事になる」というようなマイナスな感じを受けずに、性能を上げていただけるようになったと思います。
出来る限りお客様にも診断に付き添っていただくようにしています。
長くお住まいでもご自宅の床下や小屋裏を見たことがない方が多いため、ちょっとしたアトラクションのような感じで診断を楽しんでいただいています。診断を疑似体験していただくことで、耐震に対する興味と理解が深まるようで、診断に付き添われたご主人様が奥様に得意げに耐震改修の重要さを説かれている姿をお見かけすると、「診断をしてよかったな」と思うと共に、耐震を重要に思う仲間が1人増えたように思えてうれしくなります。
お客様はご不安の中で診断を受けられていることが多いので、ちょっとした言葉使いや表現でもご不安になられます。
例えば、金物が付いていないことのみをお伝えすると「大工さんが手を抜いた」と思われてしまうので、「築年数からみると、当時はこういう方法にしていることが多いので、大工さんが手を抜いたわけではないですよ」という表現にすることで、付いていない事実はお伝えしながらも、自分の家がダメ・もう住めないというようなイメージにならないように気を付けています。
耐震工事は地震が起きないとその重要性を感じにくい工事ですが、東日本大震災発生後に耐震改修工事をさせていただいたお客様のお宅に伺ったとき、「家にいるのが一番安心できた」「他のお家は大変だったみたいだけど、うちは食器1つ壊れなかったから心配いらないよ」「耐震やっていてよかった〜」「工事のとき補強は一緒に出来るって教えてくれたからお願いしたけど、あのときやらないって言っていたらどうなっていたかと思うとゾッとする」等とお話いただきました。
いつどこで地震が発生するかはわからないため、強く必要性をお話していてよかったと思いました。