刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第29回)議事要旨
1
日時
平成19年5月18日(金)16:00〜
2
審査件数
検討会付議件数
委員からの意見
処理案相当
再調査相当
処理案不相当
13件
12件
0件
1件
※(注記) 付議件数13件中2件は再調査案件
3
処理案不相当(認容裁決相当)案件に係る検討会の提言
(1)
提言
刑務所収容中の受刑者から提出された「発信の差止め」に係る申立ては,理由があると認められるので,同所長がなした本件差止め措置は,取り消すのが相当である。
(2)
提言の理由(要旨)
本件は,当該受刑者が団体あてに機関紙の定期購読を依頼するため,郵券を同封して発信を申請したところ,同所長が,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(以下「同法」という。)第96条第1項の規定に基づき,申請に係る発信を同項第3号の事由に該当するものとして差し止めた事案である。
同所では,同法第28条及び同法施行規則第17条第2号の規定に基づき,書籍等の購入を原則として同所長が指定する事業者(以下「指定事業者」という。)からの購入に制限しているところ,同所長が本件発信を差し止めたのは,この取扱いに違反することを理由とするものであるが,必ずしも市販されているとはいえない同人誌や機関紙などの書籍等を購入することができなくなる取扱いは,被収容者による書籍の閲覧を広く認めた同法第46条の趣旨に反し,ひいては,憲法の保障する思想の自由,表現の自由等の権利の不当な制限に当たると考える。
よって,指定事業者から購入することができない本件機関紙を指定事業者以外の者から購入するための本件発信は,同所の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとは認められず,本件差止め措置は,これを正当なものとして是認することはできない。